2009年10月23日
注目されていた10月10日の榎(洋之)と細野悟(大橋)の東洋フェザー級タイトルマッチだが、結果は残念ながら榎の判定負けとなってしまった。
しかし、試合自体は最後まで激しい打ち合いとなり、両者ともにいつ倒れてもおかしくないようなクリーンヒットの連発で、これぞボクシングの醍醐味と言える緊張感のあるクオリティーの高い内容だった。
どちらが世界に行けるのか、フェザー級の日本人トップ同士の決戦とあって場内の盛り上がりも凄かった。やはりプロは客を沸かしてなんぼなんだし、その点から言えばこの2人が作り上げた試合は戦前の注目と期待通りの内容で、榎は負けはしたもののたくさんの人たちを熱狂させる素晴らしい試合をした、その健闘ぶりは素直に称えてやりたい。
榎は最後までよく動いたし、とにかくあれだけ豪腕のチャンピオンの強打をまともに貰っても、そこからさらに前に出て、パンチを出し続けた根性は素晴らしかった。あいつのハートの強さは並大抵じゃないよ。
重たいパンチで仕留めに行った榎に対して、一方の細野は接近戦でも回転勝負でスピードとキレで連打をまとめ、有効打を的確に取りに行った。特に左の使い方が抜群だったな。ボディーから顔面への左のダブル、榎が打ってきたところに左のアッパーを合わせたり、打ち合いでは互角だったと言えるが、そうした巧さで榎を上回ったというのがこの試合だったんじゃないかな。
榎としてはもう少し効率の良い戦い方をしたかった。やはり若い頃と同じようなボクシングをしても、年齢、体力的なことを踏まえて、むしろキャリアを積み重ねた老獪さみたいなものも必要だったんじゃないかな。強力な圧力と馬力を武器にがむしゃらに、不器用に攻めるのが榎の持ち味なのかもしれないが、そこにキャリアの強みがスパイスとしてあったら、と感じた。
この試合に進退を懸けた榎だが、榎自身は試合後に含みを持たせていたし、現役を続けるならばどこを目標に、そのためにどういうボクシングを目指すのか、その辺の部分としっかり向き合わないといけないだろう。どちらにせよ、ボクシングの世界は甘くないのは榎自身がよく分かっているはずだろう。
とにかく今はゆっくり体を休めて、どういう決断をするにせよ、これからのことはその後ゆっくり考えたらいいと思う。
posted by 田中栄民 |15:23 |
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2009年10月20日
しかし時間が経つのは早いな。今年もあっという間に終盤戦だ。チャンピオン不在のうちのジムにとってみれば、今年は足踏みの年という印象も否めないのだが、おっともちろん12月19日にはライト級1位の加藤(善孝)がタイトルに挑戦するので、加藤には年末最後のタイトルマッチで今年1本目のベルトをジムに持ち帰ってくれることを期待している。
そのほか新人王トーナメントの決勝が11月に。角海老からは5人の選手が決勝に残る健闘で、この勢いなら何人かは新人王を獲ってくれるだろう。全日本まで獲れる選手が出てくれば理想だな。ただ新人王を獲った選手というのはそこで一瞬満足しがちというか、気が緩む。新人王を獲ったそのままの勢いですぐに何試合かやらせないといけない。そこを踏み台にできる選手なら、そのままタイトルマッチということだって全然あり得る話になってくる。今年、そして来年のルーキーあたりはなかなか粒揃いだから、最近不調が続いたうちのランカー勢を、下から突き上げるぐらいの活躍を来年ぐらいから見せてほしいね。
まあランカー勢で言えば、下川原(雄大・ウェルター級8位)にもタイトルマッチの話が浮上してたり、秋葉(慶介・フェザー級9位)が10月21日の次戦で2位の高山和徳(船橋ドラゴン)と戦うな。秋葉はこれが最後のチャンス、ボクサーとしての正念場になるはずだ。勝てばタイトル戦線再浮上の道も見えてくるので頑張ってほしい。
うちのジムも一時は常にチャンピオンがいたし、ベルト不在の状況をいつまでも続けてはいられない。応援してくれる皆さんにも、今は谷間の時期と思って少々辛抱していてほしい。2年後、3年後にはまたチャンピオンを量産できる時代が必ず来ると思う。だから今うちにいる現役のボクサーたちは、それこそ後になって谷間の世代なんて言われないように精進することだぞ。
posted by 田中栄民 |17:30 |
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2009年10月19日
