須賀啓太のTriathlonレポート

第23回日本トライアスロン選手権(2017/東京港大会)レースレビュー

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第23回日本トライアスロン選手権(2017/東京港大会) ・距離:スタンダードディスタンス(スイム1.5km、バイク40km、ラン10km) ・水温:20.5度(女子)、21.0度(男子) ・気温:19.5度 ・天候:雨

■女子結果 優勝:佐藤優香(トーシンパートナーズ、NTT東日本・NTT西日本、チームケンズ) 2位:高橋侑子(富士通) 3位:瀬賀楓佳(トーシンパートナーズ・チームケンズ)

■男子結果 優勝:田山寛豪(NTT東日本・NTT西日本/流通経済大学職員) 2位:細田雄一(博慈会) 3位:小田倉真(三井住友海上)

■女子レビュー 佐藤優香が3年ぶり2回目の日本選手権優勝。これは少し驚きだった。佐藤は今シーズンの世界トライアスロンシリーズ(WTS)では、日本人の中でも目立った成績を残せてなく、もともと闘志を前面に出す選手ではないが前日の記者会見でもさほど調子が良いようには思えなかったからだ。佐藤は優勝争いではなく、今回は表彰台争いのレースになると見ていた。

だがレース全体を通して佐藤のレースだったかというとそうは言えない。キーポイントはそれこそこのレースのキーマンと見ていた上田藍(ペリエ・グリーンタワー・ブリヂストン・稲毛インター)、井出樹里(スポーツクラブNAS)の脱落。そして天候にあったと思う。

上田は苦手とするスイムをトップから43秒差の11位であがる。これは上田としては上出来のタイム差だ。しかし残念ながら次のバイクでトップグループには入り損ねる。本来の上田ならば単独でもトップグループに追いつく事は可能だが、レース後に彼女は、スイムをかなり追い込んでしまいバイクへと移るトランジションですでに息があがってしまっていた語った。スイムで好位置で上がる事が逆に裏目に出てしまったようだ。さらにバイク1周目では雨で濡れた路面を確認しながらの走行だったためにリスキーにペースを上げる事ができなかった。また上田のすぐ後ろには上田と同じレベルでバイクを回せる井出がいたのだが、井出は低体温症にかかりズルズルと集団から後退。ここでレースの大勢が決まったように思う。

上田の先を行くトップグループには優勝した佐藤、佐藤と同じチームに所属する後輩二人、瀬賀と久保埜南(トーシンパートナーズ・チームケンズ)、そして佐藤と同じくWTSを主戦とする高橋の4名。濡れた路面では4名という人数は申し分ない、そして集団の意思も「後続から逃げる」の1点以外にない。なぜなら後続の上田や井出、そして松田(ペリエ・グリーンタワー・稲毛インター)などのランの早い選手から逃げきれれば、あとは佐藤は高橋と、瀬賀は久保埜と、それぞれランの実力が拮抗している相手と優勝争い、表彰台争いができる。だから集団内での駆け引きは少なく、後続に比べ疲弊する要素が少ない状況でトップグループの4名はバイクを回すことができのではないだろうか。

最終的に上田はトップから2分の差をつけられバイクを終える。ここまで差が広がってしまうと、いくら得意のランでも特に佐藤、高橋を捕えるのは厳しい。しかも上記のとおり先の4名は自分よりも疲弊する要素が少ないレース展開。そして7月に鎖骨を骨折からまだ3カ月あまり、レースには出れる状態だとはいえまだトップコンディションではない事が今回のランタイムのみを見てもわかる。(上田のランタイムは10km/37分19秒/全体7位)

レース後、優勝した佐藤は気持ちの差で優勝できた、敗れた高橋は優勝するために自分に足りないものがあったと語った。それにさらに付け加えるならば、先述のバイクでの精神的疲弊度の差ではないかと思う。佐藤はトップグループ4名の中でも、一緒に練習するチームの後輩二人と、幼少からのライバル一人という良く知る3人との集団走行、対して高橋は自分だけ所属が違い、久保埜、瀬賀との集団走行の経験は無いに等しい。つまり佐藤はバイクにおいて一番リラックスできる状況だったのに対し、高橋は4名の中で一番疲弊度が大きい状況だったと言える。レース展開における優勝の勝敗要因をあげるとすればこの点ではないだろうかと思う。

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須賀 啓太(すが けいた)

フリーのテレビディレクター兼スポーツジャーナリスト。世界トライアスロンシリーズが開始された2009年から「世界トライアスロンシリーズ」や「NTTジャパンカップ」などトライアスロンのテレビ中継に関わり、海外現地取材も経験。また(社)日本トライアスロン連合ともオフィシャル映像撮影等で直に関わりを持つほか、公認審判員の資格も持つ。自身もエイジグループ(一般部門)での競技経験もあるが、テレビディレクターの目線からトライアスロンをやる楽しさではなく観る楽しさ。競技人口ではなく観戦人口を増やすために活動中。トライアスロン以外ではMLB、NFL、海外サッカー、インディカーのテレビ番組制作にも携わる。ご連絡は下記アドレスまで。

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