2008年02月22日
子どもたちの自立問題
いま僕は全国の児童養護施設を回り、ボクシングセッションを通して子どもたちと交流を図る「Skyhigh RingS」という活動をやっています。さまざまな事情で親と離れた暮らしを強いられている子どもたちとともに汗をかき、ミットを打ち、少しでも子どもたちに笑顔を取り戻してもらいたい。寂しさを紛らわすだけでもいい、感情のはけ口の場であってもいい、そういう気持ちで活動してます。 しかし本当の問題は実は施設の中よりも、むしろ彼ら彼女たちが施設を出て社会に出て行く時、つまり自立を求められた時に起きてくるんです。18才で高校を卒業すると同時に施設を出て、仕事を見つけ一人暮らしを始める。けれども、これまで施設で育ってきた子どもたちにとって、社会へ飛び出すことは新たな人生の始まりであると同時に、その船出には大きな不安が伴うはずです。 施設を出ることの不安、一人社会で生きていくことの不安。彼らは不安で不安でしょうがないんです。僕自身も施設を出る時はそうでした。 例えばこういう話を聞いたことがあります。施設を出て就職して、だいたい初任給が16万円くらい。普通ならそこで家賃がいくら、光熱費がいくらと計算してお金を使うわけですが、施設の子どもたちの中には給料を10日ほどで使ってしまい、生活に困って施設に駆け込んでくる子がいるそうです。これは一つの例ですが、本来そうしたことは大人たちがアドバイスをしてくれたり、手助けしてくれたりするものですが、彼らには社会でともに生きてくれる、助けてくれる大人たちが少ないし、彼ら自身も大人たちに対して不信感を持ってる場合も多いのです。 もちろん施設を出て頑張っている子たちがたくさんいるのも知っています。ただ、何も分からず不安を抱えた子どもたちが容易に夜の世界に足を踏み入れてしまい、社会での暮らし、そして人生そのものを諦めてしまう、現場を回っているとそういう話も耳にします。 僕はこの子どもたちの自立問題に向き合わないことには、本質の部分は解決しないと思ってます。いま僕にできることは、と考えて、ボクシングの世界に進みたい子たちをサポートすることから始めようと思っています。 僕が彼らと同じような気持ちだった時、僕にはボクシングがあったから。僕はボクシングの世界で生きて初めて人間の愛情や優しさを知り、生きることの「熱」を感じ、救われたから。「第二の坂本博之」じゃないですが、ゆくゆくは角海老宝石ジムで僕がトレーナーとしてそういう子たちを育てチャンピオンを作れたら……。これは僕の夢の一つでもあります。 まずは僕ができることを一歩ずつ。将来的には施設の子どもたちの自立問題という難題にともに向き合ってくれる大人たちや企業などと協力していければ、と考えています。 社会に出ていく子どもたちに。大人たちは社会の厳しさ、辛さばかりを言うかもしれないけれど、決して人生を諦めないで。生きる楽しみ、生きがいを見つけられば世の中意外と捨てたもんじゃないから。それに君たちの周りには意外と頼れる大人たちがいることも忘れないでほしい。 写真:坂本博之公式ブログ引用
posted by 坂本博之 |17:18 |
坂本博之「熱導・新世界」 |
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