2008年09月29日
全国の児童養護施設でボクシングセッションを通して子どもたちと交流するSRS(Skyhigh RingS)の活動も、8月でついに1周年を迎えました。SRSに協力してくれるボクサーやスタッフの方たちはみなボランティアで、何かの見返りを期待して参加しているわけじゃありません。僕が運営している『こころの青空基金』が活動の主体となっていますが、志と心意気だけでこの活動を支えてくれるボクサーやスタッフの方たちの力によって成り立っています。
この1年の間で回った施設の数は20カ所、地道にやってきて手応えも感じるようになってきました。振り返ってみると、一人で始めたこの活動も少しずつ輪が広がっていき、施設側からのリアクションや「是非うちにも来てほしい」といった要望の声も増えてきています。自分にできることがほんの少しでも子どもたちのためになっていると実感する反面、子どもたちをめぐる状況がますます深刻になってきていることの裏返しでもあります。
自分たちにできることは、ボクシングを通して子どもたちの記憶の中にポジティブな思い出をひとつでも多く残してあげることなんじゃないかなと思います。あの時は楽しかった、たくさん笑った、たくさん話した、そして自分と真剣に向き合ってくれる大人たちもいるんだということも。どんな些細な思い出でもそれが前向きなものであれば、時が経ち、後々振り返った時にも前向きな感情を想起させてくれるはずです。そして、それが少しでも子どもたちの希望や夢に繋がっていってくれたらと切に願っています。
そのためにはいかに自分たちの「熱」を子どもたちに伝えられるか――。昔ながらの人情や互助精神が希薄になり冷めた世の中だからこそ、子どもたちの冷えた心を少しでも温めてやれればと思っています。
そして今はまだ小さなこのSRSの輪をもっともっと広げていくこと。子どもたちをめぐる現状に気づき、目を向けてくれる人が一人でも増えれば、何かが変わるきっかけになると信じています。
将来的には「ボクシングを通じた子どもたちへの支援活動」という名の下に、その土地のボクシングジムと協力体制を築けさえすれば、僕がいなくてもその土地のボクサーたちが意識を持つことによって、何かのアクションができる。そんなことを漠然と考えています。そして、ゆくゆくはボクシング界全体でSRSが出来るような状況になれば、社会に対する大きなうねりになれるかもしれない。今はそんなことをSRSのビジョンとして頭の中に描いています。
「強い者が弱い者を守る」というのは社会の基本原則だと僕は思っています。子どもたちが育ったこの社会は僕たち大人が作ってきたものです。子どもたちは大人たちの映し鏡です。大人たちが自分の問題として当事者感覚を持つことできれば、そして大人が子どもを守るということが当たり前の世の中になれば少しは変わっていくのではないでしょうか。それこそがきっと一人ひとりの大人が自分たちの責任でできることなのかもしれません。
まずは地道に次の1年も。どんなことが待っているのか分かりませんが、一人でも多くの子どもたちと出会い、ともにセッションをしたいですね。これからも宜しくお願い致します。
posted by 坂本博之 |17:11 |
坂本博之「熱導・新世界」 |
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2008年08月26日
小堀(祐介)が参加してくれた埼玉に続いて、東洋フェザー級チャンピオンで世界戦を控えている榎(洋之)がSRS(Skyhigh RingS)に初参戦してくれました!
しかも場所が榎の地元・秋田とあって、年内にもビッグマッチを控えている榎ですが、2つ返事で快諾してくれ、さらに夫妻でスケジュールなどの段取りもケアしてくれました。このSRS秋田遠征は、榎夫妻の協力があったからこそ実現しました。本当にありがとう。
そしてもう一人、心強い仲間が同行してくれました。SRS2度目の参加となる元日本3階級制覇のチャンピオン、K1でも活躍する格闘家の前田宏行です。父親でもある前田は、子どもたちを乗せるのがびっくりするくらい上手くて人気者です。
秋田には現在4カ所に児童養護施設があるんですが、2日間にわたってそのうちの2カ所でSRSのセッションをやりました。
SRSのセッションは毎回毎回、真剣勝負です。本当にボクシングの1試合分くらいのエネルギーを僕たちも使います。自分たちが子どもたちと真剣に向き合わなければ、そこに「熱」は生まれないし、思いも伝わりません。こちらが真剣だからこそ子どもたちも「熱」を返してくれるんです。
初日の陽晴学園でのセッションも熱かった。僕らはミット打ちのデモンストレーションをする時も本気でやってます。それが伝わったのか、たくさんの子どもたちがグローブを着けてくれ、僕たちも子どもたちのさまざまな思いがこもった拳を本気で受け止めました。
2日目の「聖園天使園」も同様に盛り上がりました。2日続けてやるのは初めてでしたが、みな疲れひとつ見せずに子どもたちとのセッションに汗を流し、セッション後に必ずやっている「おやつタイム」でも子どもたちと精一杯交流してきました。