接近戦でのクリーンヒットの応酬は、世界挑戦を懸けた壮絶な潰し合いだった。フェザー級の日本人最強対決と言っていい好カードとなった10月10日の榎洋之(角海老宝石)と、OPBF同級チャンピオン・細野悟(大橋)のタイトルマッチは、メインで行われた2つの世界タイトルマッチに負けず劣らずの興奮と熱狂を与えてくれたこの日のベストバウトだった。
榎も細野も、タレント豊富な国内フェザー級の中で世界を目指すビッグネームであり、豪腕で知られるパワーヒッター同士。その両巨頭がぶつかり合ったこの一戦の注目度は戦前から高く、期待通り試合も初回から近い距離で危険なパンチを何発も交換し合い、両者一歩も退かない真っ向勝負が最終ラウンドまで続くという、ボクシングの本質を凝縮した好ファイトとなった。
結果は12回フルラウンドの攻防の末、細野が榎を判定で破り、3回目の防衛に成功したが、判定負けしたものの榎の強さを否定するような内容ではなかった。
無精髭を蓄え、まるで野武士のような佇まいでリングに上がった榎の表情は、覚悟を決めた悲壮感すら感じ取れた。
「1Rから勝負のつもりで 」と試合前に語った榎。最近の手数が少ない攻めあぐねる展開から「自分から仕掛ける」ボクシングへの転換を誓ったその言葉通り、榎は序盤から積極的に手を出していった。榎の代名詞であり”生命線”と形容される破壊力のあるジャブは細野の顔面をのけぞらせ、さらにワンツー、右、左の強打は細野をぐらつかせた。
打たれても打たれても、重戦車のように前に出てプレッシャーを掛け、常に手を出し続けた。最近の榎にはなかった手数の多さとコンビネーションは、自らが言う「進化」の成果であることは明白だった。
チャンピオン細野のバズーカは、何度もテンプルを打ち抜いたが、榎はヒザをぐらつかせてもリングに立ち、前に出ることをやめなかった。折れない榎のハートの強さには場内からもどよめきに似た歓声が沸いた。
ただ、榎のタフなハートにもっとも手を焼いたのはチャンピオンの細野だったはず。何度バズーカを打ち抜いても倒れない、打っても打っても前に出てくる榎に対して、細野は中盤からヒットアンドアウェイを効果的に使い、タイミングを図って連打をまとめるポイントも意識した戦いに出た。
これには4ラウンド毎のオープンスコア制度も若干影響したのかもしれない。最初の4ラウンドで数ポイント差(最大で4ポイント差を付けたジャッジもいたが、これはさすがにないと思ったが… )をリードした細野に対して、榎は5、6ラウンドで攻勢を強めた。左ジャブで地道に攻めるよりもショートレンジでの右、左フックなどの強打でダウンを狙いに行った。そこで細野は7ラウンド以降、打ち時を見極めたより効率の良いボクシングでポイントをセーブし、8ラウンドのスコアでも榎は序盤のポイント差を埋められなかった。
終盤に入っても両者一歩も退かず、榎も最後まで諦めず強打を狙い続けたが、細野のスピードとキレを活かしたボクシングを打ち崩すことはできなかった。
KO決着必至とも思われた試合内容だが、両者とも最後までリングに立ち続け、素晴らしい「拳闘」を見せてくれた。細野の勝利に疑問はないだろうが、勝敗を分けた榎と細野の違いはクリーンヒットの数であり、見栄えだった。経験値で勝るはずの榎よりも、細野の方が老獪さと巧さを見せたことは驚きにも思えるが、もし榎が左ジャブを最後まで突き続けられる心の余裕があったなら、試合は榎がドクターストップでTKO勝利した可能性もあったのでは。
なぜなら試合後に細野の右目眼底骨折が判明し、あらためて榎のジャブの破壊力を証明したわけだが、勝負の世界に「たら、れば」は禁物なのを承知で言うならば、試合途中でほぼ完全に閉じた細野の右目を狙えるほど冷静にしたたかに榎が戦えていたならば、もしオープンスコアでなければ榎はジャブをもっと打ち続けることができたのではと想像してしまう。
注目される榎の進退だが、結論はひとえに榎のモチベーションであり、榎の決断次第だ。引退か現役続行か、今回の試合内容を見ればどちらの決断でも納得できるだろう。個人的には「応援してくれる人たちのために」と戦ってきた榎が、今度は周囲の期待を力にして「自分のために」戦ってもいいのではないかと思う。自分がやりたいことを自分のためにやる、榎はもっとわがままにボクシングに向き合ってもいいような気がする。今後の榎の動向に注目したい。
posted by 野口 弘宜 |14:06 |
試合レポート |
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2009年10月07日
いよいよ10月10日、OPBF東洋太平洋フェザー級チャンピオン・細野悟(大橋)に挑戦する榎洋之。試合を4日前に控えた10月6日、ギリギリまで調整を続けている榎に最後の意気込みを聞いた。
――試合まであと4日ですが、練習もほぼ打ち上げですか?
