2008年12月29日

【特集】頂点とその先へ 男子バスケ部 田上和佳選手

 今季、4年ぶり7回目の学生王者となった男子バスケ部。シーズンも残すところオールジャパンのみ。
 選手たちに充実の今季を振り返ってもらう。

 2回目は今季頭角を表し、チーム躍進の立役者となった田上和佳選手(環3)。常に向上心を持ち、自らに満足しない姿勢は誰もが見習うゆえんであろう。

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 「人知れず努力する者に栄光あれ」
インカレで掲げられた田上選手への応援ボードだ。チーム随一の努力家として知られ、リーダーシップを発揮する。そんな彼は仲間からの信頼も厚い。
 今回のインタビューでは、常にチームを真剣に見つめてきた田上選手の視点を丁寧に話してくれた。

春のイメージ
―今シーズン、すごく順調に終わりましたが、1年を振り返ってチームのアップダウンはどういう感じでしたか?
「そうですねー、春は本当に2部落ちしてからの、新チームスタートということで。本当に流れが悪く、みんな頑張ってるんですけど、頑張っても頑張ってもかみ合わないみたいな所があって。けどそこで、佐々木先生からアメリカのカレッジのDVDを渡されて。そこに走るバスケ、の典型的な感じがあったんですけど。そんでその後ニノと僕で『あの速攻良かったよねー』とか少し話をして。で、そういうのを慶應の速攻早攻めと合わせてそういうイメージでやっていこうと。」
―それが4月くらいですか?
「はい、京王電鉄杯くらいです。そこから走るスタイルが結構でだして、それで僕の個人的な調子も電鉄杯の辺りから、走るっていうのと合わせて上がっていって。それで早慶戦で春のピークというか、上がりましたよね。でも、1ヶ月のオフに入ってまたシーズンインしたら春の良いイメージを持っているんだけど、チーム決めごとである速攻とか早攻めっていうのを少し疎かにしてしまって。そこから落ちてしまいました(苦笑)。どのあたりかなー…その辺が多分リーグ戦とかぶってたんじゃないかな。」

チームを救った声掛けkeio-sports-63441.jpg
―(リーグ戦初戦)国士舘とのゲームに入る前のチームの入りっていうのはどういうかんじでしたか。
「いやーたぶん油断っていうのはあったし。どこかでみんなかみ合わないな、っていうのを抱えながらもそれを受け入れようとせず。春の良いチームの雰囲気のまま、ちょっとどこか違うとみんな感じ取りつつ入ってしまったので。でもまぁ、国士館のとか競り合って勝てたっていうのは春から積み上げてきたものがあったから、というのは言えるんですけど。」
―HCが、『リーグ戦、明治に2回負けたあとにタノが声をかけてくれたことでチームが救われた』、と言っていました。そのことについて聞かせてください。
「そうですね。明治に負けて、やっぱりチームの状況的にもあまり良くなくて。というのは学年ごとの問題であったり、学年間の問題であったりというのが、結構そういう流れの悪い時には出てきてしまうんです。やっぱりそこでも出てきてしまった。でも、それとプレーとは別で。プレーではプレーって割り切らなくちゃいけない、と思って。チームが下向きかけていて、悪い状態っていうのはあったんですけど、試合ではやることをやろう、というか自分たちがやってきたことを信じてやろう、という意味もこめてみんなに声をかけて。一緒に飯行こう!というかんじだったんですけど(笑)」
―そうだったんですか!(笑)
「でまぁ、たしか筑波戦の前に達(岩下)が膝を怪我して。それで筑波戦の前日に、明日は達がいないつもりで、自分たちのやってきたことをしっかりやっていこう、という感じの意思統一というか、それを軽くやろうかなーというくらいのでみんなを食事にさそって」
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―そのあとは1部との入替戦、インカレ優勝とポンポンといった感じがしましたが。
「さっきも言ったんですけど、少しチームの波が悪くなった時とリーグ戦って重なったと思うんですよ。で、それは何でかっていうと、速攻早攻めっていうチームのスタイルを忘れつつ、春の良いイメージを捨てきれなかったというか。だから、リーグ戦とインカレの1ヶ月の間に絶対基本を徹底しないといけない、と思って。そこで、練習中から速攻をチームに浸透させて、基本をしっかりしさせた。更に基本がない状態でもしっかり踏ん張ったっていう経験が上乗せされて、すごい良い状態ができちゃった(笑)。それでインカレに臨んだら走るバスケみたいなのがすごい1試合1試合形になってきて、本当に試合を重ねるごとに成長できたみたいな感じがするんですけど。」

