相撲、面白い

平成二十八年九州場所を振り返る

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一年納の九州場所、今年は大関が二人優勝するなど、近年では久しぶりに優勝力士の顔ぶれが増え、益々盛り上がりをみせていた。 そんな中、最後の九州では豪栄道の綱取りか、休場明けの白鵬が帰ってきて優勝争いはどう変わるのか、そこに期待が集まっていたように思う。

しかし、蓋を開けると予想をはるかに上回る混戦が待っていた。 ここまでなかなか優勝争いにすら残れなかった鶴竜が、序盤でひとつも星を落とさない。星を落とさない鶴竜が、勝ちに焦ることもなく星を取り戻そうと変化をすることもない。 もちろん、立ち合いから押し込まれ引いて呼び込む、そんな姿はほとんど見えなかった。 やはり、引かない変わらない横綱は本当に強く巧いというところを見せてくれた場所であった。

鶴竜にはとある思い出がある。 それは昨年の秋場所。日馬富士、白鵬の休場でひとり横綱でのぞんだ鶴竜が14日目稀勢の里に対し、二回連続で変わる立ち合いをみせた。 当時、場内で観戦していたのだが、館内は異様な空気となり鶴竜には容赦ない罵声が浴びせられていた。 稀勢の里に左を差され寄られるも、いつもの巻き替えの巧さをみせ鶴竜が勝った一番であった。 そこに鶴竜の横綱としての初優勝への執念を見た気もしたが、同時に変わった横綱への失望感も大きく、とても複雑な心境となった。さらにその場所優勝した鶴竜は一夜明け会見で変化について質問が及ぶと「人に認められたくて相撲を取っているのではない」と発言する。 これが本心なのかはわからない。その時、ふと口から出てしまった一言なのか。 横綱として優勝から遠ざかっていた鶴竜の重圧を思いながら、横綱とはそういう物なのか、と勝手な横綱像を押し付けていた。 それから数場所、怪我もあり鶴竜が優勝争いに絡むことはなかった。

しかし今場所、先に述べた通り鶴竜の相撲内容は全く違った。 苦手、稀勢の里に敗れるも崩れることはなく、巻き替えのキレも出し投げの巧さもさすがの一言であった。 今回の一夜明け会見では「応援してくれる皆様、家族の為にも笑顔になってもらえるように頑張りたい」と語った。 きっとこれが横綱、鶴竜の本心であると思いたい。それぞれが本調子とは言えなくても、三横綱が揃い、豪栄道が綱取りとなっていた場所で14日目に優勝を決めた、鶴竜。この強さは本物である。 怪我や不調に悩まされるようなことがあっても今場所の相撲を忘れずに、横綱鶴竜の存在感を益々発揮して欲しいところである。

最後まで優勝争いに残った日馬富士。結果は11勝4敗だがやはり気持ちが強い横綱、の一言に尽きる。 休場明けとなった白鵬は3日目に通算1000勝を挙げた。後半、やはり疲れが出てきた印象ではあったが、来場所に期待したい。日馬富士、白鵬が万全で戻ってきたとき、土俵はさらに盛り上がるだろう。

綱取りとなった豪栄道。 先場所同様、引かない豪栄道であった。6日目玉鷲との取組では、頭で当たってきた玉鷲に押し込まれるも、そこを残してもろ差しで反撃。土俵際、突き落とされるも顔から落ち、豪栄道の意地と気持ちの強さをみた取組であった。 後半、何としても勝ってやろうという気持ちが出すぎて、そこを三横綱に巧く透かされたような取組ではあったが、これもひとつ結果が変わっていれば、きっと全く違った結果になっていたと思う。 少なくとも来場所も期待が出来る豪栄道である。

12勝3敗でまたしても優勝次点の結果を残した稀勢の里。 三横綱に土を付けるも、先場所変化で敗れた栃ノ心にいつもの立ち合いが出来ずに右四つに組んで敗れる。 相四つの遠藤にも簡単に左を差せると思ったのか、遠藤の強烈な右からのおっつけで全く良いところなく敗れた。 しかしそれでも12勝3敗。 敗けた取り組みは全て左が差せなかった。これからも過度に期待をせず、応援をしたい。

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