2008年11月10日

巨人vs西武 日本シリーズ Review 8 第7戦 青の奔流

2008年度日本シリーズは西武ライオンズが読売ジャイアンツを4勝3敗で破り、4年振りの栄冠に輝いた。
チームならびにファンの皆様、おめでとうございます。

この試合は、これまで6戦で見られなかった、先行する巨人に対して西武投手陣が追加点を許さず、追いつき追い越す展開で、まるっきり第5戦の鏡像を見るような流れだった。
8回の越智の続投については諸説あろうが、この結果については、上原をベンチに入れなかったことと、5戦で3回、6戦で2回しか先発がもたず、ブルペンに過重な負担をかけていたことが微妙に響いていると考える。
背景にあるのは、第5戦に今季肩のスタミナに欠ける上原を中4日で先発投手に起用したこと。
柱と信頼する投手だから、という信念の起用だろうが、7戦トータルで考えれば、何も22歳の涌井や23歳の岸に向こうを張って、33歳で初戦6回に球威が落ちた投手を無理して起用する必要はない。
シーズンを支えてきた中継ぎ投手を今シリーズについて見限り、6戦を岸に丸投げし、7戦は石井、涌井をリリーバーとして最大限に使いきり、後は星野とグラマンに託し、ブルペン余力ゼロで乗り切るという大バクチを打った渡辺監督の柔軟さ、思い切りの良さや短期勝負に徹した用兵とは対照的だ。

西武の弱点であった与四死球の多さも、4戦以降は中継ぎ投手をほとんど使わず、制球力のある涌井と岸で乗り切ったため表面化せず、逆に巨人バッテリーが相手打線への過度な警戒により無条件に塁を与え続け、その挙句機動力を恐れ配球が単調になるなど、自らを追い込んだ。
また、当初西武にとっての懸案だったDH制の有無も、6・7戦では阿部を使えずに、5番の穴を結局埋め切れず弱点として露呈してしまうなど、原監督はシーズン通りの采配に固執する余り、流れや展開に即応しきれなかったことは否めない。

西武は、シリーズ開幕当初とは見違える逞しさを身に付け、逆境から見事にひっくり返した。
正直なところ、クライマックスシリーズを見る限り、巨人と中日が日本プロ野球では頭ひとつ抜けており、攻撃力は高いが波があり、守備がもろい西武では相手にならないと思っていたが、片岡を中心に破綻なく守り切り、打者は中村と後藤以外は5戦以降ミート中心の逆らわないバッティングに切り替え巨人バッテリーの内角攻めを克服するなど、大舞台で進化していく姿を頼もしく見た。
総合的な投手力の整備等の課題はあるが、来季以降の進化や成熟が、ますます楽しみだ。

今年の日本シリーズは、要になる選手の怪我や欠場により、ベストコンディション同士が四つに組み合う総力戦ではなかったが、両リーグのチャンピオンが相手の良さを消しあい凌ぎあう、僅差の試合が相次ぎ、ひさしぶりにシリーズの展開、試合内容ともに、フルセットまで堪能した。
これだけの試合を見せられると、クライマックスシリーズがその存在意義を含めて、色褪せてみえるのは自分だけだろうか。

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2008年11月09日

巨人vs西武 日本シリーズ Review 7 第6戦 刷り込まれた残像、そしてファイナルへ

土壇場に追い込まれた西武が、打の平尾、投の岸の活躍で日本シリーズ第6戦を制し、最終決戦に持ち込んだ。
しかし、この試合の最大のポイントはこの二人ではなく、巨人先発の高橋が、第2戦で2ランを打たれた中島の残像に怯えたように出した初回のフォアボール。
わき腹の痛みゆえ振れるかどうかもわからない打者相手に腰が引けていては、チームを日本一に導くことは叶わない。
続く中村にも、真ん中高目の145キロ速球を空振りとはいえ強振された後は、急に神経質になりまたもフォアボールを与え墓穴を掘った。

