2006年10月29日

渡邉一久に言いたいこと

97年エディ・タウンゼント賞受賞の名伯楽、角海老宝石ジムの「先生」こと田中栄民チーフトレーナーが選手のことやジムでの出来事、試合の裏側などを毎月語ってくれます!!


今回は少し一久のことについて話したいと思う。皆さんもご存じの通り、一久は先日のタイトルマッチに破れてせっかく手にした大事な日本チャンピオンのベルトを失った。俺の教え子だから俺自身非常に悔しい思いでいっぱいだ。

何より自分の実力を発揮できずに自爆とも言える負け方をしたことは本当に残念でならないんだよ。確かに右の拳を痛めていて左一本で調整せざるを得ず、コンディションは最悪に近い状態だった。だからこそ試合だけに集中してもらいたかったんだが、チャンピオンになって慢心していたのか、相手をなめていたのか分からないが、当日も入場のことや試合とは別のことばかりを気にしていて、俺が喝を入れてもどこか上の空な感じがあった。

試合が始まってみれば無意味な挑発やレスリング行為、しかも熱くなって右を大振りして痛めていた拳をさらに痛め、そして極めつけの頭突きだよ……。ボクシングとは言えない無様な醜態には言葉が出なかった。

それでも終盤の追い上げを見れば分かる通り、あいつが普通にボクシングをやれば十分勝てた相手だったのに、自ら破滅の道へ突っ走って絶対落としちゃいけない試合をあいつは落とした。

要するにあいつはまだまだ子供なんだよな。ガキ大将のメンタリティーから抜け出せてなくて、しかもなまじ才能があって日本チャンピオンにまでなれちゃうから、ああやって調子に乗るのも分からない訳じゃない。でも俺はこれだけは確実に言える。ボクシングはそんなに甘くねえぞ。ガキ大将が天下取れるほど甘い世界じゃねえぞって。

しかし、いま振り返ってみればこれは一久にとって起こるべくして起きたことだし、考えようによっては一度どん底を味わうってことも一久のような人間にとっては悪い経験じゃない。一度どん底を見れば二度と同じ過ちは繰り返さなくなるのが人間だ。

この敗戦はあいつのボクシングキャリア、もっと言えばあいつの人生を見つめ直す大きな節目になるはずだし、あいつがボクサーとして、人間としてひとつ成長するきっかけにもなるはずだ。将来偉大なチャンピオンになって「あれは若気の至りでした」って言えるように、一久にはここからの成り上がりを期待したい。

渡邉一久
おい一久。お前ここで逃げたら一生後悔するぞ。いまは苦しめ、どん底を味わってみろ。でもこの悔しさを絶対忘れんなよ。諦めんな、もう一勝負やるぞ。


続きを読む...

posted by 角海老広報室 |16:46 | 田中栄民の徒然なるまま日々のこと | コメント(0) | トラックバック(0)
みんトピに投稿 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加