2008年04月09日

坂本博之「熱導・新世界」 講演の日々

坂本博之
 最近はメディアの取材、講演の依頼も増えてきました。取材はまだしも、さすがに講演は初め少し抵抗がありましたね。人前で喋ることはリングでしかしたことがないし、やっぱり恥ずかしかった……(苦笑)。でもいまの子どもたちをめぐる状況をもっと多くの人たちにアピールするためには、講演みたいなことも必要なことだってようやく思えるようになりました。  一回の講演を終えるとボクシングの試合が終わった時のようにどっと疲れるんですよ。それは児童養護施設を回る「Skyhigh RingS(SRS)」の活動にしてもそうなんだけど、もしかしたらSRSでも講演でも、子どもたちやその場にいる人たちと僕が交わるのはその一度きりのセッションしかないかもしれない。そう考えると手抜きは絶対出来ない。だからこの一度きりのセッションに費やすエネルギーは、ボクシングの一試合分と同じくらい、もう終わると毎回ヘトヘトです(笑)。  先日、川越少年刑務所で収監されている少年たちの前で講演をしてきました。ここは少年院と違い少年刑務所は過去に重罪を犯した子どもたちが収監されています。子どもたちの目を見ると分かるんですよね。自暴自棄っていうか冷めた目をしてる子たちが多かった。  僕は生い立ちやボクシングのこと、これまでの自分の人生について話しました。彼らに言ったことは「それが自分の運命だと思うな」ということ。彼らの多くは自分の不幸な境遇や環境を「運命」だと思って人生を投げてしまっている部分があって、でも本当は人生は自分の力で好きなように、どうにでも変えられる。僕はそれを自分の人生に照らし合わせて彼らに語った。もっと人生を熱く生きてほしいと伝えました。  彼らは真っ直ぐ僕を見て熱心に話を聞いてくれました。講演が終わって彼らから手紙をもらい、「今まで自分は不幸な人間なんだって思い込んでた。でも坂本さんの話を聞いて考えが変わった」、そう言ってくれた子もいました。僕の「熱」を受け取ってくれた子がいたことをを本当に嬉しいと思っています。  今の子どもたちはどこかすごく冷めてるんですよね。夢や希望を持つことをしないっていうか、すごく現実的で半ば人生を諦めている子も多い。僕はそういう子たちの心に火を付けたい。  やっぱり子どもたちにはいつも夢を持っていてほしいんです。そして自分がその夢に向かって邁進すれば、きっとその過程から色々なことを学び、夢は実現するはず。夢=現実、そういう気構えで自分の力でこれからの人生を切り開いていってほしいですね。


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posted by 坂本博之 |13:35 | 坂本博之「熱導・新世界」 | コメント(3) | トラックバック(0)
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2008年02月22日

子どもたちの自立問題

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  いま僕は全国の児童養護施設を回り、ボクシングセッションを通して子どもたちと交流を図る「Skyhigh RingS」という活動をやっています。さまざまな事情で親と離れた暮らしを強いられている子どもたちとともに汗をかき、ミットを打ち、少しでも子どもたちに笑顔を取り戻してもらいたい。寂しさを紛らわすだけでもいい、感情のはけ口の場であってもいい、そういう気持ちで活動してます。  しかし本当の問題は実は施設の中よりも、むしろ彼ら彼女たちが施設を出て社会に出て行く時、つまり自立を求められた時に起きてくるんです。18才で高校を卒業すると同時に施設を出て、仕事を見つけ一人暮らしを始める。けれども、これまで施設で育ってきた子どもたちにとって、社会へ飛び出すことは新たな人生の始まりであると同時に、その船出には大きな不安が伴うはずです。  施設を出ることの不安、一人社会で生きていくことの不安。彼らは不安で不安でしょうがないんです。僕自身も施設を出る時はそうでした。  例えばこういう話を聞いたことがあります。施設を出て就職して、だいたい初任給が16万円くらい。普通ならそこで家賃がいくら、光熱費がいくらと計算してお金を使うわけですが、施設の子どもたちの中には給料を10日ほどで使ってしまい、生活に困って施設に駆け込んでくる子がいるそうです。これは一つの例ですが、本来そうしたことは大人たちがアドバイスをしてくれたり、手助けしてくれたりするものですが、彼らには社会でともに生きてくれる、助けてくれる大人たちが少ないし、彼ら自身も大人たちに対して不信感を持ってる場合も多いのです。  もちろん施設を出て頑張っている子たちがたくさんいるのも知っています。ただ、何も分からず不安を抱えた子どもたちが容易に夜の世界に足を踏み入れてしまい、社会での暮らし、そして人生そのものを諦めてしまう、現場を回っているとそういう話も耳にします。  僕はこの子どもたちの自立問題に向き合わないことには、本質の部分は解決しないと思ってます。いま僕にできることは、と考えて、ボクシングの世界に進みたい子たちをサポートすることから始めようと思っています。  僕が彼らと同じような気持ちだった時、僕にはボクシングがあったから。僕はボクシングの世界で生きて初めて人間の愛情や優しさを知り、生きることの「熱」を感じ、救われたから。「第二の坂本博之」じゃないですが、ゆくゆくは角海老宝石ジムで僕がトレーナーとしてそういう子たちを育てチャンピオンを作れたら……。これは僕の夢の一つでもあります。  まずは僕ができることを一歩ずつ。将来的には施設の子どもたちの自立問題という難題にともに向き合ってくれる大人たちや企業などと協力していければ、と考えています。  社会に出ていく子どもたちに。大人たちは社会の厳しさ、辛さばかりを言うかもしれないけれど、決して人生を諦めないで。生きる楽しみ、生きがいを見つけられば世の中意外と捨てたもんじゃないから。それに君たちの周りには意外と頼れる大人たちがいることも忘れないでほしい。 写真:坂本博之公式ブログ引用