勝敗を決めるプレーヤーに~オフの徹底改革~
―今年、春からすごく田上選手が活躍していて。オフの間にすごく考えた、という話を聞きました。
「そうだなー、加藤キャプテンの代(去年)で秋のリーグ戦で加藤キャプテンが怪我をしてからチームが崩れちゃって、やっぱり勝てなかったし。けど、そのリーグ戦の途中から結構僕がスタメンみたいな感じになって、試合に出させてもらっていたんですけど、やっぱり試合に出る心構えみたいなものができていなくて。自分が、自分のプレーでチームを勝たせるっていう、そういう強い気持ちを自分の中で固めてプレーしないと絶対に勝てないんですよ、試合には。やっぱりその時の僕はチームの勝ちとか勝敗っていうのはどこか別のところ、先輩だったり…が決めるものであって、自分のプレーにかかる、勝敗がかかるっていうのをどこかで受け入れたくなかったっていうか、責任転嫁してしまっていたんですよ。そういう状況…チームが2部に落ちるかもしれないというプレッシャーもあったんで。そこで逃げてた、今だから思えるんですけど。その自分のある意味情けなさというか、やっぱり先輩たちにすごい悲しい思いをさせてしまったので。やっぱりそのシーズン終わって、新しい代に入る前にここは何とかしなきゃな、と思って。」
―なるほど。
「で、まずは自分の精神的な部分でもネックだった、体力をどうにかしようと。体力があればプレーの幅が広がって試合中に自信が持てないみたいな状況が少なくなるんじゃないか、と自分で思って。で、まず3ヵ月冬の間今までにないくらい走りこんで、そこも自信になったし、やっぱりオフ期間中にさっき言ったように自分のプレーにチームの勝敗を懸ける、じゃないですけど自分がチームの勝敗を決めるプレーヤーになるんだ、っていうのをしっかりと意識付けできるように。そういう考えの元で自主練もすべてやってて。今まで全国的な活躍もしてないし…チームの中でもあまり結果を残してなかったんですけど、そこっていうのは試合に出てしまえば関係ないというか。チームを勝たせる立場なのにそんなことでうだうだ言っているようなプレーヤーにはほんとなりたくなかったので。経験とかそういうのはないんですけど、それでもチームの勝敗を決める責任っていうのを背負う人間だっていう意識付けというところで、自主練と合わせて頑張ったんですけど。それが春の良いプレーにつながったのかな、と思います。」
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―外から見ていても、今年は試合に出ている4年生が鈴木選手だけということもあって、田上選手がすごく精神的にひっぱっている、という風に感じます。そういう自覚はありますか?
「もうーすごくあります(笑)。本当に4年生っていうのはチームをまとめることとか、チームを運営するっていうことですごいプレッシャーだったり、気苦労っていうのがすごいあるんですよ。だから、一番自由にやれるのは3年生だって…やっぱりその辺惇志さん一人ししか出ていなかったんで、本当に惇志さんにかかるプレッシャーっていうのは大きいだろうな、というのはずっと感じてたんですけど。やっぱり彼がコートにいて声を出す時には一番に反応する存在であるべきだと自分では思っていたし。彼がコートにいなかったら僕がひっぱってチームをまとめるべきだ、とはずっと自分の中では思っていたので。そうですねー、やっぱり月バスにも書いてあったけど(笑)、僕たち無名組じゃないですか(笑)。有名組はなんていうか、本当に何も気にせず自分のプレーをどんどんやってもらった方が良いと思うんですよ。その、まとめることだったりプレッシャーを感じるということを極力少なくして、自分たちのプレーをちゃんとやってもらった方が良いと思っていて。特に同じ学年の大祐には…精神的なムラっ気はあるんですけど、逆に大事な試合ではあいつほど頼りになるやつはいないっていうか。そういった爆発の時に足かけをつけたくないんですよ。それ以外のめんどくさいことは僕が全部やって、自由に動いてほしいなぁと思っていたので。そんな感じです(笑)。」