岸は、第4戦に比べれば明らかに球威が落ちていたが、前回の対戦で完全に押さえ込まれたストレートの残像を意識しすぎた巨人打線に対しカーブとチェンジアップを有効に使い、この試合でも主戦投手の役割を完全に果たした素晴らしいピッチング。
捕手の銀仁朗も、第5戦での単調な配球から打って変わり、緩急を使い疲労の残る岸をリードし、細川の不在を忘れさせた。

巨人は、初回、2回のチャンスを、2番に抜擢された寺内や、このシリーズ全般的に眠らされ続けている坂本と鶴岡がものにできず、同点、逆転の芽を摘まれたこととにより、中盤以降も攻め切れない、もどかしい展開に終始し、フラストレーションのたまる敗北を喫した。

最終決戦が迫る。
西武はこの試合に続き、ブルペンを使わずに西口、石井、涌井の3人で巨人に先行を許さず逃げ切りたい。
巨人は、越智、豊田という最も信頼を置けるリリーバーを温存し、次戦に余力を残した。
この日振り回された中島の恐怖の残像も、第4打席の空振りや併殺で振り払い攻めることができるだろうし、涌井は岸よりも大きなダメージを背負ってのリリーフ待機になる。
総合的な投手力では巨人が上回るが、西武は終盤にきて平尾や佐藤のバットが振れており、攻撃力で優位に立つ。
中盤までに3点以上のリードすれば西武の勝ち、1点以内の競り合いに持ち込めば巨人が日本一になるだろう。
内海が序盤を抑えられるかが、全ての鍵を握る。

それにしても、1983年の両者初対決を彷彿させる日本シリーズだ。
あの年は、西武の主軸が田淵(元阪神)、山崎(元ロッテ)、テリー、スティーブという移籍組、巨人はスミス以外生え抜きという今回と対照的なチーム構成で、6戦まで全く同じ勝ち負けの流れ。
16勝の江川と15勝の西本で、5試合に先発し、2試合にリリーフ登板したという巨人投手陣の二人への依存度まで、今回の西武を連想してしまう。

25年前は西武に凱歌があがったが、今回はどちらに…
激闘開始まであと1時間、心ときめかし、その時を待とう。

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2008年11月07日

巨人vs西武 日本シリーズ Review 6 第5戦 細川、中島、そして投手がいなくなった

西武は、ワンサイドで勝たねばならない試合に敗れ、崖っぷちに立たされた。
本来なら、明らかに疲労が抜けていない上原を初回でノックアウトし、大量点で涌井を楽にするとともに、中4日で33歳の投手を起用した原監督の用兵にダメ出しをした上で、決定的な流れを呼び込まねばならない試合。

片岡にストレートでバットを折りながらライトへ運ばれ、栗山にフォーク、中島にカットボールをいずれも逆方向に打たれた無死満塁で、陥落寸前の上原が中村相手に頼るのは、弱点であるフォークボール以外なく、それをどれだけ見極めるかが勝負の打席だったが、4番打者はボール気味の球をふたつ振ってあえなく空振り三振。
後続も、石井の併殺崩れで1点取ったものの、後藤は初戦の第1打席で同じ上原相手に見送ったのと同じ球にまたしても手が出ず見送り三振を喫し、前日からのイケイケモードに水を差した。

それに輪をかけ、シリーズの緊張による疲労の蓄積からか2回に細川、4回に中島が負傷退場した後は、代わった銀仁朗に2度、平尾に1度中押しの重要な打席がまわり、ことごとく凡退するなど、攻撃陣が機能しない非常にもどかしい試合になり、勝っていながら西武は、ひたすら最少得点差を守らざるをえなくなった。

