2009年01月07日
中澤・遠藤・中村はもうダメなのか
新年一つ目ということで相応しい内容が書ければ良いのだが取り合えず固く構えず雑談的に思ったことを書き記してみようと思う。
「日本ってベテランに厳しい国だと思いませんか?」 大分古いがNumber717号の新連載「黙示録」の中澤佑二。開口一番のセリフである。降格争いをする神戸や大宮に自分獲得への名乗りを上げさせ、結果横浜に大して巧みに自らを売り込む。獲得に現実味を出すため海外を明確に否定するのも忘れない。 記事中で自らの心境を「30歳を過ぎるとJリーグでは移籍金が発生しなくなる。これは30になった自分が唯一勝ち取った権利でもある。」と語る。彼を嫌いな人は『金の亡者』として見るかも知れない。私自身は以前から中澤を海外移籍しないもう一つのプロの形として、金を現実的に考える姿を賞賛している。誰もが言うことだが例えば漫画界では手塚治虫。彼が原稿料を上げないばかりに若手漫画家は編集社側に「手塚先生より高額を要求するとは何様だ」と当時の生活水準では当然の値上げも断られたそうな。その道を代表する人はもはや自分の都合だけで報酬を決めてはいけないという話である。またプロとは金を貰う人という意味もある。ブラジルなどの選手からしたら金額に拘らなすぎるのはプロとしての自覚が足りないとも言えるだろう。非常に短い不安定な選手人生。「無謀な海外移籍など夢想家がすることだ」と言う選手が居ても、私は一理あると思う。私の反対していた大久保の移籍も決まったようだが、もしかしたらJクラブからの日本人海外移籍での移籍金No1更新だろうか?(2億5000万らしい) だとしたらこれはこれで日本サッカーの新しい記しである。どなたかご存知の方が居たら教えていただきたい。 今日はけなす記事なので先に誉めておこうと思う(笑)。 以前の記事でも多少言及したはずだが中澤のプロへの道は一般的なJリーガーとはかなり異なっている。どこからもオファーのかからないままプロの道をあきらめず集中するために敢えてプータロー(違うかもしれないが)で母校の高校の練習に参加。全てのJクラブに履歴書を送り全て断られてもプロへの道を諦めず周りに白い目で見られながらヴェルディユースと母校の練習試合に紛れ込み、同クラブのコーチに直談判して掴んだヴェルディの練習生の座。先日の、「内定を貰いながら天皇杯で活躍するエリート高校生」とは1味も2味も違う。苦労が多い分、プロへの執着は人一倍であろう。また「周りを言葉で引っ張っていくタイプじゃない」というのも、そう言うマイペースで我が道を行くタイプでなければ、そんな努力をしてまでプロフットボーラーの仲間入りをしていない。言うなれば日本サッカー界が発掘できなかったにもかかわらず、自力で代表まで上り詰めた奇跡の逸材である。大学からなら中村憲吾など、無名からプロへの道は少しはあるが、高卒で「サッカー浪人」となりここまで成長したプレイヤーはいないだろう。 3人の去年の言葉 中村俊輔、遠藤保仁、中澤佑二、昨年の日本代表の主力であり屋台骨でもある3人。 しかし私は3人とも明らかに一昨年より、昨年のパフォーマンスを落としていたように思える。 昨日放送のスポルトのインタビューか何かで 中村は「代表とクラブの移動で去年は不完全燃焼だった」と語った。 遠藤は昨年1月(約1年前)のインタビューで今年の目標を聞かれ「特にありません」。 中澤は同じ質問に「健康」。と答えていた。 遠藤は良く取れば飄々とした彼らしいコメント。悪く言えば何も望まぬ消極的な余裕の無い状態と言った印象だった。中澤はとにかく肉体のコンディション維持に限界を感じ始めている「切実な本音」が出た様子。もちろん彼ら代表組の年間試合数や予定は想像を絶する過酷なものだろう。 だが案の定中澤も遠藤も中村も夏から冬に怪我が出た。年々無理が利かなくなっているのである。 