2008年09月25日

[西川周作を守ろう]第3回 非紳士的行為こそ面白い

相手を欺く行為はサッカーの本質だ。

今回は「子供に有害派」の方には是非読んで頂きたい内容である。第2回から大分間も空き他記事も挟んでしまったが、丁度最近の記事に関連した内容である。今日は最近の話題に関連しながら、非紳士的行為の公言を機会に少しだけ触れてみたい。

マテラッツィはプロフェッショナルだ


マテラッツィは対戦相手に備え、わざわざ話せないスペイン語で侮辱する言葉を覚え、試合中に流暢に相手を侮辱したらしい。「そんなことをする暇があったらプレーを磨け」と言う意見もあるが、プレーを磨く側の「楽しんでサッカーや練習をする優等生」の限界はロナウジーニョである。楽しめなくなればそこから持ち直すには異なる能力が必要になる。良く言われる心技体以外のプラスアルファを挿す。

ぎりぎりの相手との連戦の日々、普通なら「もうサッカー疲れた」となりそうな所。磨り減らず、自らを律し相手への備えを怠らない。そんな心を持てるマテラッツィのように「雑草魂」あるプレイヤーこそ実は最も強い。彼の侮辱行為も「カードを貰わず乱せるなら儲けもの」。徹底した勝負への執着心が生み出した“スパイス”に過ぎない。

だが代償は決して小さくなかった。彼は今期のCLでもダークなイメージから、明らかな審判からの狙い撃ちでフェアプレーにも関わらず退場とさせられた。ジダンとの一軒以後「彼は悪質」というイメージが定着してしまった。ピッチを去るときも悔しさをにじませながらも黙々と歩いていたが、どこか彼の後姿から審判のミスジャッジすら「仕方ない」と受け入れる雰囲気を感じた。マテラッツィの心中を察すると、筆者の方が辛くなった。プロとして潔い姿ではあるが、試合前から審判にマイナスの先入観を持たれるのは、選手として重すぎる代償だ。彼は今もそれを払い続けている。ジダンの頭突き事件はまだ終わっていないのだ。だが彼も上記のように大きなものを失った以上、もう充分ではないだろうか。
仮にJリーグの優勝決定戦、日本人同士で同様の事件が有った場合、2試合の出場停止と罰金という最低限の調整だけでサッカー協会とファンは許すだろうか。西川選手への処罰を見るに怪しい。江戸時代の裁判のように、脱法的、感情的罰則が行われかねない。一人に責任を押し付けて万事解決のようなフリをする日本の悪しき体質である。
オシムは「欺けないのは日本の社会全体の問題ではないか?」と言った。読み手の貴方はどう思うだろうか。

“マリーシア”は少年時代から始まっている

サッカー少年達の間でも、実力に劣ろうと口先で調子の良い子がコーチに気に入られ優遇されているかも知れない。そのとばっちりを受け、中村俊輔を凌ぐ才能の子がコーチの単なる一個人の趣向で「伸びないレッテル」を張られ潰されてしまったかも知れない。競争社会の勝者は、敗者から見たらどこかしら常に「汚い」のだ。それは「才能」そのものの保有を含めてである。オシムも、才能が子の成長に重荷となる怖さを知らなくてはと語っている。彼ら”若き才能”を見出しまっすぐ育てるには、この「汚さ」をいかに汚いまま保てるか問われているのではないか。
世界では、更に過酷な競争を潜り抜けた猛者が日本人を待ち受けている。彼らは当然日本人よりもガタイも強い上に「汚い」。

選手が明らかに意図的、故意な反則行為を行うのは大別して

  • 1.相手に追い詰められている

  • 2.相手をいら立たせている

の2パターンがある。量としては2が圧倒的に多い。筆者の好みでは相手選手を苛立たせようとする立派なプレーだ。日本代表では旧岡田ジャパンのW杯戦以後、こういった勝ちたい意欲に溢れたプレーを個人的には見たことが無い。正々堂々とやって勝ちを目指すなど強いチームだけがやれば良いのだ。アジアはともかく、日本など世界相手ではまだその段階には居ない。よって、世界で戦う為には初めからフィジカルというハンデを背負う日本が対抗するにはマリーシアな選手の育成は必須なのである。ピッチ内では如何に相手のペースを乱すか、虚を付くか、騙し合いのスポーツで乱される方が悪い。そう言った人間の汚い面も清濁合わせ飲むサッカーという存在が、人間臭くて筆者は好きなのだ。「サッカーは紳士のスポーツ」と言う言葉は選手やサポーターが「汚らしさにまみれた戦いをピッチ外やスタジアム外に持ち出さない為」にあるルールに過ぎない。他記事でも書いたよう決して「『誰に対しても紳士』のスポーツ」では断固としてないのだ。