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posted by 坂本博之 |17:18 | 坂本博之「熱導・新世界」 | コメント(6) | トラックバック(0)
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2008年02月20日

全国のボクシングジム、ボクサーの皆さまへ

20080220
 全国の児童養護施設を訪問してボクシングを通じた交流を図る「スカイハイリングス(SRS)」の活動も少しずつ軌道に乗ってきています。これもひとえに「こころの青空基金」に対する皆さまの協力のおかげであり、支援して下さる方たちへの感謝は尽きません。  角海老宝石ボクシングジムでトレーナーとして修行する中で、時間の合間を縫って自分自身のライフワークとして始めたこのSRSのセッションですが、最近では「是非私たちの施設にも」といった声も届くようになり、ますますやる気になっています。  この活動は決して僕一人でできるものではありません。特にメインイベントとなるボクシングセッションは、毎回角海老ジムのボクサーたちの力を借りています。  これまで子どもたちにボクシングを教えたこともなければ、子どもたちとともに体を動かす機会もあまりない現役のボクサーたちも、SRSのセッションに真剣に取り組んでくれ、またボクサー自身が子どもたちから熱い思いを受け取っていることも傍から見ていて伝わってきます。  ボクシングを通じて子どもたちの笑顔からエネルギーをもらい、そして子どもたちの精一杯の思いがこもった拳をミットで受ける。熱の相互作用というべきか、僕の活動のテーマでもある「熱を持って接すれば、熱を持って返ってくる」ことをまさに実体験しています。子どもたちに勇気を与え、子どもたちから勇気を貰い、ボクサーたちもますます負けられないという思いを強くしています。  そこで今回のこのコラムでは全国のボクシングジム、並びに選手やスタッフの方々にSRSの活動への協力を呼びかけさせて下さい。できれば地元のボクサーたちに子どもたちと一緒に体を動かし、汗をかいてもらいたいのです。  全国には約560の児童養護施設があります。僕はそのすべてを訪問したいと思っています。そのために地元のボクシング関係者の方たちの協力があれば、ボクシングという同じ釜の飯を共にした同志たちと一緒なら、僕は本当に心強い。  たくさんの子どもたちが待ってます。ボクシングが僕たちに与えてくれた「熱」を、今度は子どもたちと一緒に共有してみませんか? 