アフリカの日差し(コメントにて指摘を受けたように6月のアフリカは冬だそうです) もちろん去年、彼ら3人の活躍が他の選手に比べ劣っていたというのではない。私が言いたいのはこの3人が2010年の6月に今と同じ活躍が期待できるかということである。 フランスでは25.3歳。30歳以上は小島、井原、中山。日韓では平均年齢25.2歳。30歳代が3名だが山本氏が明らかにしていたように、実質森島以外は戦力安定化のための重りであったろう。 ドイツでは27.4歳。GKを除けば30歳以上は居ないが、この4年間で平均年齢が2.2歳上がっているようにメンバーがあまり入れ替わっていないとも言える。当時29歳の中田は中心だったが明らかに年齢的ピークを過ぎていた。現在の中心メンバーだとある程度本気だったバーレーン戦メンバーなど参考になると思う。28歳ならまぁスタミナの問題は少ないとすると1975~1979年生まれの2010年に30歳~になっている選手が6人。80~81年生まれの28~29歳になるのが9人。合わせて15人(26名中)、思いのほか厳しいメンバーである。 2010年に30歳~。世界の代表的に見たら特に珍しい年齢では無いが、既に昨年2008年時点でパフォーマンスに低下が見られる選手を、スタメンに3人乗せるのはかなり厳しいのではないか。ダエイの無用起用が尾を引き再建に時間がかかっているイランも人事ではない。W杯本戦は超が付く過密日程。ドイツでは3日置きに日中の熱線に晒されながら3連戦。アフリカの日差しはドイツを当然上回るだろう。ベテランの経験が物を言うだけの体力的余裕がドイツW杯経験組にあるかどうかもっと真剣に考える必要がある。 ここからは彼ら一人づつ思うところを触れてみたい。 中澤 中澤は一言で言うと覇気が無い。現状維持に一杯で、何かを追うという意識が感じられない。だが彼が今まではアジアを代表するCBであり、日本代表では得点元としても貴重な活躍を果たし現在の実力でも”代表水準”であることは間違いない。だが岡田監督の言う「2010年ワールドカップベスト4」で遜色ない人材かと言えばそれは「NO」である。私の感覚では(中澤個人ではなく)日本代表はベスト16なら素晴らしい成果、32なら満足できる所であろう。 更に、衰えが見える彼は1年半後怪我なく満足いける状態で望める可能性はかなり低いのではないか。本番で「怪我で満足いけない状態だった」という結果になったとしても、それは中澤のせいではなく長年蓄積した肉体の疲労や損傷により故障リスクが上がっている人材を起用した周りの責任。怪我をするのは当たり前である。 現状最終予選を突破するために必要な人材であったとしても、突破後使い物にならないとしたら最終予選で起用していて良いのか。オシムをして「アジアレベルなら問題ない」と言われた中澤は、本人が望むかどうかに関わらず周囲にそれ以上の期待を持たれている。 私は多分周囲のサッカーファン以上に中澤を評価する一人だと思うが、残念なことに「世界ではもうダメだ」というのが実感である。もちろん即全てが通用しなくなるのではなく。少しずつ「らしくないプレイ」が増え、決定的な場面での仕事にブレが出てジワジワと下降線を辿ると言うことである。岡田監督の信頼は厚く他のCBを見ても中澤が主力で行く可能性が現時点では非常に高いが、それだけに「それでは危ない」と言っておく必要があるように感じる。 遠藤 最近ペナルティーエリア付近での成長を見せる遠藤。元々冷静で流れの良く見える選手で、キックも正確なのは分かっていたが、ゴール前では日本のFW以上の決定力を持つかもしれない。ゴールに必要なスキルを動き(虚を突く)と決定力(冷静さ)に分けると、一般的なFWは決定力に欠けるタイプが多い。遠藤の場合は逆に決定力にはさほど問題がなく、ゴール前でシュートの間を得るだけの動きが無かっただけらしい。