須賀啓太のTriathlonレポート

2017世界トライアスロンシリーズ 第5戦ハンブルク大会 女子レビュー

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ハンブルクのバイクコースはテクニカルなんだと改めて気づかされた。 特に今年からハンブルク駅へは向かわなくなり、いままで内アルスター湖の外周を回るように設定されていたコースは内アルスター湖を半周で折り返す設定となり、それにより直線走路は短くなり鋭角なコーナーやヘアピンが新たに設けられた。 また元よりハンブルクのバイクコースは幅が狭い。特に内アルスター湖の南西、トランジションエリアに向かうポスト通りはバイク2台並走、ツーワイドになるのがやっとだ。スリーワイドは厳しい。しかも直角コーナーで進入する。 さらにヨーロッパ特有の石畳の路面も点在し、雨の日はもちろんそうでなくても滑りやすい。 そしてトランジションのあるハンブルク市庁舎前の広場からメンケベルク通りへと抜ける間にはスロープがある。本来ここは4段ほどの階段になっておりトライアスロンを行うため特設のスロープが設置されている。ここをかなりのスピードで進入すると車体は跳ねる事がある。いわばBMXのジャンプ台のような感じだ。今回バイク3周目に起きた落車トラブルもそれに起因していると思われる。 そんなテクニカルなコースだから選手はセーフティーにレースを進める。特に大集団となればそれは顕著だ。大人数になればなるほど接触や落車のリスクが高くなる。だから大集団になるとペースは上がらない。上げようにも上げられない。

優勝したダフィはバイクの入りを勝負所だと決めていたかのように思える。一旦大集団に取り込まれてしまえば、ペースを上げるのは難しいし、ブレイクをマークされる恐れがある。そのまま大集団でバイクを終えても自分の走力ではランに強い選手の前では太刀打ちできない。自分の得意とするバイクでランで逃げ切れるだけのギャップを築いておく必要があると。 スイムで若干遅れたダフィだったが、トランジションで猛アタックをかけ、バイク1周目の中盤にはトップでレースをリードし始める。そしてそれに反応したカーステン・キャスパー(アメリカ)、ジェシカ・リアマンス(イギリス)を加えて3人のトップグループが形成、その後ろは30名近くの大集団となる。 ここで今回の優勝がほぼ決したと言っていいであろう。ダフィの目論見どおり後続は大集団となり、対して自身は3人というこのコースで逃げるにはベストと言える人数。しかも同集団内の二人はそれほどランが走れる選手ではないから、この集団でのラン勝負となったとしても勝つ可能性は高い。 後続とのギャップは周を重ねるごとに広がり、バイク終了時には1分近いギャップを築く。バイク6周回の4周目にはキャスパーとリアマンスがダフィについていけなくなり単独となるが、はじめからダフィは二人をアテにはしていなかったように思う。なぜならスタンダードディスタンスでさえ単独でバイクを逃げようとする自信とその実力を持つダフィ。半分の距離であるこのスプリントディスタンスならという事で、当初から単独で逃げるつもりだったように思う。 予想通りランで追い上げてきたのはランを得意とするオーストラリアのアシュリー・ジェントル。しかしバイクで開いた差を取り戻すにはその差は大きかった。

ハンブルクのバイクコースはタイトで狭いコーナー、ヘアピンが多く、大集団になりやすい。そして一度集団になればペースを上げる、またはブレイクするのは難しくそのまままったりとした状態でバイクを終えあとはラン勝負… 実際ダフィのうしろはその通りの展開だった。しかしそんなコース特性を逆手にとり、またそれをやれるバイクスキルの持ったダフィだからこそできた勝利だったと思う。



ITU World Triathlon Series(英語) International Triathlon Union(英語)

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須賀 啓太(すが けいた)

フリーのテレビディレクター兼スポーツジャーナリスト。世界トライアスロンシリーズが開始された2009年から「世界トライアスロンシリーズ」や「NTTジャパンカップ」などトライアスロンのテレビ中継に関わり、海外現地取材も経験。また(社)日本トライアスロン連合ともオフィシャル映像撮影等で直に関わりを持つほか、公認審判員の資格も持つ。自身もエイジグループ(一般部門)での競技経験もあるが、テレビディレクターの目線からトライアスロンをやる楽しさではなく観る楽しさ。競技人口ではなく観戦人口を増やすために活動中。トライアスロン以外ではMLB、NFL、海外サッカー、インディカーのテレビ番組制作にも携わる。ご連絡は下記アドレスまで。

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