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posted by 坂本博之 |14:12 | 坂本博之「熱導・新世界」 | コメント(1) | トラックバック(0)
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2008年02月15日

今年の抱負

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 少し遅れてしまいましたが、皆さま明けましておめでとうございます!  思えば去年の1月に現役を引退し、トレーナーとして第二のボクシング人生を歩むことを決め、そして僕はボクシングとは違う新しい道、まさに新世界に足を踏み入れました。それは児童養護施設を中心とした恵まれない子どもたちへの支援活動です。  現役時代から「こころの青空基金」を通じて僕が育った福岡県の和白青松園の子どもたちを支援してきましたが、ボクサーを引退したことで和白の子たちはもちろん、日本中の多くの子どもたちとの時間を過ごしたいと思い、昨年8月から「Skyhigh RingS(SRS)」という活動を始めました。  全国に600近くある児童養護施設を回り、ボクシングのセッションを通して子どもたちと一緒に体を動かし交流するというもので、スタッフや角海老宝石ジムのボクサーたちをはじめたくさんの方たちの協力で、去年の8月から始めたSRSの活動もこの半年の間で10カ所以上の施設を回ることができました。関東近郊の施設を中心に回ってきたのですが、口コミや新聞などで僕のこの活動を知って「是非うちにも来て欲しい」という声も届き始めています。子どもたちからもたくさんの手紙や感想が頂き、ますますやる気になるし、本当に嬉しいことです。  だから今年は関東だけでなく地方の施設もどんどん回りたい。現役の頃から結果よりも過程を、継続は力なりを大事にしてきました。そういう意味で今年はこれからの活動の土台をしっかり作る年にしたい、そう思っています。また講演やメディアを通じて「現場」での子どもたちの状況を訴え、もっともっとSRSの活動を知ってもらいたいとも思っています。この「熱」を広げていけば、きっともっと大きな「熱」を伴った帰ってくるはずです。  最後に「こころの青空基金」に寄付を頂いている皆さま方にはいつも感謝しています。毎月銀行に記帳すると毎月必ず寄付をして下さる方もいます。それを見るといつも引き締まる思いです。同じ志を持ってくれる人たちがほかにもいる、そうした方たちの思いもしっかり背負っていきたいと思います。  皆さま今年も宜しくお願い致します。


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posted by 坂本博之 |12:00 | 坂本博之「熱導・新世界」 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2007年11月17日

ある男の子との出会い

20071117
先日埼玉の養護施設で行った「SRS(スカイハイリングス)」の活動で知り合ったある中学生の男の子とのことがなかなか頭から離れない。 その日のSRSもいつものように準備体操から始めシャドーをやって最後のミット打ちに。その時にやけに真剣な表情でこちらの様子を眺めている子がいてずっと気になっていたんだけど、いざミットを打ち始めると次第にテンションが上がってきて、その子が突然激しくはしゃぎ始めた。寝転がったりしながら全身を使って楽しさを表現してるかのようだった。だから俺も「すごいぞー」、「いいぞー」と声をかけながら2人でセッションした。  施設の先生からは「あの子はずっと心を閉ざしていて、あんなにはしゃいでる姿は初めて見ました」と言われ、俺自身もすごく嬉しかった。自分のやっていることが間違っていないとも確信できた。 ただ、セッションが終わりその子のグローブを外してあげようとした時に、どうしてその子が心を閉ざしているのか、少なからずその理由を知ることになった。その子の手にはタバコを押しつけられたような火傷の痕がいくつもあったから。 本当にせつなくてせつなくて、俺はどうしようもない気持ちでその子のグローブを外してあげた。その子は自分の中にため込んだ何かを発散するようにミットを激しく拳で叩いていた。日常生活では解消できない感情や思いをミットに向かって吐き出していたのかもしれない。 以前にも話したことだけど、児童養護施設の子どもたちの6割は肉親からの虐待が原因で親元から離れ、施設での暮らしを余儀なくされている。この世に生を受け、本来は誰よりも無条件で愛してくれるはずの、どんなことがあっても絶対に裏切らないはずの自分の親から虐待を受けることが子どもにとってどれほど辛いことか。その子の火傷の痕は消えるかもしれないが、その子の心に刻み込まれた痛みはきっと一生消えないだろう。 SRSのセッションの中では少なくともその子は笑顔を取り戻してくれた。 俺はそのことが素直に嬉しい。自分のことを褒めてくれる、愛してくれる優しい大人たちもいるということが少しは伝わったかもしれない。 俺自身も幼い頃に似たような体験をし、大人に対して不信感を持ち、ずっと心を閉ざしていた。でもボクシングと出会ったことで俺は愛情を知り、そして救われた。俺を救ってくれたボクシングを通して俺も子どもたちに愛情を教えてあげたい。 全国にはまだまだ心を閉ざした子どもたちがたくさんいる。みんな待っていてくれよ。俺は絶対お前たちを裏切らないから。


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posted by 坂本博之 |14:26 | 坂本博之「熱導・新世界」 | コメント(1) | トラックバック(1)
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