アルゼンチンの育成に見る素材の磨き方

アルゼンチンでは(かいつまんで言うと)サッカーで子供を育成するときレッドカードとなるプレーをイエローに、イエローカードとなるプレーをファールに、ファールを取らずにプレーさせるらしい。この中から数々の個性的なスターが生まれ(筆者の嫌いな)メッシも出ている。

子供の育成の視点から見たとき、あなたならどちらを選ぶだろうか?

  • 1.子供は育てるもので指導を適切にするべき
比較的日本の育成システムである。

  • 2.育たないと潰される(敢えて)劣悪な実戦練習に子供を置くべき
当然上記のアルゼンチンの育成システムである。
(同国に体格は日本人以下でも若くして完成された選手が多いのは、この育成方法の違いが関係あるのかも知れない。)


両方のバランスに取れた環境が理想だが、比重を置くならどちらが適切かサッカーファンの方々では、意見は分かれると思う。筆者も難しい。だが、親の立場で我が子を預ける先としてを見たらどうだろうか。筆者でも2を選ぶのは親心がどうしても邪魔をしてしまう。時に「自分の可愛がりたい欲求」を子供自身よりも大切にした結果子供を潰してしまっては居ないだろうか。筆者が考えるに、彼ら過度な保護者は日本サッカー界の将来にとって「有害」である可能性すらある。勿論筆者の好きな、ルール内で知恵の限りを尽くした「人間臭い」サッカーにとっても「有害」である。
だが、日本人選手が強くならなくとも、(筆者が嫌いな)健全すぎるサッカーを求める声も当然あるだろう。現実には彼のようなファンが、金銭、資源供給(我が子にサッカーをやらせる)両面でサッカー界を支えているのは事実である。よってサッカー協会が彼らの声無視できるわけはなく、(個人的には今回の処分も重すぎると思うが)現実には至極妥当と言える。


※注意
以前の記事で
>私にとってのオシムさんは世界的に有名な監督である前に同じサッカーを見れる唯一の仲間でした。
と書いた後、こんなコメントが寄せられた。
「自身をオシムと同様に描かれる事は、危険ですよ」

今回の記事もオシム氏の発言を引用している以上同様に取られかねないので一言付け加えておく。
筆者はこの記事を書き終えるまで、引用したオシムの発言を知らなかった。たまたまネットで見つけたので補足に加えさせて貰ったに過ぎない。筆者がオシムの真似をしているのではなく、別の所で育ったサッカーの見方が今回の側面に関してはたまたま同じ見解を含む事柄だったのである。以前も書いた通り、オシムと筆者の考え方の違いは多々ある。決して相容れないであろう点も確かに感じる。だが、当ブログでたびたび書いてきたように、一言で”サッカー”と言っても、その意味するところは人により全く違うのである。だがオシムはなんとなく、好きなサッカーは違えどその前にまず筆者と同じ『サッカー』を定義している仲間なのである。一番分かりやすいのは、オシムも筆者も育成が好きだ。ただオシムからしたら筆者などサッカーを知らぬ若造に過ぎないかもしれないが。世界最新のサッカーを見ようと全く理解していない人。マイナーな地区リーグしか見ずともサッカーを本質的に分かっている人。筆者の周りにも様々な人が居る。読者の方々も感覚的に『同じサッカー』を見れる仲間を持つ方なら、筆者の歓びと、決して自分とオシムを同一視していない事を、ご理解頂けるだろう。


おまけ

ブログの立場と執筆動機

西川周作選手が故意による警告受けたと公言した問題に触れてみたい。
既にサッカー協会の処分やクラブ側の対応も固まり、一旦決着を見た段階である。他のブロガーさん達も他の話題に移っている段階だが、逆にサッカーファンの意見は出尽くした時期とも言え今回の出来事を通して、透けて見えてくるファン側の対応にものを言いたい。

