2008年02月01日
鈴木啓太はこのように語った ―接近・展開・連続の真実―
日本対ボスニア・ヘルツェゴビナの後に 鈴木啓太はこのように語った ―接近・展開・連続の真実― キリンチャレンジカップ2008、日本対ボスニア・ヘルツェゴビナ戦が、1月30日、国立競技場で行なわれた。試合は、2得点をあげた山瀬功治の活躍などで、3対0と日本代表が完勝した。試合後の記者会見では、背広姿の岡田監督が登場する。これから記すものは、オシム前監督の記者会見でも行なったことだが、「誰がこの質問したのか?」という疑問に答えようと思う。会見での岡田監督の返答は、『スポナビ』の記録を参照されたい。 質問者:大住良之 ――チリ戦に比べて良くなった点、タイ戦(2月6日のワールドカップ3次予選)に向けて必要なことは? 岡田監督:チリ戦は久しぶりのゲームで、(以下略)。 質問者:石川とら(保昌) ――トップにFW3人を入れるスタメンだったが、タイ戦でも攻撃的にいくのか? 岡田監督:これはまだ分からないですけど、恐らくタイの戦い方として、(以下略)。 質問者:朝日新聞記者 ――合宿からショートパスだけでは駄目だとおっしゃっていた。今日の試合では、長いパスやサイドチェンジも出ていたが、どう評価するか? 岡田監督:合宿でもショートパスだけ、ということではなかったし、(以下略)。 質問者:テレビ朝日記者 ――得点を取るためにあたって、アタッキングゾーンでの具体的な指示は? 岡田監督:今日の相手に関してはハーフタイムに、(以下略)。 質問者:テレビ東京記者 ――GKを2人使い分けたが、タイ戦では? 岡田監督:今のところGKに関しては、第1GKは川口だと思っています。(以下略)。 質問者:北海道新聞記者 ――山瀬が2ゴール挙げたが、どう評価するか 岡田監督:山瀬は指宿のキャンプから非常に調子が良かったです(以下略)。 質問者:共同通信記者 ――アジア予選に向けて、ここまでの手ごたえは? 岡田監督:一番びっくりしたのは、このチームは代表チームにもかかわらず、ひとつのチームになっている(以下略)。 質問者:石川とら ――オシム前監督が試合を見ていたことについては? 岡田監督:オシムさんが来られることは聞いていましたが、今日はお会いもしていませんし、そういうところに注意を払うゆとりはありませんでした(以下略)。 質問者:後藤健生 ――ゲームの一つ一つに狙いがあると思うが、今日のゲームの狙いは何だったのか。チリ戦と比べてどうだったか。また、チリ戦を踏まえて狙いは変わったのか? 岡田監督:一応、僕の中でテーマは持っています(以下略)。 オシム前監督と岡田監督の会見での受け答えの違いは、はっきりとしている。オシムの場合は、記者とのコミュニケーションを活発にすることで、他文化間に生じる埋められない両者の溝を明らかにしようとする。考えや受け取り方の両者の違いを明確にすることから、オシムは、コミュニケーションというものが始まると考えていたようだ。それが、記者であっても誰であっても分け隔てなくということなのだろう。 一方、岡田監督は、「ここまでしか話さない」と決めて記者会見に出席しているように思われる。それはなぜかと言えば、質問に対してこちらが想定される範囲の答えしか返ってこないからだ。ただし、さすがにサッカーを見る目は確かなものがある。岡田が、ハーフタイムで選手に出した指示が、試合の中で日本に流れを呼び込んで得点に繋がることになった。 「2列目が飛び出したらフリーになるけど、中央は難しいと。サイドに振って、1人出れば中央が空くと。それくらいの指示で、2列目は、特にトップ下の選手は、サイドの選手がフリーでボールを持てるので、サイドにボールが出たときにサポートではなく、2トップに絡むように、という指示くらいです。」 さて、岡田ジャパンのキーワードである「接近・展開・連続」に関して、鈴木啓太に話を聞くことができた。「岡田監督から〈接近・展開・連続〉について具体的に何か言われたのか」という問いに、鈴木は次のように答えた。 「まったくないです。それは捉え方というか、見方というか・・・。まあ、どんなサッカーのレベルであっても、その言葉はあてはまると思います。サッカーの質を上げるかどうかが問題なので、その言葉自体には意味がないというか・・・。その言葉は、基本的な部分であって、岡田監督が、メディアの人に分かりやすく伝えるために言葉に表しただけですよね。サッカーの質を上げるために、そのこと(〈接近・展開・連続〉)を実行していくことが勝利への鍵になる、と僕は捉えています。それは、ブラジルやイタリアは、当たり前にやっていることで、サッカーの質を上げていくことが大切で、ただそれを(〈接近・展開・連続〉)やればいいということではないと思います。具体的に(〈接近・展開・連続〉について何かを)言われたことはありません。」 面白いのは、サッカーライターやジャーナリストが、「この試合は、〈接近〉が行なわれた」とか、「次は〈展開〉が見られる」という評論があちらこちらで見られることだ。真実は、岡田監督によるメディアを使った〈接近・展開・連続〉という「キャッチコピー」に踊らされたということ。それが、他でもないメディア自身だったということだ。だからと言って、〈接近・展開・連続〉のスローガンは今のところまだ有効なようだ。ただ今回は、岡田監督の方が、メディアより相当にしたたかだったのである。 文/川本 梅花
posted by 川本梅花 |02:15 |
サッカー日本代表 |
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面白いのは、サッカーライターやジャーナリストが、「この試合は、<接近>が行なわれた」とか、「次は<展開>が見られる」という評論があちらこちらで見られることだ。真実は、岡田監督によるメディアを使った<接近・展開・連続>という「キャッチコピー」に踊らされたということ。それが、他でもないメディア自身だったということだ。
この記事に対するコメント一覧
鈴木啓太はこのように語った ―接近・展開・連続の真実―
>「キャッチコピー」に踊らされた
日本化もポリバレントも、走る、も、同等のはず。
そうではないのか。
>〈接近・展開・連続〉のスローガンは今のところまだ有効なようだ。
話題づくりに勤しむ人のためのもの。
>「誰がこの質問したのか?」という疑問に答えようと思う。
これは非常にいいです。
一般メディアがこのようにすべき。
posted by たぶん | 2008-02-01 02:41
鈴木啓太はこのように語った ―接近・展開・連続の真実―
キャッチコピーをつけて表層的に扱うのは日本人の得意分野ではないでしょうか。それが世界に受けている日本人の能力でもあると捉えています。
サッカーはピッチないで行われることが全てですが、日本はサッカーもそれを伝える側も成長段階であると思います。記者さんもライターさんも、見る側、応援する側の人間もサッカーと切磋琢磨しながら成長したら良いのではないかな。
posted by 砂漠のプロシネツキ | 2008-02-01 09:46
鈴木啓太はこのように語った ―接近・展開・連続の真実―
それにしても鈴木選手はインテリジェンスに富んでいますね。
考え方を明確に言葉にできる人は、やっぱり伸びていくのかな。
岡田監督は確かに想定範囲内の答えしか言いませんね。
でも、そういう人からいかに面白い答えを引き出すかが、
ライターさん、記者さんの腕の見せ所だと思います。
posted by ooi | 2008-02-01 11:17
鈴木啓太はこのように語った ―接近・展開・連続の真実―
結局、言葉で商売している記者やライターさん達の思考停止なんですね。キーワードを探し、見つけた(と思った)らその言葉をこねくり回し、遊んでいるだけ。まぁ、それが仕事だから、仕方ないのか…。
posted by マス | 2008-02-01 12:18