特別難しい動きやシュートをするわけではなく、基本的な動きと、ごく自然なシュートコース。世界で見たら特に言及するほどのスキルではないが日本代表では十分戦力になると感じる。他の選手全ての動きを囮とし、遠藤の1点に頼る時がもしかしたらワールドカップ本戦でくるかもしれない。 ただ遠藤は先日黒子として期待する記事を書いたが、クラブW杯でのマンU戦ではガンバのボランチでは目を覆いたくなるようなプレイが露見していた。現時点ではポジションを後ろに下げるほど平凡なプレーが増えてくる。中盤の彼が生きるのは中田と同じく試合を落ち着かせたい場面、即ち1点のリードを守る展開の時である。ただ、今のサッカーでは全体的に逃げ切り目的の時は、もっとアグレッシブでボールを追い掛け回す守備的MFか、一発を狙えるFWなどを入れてより試合の全体の支配を目的とする場合が多く、ボールキープを得意とするタイプを途中から入れてくる手法はあまり見られなくなってきた。 遠藤が1年半後パフォーマンスが落ちているかと聞かれると、中澤よりは前向きな答えが出来る。ただどうやら伸び白は既に限界らしく彼に今以上のものを望んだりは出来ないがベスト4を目指すのであればFW(+2トップの3人目)起用一本に絞り連携を高めていく他無いだろう。 中村 特にこの一年でもっとも厳しい下降線を辿った選手である。中村は怪我もあったが明らかに運動量が落ちている。セルティック以後私の印象で最も運動量があったのは2006~7シーズンだろうか。当然一昨年からの疲労が蓄積している面もあり去年だけで中村の今後を言及するのは早計かもしれない。 だが、彼のファンやセルティックの試合を毎試合見ているような方なら既に、より悲観的な形で彼のピークが過ぎたことを受け止めているかもしれない。 私の場合はまだ「その雰囲気がする」と言う段階である。ただこうして記事に書く以上それなりの確信はある。 根拠となるのはスタイルの変化である。それだけなら一時的な怪我の影響などもありうるが、中村の場合プレースタイル自体が2008年から全体的に省エネ型に変わっていた。 年間MVPに輝いたシーズンの中村なその栄光に相応しく、チームの攻撃でも中心だった。だが去年のセルティックは同じようにMVPとなったマクギーティーが中心であり、彼は運動量とスピードで勝負できる若手である。反面逆サイドにいる中村はほとんど動いていない。正直な感想を言えば「どうしてしまったんだろう?」と思いたくなるほどの急なパフォーマンスの低下である。 元々ランで勝負するタイプではないが、以前にもまして運動量不足の傾向は高まり、既にロープレッシャーの中盤を突破するのにも周囲のサポートが無ければワンツー(自らのラン)などではビルドアップできない。常に周りが動くのを待っているのである。経験が裏目に出て安全に行こうとしすぎて結果悪い方に出ている感じである。 これが試合全体での消耗を計算して、得点機に決定的な仕事をするために温存しているのであればそれは運動量の落ちたベテランとして十分な「進化」なのだが。 攻撃の形作り ウェズレイなど見事な「省エネっぷり」であるが、あれとて周囲を運動量豊富な選手で固め、ガチガチの約束= 「ウェズレイにボールが入る」→「トップスピードでサポート」 という戦い方が可能な他フィールドプレイヤーの「スタミナマージン」があっての戦略である。言うなれば「0トップ」のローマ&トッティーの形に近いだろうか。 オシムは「俊輔の代表にはしない」と言ったが、岡田監督はむしろ「中村と心中するチーム」を作って、田中達也、大久保、内田、香川、安田、玉田、長友(多分松井も)など必死でサポートできる人材を探しいるように見える。正直今の中村はオシムが読んでいた時の中村とは運動量で別人でとても心中できるパフォーマンスを2010年に持っているとは思えない。となると問題点は3つ。 *1.1年半後に中村が周りの十二分なサポートがあれば中心となりうるか=世界のベスト20に通用する攻撃が繰り出せるか これははっきり言って問題は攻撃の内容ではなく「繰出し方」(中村がキメ易い環境でボールを渡せるか)にあるのだがそんな高度なサッカーは現日本代表には望むべくも無い。よって無理であろう。 単に「高い位置でボール奪う」「相手を自由にさせない」「少タッチ数で速攻」「サイドを効果的に使う」「FWは積極的に裏を狙う」程度の時代遅れな内容が精一杯である。 *2.そんなサポートが他メンバーに可能なのか 以前の記事のとおり周囲の負担が大きすぎ私は悲観的である。 *3.遠藤や中澤など運動量で厳しくなるベテランと共存するのか 今回のテーマでもある。この3人が輝いていた時期と同様の運動量は望めないとしても、W杯本戦のグループリーグぼろが出ない程度量を維持できるのか?。更に、その上に行く時足枷にならないのか。私はかなり悲観的である。日本人はW杯が終わってから「こうだった、ああだった」と言い始める。だが結果を残したければWカップ前に言っておかなければならない。例えベテランを削って、かえって結果が落ちたとしてもである。何故なら今のままではベスト32が精一杯だからだ。これは先日の五輪でもファンは身に染みて分かったのではないだろうか。「無難なチーム作り」でベスト8を勝ち抜けるほど日本は実力国ではない。上を狙うなら新しい可能性に賭けてみてはどうだろうか。と言っても岡田監督に攻撃の構築を願うのは無理なので、現実には中村のイメージに頼るしかない。だが彼のイメージは悪くないとしても運動量が足を引っ張って実現不可能である。経験ある中村で90分行けるならそれがリスクが少なく安全な方法だが、今のサッカーでは止まる司令塔を置く余裕は許されないのが現実だ。 *まとめ そこで例えば中村にチームを作らせ、同時に大分の金崎当たりを代表に呼び中村に「自らの代わり」として教育させてはどうだろうか。2人は絶対に同時起用無しという使い方である。金崎はまったくの私の思い付きで運動量で問題なければ誰でも良いのだが自らも突破力があったほうが中村とギャップがあり相手が困るだろう。このような形で中村を45分で交代できるようなチーム作りが攻撃面では最善ではないだろうかと思う。上に書いた本番の日程を睨んでの処置である。 オシムは遠藤と中村を二人とも指令塔としてサイドで起用する意欲的な実験も試みていたが、W司令塔はボールを足元で欲しがる選手が多すぎ長年代表が失敗してきた「ボールは持つものの攻めあぐねる」展開になりやすい。 中村45分起用。実現の可能性は0に限りなく近いが、私が考える「運に頼らないベスト16」の図はこの道が最も近い。 冒頭の中澤の言葉のように「不必要にベテランを排除する文化」が日本にはあるように思う。ベテランの経験やパフォーマンスを生かせないようでは当然サッカー2流国のままだろうが、逆に「ベテランの生かし方」について日本は1流と呼べるノウハウがあるのだろうか。思いつく所でも、プロとしての意識、コミュニケーションのとり方、雰囲気作り、若手へのプレイ面での助言、スーパーサブ、などなど様々な生かし場所がある。 体力は年齢で決まるものではなく、年だけを見て「もう使えない」と言うのはサッカーを知らない者の言う言葉である。 だが逆に言えば、衰えは若くともやって来るということだ。使えるか使えないかは自分の目で確かめなければならない。そして昨年のパフォーマンスを見るに中村ら3人が1年半後体力的に「主力」で行けるのか、私は疑問である。
申し訳ありませんが管理が面倒なのでコメントは許可制とさせて頂いています。 09/01/08 コメントを受け加筆、及び誤字乱筆を修正。
posted by karakuti |04:40 |
選手に辛口 |
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