2007年11月29日
11月17日に行われた元東洋ライト級王者の坂本博之と元東洋スーパーフェザー級王者の本望信人の引退興行。目玉となったのは、日本ボクシング界の一時代を築いた2人のボクサーによる3分3ラウンドのスパーリング。両選手のファンにはたまらない最初で最後の夢の競演だが、やはりリングに立てばお互い手抜きはなし。最後のリングは2人の熱のこもった激しい戦いの場となった。
KOモンスターと呼ばれる世界スーパーフェザー級王者・エドウィン・バレロとの熱戦が記憶に新しい本望信人がまずは入場。現役時代と同じ白のジャケットにブルーのトランクスをまとってリングイン、早くも場内からは本望コールが沸く。
そしてお待ちかね、「平成のKOキング」こと不動心・坂本博之の入場。この曲がこれほど似合うボクサーも他にはいないだろう。不遇な少年時代を送った坂本が、自ら新世界を切り開くために選んだテーマ曲、ドバルザークの「新世界」が流れ始めると花道には人だかり。日の丸の上に不動心の文字が縫い込まれた白のガウンと、白のトランクスに身を包んだ坂本が正真正銘、最後の勇姿をファンの前に見せると大歓声が場内に鳴り響く。
リング上では2人の最後のリングを裁くレフリーを、角海老宝石ジムに所属し、スーパーウェルター、ミドル級の2階級を制覇した元日本王者、ビニー・マーチン氏が務めることが発表され、続いてボクシングの試合ではお馴染み、富樫アナがいつにも増して熱の入った口上で2人の歴戦を称える長いリングコール、場内の興奮は絶頂に。
そして両者がヘッドギアを着け、いよいよゴングが鳴る。
力の坂本、技の本望。見事に対称的な2人のボクシングスタイルが1ラウンドから披露される。フットワークを効かせてパンパンと素早いジャブを打ち込み、出入りの激しいボクシングを展開する本望に対して、ゆっくりと距離を詰めながら強打のコンビネーションを狙う坂本。この日のためにそれぞれしっかりトレーニングを積んできたこの2人の動きはまさに現役時代を彷彿させるもので、1ラウンドが終了すると大きな拍手が沸き起こる。
第2ラウンド。まずは本望が魅せる。坂本のプレッシャーを受けてロープに詰められると、すかさず得意のウィービングで坂本の連打をかわす。あの怪物バレロをも苦しめ、アンタッチャブルとまで言われた本望の高いディフェンス技術に場内からはため息が漏れる。すると坂本も左手をダラリと下げた往年のデトロイトスタイルでフック気味にボディーから顔面へのコンビネーション。本望もしっかりとブロックするが、ガードの上からでも威力抜群だ。
あっという間の第2ラウンドの3分間が終わる。そして泣いても笑ってもこれが最後、いよいよ第3ラウンド。ラウンド開始前には坂本が両手を上げて場内を煽る。これに場内は坂本コールと本望コールが交錯した大歓声で応える。
最終ラウンドが始まると序盤から2人の拳が激しく交錯する。細かい連打を繰り出す本望に対して、力一杯のパンチを振るう坂本。すでに現役を退いたボクサー同士とは思えぬほどの熱い戦いぶりは、もはやエキシビジョンマッチの域を超えたガチンコ勝負。
試合前に「正直体が厳しい」と話していた坂本だが、最後までパンチを出し続け、過去に何人ものボクサーをリングに沈めてきた必殺の左フックもいまだ健在、時折本望の体からドスンという重たい音が聞こえる。一方の本望は現役と変わらぬキレを見せ、まだまだ引退は早いというファンの声を裏付けるほどの動きの良さ。
ボクシングに対する2人の思いが詰まった精一杯の戦いは最後の1秒まで続き、試合終了のゴングが鳴ると抱き合ってお互いの健闘を称えた。レフリーのビニー・マーチン氏が両者の腕を高々と掲げ、2人の最後の勇姿をしっかりと目に焼き付けたファンたちは大歓声と大きな拍手を送る。
引退セレモニーでは、本望は東洋チャンピオンのベルト、そして坂本は幼少期を過ごした福岡の児童養護施設「和白青松園」の子どもたちから贈られた手製のベルトを腰に巻いて挨拶。