シリーズの柱と頼む投手が3回で引っ込む大きな計算違いも、その後出てくるピッチャー陣が追加点を許さず試合を後半勝負に持っていけるチームと、後ろの投手に不安があるため先発投手に1点差を守りきってくれと願うしかないチームの差は、少しずつその投手への負担となり疲労となって表れる。
6回同点のピンチで木村をインサイドの速球に三振に切って取ったところで、中4日の涌井は一杯だったようにも見えた。

7回の巨人のビッグイニングについては、ベースに打球が当る幸運を自らのランニングでチャンスに変えたラミレスのファイトがきっかけではあるが、徐々にカーブが減り緩急の効いた組み立てが出来なくなったため、球威が落ちつつあった速球に頼らざるを得なくなった西武バッテリーと、速球系を待ち続ける巨人下位打線が見事に噛み合ってしまった、ある意味必然の結果だと思う。
阿部欠場を埋めた鶴岡と、予測不能のアクシデントとはいえ細川の欠場が大きく響いてしまう西武の選手層の違いも如実に現れてしまった。

シリーズに向け完調に仕上げた豊田まで加え、更に強固さを増した巨人のブルペンに対し、この日も追加点を献上した西武リリーフ陣は、いかにも頼りなげで、第6戦に出場できる可能性があるとはいえ、攻守の要である細川と中島の状態も気にかかる。
セットアッパー不在という最大の課題を、5戦を終えても未だクリアできない上に、相手サイドの懸念であったコンディションの問題が、この終盤にきて西武に降りかかり、あと1つで日本一の巨人が更に大きく優位に立った。

この日初めて見せた油断による守備の乱れを正し、DHで見事に5番の穴を埋めた阿部が使えない中で、打線の組み方さえ間違えなければ土曜日に日本シリーズが終わる可能性は高いと思う。

西武は、帆足の好投が必須だが、第2戦と同じような危なっかしいピッチングしかできないようであれば、早めに中2日の岸に繋ぐ等の非常手段を使ってでも、巨人の先行を阻止しないと勝ち目はない。
第2戦までのバッティングに戻ってしまった中村の、今一度の奮起にも期待したい。

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2008年11月05日

巨人vs西武 日本シリーズ Review 5 第4戦 キングの覚醒

こんな勝ち方をしたらこの後西武の目が出てくるかな、と前の試合の観戦記の終わりにちょこちょこと書いた、自分が思う理想の展開を上回る勝ち方で西武が2勝2敗のタイに追いついた。

岸が毎回三振の10個を奪いシャットアウト、栗山がインコースを引っ張り先制タイムリー、中村がインコースをホームランで中押し、おかわりでど真ん中の失投を逃さず駄目押しホームラン。
押しに押している試合だから当然だが、他の選手にも躍動感がでてきた。
これが、西武の野球だろう。

ここまで3試合、西武打線がインコースをヒットにしたのは、第1戦の先頭バッター片岡が上原の速球をライト前に打っただけで、誰ひとり引っ張って快打を飛ばしていない中、栗山が一塁線を破ったのは、先制点と同等もしくはそれ以上の意味があった。
これ以後グライシンガーは、内角を攻める時は、より厳しいコースを狙うようになり、挙句4回には中島に死球をぶつけ、乱闘寸前になった。
冷静なようで激しやすい相手投手の性格を読んで、懐に来ると踏んだのか、中村は初球の難しい内角球を詰まりながら切れない打球を運んだ。
昨日までなら、待っていてもポップフライになる球だったが、昨日の1発で自分がホームラン王であることをを思い出したようだ。
但し、雑な攻めで、初登板で緊張の極みにあった山口と東野にダメージを与えられなかったのは、マイナス材料。
このツケは、次戦以降落ち着きを取り戻すであろう彼等に払うことになるかもしれない。