目に付くサイトには回ってみて色々な意見を読ませて頂いた。要約すると大体次のどれかに当てはめて良いかと思う。

  • 1.プレー自体は悪くない、公言したのが悪い

  • 2.プレー自体も公言したのも悪くない、行き過ぎた罰則は悪い

  • 3.プレー自体は悪くない、公言したのが悪い。だが西川選手を応援していく。

どの意見も一理あり、それぞれサッカーや西川選手に愛情を持って書かれている。だが、とりあえず数が少ない。サッカー全般のためにもっと色々な意見が有っていいのではないか。折角自由に書けるブログである。むしろもっと色んな意見が無いといけない。と勝手に使命感を感じ盛り上がった所で最近名前負けしている「激辛批評」というブログタイトルに合わせて次の意見をぶつけたいと思う。


「プレー自体は良い、公言も良い。擁護・罰則するのは普通。批判する方が悪い。」

若干思ってもいない脚色を載せ激辛風味を上乗せしているのは分かりやすくする為である(苦笑)。


今回の記事は荒れるかも知れないが、日本サッカーのためなら当ブログが炎上しようが小さき事。万人受けなど当初から狙っていない。そんなことよりも届く人にきちんと届く意見を書きたい。一時の花火のように騒ぎたい輩はどうせ1回嫌がらせコメントを載せるだけ。(本当に筆者の意見が嫌な方は最低1ヶ月位は毎日執拗に書き込み続ける位の根性は見せて欲しいものである。)きちんと内容のある批判コメントを書き込める方は勿論歓迎したい。また自分のブログを立ち上げ激烈に当ブログを批判する記事を載せて頂ければ喜んでトラックバックさせて貰う。その時は筆者も日本サッカーの為に小粒ながら悪役を演じねばならないだろう(笑)。


参考記事

下記のブロガーさんや記者の方の関連記事です。皆さんの色々な意見のおかげで、私も触発され時にパワーを貰い、時に参考にしながら当記事を書くことが出来ました。

引用は特にパワーを貰った箇所です。
※引用のへの感想は批判的な感想もありますが、リンク先記事に全般に対する感想ではなく、抜き出しフレーズのみへの感想です。念の為。

西川周作とフェアプレー 【キリタニ】

引用:「WC出場を賭けた1点リードのロスタイムにも、選手は全力で走り、急いでスローインを投入しなければならない…』
という方々たち」

筆者の感想:こういうファンの方も居そうですね・・・。「サッカーファンは一人でも多い方が良いのでこれからも共に楽しんでいきましょう」(公言用コメント(苦笑))。


西川君の失敗を考える

引用:「社長、強化部長、広報部長の三人は譴責、給料10%カット1カ月の処分が下ったという。選手に甘いよねえ。まずは本人を罰するべきなのではなかろうか。」

筆者の感想:筆者が選手の立場なら自分に課してくれた方が軽いと思う。日本ではそれほどフロントと選手はドライな関係ではないはず。


Jリーグ側、J1大分と西川に厳重注意 ブログ記述巡り

「聴取後に西川は「サッカーを愛するすべての人に迷惑をかけた」と話した。」

筆者の感想:当人にこう言わせているだけなのがバレバレである。個人の発言の自由を簡単に奪って何が解決なのか。また、迷惑をかけたことを詫びる前に、行った行為について詫びるのが順序ではないか。

Jリーグ、西川と大分に厳重注意

引用 「チェアマンはこの日も、1時間にわたって大分と西川を叱りつけており、危機感がうかがえる。」


筆者の感想:チェアマンが話の分かる人なら「まぁ1時間説教したことにするからお茶でも飲んで行けや。そうしないとお前を守れない。これが俺の仕事だからな」
位は言っていて欲しい所である。


その他関連記事

西川周作問題、決着へ。
トリニータ公式発表他関連リンクを整理してくれています。問題が良く分かります。

計算高いプレーだったが、その後がいけなかった

Jリーグ側、J1大分と西川に厳重注意 ブログ記述巡り

「自覚がない」と苦言 ブログ問題で犬飼会長

posted by karakuti |09:35 | 選手を守る | コメント(6) | トラックバック(0)
このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加

トラックバックURL
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.plus-blog.sportsnavi.com/karakuti/tb_ping/61
この記事に対するコメント一覧
(事務局では、サービス全体の雰囲気醸成の為、全コメントをフィルター/目視チェックし、削除等しております。見逃し等も有りますので、ご不快な思いをされた場合は、事務局宛 support@plus-blog.sportsnavi.com にご意見頂けると幸いです。)
[西川周作を守ろう]第3回 非紳士的行為こそ面白い

本旨に対しては別に異論ありません。
西川の件は行為や発言そのものより、脇の甘さ、メディア対応の拙さが問題。
注目を浴びる立場なんだし、ブログは単なる日記じゃないってことを認識しておかないと。

