須賀啓太のTriathlonレポート

2015世界トライアスロンシリーズ 第7戦ハンブルク大会 男子レビュー

このエントリーをはてなブックマークに追加

2015世界トライアスロンシリーズ(以下:WTS)の第7戦ハンブルク大会男子のレースが、現地7月18日ドイツのハンブルク、内アルスター湖周辺を舞台に、スイム750m、バイク20km、ラン、5kmのスプリントディスタンスで行われた。日本人選手は田山寛豪(NTT東日本・NTT西日本/流通経済大学職員)、椿浩平(三井住友海上)、古谷純平(三井住友海上)の3名が出場した。 (気温:27.0度、水温21.6度)

レース前プレビューはこちら

WTS優勝経験こそ無かったものの、過去5回の表彰台のうちスプリントディスタンスが4回と、これまでスプリントディスタンスでは安定した好成績を収めていたフランスのバンサン・ルイがついに表彰台の真ん中に立った。

ジョナサン・ブラウンリー(イギリス)が第6戦ロンドン大会後に疲労骨折を負い今シーズン絶望とも言われ、また、ジョナサンの兄のアリスター・ブラウンリー(イギリス)が理由は不明ながら今大会を直前で出場を回避したため、一気に初優勝の期待が高まったバンサン・ルイ。しかしその二人を除いても優勝するために越えなければならない壁はある。

だが、その壁のうちスペインのマリオ・モーラ、南アフリカのリチャード・マレーは例によってスイムで遅れる。しかもバイクでルイがトップグループに入ったのに対し、モーラ、マレーは当初第3グループに属する。のちに第2グループに追いつくが、これがルイ優勝の一つの要因となった事は間違いない。もし、モーラ、マレーがトップグループはもちろんの事、第2グループに最初から属していれば、ハンブルクのバイクコースの特性上おそらくトップグループに追いつくことができたのではないかと思われる。そしてモーラは今大会、ランを19位からのスタートながら、ルイよりも20秒以上早いランタイムを叩きだし3位に食い込んでくるほどの好調ぶりだった事から、モーラがバイクでトップグループに追いついていればおそらく勝ったのはモーラだっただろう。

しかし壁はモーラ、マレーだけでは無い。ルイと同じバイクトップグループにはこの男がいた。ロンドン五輪銀メダリスト、WTS男子歴代2位の通算11勝を誇るスペインのハビエル・ゴメス・ノヤ。だがこの男、これだけの実績を持ちながらWTSのスプリントディスタンスでは未だ優勝した事が無いのである。最高位は一応2位ながらもスタンダードディスタンスに比べてスプリントディスタンスでは表彰台を外す事も多い。

バイクからランへ移り、他の選手が絡むことなく優勝争いはすぐさまこの二人に絞られる。優勝経験豊富ながらスタンダードディスタンスに限る男と、スプリントディスタンスに強いが優勝経験の無い男のラン5㌔のマッチレース。互角とも言えるそれぞれのジンクス。最終的な勝負の決した理由はなんだったのだろうか。私はもうそこは気持ちの差だったように思える。ブラウンリー兄弟は居ない。モーラ、マレーはスイムで出遅れ後方。優勝への壁はスプリントディスタンスで未勝利のゴメス1枚しかない。この千載一遇のチャンスで優勝できなければ二度とチャンスは来ないかもしれないという気迫が、ラスト100mで前に出たルイから伝わってきた。逆にゴメスはそのルイの気迫に押されたからなのか、今シーズンの第5戦横浜大会でアリスター・ブラウンリーを意地で差し切り、振り切って見せた時ほどの気迫を見せなかった。

このルイの優勝で、ルイ個人だけではなくフランスに、男女合わせての初優勝がもたらされた。WTS開始以降、男子ではローラン・ビダル、ダビッド・ハス、女子ではエミ・シャレイロン、ジェシカ・アリソンなど、多くの表彰台登壇選手はいたものの真ん中に立った事は無かった。だがルイがフランスに優勝をもたらした強い選手である事に異存はないが、あくまで今回は優勝までの壁がゴメスの1枚だった事が勝因としての多くを占めている。そして得意のスプリントディスタンス。今後試されるのは、WTSウィナーの仲間入りをした上で、ブラウンリー兄弟が居て、モーラ、マレーがスイムを上位であがり、ゴメスが不得意としないスタンダードディスタンスと、壁のフルコースまでとは言わないまでも、壁が1枚、2枚と多い状況でどんなレースができるかに期待したい。

2ページ中1ページ目を表示中

記事カテゴリ:
エリートクラス
世界トライアスロンシリーズ
レースレビュー
タグ:

【お知らせ】
Yahoo! JAPAN IDで記事にコメントできるようになりました

このブログの最近の記事記事一覧

この記事へのコメントコメント一覧

この記事にはまだコメントがありません

こんな記事も読みたい

2015世界トライアスロンシリーズ 第7戦ハンブルク大会 女子レビュー【須賀啓太のTriathlonレポート】

2015トライアスロンミックスリレー世界選手権結果速報【須賀啓太のTriathlonレポート】

2015世界トライアスロンシリーズ 第7戦ハンブルク大会 男子結果速報【須賀啓太のTriathlonレポート】

ブロガープロフィール

profile-iconkeith713

須賀 啓太(すが けいた)

フリーのテレビディレクター兼スポーツジャーナリスト。世界トライアスロンシリーズが開始された2009年から「世界トライアスロンシリーズ」や「NTTジャパンカップ」などトライアスロンのテレビ中継に関わり、海外現地取材も経験。また(社)日本トライアスロン連合ともオフィシャル映像撮影等で直に関わりを持つほか、公認審判員の資格も持つ。自身もエイジグループ(一般部門)での競技経験もあるが、テレビディレクターの目線からトライアスロンをやる楽しさではなく観る楽しさ。競技人口ではなく観戦人口を増やすために活動中。トライアスロン以外ではMLB、NFL、海外サッカー、インディカーのテレビ番組制作にも携わる。ご連絡は下記アドレスまで。

trinavi.sportsnavi@gmail.com
  • 昨日のページビュー:59
  • 累計のページビュー:96936

(09月27日現在)

ブログトップへ

このブログの記事ランキング

  1. リオ五輪トライアスロン女子日本代表選考の論点
  2. トライアスロンの距離フォーマットと選手の多様性
  3. 第21回日本トライアスロン選手権東京港大会2015 プレビュー
  4. 2016NTT ASTCトライアスロンアジアカップ大阪大会
  5. リオ五輪 トライアスロン競技 女子結果速報
  6. リオ五輪トライアスロン海外有力・注目選手紹介(女子)
  7. 2015世界トライアスロンシリーズ 開幕戦アブダビ大会 女子レビュー
  8. 2015世界トライアスロンシリーズ 最終戦シカゴ大会 女子結果速報
  9. 2015世界トライアスロンシリーズ 第6戦ロンドン大会 女子結果速報
  10. 【速報】リオ五輪トライアスロン代表選手 内定発表記者会見

月別アーカイブ

2017
09
08
07
06
04
2016
09
08
07
06
05
04
03
2015
12
10
09
08
07
06
05
04
03
02

このブログを検索

スポーツナビ+

アクセスランキング2017年09月27日更新

アクセスランキング一覧を見る

お知らせ

rss