岸はカーブを有効に使ったナイスピッチングで、不安のある救援投手陣にバトンを託すことなく1人で投げきった。
しかし日本ハム戦で打ち込まれたからか、先発の順番が第4戦に回っており、9回で147球という球数を費やしたことからも、中3日で第7戦に先発するのは困難だろう。
西武の2勝はいずれも先発投手の完璧なピッチングを背景に成り立っており、日本一のためには、残り3戦で涌井ともう1人、誰かがある程度巨人打線を抑え込むことが不可欠だ。
最多勝投手でありながら、西武に相性が悪いグライシンガーを4戦に回した原監督の思惑と相まって、ローテーションの順番がもたらす機微が気にかかる。

巨人は、阿部が難しい球をヒットにしたことと豊田の復調以外はきれいさっぱりの完敗で、何もなし。
ピッチャーが良い時は打てない位に考えて、明日に臨めばよいのだろうが、ただひとつ、小笠原の状態はどうなのだろう。
イスンヨプが冬眠状態なので、3番打者への負担は大きいが、テレビ解説の工藤が言うとおりであれば、やはり巨人は片肺飛行を余儀なくされる。
誰が投げるかわからない両軍先発投手の出来とともに、ともに落とせない第5戦の最大の関心事項である。

posted by |21:58 | 日本シリーズ 2008 | コメント(4) | トラックバック(0)
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2008年11月05日

巨人vs西武 日本シリーズ Review 4 第3戦 香車と飛車角

初めにお詫び。
昨日、小笠原がよしんば強行出場しても、ベストのプレーは無理なので、巨人は飛車角の内、1枚を落としての戦いになり非常に不利、と書いた。
で、試合が始まり、第1打席で高めのカットボールを上から押さえ込めず内野フライを打ち上げたのを見て、やはり厳しいか、と思っていたら、左手の強いかぶせ無しでは絶対打てないインハイのストレートをライトスタンドにあの当り…
小笠原さん、すみませんでした。
あなたの凄さと強さを過小評価していました。
それにしても、何であの腫れが引くのだろう。
現代医学にも驚嘆。

次に感服したこと。
第2打席で内角のカットボールをひっかけダブルプレーをくらい、多分狙っていたとはいえ、あのインサイドスライダーをファウルにせずライナーで放り込む4番打者。
ラミレス、恐るべし。
技術の別格の高さと、完全な復調を見せつけたホームランだった。

そして、鈴木。
ホームランも2塁打も、お馴染みの守備でのヒット殺しもあったが、何よりショートゴロでの3塁への進塁。
かつて常葉菊川の監督が、打者がミートした瞬間のボールの角度に注視し的確なスタートを切れば、どこへ飛ぼうと内野ゴロでの3塁への走塁は必ずセーフになると言っていたが、それをプロのレベルで日本シリーズで敢行する積極性と瞬発力。
今季のブレークはフロックではないことを証明したMVP級の活躍で、シーズン同様止まりそうにない。
2勝1敗と頭一つ抜け出す過程で、1番・3番・4番がその役割を順次果たし、巨人がシリーズのアドバンテージを握った。

西武も、1番片岡が出て、2番栗山が繋ぎ、3番中島が返し、4番中村が大掃除、という待望の必勝パターンがついに出たが、いかんせん負け試合。
この試合に関しては、ワンサイドゲームがいくらか縺れた程度の効果しか生まなかった。
チームの好調期には、打者2巡目にはこのつるべ打ちが出て、拮抗した展開を大きく動かしてきたのだが、この試合では内海のスライダーに序盤は全く歯が立たず、やっと攻略したのは3巡目。
序盤にさっさと石井を攻略した巨人との対応力の差が出ている。

但し、今夜以降の試合に臨むに当っては、この連打を含め、いくつか明るい材料が出てきた。
全くお手上げだった西村を、コントロールミスとはいえ中村が打ち込んだことと、そのしわ寄せで越智がまたしても2回投げたことにより、今日は巨人のブルペンのやり繰りが難しい。
そんな中で出番があると思われる山口。
直近の中日戦で球の走りがもうひとつだったことと、西武打線の主軸の右打者が外角に得意のポイントがあることから、この左の切り札を打ち込めば、大きな懸念であった巨人中継ぎ陣の圧力を和らげることが出来るだろう。
逆に不安だらけの中継ぎ陣で、星野が巨人の左打者に通用することがわかったのも朗報で、終盤に計算がひとつ立った。

