2009年10月03日

ダブルス決勝進出!杉山/ハンチュコバ 東レPPO

ドゥルコ/ペトロワ組は、完全アウェーのセンターコートに緊張した面持ちで入ってきた。どうも冴えない表情の二人。対して、ハンチュコバ/杉山組は、自信みなぎる感じの表情での入場。チェアーに腰を下ろすと二人はとてもにこやかに会話を始め、リラックスしている様子がわかる。どこか無欲でテニスを楽しむんだという雰囲気がみなぎる。

期待感が増す。

コイントスでリターンを選んだ後の記念撮影も、ひきつった顔の二人に対して、とてもにこやかな二人。
解説:佐藤武文さんからは「ハンチュコバが、これだけの笑顔を試合前に見せるのは初めてだと思う」と評す。ハンチュコバの杉山に対する気持ちの表現だ。

ペトロワは、今大会シングル1回戦:杉山、ダブルス1回戦:クルム伊達組を倒したという日本ファンには天敵となってしまった。実際は、杉山が過去に決勝でことごとく倒してきたとのことでペトロワにとって因縁の相手が杉山のようだ。
そのペトロワの左ももはぐるぐる巻きのテーピングで、なんとも痛々しい。

ドゥルコは小柄に見えるが170cmだ。いかに杉山や伊達が小さいのかがわかる。

練習後から試合開始直前まで腰掛けて笑顔まじりで会話をしながら、いい緊張感を持ったキリリとした顔で立ち上がり杉山ペアはコートに入っていった。



ハンチュコバと杉山の落ち着いたプレーで、1ゲームをブレーク。幸先がいい。

4ゲーム杉山サーブ。ドゥルコのいい動きと、ダブルフォルトで落とし、2−2。

5ゲーム40-40。ハンチュコバリターンの場面で、解説:佐藤さんは杉山はファーストサーブのリターンを返せたらポーチに出た方がいいと指摘するも、反対にハンチュコバが返したところにドゥルコのポーチであっけなく決まる。2−3

この後も杉山のポーチについて何度も触れられるが、結果的には杉山組はギャンブルを冒さない作戦で、綺麗に逆を突くパターンが目立った。動かずして、ネットの名手である杉山ならポーチに来るだろうと計算させる効果があったようだ。


ハンチュコバサービスを破られ、2−4。ハンチュコバがよく拾い相手のミスで3−4。この瞬間、杉山に笑顔のガッツポーズ。ここでもし2−5に持っていかれると勝機が薄れるところでの相手のミスは大きい。どんな形でもゲームを取ったことに意義がある。

杉山の甘い中ロブに対して、ドゥルコにハンチュコバの足下を狙われ3−5。
万事休すかと心配がよぎる。

杉山がほぼセンター位置まで出たところを空いたストレートを狙ったペトロワショットが大きく外れた。ここまでペトロワは足の影響か目立ついいプレーがほぼ無い。4−5

ハンチュコバがキープで5−5の後、ハンチュコバとの撃ち合いに根負けしたドゥルコがロブに逃げたが大きくアウト。6−5

ペトロワの蹴り足が十分で無いがためにスマッシュをミス。これでいけるかと思ったところなんでもない杉山の返しが少し外れた。ここで「えっ?」と杉山が不安そうな表情を初めて見せる。6-6

とは言え、完全ホームコートで五分と五分に戻されただけ。
ペトロワが足を気にし出しているし、まだ流れはこっちにあるはずだ。
タイブレークは、一歩リードで5−4まで進み、またハンチュコバが撃ち合いに勝って6−4。最後は難なくセットポイントを奪った。


休憩でコートに呼んだコーチ:母がハンチュコバ がポーチに出るべきだと指示したことについて、「自分がファストサーブを入れていないからハンチュコバは出づらいんだ。自分がサーブの確率を上げていくから。」とハンチュコバに気を使うところを見せた。(後に一時期だがチームで70%までファーストサーブの確率を上げることになるが、これが勝因として大きな部分を占めるだろう)

試合を通して、ハンチュコバも杉山も外野が指摘するのに反して、ほとんどポーチには出ていない。ここぞという時に相手に心理的迷いを与えるために出るというパターンが功を奏した。



2セットが始まる時には、相手の二人ともが左太ももをテーピングでぐるぐる巻きにしての登場。

ワンブレークで4−1に続く6ゲームは、思いっ切り決めにいったハイボレーをもろにネットに掛けてしまった杉山が苦笑い。4−2
このミスで「そんな簡単に勝利はあげないよ」という女神からの忠告を受け止める余裕に繋がった気がする。

7ゲームは、「足音が細かいステップで復活してきている」とアナウンサーが紹介したペトロワが動き回ってしのぎ、ガッツポーズが出た。日本ファンは「もう少しの間、おとなしくしてくれ」と念じたことだろう。4-3

再度、コーチを呼ぶ。指示を受けるというよりは気分転換だ。バスケで言えば、流れを断ち切るいいタイミングでのタイムアウトと言える。ハンチュコバは自分のミスで落としたと気にしていた様子だが「エナジー」「アグレッシブ」という言葉でコーチがハンチュコバを勇気付けた。杉山の言ってあげたいことをコーチに言わせる。タイミングといい、内容といい、完全にヘッドコーチの役目を杉山が担っていることに気が付く。


その効果は絶大だった。ハンチェコバが大きくポーチに出る仕草に揺さぶられドゥルコがきらって逆を狙ったがアウト。気落ちしたドゥルコのダブルフォルトでラブゲームで5−3

