2008年05月08日

『‘08有力ジムランキング』村木田一歩

チャンピオンカーニバルも終わって、4月度のランキングも発表された。で、今年もやる、有力ジムランキング。

ポイントの決め方については色々あるんだけど、つまり、OPBFチャンプのポイントと世界ランク上位のポイントとの差があり過ぎるんじゃないかとか、日本チャンピオンとOPBFチャンピオンの価値の差とか、とにかくOPBFの扱いに悩む。でも、基準を変えると今までのが無意味になってしまうので、このまま行くことにした。正しいかは分からないけど、とにかく日本チャンプを抱えるジムは20位くらいにまで入る設定にしてある。

 

【ポイント計算の根拠】

・世界チャンピオン………150P

・OPBFチャンピオン………100

・日本チャンピオン…………50

・世界ランカー………………20

・日本ランカー………………10

・A級ボクサー保有数…………1

 

20080508
で、今年の一番の注目点と言えば、やっぱり“帝拳”の驚異的な大躍進だな。去年は、398ポイントだったのが、何と世界チャンピオン1名、OPBFチャンピオン2名、日本チャンピオン2名、世界ランカー6名、日本ランカー9名の680ポイントだと。何だこりゃあ!という感じ。いよいよチャンピオン養成ジムとしての色合いが濃くなってきて、今後もアマチュアの有力選手を積極的に吸い上げる傾向が強くなりそうだな。 引かれ者の小唄になってしまうかも知れないが、こういった“帝拳”の方向性の中からは今後『下田昭文さん』のようなパターンは生まれにくくなると思っている。今年“帝拳”が新人王トーナメントにエントリーさせたボクサーはたった4名。所帯からすると、著しく少ない数字と言える。海のものとも山のものとも分からない新人が、チャンピオンに育っていく過程を見つめるのは結構楽しいんだけどね。 ちなみに……。 【’08新人王トーナメント出場者数】 ・ワタナベ………………14名 ・角海老…………………11名 ・セレス・三谷大和…… 8名 ・金子・横浜さくら… …7名 ・ワールドスポーツ…… 6名 ・大橋・新日本木村・FI・三迫・八王子中屋…5名 それから……。 自分は、どれだけのA級ボクサーを抱えているかというのも、そのジムの実力を判断する大きな基準の一つだと考えている。 【A級ボクサー保有数】 ・角海老…………………25名 ・ワタナベ………………22名 ・帝拳・グリーンツダ…20名 20名以上は上記の4ジム。これに続くのは、協栄19名、ヨネクラ17名、横浜光の14名。去年は10名以上保有していたのが9ジムあったのが今年は7ジムに減ってる。また、その合計137名というのも15名減少している。全体の中での占有率は約30%で変わりないようだが、これはつまりA級ボクサーの総数が減っている、もっと言えばプロボクサー全体の数が減ってきている傾向を反映しているものと思われる。それから、10名以上のA級ボクサーがいる関東圏以外のジムは1つだけしかない。 では……ベスト30 【‘08ジムランキング】*カッコ内は昨年の順位、その次はA級ボクサーの数、次は年間試合数と勝率 1位……帝拳    680p( 2) 20名  87試合 78.0% 2位……ワタナベ  422 ( 8) 22  155   54.9  3位……横浜光   344 ( 3) 14   85   65.4  4位……角海老   265 ( 1) 25 163   58.2  5位……協栄    259 ( 5) 19   99   71.0  6位……宮田    186 (22)  6   50   64.6  7位……真正    172 (―)  2    2  100.0  8位……ヨネクラ  167 ( 4) 17   78   52.6  9位……カシミ   140 (10)  4   17   75.0   10位……畑中    134 (12)  4   25   69.6 11位……白井具志堅 119 (13)  9   38   62.2 12位……新日本木村 112 (30)  2   54   60.0 13位……青木    101 (―)  1   20   90.0 14位……金沢     86 (19)  6 43   48.7 15位……ヤマグチ土浦 82 (20)  2   11   90.9 16位……グリーンツダ 80 ( 7) 20   82   34.7 17位……姫路木下   75 (17)  5   23   57.1 18位……大一スペースK  71 (―)  1   21   69.6 19位……大阪帝拳   69 (15)  9   54   50.9 20位……六島     65 (30)  5   35   68.8 21位……金子     55 (11)  5   46   64.1 22位……トクホン真闘 53 (―)  3   16   46.7 23位……草加有沢   48 (24)  8   37   48.6 24位……三迫     45 ( 9)  5   28   64.0 24位……F赤羽    45 (―)  5   38   40.5 26位……大橋     38 (14)  8   39   64.1 27位……花形     37 (25)  7   45   35.9 28位……筑豊     35 (29)  5   12   60.0 28位……ドリーム   35 (―)  5   33   61.3 30位……松田     34 (27)  4   50   70.2 30位……千里馬神戸  34 ( 6)  4   39   45.7
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自分だけの基準なんだけど、前褐したように、A級ボクサーを10名以上保有しているのが一流ジムの証だと思っている。そして、そのうち合計ポイントが200以上のジムが超一流ジムと設定している。“帝拳”の突出は特記ものなのは間違いないが、更に新人王トーナメントへの出場者数や年間試合数等々を勘案すると現在のところでは“ワタナベジム”と“角海老宝石ジム”の二つがとてもバランスが取れているんじゃないかと思っているんだけど……。 上記30ジムの平均の年間勝率は、64.1%になるけど、通常60~70%くらいが妥当な数字なのではないかと思っている。“ワタナベ”と“角海老”はその数字を下回っているが、年間試合数が図抜けて多いので仕方のないことか。“帝拳”が少し高いのと、“グリーンツダ”と“花形”がちょっと低いのは、ジムの基本方針とマッチメイクに対する考え方の結果ではないかな。 一流ジム7ヶ所のうち首都圏以外は1ヶ所のみ。超一流ジム5ヶ所は全て首都圏。ただランキング30位の中には12ヶ所の関東圏以外のジムが入っている。このへんが伸びてくると乱世になって面白くなる。 それから凄いと思うのは“ヤマグチ土浦ジム”。このジムには全部で4名のボクサーしかおらず、その内2名のA級ボクサーが日本チャンピオンと日本ランク2位だっていうんだからね。ある意味では日本の最優秀ジムだな。それと“ドリームジム”は今後飛躍してくる第一候補だと思うな。