鶴岡は、打たれるまで同じ球を続けて要求する強気の捕手だが、それに輪をかけ、グライシンガーは打たれても同じ球を投げ続ける沸騰系の投手だ。
チームとしては狙い球をしぼり易いので、早い回に誰かひとりが捕まえて、それをきっかけに一気に攻略し、岸が7回までそのリードを守りきり、星野・グラマンで逃げ切る。
こんなゲームプランを実行でき、ついでに巨人中継ぎ投手に疲労とプレッシャーを与えることが出来れば、7戦のフルセットまでシリーズが続く可能性も浮上する。
そのためには、初回、岸が鈴木から始まる巨人の上位打線を無得点に封じたい。

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2008年11月04日

巨人vs西武 日本シリーズ Review 3 序盤を終えて

日本シリーズは2戦を終え、1勝1敗、得点ともに4、盗塁ともに0、ヒット数巨人10本に西武9本と、数字上もほぼ互角に滑り出しのようだ。

事前から、高橋の腰痛による(?)目を覆うほどの不調や阿部、ブラゼル、GG佐藤の故障により、前評判に高かった198本塁打対177本塁打の史上最高の空中戦になる可能性は低く、両軍ともに得点力については、クリーンアップへの依存度が高くなると考えていた。
で、蓋を開けてみると、イスンヨプと中村は音なし、ラミレスと後藤は1本だけ会心であとは内容悪く、小笠原が2戦目で覚醒しだした様子で、中島は一人好調を維持。
ラミレスが直近の打席で気分よく打った分で、バッティングでは五分五分かなぁ、と考えていたら小笠原が死球退場した。
もしも強行出場するとしても、最高のパフォーマンスを望める訳もなく、6番から2番までが細かく繋ぎ、3・4番が掃除し、5番が忘れた頃に爆発するという巨人打線の最近の形からすると、最大級の打撃を受けることになる。

どちらかといえば、懸念は西武サイドにあったと思う。
12球団ワーストを争う与四死球の数、ワーストの失策数、核となる中継ぎ投手の不在と、ディフェンスでの不安要素が今のところ、全て形になって現れている。
このままのロースコアの守りあいでは、ジリ貧の展開になる可能性が強く、優位にある機動力、下位打線の長打力等の攻撃力が目を覚まし、ワンサイドゲームを作るしか打開は難しいと考えていた。
しかし、3番打者の欠場またはパワーダウンにより、巨人の得点力は著しく低下する。
大量得点が出来ずとも、頭ひとつリードできる状況になったと言ってよいだろう。
石井が、ここまで巨人打線が見極めきれていない低めの変化球を丁寧に使い6回以上投げきり、内海の今季の悪癖である、コーナーを狙いすぎて連発する四球を足がかりに、地味に1点を積み重ねる作戦を取ることにより、西武の勝機は自然に広がる。

巨人にとって本当に厳しい状況で、この先勝機を見出すには、中継ぎ陣の奮闘が不可欠になる。
ダルビッシュを1度しか使えずに日本ハムは敗れたが、今シリーズに限れば同等の威力を持つ西村のシュートを、中継ぎ投手であるがゆえ、巨人はどこででも使える。
更に、好調期に戻った感のある越智、1年を通じてブルペンを支えた山口。
これら最強の若きリリーバーを駆使し、共通して内角に穴のある西武打線を封じ第2戦のような展開に持ち込み、1点をやらない野球に徹すれば…

シーズン後半から、主力選手のコンディションの上昇に伴って勝利を重ねた巨人が、死球という不可抗力のアクシデントを含むとはいえ、コンディションの悪化を最大の不安要素として日本シリーズを戦わなければいけないのは、なんとも皮肉である。