続くハンチェコバのサービス0-15から、足下を狙われた杉山は4本のボレーを返すが最後大きく外れてしまったことにラケットを投げるパフォーマンス。杉山だからこそ出来た神がかりなボレーの披露だった。結果的に、ラブゲームでブレークバックを許すが雰囲気は杉山組が握ったままだ。ホームコートならではの戦い方だろう。5−4

続く10ゲームは、杉山ペアもいいコンビネーションを魅せるプレーもあったがキープを許し、5−5。

11ゲーム、杉山のサーブ。ペトロワからの強いリターンに応酬し、力負けするようなところは見せずに撃ち合い、最後は頭脳的なプレーで決めるたり、ハンチェコバがポーチに出ると見せかけてストレートを誘いボレーをドゥルコの足下に落とす。0-15から交互にポイントを重ね30−30。
ドゥルコとの撃ち合いで前に出てロブを打たせて、浅いところをすかさずスマッシュで決めた。40-30
オーソドックスながら、変化が相手に精神的動揺をもたらすことで流れを自分側に持ってきた。
このゲーム、杉山は2セット初のキープ。このマッチの鍵を握るゲームになった。
先行されても苦にせずゲームを作っていく形は、完全に杉山ペアが上をいっていて、敵ペアになす術が無いと言わせているようだ。

休憩の様子を見ると、後が無くなってしまい気落ちしたドゥルコの横で、少しおどけて見せるペドロワがいた。
杉山ペアはコーチを介してお互いの気持ちを確かめ合うという場を作り信頼感とモチベーションを上げてきたのとは対照的で、この二人はプレーはダブルスとしてうまくいっているが、気持ちが通じていない。

12ゲームは、杉山がいきなりポーチに出て、0−15。ドゥルコのサーブを杉山がサイドに返すが、ドゥルコのバックとなりネットに掛ける。完全に力と気持ちが抜けているようだ。0−30
レシーブのハンチェコバが突っ立っているだけのペトロワのバックを抜くかのストレートを返し切れず、0−40
マッチポイントでは1本返され15−40のあと、4人での撃ち合い、ボレーの応酬となるが、落とす感じがしなかった。拾いに拾いまくるような受け身となるが最後は杉山の強いボレーをドゥルコが返し切れず大きくアウト。

歓喜の抱擁。

「勝ちたくて勝ちたくしようがなかった」とハンチェコバが"おごる"ことなくインタビューで答えた。「引退セレモニーがあり感情をコントロールすることが出来なくなった」と正直に吐露した杉山だったが、杉山も、ハンチェコバも、杉山の引退試合をしているつもりはなく「彼女は凄いファイター」だとハンチェコバが評す。


意気込むよりも、リラックスを心掛けて試合に入り、ここぞで動くことでポイント獲得に成功するというテニスをやり切った。目標は優勝だ! → kawashiman-111749.gif



WTAサイトからライブネット中継で観戦することができるらしい。(有料)
http://www.sonyericssonwtatour.com/

杉山/ハンチュコバのダブルスの歴史は「夢と現実 備忘録」で紹介されている。


追記:
シングルス結果が出てしまった↓


シングルス決勝:シャラポワ5−2で、ヤンコビッチがリタイアのようだ。
拍子抜けだが、この後15:30からのTBSの中継はダブルス決勝を生中継でやってくれないだろうか。

posted by kawashiman |13:45 | ダテック/杉山愛 | コメント(4) | トラックバック(0)
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ダブルス決勝進出!杉山/ハンチュコバ 東レPPO

コメント投稿者ID :

残念!
決勝は負けてしまいましたが、ハンチュコバ選手とうれしそうに抱き合って健闘をたたえあっていたのが印象的でした♪
杉山選手ってどんな相手とも本当に仲良しになれるすごい才能の持ち主ですね・・。

posted by わか | 2009-10-03 21:08

わかさんへ

コメント投稿者ID :

コメント、ありがとうございます。

大会最初のセレモニーでも、ゆかりの選手達が集まってくれたり、選手の間での人気の高さを披露できたと思います。

おそらくですが、闘っている時とオフ(前夜祭なども含む)でのたたずまいなどの差が人を惹き付けるのでしょうね。

オンとオフの使い分けができなければ、こんなに長くやってこれないでしょうから。

素敵な女性です。

posted by kawashiman | 2009-10-03 21:46

ダブルス決勝進出!杉山/ハンチュコバ 東レPPO

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こんばんは

ハンチュコバ選手、慕っていた杉山選手とお別れで寂しそうでしたね。

ところで、ハンチュコバ選手の次のパートナーはもうきまっているんですか。ダブルス続けるのならばの話ですが。

posted by miwako | 2009-10-03 22:08

miwakoさんへ

コメント投稿者ID :

ダブルスは、杉山ですら大会会場に行ってから、その大会に参加している中でダブルスが決まっていない選手を探して「組まないか」と声を掛けていたと言っていたことがあります。

だから、前回グランドスラムで優勝した相手がその大会に怪我やその他の理由で来ていなかったりして、相手と組むのは運のようなものがあるとのこと。

また組みさえすれば優勝するのにという時期でも相手がシングルスに集中したいとダブルスのエントリーを取りやめたりという目にも会ってきました。

そういう意味では契約をする訳でもないし、決まっているのは稀ではないでしょうか。

まさかあの状態のハンチュコバが、誰かと約束しているとも、あまり考えられないですよ。

posted by kawashiman | 2009-10-03 22:47

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