posted by 村木田一歩 |13:25 | コラム-リングサイド | コメント(0) | トラックバック(0)
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2008年04月30日

『‘08チャンピオンカーニバル』村木田一歩

20080430
1月5日から4ヶ月にわたった今年のチャンピオンカーニバルも、4月20日のウェルター級の一戦で幕。例年通り、年明けの最初は角海老ジムの興行で、1月はこれを含め2試合、2月は4試合、3月が1試合で4月が6試合の計13試合が終わった。去年の12月に全階級の組み合わせが発表された時点でそれぞれの勝負の行方を予想していたんだけど、その結果は以下のとおり。(敬称略) MM………黒木―三澤(黒木の判定勝ち)→○ LF………嘉陽―国重(嘉陽の判定勝ち)→○ F…………吉田―清水(清水の判定勝ち)→○ SF………河野―相澤(河野の判定勝ち)→○ B…………三谷―大場(大場の判定勝ち)→○ SB………下田―山中(下田の判定勝ち)→○ Fe ………粟生―榎 (榎の判定勝ち) →引き分け SFe……… 小堀―松崎(小堀のKO勝ち) →小堀の判定勝ち L…………中森―石井(中森のKO勝ち) →石井のKO勝ち SL………木村―松本(木村のKO勝ち) →○ W…………湯場―沼田(湯場のKO勝ち) →沼田のKO勝ち SW………石田―川崎(石田のKO勝ち) →○ M…………江口―鈴木(江口の判定勝ち)→○ 自分にとっての番狂わせは、ライト級とウェルター級の試合だった。最近の『中森さん』の勢いは半端じゃなかったからね。世界戦の予定もないのに『長嶋健吾さん』がタイトルを返上してしまった具体的な理由は知らないけど、『中森さん』との戦いを回避したのか、ケガなのか? ホールには来てたけどね。 その『中森さん』は序盤若干優位に試合を進めていたにもかかわらず、「行ける!」と思った瞬間の判断が彼を炎の人に変えてしまって、攻撃一辺倒になった途端をやられたのは、去年暮れ『湯場さん』と戦った時の『あきべえさん』の場合と同じだと思う。その『あきべえさん』は、4ヵ月後の4月21日『上石剛さん』との復帰戦でも全く同じ轍を踏んでしまってとても残念だけど、二人ともリング上でもう少しクールに戦えば随分違ってくると思うな。 余談。『あきべえさん』が1RKOされた翌日スーパーウェルターのOPBFタイトル戦があったんだけど、『日高和彦さん』をあと一歩のところで仕留め逃した『柴田明雄さん』も『日高さん』をグラッとさせた後の詰めで舞い上がってしまい、赤コーナーに押し込んでからの15~16発の連打のうち13~14発が空振りかスカみたいなパンチだったもんなあ。 『沼田康司さん』には6回戦の頃から注目していたもんで、そりゃあ勝って欲しいとは思っていたけど、『湯場さん』のキャリアの前では今回はチョット難しいだろうなと予想していたから、正直タマゲタ。翌日ネットで映像を見たんだけど『沼田さん』は序盤いつもの試合運びとは違って、足を十分に使い、ゴツイけど柔軟性のある上体を揺すりながら出入りを繰り返し、距離を計りながら『湯場さん』の動きを見極めていた。 あんな事もできるんだあ。 このまま暫く行くのかなあと思っていたら、3Rの後半から突然にプレスをかけ始め、いつもの『沼田さん』が登場してきた。反対に『湯場さん』のパンチには日頃のキレがないように見えた4R、『沼田さん』は『湯場さん』の若干不用意な左をかわしざま「ゴツ!」と右フックを顎付近に叩き込んで、ダウンを奪った。勝負は既にここで終わっていた。カウントエイトくらいで立ち上がった『湯場さん』には『あきべえさん』に倒された時以上の甚大なダメージが残っているのは明らかだった。『沼田さん』は冷静な連打でコーナー近くで『湯場さん』にとどめを刺した。 初めのダウンを奪った時、『沼田さん』はレフェリーに指図されることもなく、自らゆっくりとニュートラルコーナーに歩いて行ったし、再開された時も、いきり立ってがむしゃらに倒しに行くということもなく、『湯場さん』のダメージを推し量るようにしてから、クールな攻撃に入っていった。