本望「みっともない姿は見せられないと思い、時間を作って精一杯トレーニングをしてきましたが、やはり現役時代のようには動けない自分がいて悔しかったです。でも本当にたくさんの方たちに来て頂き、素晴らしい引退式が出来て本当に感謝しています。どうもありがとうございました!」
坂本「2000年の畑山戦でベルトが獲れず、僕の故郷である『和白青松園』の子どもたちがこのベルトを作ってくれました。ベルトを獲れなかった僕は複雑な気持ちで、このベルトを本物の世界のベルトに変えてやろうと思って再起しましたが、今となってはこのベルトこそが世界でたったひとつしかしない本当に贅沢なベルトだと思っています。15年間のボクシング人生で僕はたくさんのものを皆さまから頂きました。愛情や熱……。そう僕がボクシングから学んだことは『熱を持って接すれば、必ず熱を持って返ってくる』ということ。今日は皆さんにこの熱を捧げます。本当にありがとう!」
セレモニーの最後は惜別のテンカウント。ボクシングを通して2人が生み出した数々のドラマがまるで走馬燈のように脳裏を駆けめぐる。リング中央で目を瞑ってゴングを聞く本望と坂本もきっと長いボクシング人生に思いを馳せたことだろう。
すべてのセレモニーが終わり2人がリングを降りると、駆け寄ったファンたちが本望、坂本を胴上げ、場内は最後まで温かい拍手と声援に包まれていた。
posted by kadoebi1 |13:15 |
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2007年11月27日
いよいよ小林(秀徳)のタイトルマッチが近づいてきたぞ。本人も初タイトル挑戦にモチベーションも高いし、練習も尻上がりに良くなって仕上がりも順調だ。
相手はチャンピオンの下田(昭文)君だが、角海老勢ともよくスパーリングをするけれども非常に能力の高い選手だ。サウスポーのスピードスターで、近年のボクシング界では希に見るスピードとキレを持った本当に良い選手。能力で言ったら当然小林より上だし、下馬評でも誰もが下田君の勝利を予想していると思う。
でも何度も言うようにボクシングは何が起こるか分からない、筋書き通りには行かないスポーツだ。総合的に見れば下田君に劣っている小林も、自分の長所をかき集め、それに見合ったしっかりとした戦略を立てれば勝てる道は絶対ある。当時チャンピオンだった(渡邉)一久が格下の梅津(宏治)君に負けたように、ボクシングは能力だけで勝てる世界じゃないからな。むしろ俺は下田君のようなボクサーは意外と小林のようなタイプが苦手なんじゃないかなとひそかに思ってる。
小林は目のケガをして4年7カ月のブランクがあったり、過去辛い思いを経験してきて精神的にはかなりタフな選手になっている。ブランクの間もスパーのビデオを送ってきたり、ボクシングに対する思いも人一倍ある。本人はあまり感情を表に出すタイプではないが、この試合に懸けるうちに秘めた闘志は相当燃えているはずだ。
小林が確実に下田君を上回っている部分はまずはそうしたメンタル面。小林は粘り強く、しつこいよ。それに新人王も獲ってることを見ても分かるように実戦には非常に強い。特に相手が強いと逆に燃える方だ。序盤速攻勝負に出てくるだろう下田君をしっかりと捌き切って、後半までもつれ込めば勝機は必ず出てくるだろう。
今回はサウスポー対策もばっちりやったし、小林は元々基本がしっかり出来ている選手だ。左の使い方も上手だし、この左の使い方が今回の勝負のポイントになってくる。下田対策で考えたコンビネーションもだいぶ体に染みついてきたし、なんとか若きホープの鼻をあかしてやりたい。それにうちのジムにもそろそろ新しいベルトが欲しいしね。
性格もおとなしいし見た目も地味な小林だが、何かをやらしてくれそうな気がしてる。当日はみんなも応援よろしくな!