あと、「才能が重荷に・・・」のくだりは完全に曲解してますね。
引用の必要性もないし、オシムの名前を出したいがために無理に持ってきたとしか感じられません。

posted by 通りすがり | 2008-09-25 11:35

[西川周作を守ろう]第3回 非紳士的行為こそ面白い

随分と長い文面で簡単な結論に達しているように見えますが。

> 「プレー自体は良い、公言も良い。擁護・罰則するのは普通。批判する方が悪い。」

別に辛口でもないですし。

posted by mm666 | 2008-09-25 15:36

管理人です。

通りすがりさん
コメントありがとうございます。

>あと、「才能が重荷に・・・」のくだりは完全に曲解してますね。
>引用の必要性もないし、オシムの名前を出したいがために無理に持ってきたとしか感じられません。
ばれちゃいましたか(笑)。というのは冗談で結構繋がってると思いますよ。
ただこの辺はこの記事で書くのは荷が重かったですね。また機会があれば触れてみたいと思います。
-------------------------------
mm666さん
コメントありがとうございます。
>随分と長い文面で簡単な結論に達しているように見えますが。
無駄に長いといつもご指摘を頂くのですが一向に治りません。結論に関しても多分私の書き方が至らぬせいだと思います。

posted by 辛口 | 2008-09-26 01:15

[西川周作を守ろう]第3回 非紳士的行為こそ面白い

マリーシアで何でも簡単に片付けるのは良くないと思います。そもそも、西川選手の行為はマリーシアなんでしょうか?
マリーシアはセラ(時間稼ぎ)やカチンバ(セットプレーで
)やダイブなどその試合に勝つために、反則スレスレまたは審判に分からないように反則することであって、西川選手の行為は該当しないと思います。
ズルイプレーはその試合にどうしても勝ちたいという強い意志によって正当化されるのであって、イエローカードの調節をした西川選手の行為は他サポーターを侮辱していると思います。

posted by ダンカン・エドワーズ | 2008-09-26 09:49

[西川周作を守ろう]第3回 非紳士的行為こそ面白い

この事件?みたとき「なかなかやるなぁ」ってのが一番に思ったことでしたね。
頭のキレがない輩にはズルいプレーはできませんからね。
自分、チームのために得になることはどんどんやればいいと思います。それができる頭のキレるプレイヤーがもっと出てきてもいいと思います。
いつもいつも、日本人はもっとズルくウマくやればいいのにと思ってます。

個人的にこの問題は、メディアが騒ぎすぎ。これに尽きると思います。

posted by マル | 2008-09-26 17:57

管理人です。

ダンカン・エドワーズさん
コメント有難うございます!。
>西川選手の行為はマリーシアなんでしょうか?
痛いところを突かれました。実は書いていてマリーシアと違和感を覚える箇所も・・・(苦笑)。
ただ以前の西川選手を応援記事に頂いた書き込みでは、日本サッカー協会のルールで「故意のファールはカードの対象」であるそうです。西川選手は故意にファール~イエローのすれすれの行為をして、レッドにならない範囲でイエロー獲得を狙いましたから、マリーシアといって良いと判断しました。

興味をお持ち頂けましたら当シリーズ記事と「日本人は騙す側になれるのか」以後の記事を一読下さい。私の言わんとすることがおわかり頂けると思います。


>ズルイプレーはその試合にどうしても勝ちたいという強い意志によって正当化される
プロなら次の試合に勝ちたいと言う気持ちも忘れてはいけないので、召集中のカード消化はズルイ良いプレーだと思いますよ^^。

--------------------------------------------------------
マルさん

コメント有難うございます!。

>この事件?みたとき「なかなかやるなぁ」ってのが一番に思ったことでしたね。
私もそうなんですよ^^。若いのに考えてるなと。
ただ公言はちと今の日本文化には受け入れられないのでキツかったかなと。
ただ彼を責めるよりも無駄に騒ぐマスコミやファンは私の言う批判にすらなってないのもありましたね。

なので日本サッカーの為に、騒だり批判する人々を指摘する記事も必要だろうと微力ながら執筆させて頂きました。

ただシリーズ記事でも触れておりますとおり保護者の価値観を無視した運営は次世代の育成においてマイナスとなりかねないので、保護者の意向に問題があっても、まずは上手く付き合っていくしかありませんよね。

posted by 辛口 | 2008-09-26 18:14

コメントする


(表示は許可制となっています)