「そうですね。まあでも明日もちょっとジムで体を動かしますよ。体重も順調に落ちてきてるんですが、まあジッとしててもしょうがないんで」
――仕上がり具合はいかがですか?
「ギリギリまでやってきたし、やり切った感じはあります。(トレーナーの)木内さんと2人で作りました。完璧っていうのはないと思うんですが、限りなく完璧に近い状態に仕上がったとは思ってます。ただあまり仕上がりが良いって自分で言っちゃうと気持ちにも余裕が出てきちゃうんで… 。とにかく自分のやってきたことを信じてやるしかないし、やるだけです」
――練習期間の2カ月間はどうでしたか?
「キツかったし、楽しかったですよ(笑)。とにかく木内さんと2人で作ってきたイメージに近づくことだけに集中して。初めはたっぷり時間はあると思ってたんですが、実際やってみると長かったようで短かった。ずっと自分を、追い込んで追い込んでやってきたんで、そういう意味ではあっという間でしたね」
――今回は特別、という思いもありましたか?
「そうですね。もう最後だと思うし、どんな試合でもいつも最高の状態でリングに上がろうと思ってやってるけど、今回は特別だったと思います。ここ2、3週間でぐっと調子が上がってきて今までも一番手応えを感じてます。ただこういうことを言うと木内さんに『油断するな』って怒られちゃうんですけど(笑)」
――やっぱり今回が最後のチャンスという気持ちですか?
「もう負けて言い訳するのは嫌なんで、覚悟はしてます。だから後腐れもない分、迷いもないです」
――話しぶりが落ち着いていて、精神的にも良い状態のようですね
「減量もうまく行ってるし、ストレスもないんで良い状態です」
――試合にはどういう意識で挑みますか?
「とにかく後悔しないように。終わってああだこうだ言わないように、っていうことですね。一生懸命木内さんと作ってきたものを信じて、練習してきたものをすべて出すだけです」
――どういう試合展開をイメージしてますか?
「1ラウンドから勝負のつもりでしっかり動きたいです。ただあまりガチガチにならないように、何かあったら練習してきたものを出す。やることはそれだけなんで」
――対戦相手の細野選手についてはいかがですか?
「やっぱりチャンピオン、自分は挑戦者として思い切って挑みたいと思います」
――最後に試合への意気込みをお願いします
「お世話になったたくさんの人たち、ジムやトレーナーの木内さん、そして自分を応援してくれるすべての人たちのためにリングに上がって、勝つ。それだけです」
posted by 野口 弘宜 |14:46 |
対談・インタヴュー |
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2009年10月04日
日本ライト級1位の加藤(善孝)のタイトルマッチが決まったぞ! 12月19日、後楽園ホールでチャンピオンの近藤明広君(日東)に挑む。元々は来年初めのチャンピオンカーニバルでタイトルマッチという予定だったんだが、8月に前チャンピオンの三垣君(龍次・M.T)が近藤君に1RKO負けし、新チャンピオンの初防衛戦の相手として加藤が急浮上したというわけだ。
はっきり言って加藤にしてみれば大チャンス。ベルト奪取のフラグが立ったと言ってもいいくらいだ。前チャンピオンの三垣君よりは近藤君のベルトの方が獲りやすいんじゃないかな。
まずこれは近藤君にとっての初防衛戦だということ。初防衛戦はチャンピオンにとって常に鬼門だ。そして前回のタイトルマッチで近藤君は開始45秒で三垣君をノックアウトしたわけだが、センセーショナルに見えて実は勢いで勝利した部分も強く、加藤としては序盤しっかり注意して近藤君の勢いさえ凌げれば、ボクシングの実力ではまったく劣ってない。むしろ加藤の方が実力はあるんじゃないかな。加藤にとっては過去に判定負けを喫している三垣君が相手より、新人チャンピオンの近藤君の方が戦いやすいはずだ、
ということで加藤には是非チャンピオンになってもらいたい! 予定よりタイトルマッチが早まったのも、チャンピオンが交代したばかりのまだまだ不安定な王座を狙えるというのも加藤にとっては願ってもないチャンス。近藤君の勢いにだけ気をつけて、試合のペースさえ握ってしまえば持ち味の馬力とプレッシャーで押し切れるだろう。頼むぞ加藤!
posted by 田中栄民 |18:02 |
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