posted by kadoebi1 |17:52 |
田中栄民の徒然なるまま日々のこと |
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2007年11月24日
☆S・フェザー級4R
△中野 晃志(角海老宝石) [判定4R1-1] 鈴木 義行(マナベ)△
中野のチーフセコンドを務めた殿こと加藤良紀トレーナーと、鈴木陣営の真部豊会長(元日本S・バンタム級チャンピオン)は、宮田ジム時代のステーブルメイト。試合開始前、リング中央で愛弟子の健闘とクリーンファイトを誓い、固い握手を交わした元同僚が両コーナーに散った瞬間、戦いの火蓋が斬って落とされた。
尊敬するリカルド・ロペス(元WBC・WBA・WBO世界ストロー級、IBF世界L・フライ級チャンピオン)に倣い、ガードを高く上げた状態でゴングを待った中野は、開始早々に突進してきた鈴木の左フックで顔を跳ね上げる。勢いに乗って左右フックを振り回す鈴木に対し、中野はガードを固めて嵐が収まるのを待った。この流れは一旦、沈静化したものの、一呼吸を置いて鈴木は連打を再開、一気呵成に攻め込む。ロープ際で右フックを浴びヒザを折った中野は、鈴木の大振りに助けられ、このピンチは乗り切ったが、相手のスタイルにやりにくさを覚えている様子を窺わせる。
2R、「セコンドアウト」のアナウンスがかかるまでゆっくりと椅子に腰掛け、息を整える中野とは対照的に、戦闘体勢に入る鈴木はゴングが鳴るのを今や遅しと待ち構える。このラウンドも少々押され気味の中野だったが、中盤以降に鈴木はオーバーペースから疲れを見せ始める。それに乗じて、中野は右ショートを快打。中野の踏み込みはまだ甘いが、少しずつペースを引き寄せつつあった。
3R、ボディ攻めを重点的に試みる鈴木に、中野は随所でクリーンヒットを奪った。しかし、いかんせん単発なのが惜しい。
4R、細かいボディへの連打、ガードのインサイドを突いて左フックを差し込む鈴木だが、クリーンヒット自体は少ない。一方の中野も右ストレートで反撃。が、やはり後続が出ず、ヒット自体も浅い。結局、互いに決定打を叩き込めず、勝負はジャッジの採点に委ねられた。
結果は39-37(鈴木)、39-38(中野)、38-38の三者三様でドロー(優勢点で鈴木に軍配)。全ラウンドを通じ、ヒット数はほぼ互角。だがダメージを集積すると、やはりパワーに勝る鈴木が上回り、また瞬間瞬間でガーッと攻め込む鈴木の試合運びの方が見栄えに優れていたという評価になった。
☆フェザー級4R
×山本 晴道(角海老宝石)[TKO3R2:59] 澤井 大祐(シャイアン山本)●
背格好・スタイルも似ているサウスポー同士の一戦。ジャブ、左ストレートを顔面・ボディに散らして先制した澤井はハーフタイム辺りから右のリードが冴えを増す。
初回終了間際、バランスを崩したところで右フックを打ち込まれて、痛恨のダウンを喫した山本は、続く2Rに左のカウンターで倒し返す。再開後も左をヒットし、澤井の身体を泳がせたが、中盤から澤井の反攻が開始。今度は山本が右フックでグラつかされ、出血も見られ始めた。
3R、ロングレンジからの右ジャブ、左ストレートで顔面を弾かれた山本は、澤井のパンチに合わせに行こうとするが、パンチを振り出した時には既に澤井はその場所におらず、虚しく空を切る。澤井のパンチに晒される山本の消耗は激しく、リング中央で右フック、左ストレートのコンビを浴びると、繋ぎ止めてきた糸が断ち切られたように、後方に弾き飛ばされた。
敗者となった山本だが、実は2Rに眼窩底骨折を発症させていた。途中から手数が減ったのは、被弾のダメージも少なからずあったにせよ、距離感・遠近感が掴めなかったことが影響していた面も多分にあったに違いない。痛く傷つきながらも、お互いの健闘を称え合ってリングを後にした好漢・山本は、怪我が完治した11月後半からジムワークを再開させている。
posted by kadoebi1 |16:36 |
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