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2008年11月02日

巨人vs西武 日本シリーズ Review 2 第2戦 4つ目のデッドボールがもたらすもの

ラミレスのサヨナラホームランで、巨人が1勝1敗のタイに持ち込んだ。
昨日から、相手投手の投球に対して間がなく、体は突っ込みバットは出ない、という非常に悪い状態だったが、最後の打席では、中日・ヤクルト戦で何度も対戦した岡本相手だったからか、スライダーをしっかり自分のポイントまで引きつけ、ものの見事に打ち込んだ。

試合そのものは、事前の懸念とおり、西武投手陣の制球難が出て、4つの死球、4つの四球を巨人に与える乱調ぶりで、ワンサイドになってもおかしくないゲームだったが、3回の鈴木の盗塁が判定上アウトになったことと、4・5・6番のブレーキで追加点を奪えなかったため、西武で唯一振れている中島の一時は逆転となるツーランにより競った展開になったが、ブルペンの力量の違いがはっきり出た形だ。

西武は、機動力が全く使えていない、片岡と中島以外はドアスウィング気味にバットが出るためインコースに対応できない、初戦での中村のエラーに続きこの日も片岡のボーンヘッドがでる守備陣の不安に加え、四死球禍の懸念が顕在化する等、投の涌井と打の中島、これからDHが使えること以外何も良い材料がない状態で地元に戻る。

対する巨人は、先発がそこそこ投げ、若手中継ぎ陣が磐石であるのに加え、クリーンアップ以外でシーズン通りに2点しっかり取ったこと、ついには最大の不安材料だったラミレスも結果を残し、普通に考えれば非常に有利な立場で3戦に望める、はずだった。

小笠原のデッドボール退場が大きくのしかかる。
シーズン後半から左手に受けた死球は実に3度、しかも僅か8日前に中日チェンにぶつけられ退場したばかりで、1日の休みで、あの腫れが引くとはとても思えない。

両軍にとっても不本意だとは思うが、この死球がシリーズの行方を占うプレーになってしまうとしたら、非常に残念だ。

posted by |21:51 | 日本シリーズ 2008 | コメント(11) | トラックバック(0)
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2008年11月01日

巨人vs西武 日本シリーズ Review 1 第1戦 2発と2本 

2008年日本シリーズ第1戦は西武ライオンズが読売ジャイアンツを2-1で破り、1勝目を挙げた。

西武の全得点であるソロホームラン2本はいずれも外よりのストレート。
後藤の同点弾は、先取点をもらった上原が、そのリードを守るため、慎重に放った初球外角低めの速球をボールと取られ、カウントを取りに行った内角狙いが逆に入った痛恨のコントロールミス。
最初の打席で、これより更に低く遠い球を見送って三振していた後藤にとって意識にあるボールだったはずで、得意のコースを見逃す訳もなく見事に打ち返した。
決勝ホームランの中島は、交流戦でも同じコースを同じ場所に打ち込んでおり、2死で1発を狙ってくる状況で投げるボールではなかったが、それ以前にこの回から上原の球威が落ちており、打たれるべくして打たれたのかもしれない。
最後の7回も、もはや速球に信を置けずフォークを多投したが、切れが甘く、石井と細川にあっさり合わされ追加点のピンチを作った。
立ち上がりから内角を見せ、外の球を有効に使った配球や、3回目のタイミングを遅らせたけん制球で片岡を刺すなど、上原も全体的には良かったが、次回の登板にスタミナ面で大きな不安を背負った。

涌井は全ての持ち球を有効に使ったナイスピッチング。
序盤は危ない球もあったが、小笠原やイスンヨプがそれを打ち損じアウトを重ねる内に低目に球が集まりだしリズムに乗った。
最大のヤマ場だった6回1死1・2塁もラミレスの打ち気と狙いを逆に利用し、併殺にとりピンチを脱出する冷静さも見せた。
日本ハム戦からの好調を維持しているようだ。