後日先生からの届いた手紙では、秋田は日本でも自殺率が高い地域で、特に最近は景気も悪く暗いニュースばかりで、SRSのような明るい話題を心待ちにしていました、と綴られていました。僕たちの活動が喜んでもらえたことは嬉しいですが、その背景には複雑な現実があるのもまた事実なんです。
初参加の榎も「色々考えさせられました。でも参加して本当に良かった」と言ってくれました。榎は熱い男だし、やっぱり自分の地元ですから思いも特別だったと思います。次に来た時はこうしよう、ああしようとセッション後も色々と考え込んでいて、でもそれは榎が自分たちと同じ土俵に上がってくれているからこそ。俺はそれが榎のSRSの活動に対する熱い気持ちの表れだと思ってます。
前田は2回目でしたが、「手に傷がある子が無我夢中でミットを打っている姿を見て、思い切り抱きしめてあげたくなった」と複雑な表情で語ってきました。
子どもたちが抱える問題にはさまざまな事情があり、一筋縄では解決できないことも多いのですが、それでも前田のようにこの活動をきっかけにそういう現実があることを知るだけでも大きな一歩なんじゃないでしょうか。僕はそう思います。
また秋田には是非戻ってきたいですね。それと今回の秋田遠征では、中学生の頃から榎を応援し続けている榎の後援会秋田支部の石井春雄さんには大変お世話になりました。僕らでもハードなミット持ちまでやってくれて、熱いハートを持った最高の方でした。この場を借りてあらためてお礼を言わせて下さい。石井さま、本当にありがとうございました。また秋田でやりましょう!
※写真は坂本博之ブログから
posted by 坂本博之 |13:03 |
坂本博之「熱導・新世界」 |
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2008年08月23日
今回は世界ライト級チャンピオンの小堀(祐介)、斉藤(直人)、ツネ(佐藤常次郎)というメンバーで、7月20日に埼玉県熊谷市にある児童養護施設「雀幸園」でSRS(Skyhigh RingS)のセッションをして来ました。
実は小堀は去年の9月にもここを訪れていて、その時に日本チャンピオンのベルトを掲げて、「これを世界のベルトに変えてまた戻ってきます」て約束してたんです。そこで今回晴れて世界チャンピオンになったということで、じゃあその約束を果たしに行こうじゃないかと。
雀幸園では、50人近くの子どもたちが集まってくれました。セッションを始める前に小堀とアルファロの世界戦の映像をみんなで見てから小堀に登場してもらったんだけど、前回の約束を覚えていてくれた子たちもいてくれて、小堀が出てきた瞬間は「オー」とか「ワー」とか大歓声。特に小堀の試合は3RKO勝ちで、時間も10分程度でインパクトもあるから、張本人の登場に子どもたちも大喜びでした。小堀も「みんなの力と応援があったから、チャンピオンになれました。次の試合にはぜひみんなを招待したい」って挨拶してくれて、さらに会場も盛り上がりました。
実際子どもたちからの人気も小堀が一番で、本人も「こんなにモテたのは生まれて初めてです」って言ってましたね(笑)。
ツネはその人柄とキャラクターから5歳くらいまでの小さい子からすごく人気があって、斉藤はさすがイケメン、女の子たちを独り占めしてました(笑)。自分は現場監督的な立場で子どもたち全員を見てたんですが、世界チャンピオンの小堀は特別としても、そんな選手の特徴を子どもたちは敏感に感じ取っているんでしょう。見ていて面白かったです。
それと個人的に印象に残ったのは、セッションが始まる前に突然誰かに手をつかまれて、振り向くと前回訪問した時に参加してくれた17歳の男の子が笑って立っていたんです。僕のことを覚えていて駆けつけてくれて、そういう子どもたちの素直なリアクションはすごく嬉しいです。その子も1年前より体が大きくなっていて、こうやって2度目の訪問だと子どもの成長にも驚かされました。
セッション自体も小堀たちが頑張ってくれて、子どもたちも自分の中に溜まった色々なものを吐き出すようにミットを打ちまくり、本当に熱い交流ができました。
いつも思うんですが、ボクシングを通して子どもたちに伝えられることは本当に大きい。子どもたちがパンチを打ち、僕たちはパンチをミットで受ける。ただそれだけ、言葉はいりません。でもたったそれだけでも十分にお互いの「熱」は伝わり合うんです。
そしてそこで生まれた熱がまたどこかで熱を呼び、循環していく。それがSRSの醍醐味だと思っています。
今回は小堀、斉藤、ツネ、本当にありがとう。それと斉藤は「日本チャンピオンになってまた帰ってきます!」って約束したからには、今度はベルトを持って行こうな。
※写真は坂本博之ブログから
posted by 坂本博之 |14:18 |
坂本博之「熱導・新世界」 |
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2008年06月19日
