2006年06月16日
はじめまして。
Baseball Contributorの上田龍と申します。
Baseball Contributorという聞きなれない肩書きを名乗っておりますが、仕事の内容は日米の野球を取材し、野球史を研究し、その結果を原稿にして雑誌などの媒体に寄稿すること、さらに2004年からはスカイパーフェクTV!MLBライブの日本語コメンテーターを務めており、最近は新聞社などから野球界での出来事についてコメントを求められることがあります。英語のContributeには「寄与する、貢献する」の意味がありますが、私は自分の仕事を通じて、スポーツ競技・文化としてのベースボールのさらなる普及・発展に文字通り寄与・貢献することをめざして、日本では(おそらく世界でも)唯一、この肩書きを名乗っています。
私が野球記者(ライター)として目標にしているのは、ジャーナリストのデイビッド・ハルバースタム。NYタイムズ時代はベトナム戦争報道でピュリッツアー賞を受賞していますが、NBAのポートランド・トレイルブレイザーズを題材にした「勝負の分かれ目」、1949年にヤンキースの優勝に貢献したジョー・ディマジオの劇的なカムバックを追った「男たちの大リーグ」、1964年のヤンキースとカージナルスのワールドシリーズをめぐるメジャーリーグの近代史を綿密に取材・分析した「さらばヤンキース」など、スポーツノンフィクション、ドキュメントでも素晴らしい仕事をしています。その取材と文章は冷徹で感情を極力廃した事実の積み重ねで、スポーツのみならず、すべてのジャンルにおけるノンフィクション、ルポルタージュの良質なお手本となりうるものです。
また放送の世界で私が尊敬してやまないのは、70年代の「ビッグ・レッド・マシン」シンシナティ・レッズなどで強打好守の名二塁手として鳴らして、殿堂入りも果たし、現在はスポーツ専門局ESPNのコメンテーターを務めているジョー・モーガンです(もうひとり、ESPNのお気に入りコメンテーター、ハロルド・レイノルズについてはいずれまたご紹介したいと思います)。
先日、メッツのトッププロスペクトである21歳のラスティン・ミレッジ外野手がメジャー初本塁打を放ったあと、守備位置につく間にスタンドの観客とハイタッチを交わして問題になったとき、モーガンがESPNの看板番組「スポーツセンター」で、「初本塁打で興奮して出た自然な行為で、意図したものではない。喜びをファンと分かち合いたかっただけだろう」と、プレーヤーの気持ちに立って擁護していたコメントが印象的でした。試合後、Mr.モーガンはミレッジに笑顔で声をこうかけたそうです。「すごく良かったぞ。でも、やりすぎるなよ」。
若い選手がフィールドでちょっと羽目を外したときには、報道するメディアもこれぐらいのユーモアを交えたコメントで受け流すぐらいの姿勢でいいのではないでしょうか。新庄剛志がいろいろなパフォーマンスを披露するたびに、その映像に向かって「喝!」などと怒鳴るしか芸のないあの「ご老体」お二人には、ぜひこのモーガンの姿勢を見習ってほしいものです。
posted by 上田龍 |12:00 |