ただ、西武野手の守備は、相当に不安だ。
先取点を与えた場面も、中村の緩慢なフットワークやグラブ捌きと、ボカチカのスタート遅れの捕球ミス。
中島も、捕球後の足捌きが悪くスローイングに影響が出ている。
片岡の9回のファインプレーが試合を救い、守備のマイナスイメージを払拭したが、今後も懸念は残る。
涌井でもう1勝という計算ができた分西武にとって大きな勝利だが、片岡のけん制死以降結局使えなかった機動力や、打線の内角球への対応、グラマンの不安等課題も残った。
それらをクリアして明日勝つことにより、初めて大きく優位に立つことになる。

巨人打線は相手投手涌井に幻惑され全く振るわなかったが、ダルビッシュにバッティングフォーム自体を狂わされた西武のような翌日への影響はないだろう。
しかし、気持ちが入りすぎて強引にボールを引っ掛け続けたラミレスを筆頭に、低めのボール球への見極めを徹底するとともに、今一度普段通りのバッティングを思い出す必要がある。

どちらも全貌を見せずに課題を見せた試合。
それをクリアしていかにして勝ちをつかむのか、明日は今日以上にシリーズの流れを左右する大事に試合になる。

posted by |21:03 | 日本シリーズ 2008 | コメント(2) | トラックバック(0)
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2008年11月01日

ドラフトに思う

今日は、日本シリーズ初戦前で脳みそが野球モードなのでもう1本。
1本目はこちら。

昨日ドラフト会議の結果を眺めていて、ある記事に目が行った。
内容は、
「今のドラフトは選手の希望を反映することができない矛盾を孕んだ制度であり改善しなくてはならない」
「Aという選手はMLBに行きたいと表明しており、実際にドラフトで指名が回避されたため、今後MLBのどの球団とも自由に交渉できるが、Bという選手は、熱望する球団に入りたくて、1度他球団の指名を断ってまで今ドラフトに望んだのにまたも他球団に指名されてしまい、希望がかなわなかった」
「今後、国内では希望がかなわないから、はなからMLBを志望しようという選手が出てきてプロ野球界は危機を迎える」
というもの。

もともとドラフト会議は、従来の自由競争だと契約金が高騰することと、財力や人気のあるチームに選手の希望が偏ることによる戦力の偏在化を防ぐために始まった、いわば選ぶ側の都合のみにより立脚する選手無視の制度であり、そこに選手の希望など欠片も取り入れられてはいない。
それでも何とか希望球団に入りたいという選手の夢と、有力選手に対するくじ引きの当たり確率をすこしでも高めたい、あわよくば単独で指名したいという一部球団の思惑が絡まって始まったのが、いわゆる選手からの逆指名であり、進学や社会人野球への志望を隠れ蓑にした強行指名だった。
あろうことか、逆指名については何と逆指名制度として公式に取り入れられてしまい、自由獲得枠、希望入団枠と名前を変えながら2006年までドラフト制度を形骸化させ続けた。
しかも、高校生は適用除外という摩訶不思議な不平等ルールの存在や、人数制限があり一部の有力選手のみに与えられた特権という側面もあり、職業選択の自由などというお題目とは遠く離れた制度でもあった。

しかし、必然的に発生すると容易に想像できる、選手と球団の裏の繋がりが表面化したことにより、2007年より今一度原初に立ち返った矢先に出てきたのが、こうした論調である。

意味がわからない。
シンプルに考えれば、A選手には指名がなかった、B選手には指名があっただけのことで、B選手とお気に入り球団の相愛度が高いからと他の球団が回避したら、事実上自由競争になり、こんな話はでてこない。
MLBへの有望ドラフト候補選手の挑戦は、これだけ選手が移籍している中で、当然起こりうるケースとして早目の対応と制度作りをしてこなかった日本プロ野球の怠慢であり、ドラフト制度と短絡に結びつけるものではない。