小堀が世界チャンピオンになりました! まずは小堀に心からおめでとうと言わせてください。俺が4度挑戦しても取れなかったライト級の世界タイトル、やってくれました。しかも試合を決めたパンチは左フック、俺が得意にしていたパンチだったから、本当に自分のことのように嬉しいです。ガッツ石松さん、畑山(隆則)に続いて日本人3人目の快挙だそうで、俺の代わりに小堀が3人目になってくれました。
小堀の1代前の日本、東洋スーパーフェザー級チャンピオンの本望(信人)と一緒に解説をやらせてもらったんですが、あとでビデオを見てみたら、ついつい感情的になってしまって自分は小堀寄りのコメントばかりでしたね(笑)。
お互いファイター同士だし、とにかく最初の3ラウンドが勝負だと思っていたので、そうしたら本当に3ラウンドで小堀がカウンターの左フックでダウンを取り、そのまままとめてチャンピオンのアルファロを倒してしまいました。
しかも2ラウンドでダウンを取られてからの逆転KO勝利だったから、これを乗り越えた小堀はまだまだ強くなる。試合も2人のパンチが激しく飛び交うスリリングな内容で本当に熱い試合でした。この熱をもっともっと大きくしていってもらいたい、そう思っています。
小堀は、ジムに入門した頃からいつも俺のスパーリングパートナーをやってくれたり、ともに戦ってきた大切な仲間です。左フックの打ち方を教えたこともあったし、昨年の小堀のアメリカ合宿にも同行しました。今回の試合前に小堀が腰を痛めた時は、とにかく安心させてやろうと俺と本望で声をかけたりもしました。
それに小堀は、俺が『こころの青空基金』で活動してるSRS(Skyhigh RingS)にも参加してくれて、埼玉の養護施設に行った時は日本チャンピオンのベルトを持って、「これを世界チャンピオンのベルトに変えてまた来ます」と子どもたちの前で宣言してたんです。だから試合当日の控え室では、「お前、埼玉の子どもたちに約束したよな、覚えてるな。絶対ベルト獲ってこいよ」と最後に伝えました。
試合が終わった時はなかなか実感がわかなかったけれど、小堀がベルトを持ってきてくれた時に、「本当にこいつが俺の獲れなかったベルトを獲ってくれたんだ」と、なんだか感慨深くなってしまいました。
小堀は極めて平凡な男です。持って生まれた才能もあるのかもしれませんが、小堀は地道に努力を重ね、自分の力で強くなり、そして世界の頂上を極めました。
小堀のような男が世界チャンピオンになれたことは、僕は大きな希望を与えることだと思ってます。最近は元気がないと言われる若い世代や、もちろん日本のボクサーたちにも、頑張れば何かを成し遂げることができるんだ、ということを小堀が証明してくれた気がします。
そんな小堀にはとにかくできるだけ長い間チャンピオンでい続けてほしいですね。小堀が世界の舞台で今回のような熱い試合を続けてくれれば、きっと日本のボクシング界ももっともっと盛り上がるはず。僕も微力ながらできる限りサポートしてやりたいと思っています。
小堀、今度埼玉の子どもたちにそのベルト見せてやりに行こうな!
posted by 坂本博之 |15:10 |
坂本博之「熱導・新世界」 |
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2008年05月17日
5月19日にWBA世界ライト級タイトルマッチに挑戦する小堀佑介に、同じくライト級で4度の世界挑戦を経験した元東洋太平洋チャンピオンの不動心・坂本博之から応援コメントが届いた。引退後は児童養護施設への支援活動に力を注ぐ一方、角海老宝石ジムでトレーナーも務める坂本は、昨年夏のアメリカ合宿に同行するなど小堀と親交も深く、小堀にとっては尊敬してやまない誰よりも心強い大先輩からのエールだ。
「まだ学生服姿のお前がジムに入門してきたのは、ちょうど俺が3度目の世界挑戦を控えていた頃だったか。入門したばかりなのに恐がらずによく俺のスパーリングの相手をしてくれて、なかなか度胸のある奴だなって思ったのを覚えてるよ。その頃のお前は俺にとって汗をかくのにちょうどいい相手だったから、いつも相手をしてもらってたな。
そんな学生服時代の頃から知ってる小堀が世界最高峰の舞台に立つんだから俺自身も感慨深いものがあるし、すごく嬉しく思ってる。いつの頃か、俺に『左フックの打ち方を教えてください』って聞きに来たっけな。左フックは俺の得意のパンチだったし、『こうやって腰をしっかり回転させて打つんだぞ』って教えてやったけど、確か小堀が日本チャンピオンになる前かな。ミット打ちの時にずいぶん良い音出してる奴がいるなと思って見たら小堀の左フックだったんだよな。その時には『ずいぶん力をつけてきたな』って思ったし、それからはあれよあれよとどんどん強くなって、今ではお前の左フックも十分世界に通用するパンチになったと思うぞ。
5月19日の世界戦はお前の最高のステージになる試合だ。悔いのないよう思い切ってぶん回して来いよ。それにライト級は俺にとっては4度もの世界挑戦の末に獲れなかった階級だからな。小堀、頼むぞ!!」
posted by 坂本博之 |14:34 |
坂本博之「熱導・新世界」 |
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