来季にむけて①~鈴木の存在~
―来年の話は早いとは思うんですが…。来年ずっと試合をやってきたメンバーが5人残るというのはありますが、精神的に惇志さんが抜けることへの不安はありますか?
「すごい…恐れているじゃないですけど。ほんと惇志さんの存在というのは大きいですよね。今までの、僕の中でなんですけど…キャプテンシーの種類というか。例えば泰滋さん(酒井・06年度主将・現JBL日立)っていうのは、すごい自分の強気なプレーで周りにも自分にも厳しくして、困った時には『俺に集めろ!俺が点獲ってやる!』みたいなキャプテンシーだったんですよ。僕も、ずっとそういうキャプテンシーが素晴らしい、というかそういうキャプテンシーでしか強いチームはつくれないんじゃないかな、と思ったところがあって。それで今年のチームが始まって、僕的にはみんなすごい危惧しているところがったので、みんなにきつく言ったり、厳しく言うことをしていたんですけど。徐々に惇志さんのキャプテンシーにのまれていったというか(笑)ほんとに周りのテンションをあげるというか、楽しみながらもうまくいくというか。なんていうか人間の根本的なところが明るいというか。それが見ている人にもすごい伝わると思うんですけど。なんていうのかなー。あの人がチームの暗い時でも常に上を向くことをさせてくれた、みたいな。あの人が得点をとったり、ということじゃないんですけど、そういう意味では、チームの雰囲気がすごい良いのはあの人のおかげであって。あの人が抜けて、僕たちの代になるって時にやっぱり僕たちの代は結構泰滋さんタイプというか。厳しく、自分たちでプレーで示して、後輩たちをひっぱっていきたいという人たちが多いので。いかにそこの中で今年の4年生から学んだこういう雰囲気っていうところとうまく融合できるか、っていうのが課題だと思うんですよね。」
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―今年すごいうまくいったので…来年その辺も難しそうですよね…。
「そうなんですよね~(笑)。今から結構来年のことは3年で話したりしてるんですけど。まだ誰がキャプテンになるかっていうのは決まっていない。もちろんキャプテンになるであろうっていう可能性も考えながら、シーズン後半からは試合に出てたし、惇志さんのキャプテンシーを少しでも吸収しようとして日々徹していましたけど。」
―来年、結構不安ですか?(笑)
「いやーもちろんですよー(笑)。今年優勝しちゃったし。自分たちが能力があるぶん、結果っていうのを求められるし。そういう意味じゃほんとに自分たちとの戦いというか。」
―たしかにそうですよね…。
「慶應っていうチームは本当に、まじめな人間が多いので。まじめな人間っていうのは心配事を先に出すっていうか(笑)。ほんとに心配だからどうしよう、こうしようっていうのを。惇志さんはほんと『大丈夫っしょ!』ってみんなをひっぱってくれてたので。」

来季にむけて②~自身の課題~
―なんか、田上さんがとてもまじめなので…来年中盤くらいにすごい抱えて悩んでいそうで嫌なんですが(笑)
「(笑)ほんとにねー(笑)。でもほんとに自分の中での課題でもあって。ほんとリーグ戦でも結構乱れたというか、壊れたじゃないですか。プレーが崩れたんですよ。でもそこでも考えこんじゃうというか。そういうのもあったんですけど、でもほんとに今年崩れちゃって、そこで立て直すっていう経験をしたんで…そういう経験を1個1個大切にしていって。やっぱり僕の中では今年からこんなにスタメンで出て、初めてのこととか本当に多くて。僕はそのへんに関して慢心というのは本当にないんで。一つ一つ学んでいくとか、吸収していくっていうのは僕の長所なんじゃないかな、と思うので。本当崩れたっていう経験を良い意味でとらえて、4年になったときにまじめに考えこんじゃうっていうのは容易に予測できるので(笑)。それに対して、今から対策とかも考えつつ。4年にも頼りつつ。あんま考えこまずに頑張っていきたいな、と思います。」
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―リーグ戦で落ち込んだ時は、誰かに話したりとかそういうことはしたんですか?
「いやー、しなかったっすね(笑)。トレーナーの山木さんとかには少しずつ話したりしたんですけど。そうですね、あんまり人に話すっていうのはしないんで。本当にあがきましたよね。本当悪い悪いって考え込んで、何もしないのは良くないことだと思ってるので。本当に色んな本を探しに行ったりとか、自分の今までやったことのないプレーをしてみたり、気の持ち方だったり。本当に色々思考錯誤してあがいてたんで。結構早く立ち直れたほうなんじゃないかな、と。来年この経験が絶対活きるを思うので。」

オールジャパン~まずは1戦1戦~
―レギュラーとしてのオールジャパンは初めてだと思うんですが、やっぱり目標はJBLですか?
「そうですねー。まずは三菱に勝ちたいっていうのはあって。公輔さん(竹内・06年卒・現JBLアイシン)とやりたいっていうのはあるんですけど…。横河電機(1回戦の相手)。絶対そこをなめてかかりそう。今までのチームから考えると(笑)。絶対そこを予防するというか。それが3年であり、チームを引っ張る最後の役目だと思っているので。まぁ、JBLを破れたらいいんですけど…まずは本当に一個一個の試合を自分たちのスタイルで試合やっていくっていうのが目標じゃないかな、と思っています。」
―個人的には?
「そうですねー、本当に社会人とやるというのは初めての機会なので、どこまで自分が通用するのかな、というのはちょっと楽しみであったりするんで。なるべくできるだけ多く社会人のチームとやって、その試合でも成長していきたいと思っているので、多くやれるように、勝ちたい。というかんじです。」

 今季これだけの結果を残しても、「無名組」として常に慢心はないと断言する田上選手。今季経験した良いこと、悪いこと…すべてを糧に。来シーズンもコート内外でチームを引っ張っていく田上選手の姿を見ることができるだろう。
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 練習後のシューティング中にも関わらず、丁寧にインタビューに答えてくれた田上選手。さわやかな笑顔が素敵です。 取材は12月27日の練習後に行われました。


posted by 白田 有沙 |16:35 | バスケ | トラックバック(0)
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