繰り返しになるが、ドラフト制度には最初から選手の希望なんて要素は含まれていないし、ましてや高校生はダメ、一部有力選手以外はダメなんていう特例措置など入り込む余地は本来ない。
どうしても、選手の希望を反映できる制度を、というなら、FA制度や国際間での移籍ルールの再検討などをすべて盛り込んだドラフト廃止、自由競争しかない。
球界全体の反映を阻害するような、一部だけ制度を捻じ曲げるようなルール作りは、二度と願い下げである。

posted by |13:02 | プロ野球 | コメント(6) | トラックバック(0)
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2008年11月01日

巨人vs西武 日本シリーズ Preview 4 まとめのはなし

前回まで、延々だらだらと今年の日本シリーズの自分なりのポイントを書き並べた。
①お互い強力な打線を持っているので、一気にたたみかけられて、試合を決定してしまうビッグイニングを作らせないために、流れを分断すべく登板する中継ぎ投手が重要。
ブルペン比較では巨人に分があるが、特に僅少差ではクローザーの不安はクルーンの方が大きい。
②大量点の引き金となるもうひとつの要素が、連打の間に挟まる四死球とエラー。これは投手の制球力、野手の守備力というスキルに関わる部分で、顕在化しやすい西武の最大不安要素。
③西武は、優位に立つ上位打線の走力を活かして、捕手鶴岡にプレッシャーをかけたい。
走者に対し過分に気を配り配球が単調になれば、西武打線の最大長所である思い切りの良いスウィングが威力を発揮する。

個人的には、西武の足も止まらないけど、失策や与四球もなくならないと思う。
ある程度出るであろうソロの打ち合いの上で、西武が攻めではチャンスをつくり、守りでもピンチを創出し、両軍に得点が加算される展開。
そうなると巨人の中継ぎ陣の力量がものを言い、巨人優位は動かないと考える。

西武の勝機は、対日本ハム戦のように序盤からの破壊的猛打でワンサイドの展開に持ち込むか、星野を中心とした老獪なブルペンが最終盤まで僅差で試合と作りクルーン勝負に持ち込むこと。
そしてもう1点、エース涌井の大車輪の活躍が不可欠になる。
日本シリーズ出場を決めた試合でのピッチングは今年一番といってもよい出来だったが、あの調子を維持し、特に初戦は7・8回くらいまで抑え切り完璧に勝ちきるくらいでないと、日本一への道は近づかない。
あのダルビッシュですら、初出場の2006年は力を出し切れていない。ベテラン川上と投げ合った初戦、2回に四死球連発の上谷繁に先制打を許し、4回にはフィールダースチョイスまがいのプレーでピンチを作りまたしても谷繁に決勝タイムリー献上の負け投手。
昨今の彼からは考えられないが、シリーズ開幕の熱気覚めやらぬ序盤に犯した1人相撲だった。

強心臓で鳴る涌井ではあるが、敵地東京ドーム、相手投手が、これまた百戦錬磨で短期戦に強みを発揮する上原。
やはり、早めの援護で普段通りのピッチングができる状況に持ち込みたい。
涌井が調子を上げつつ初戦を勝ちきれば、第6戦で2勝目をあげ、西武4勝2敗で日本一、の可能性も浮上するので、上原対西武上位打線の2巡目までの対戦を、特に注目している。

巨人が勝つのかなぁ、でも西武も…、などと思いを馳せる時間は本当に楽しい。
毎度同じことの繰り返しだが、熱く激しい試合展開ともつれたシリーズの両方を期待しつつ本日18時15分のプレイボールを待とう。
夢の9日間(7戦まで行けば、だが)の、始まりである。

posted by |10:09 | 日本シリーズ 2008 | コメント(5) | トラックバック(0)
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