須賀啓太のTriathlonレポート

2015世界トライアスロンシリーズ 第3戦ゴールドコースト大会 女子レビュー

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4月11日、オーストラリアのゴールドコーストにおいて、2015世界トライアスロンシリーズ(以下:WTS)の第3戦が行われた。今回はスイム1.5km、バイク40km、ラン10km、合計51.5kmのスタンダードディスタンス。女子はアメリカのグウェン・ジョーゲンセンが優勝でシーズン3勝目。また昨シーズンのWTS横浜大会から続く、WTS連勝記録を8に伸ばした。また2位サラ・トゥルー、3位ケイティ・ザフィアーエスとアメリカ勢が表彰台を独占した。一国の表彰台独占は2011年シーズンのWTSハンブルク大会のオーストラリア勢以来2回目。日本人選手では佐藤優香(トーシンパートナーズ、NTT東日本・NTT西日本、チームケンズ)が開幕戦から続く3戦連続入賞の期待がかかったが、スイムを上位であがるもののバイク1周目で他の選手の落車に巻き込まれ、3戦連続入賞とはならず。井出樹里(神奈川県連合)が日本人最高位の11位に入った。 (気象コンディション:気温27.3度、水温24.6度)

圧倒的なランの力を持つグウェン・ジョーゲンセン(アメリカ)。苦手なスイムで多少遅れるも、その異次元とも言えるランの力で追い上げるレーススタイルでこれまで歴代女子最多の勝利を奪ってきた。そんな彼女が今回スイムでトップから4秒差4位の好位置であがり、バイクで今シーズン初のトップグループに位置付ける。しかもゴールドコーストのバイクコースはそれほどテクニカルではない楽なコース。こうなるともうこの時点で十中八九ジョーゲンセンが優勝と言ってもいいぐらいである。しかし、もちろん他の選手はただ黙っているわけにはいかないし、トライアスロンはさらにバイク、ランへと続き、タイムトライアルではなく他の選手と競うわけだから何が起こるかわからない。

スイムが終わって間もないバイク1周目にそれは起きた。バイクコースを形成するゴールドコーストハイウェイ北側の折り返しで、トップグループ15名の中にいたスペインのカロリナ・ルーチェがハンドルをとられバランスを崩し落車する。ルーチェがトップグループの中ほどに位置していた為、トップグループ後方の選手はスピードダウンせざるをえなくなり、ちょうどトップグループが分断される形となった。

ルーチェの真後ろにいた佐藤優香は落車に巻き込まれ自身も落車。この後レースを再開するものの大きく順位を落としてしまう。同じくトップグループ後方に位置していた高橋侑子も落車は避けるものの、ブレーキングするしかなかった。そしてジョーゲンセンもこのアクシデント発生時にはグループの後方に位置していた。高橋、ジョーゲンセンら、ルーチェの後方のいた選手たち8名(落車した佐藤を除く)は、ルーチェの前方のいた選手達5名に追いつくためにペースを上げる。幸いな事にアクシデントが起こったヘアピンの後には長い直線を迎える、その長い直線のおかげでジョーゲンセンは他2名の選手と共にペースアップを図り、コーナーの続くトランジションエリア付近に入った時、再びトップグループ前方にいた選手達と合流していた。

しかし高橋ら残る5名はわずか4秒のギャップがついたままトランジションエリアを迎える。私は今回このレースのポイントとなったのは前述のルーチェのアクシデントではなく、アクシデントが起こってから、コーナーの続くトランジションエリア付近に入るまでのその直線にあったと考える。直線で前方に追いつくためにペースアップをはかるには、前方の選手よりもただ目一杯に漕げばいいのだが、コーナーが続く場所ではそうはいかない。高橋ら残る5名の選手はそのエリアに入るまでの直線で前方と4秒差まで縮めたものの、そこでコーナーの続くエリアを迎えてしまった。おそらく再び直線を迎えたところで高橋ら5名はペースを上げようとしたのだろうが、そうはさせまいとする選手がいた。ニュージーランドのレベッカ・クラークとイギリスのルーシー・ホールだ。彼女ら二人はスイムおいてWTSでもいつも上位であがる実力を持つ選手で、よってバイクにおいてもほぼ毎回トップグループにつける。しかし彼女らはランの実力はあまりなく、いつもランで大きく順位を下げてしまう。(今回も結果ホールが25位、クラークが38位)いわばジョーゲンセンとは真逆にあたるタイプの選手だ。おそらく彼女達の考えはドラフティングのローテーションを十分回せる8名のトップグループにこれ以上の人数は必要なく、高橋ら残る5名が再び合流してくれば不得意なランにおいて争う選手が増えるだけと判断したのではないだろうか。実際コーナーの続くトランジションエリア付近を抜けてからの2周目序盤、その2名が積極的トップグループを先導し、特にホールは一時集団から飛び出すほどの動きを見せた。それにより結局高橋ら残る5名はトップグループに合流できず、逆に再びトランジションエリアに戻ってきた時には後方のグループに吸収されてしまった。

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須賀 啓太(すが けいた)

フリーのテレビディレクター兼スポーツジャーナリスト。世界トライアスロンシリーズが開始された2009年から「世界トライアスロンシリーズ」や「NTTジャパンカップ」などトライアスロンのテレビ中継に関わり、海外現地取材も経験。また(社)日本トライアスロン連合ともオフィシャル映像撮影等で直に関わりを持つほか、公認審判員の資格も持つ。自身もエイジグループ(一般部門)での競技経験もあるが、テレビディレクターの目線からトライアスロンをやる楽しさではなく観る楽しさ。競技人口ではなく観戦人口を増やすために活動中。トライアスロン以外ではMLB、NFL、海外サッカー、インディカーのテレビ番組制作にも携わる。ご連絡は下記アドレスまで。

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