こんなファイターはそういないと思う。 C・C出場者の中では最多KO数を誇る3階級制覇のチャンプを撃破したんだから、当然MVPだと思っていたら何と『木村登男さん』だと。『松本憲亮さん』との試合でも『木村さん』の試合運びは惚れ惚れするような職人仕事のようだったけど、彼はちょっと前に防衛記録の件で100万円も貰ったことだし、そもそも今回のC・Cではランク8位が相手だったことから考えても、『沼田さん』の衝撃度の方が圧倒的だと思うんだけどなあ。納得いかないなあ。選考委員の人たちは本当にこの試合を見たのかな。2歩も3歩も譲らせて、4月のMVPにするから、ここでは殊勲賞で我慢我慢ということなの?  『沼田さん』はタイトル戦の翌々日には後楽園ホールにやって来て、『日高さん』の控え室に挨拶に行ってたけど、殴られた跡など全く無く、いつもの普通の顔をしていた。今のところ日本で一番名前が売れていないチャンピオンなもんで、ファンから囲まれたり握手を求められるということもなく、観客に紛れて普通に試合を観戦していた。 今回のC・Cの中で注目度が一番大きかったのは、言うまでもなく『榎さん』と『粟生さん』の一戦だったけど、引き分けという裁定は妥当だと思っている。自分がそれぞれの陣営の人間と想定して2回ビデオを見返したんだけど、違った結果になったからね。それにしても、まあ図ったようなドロー劇だったなと感心している。あの試合、よりリスクのあった、つまり負けた時のダメージが大きかったのは、間違いなく『榎さん』の方で、一挙に引退まで追い込まれる可能性だってあると思っていた。ならば、むやみに『粟生さん』を追い過ぎてスタミナを消耗させるのは得策ではないし、するどい左カウンターを喰らう危険を冒してまで右フックにこだわらなくてもいいのではないかと思っていた。だから、あの戦法で大正解!その点からすると、余裕のあったのは『粟生さん』の方で、もし負けても日本チャンピオンに再トライする機会はすぐに訪れるはずだから、本当はもっと攻めていくのではないかと思っていた。そこら辺りが打撃戦のきっかけだろうと思っていたんだけど……。 以前ある人から聞いた話なんだけど、江戸時代、本当の果し合いを見た人の話。映画のように向かい合うなりいきなりガアーッとは斬り合えず、物凄く長い時間対峙していたんだと。西部劇のガンマンの決闘の場合だと、とにかく早撃ちが勝負の分かれ目というのは理解しやすい話だけど、刃物の斬り合いとなると、なかなか最初の一太刀が振り出しにくいというのも何となく想像できる。二人の試合には、そんな抜き身による勝負みたいなところがあって、研ぎ澄まされた殺気が凄くて自分はとても面白かった。 技能賞は『下田昭文さん』ということだが、個人的には徐々に相手にやる気をなくさせる抱きつきバッティング戦法を強い意志で耐え抜き、常に的確にパンチをヒットさせ続けた『清水智信さん』にこそ相応しいと思う。予想通り今回のC・Cの中で一番見所の乏しい盛り上がらない試合だったけど、これからはフライ級のタイトル戦も面白くなるに違いない。 それから、派手なダウンシーンこそなかったが、SF級の『河野さん』と『相澤さん』のパンチの交換はホント見ごたえあったなあ。 『川崎さん』は、まだ燃え尽きていないんだ、いいなあ。 1月5日『小堀さん』は、眠むそうだった。彼は、4回戦の頃から「2連敗はカッコ悪いからなあ」という理由で練習に励むようなところがあって、つまり、何かモチベーションがはっきりしていないと頑張れないタイプなんだな。その点『真鍋圭太さん』とのタイトル戦は凄かったからね。その『小堀さん』が世界戦だってことで、最近はエラク気合が入っているらしい。『ホルへ・リナレス』とのガチのスパーリングは記者たちがタマゲルほどだったとか。以前ビデオで『エドウィン・バレロ』とのスパーを見たけど、『小堀さん』は相手が誰であろうとビビるというようなことがまるで無いボクサーで、初めの日に『バレロ』に結構やられたのに、「今度はボコボコにしてやります」って言ってたので、「どうだった?」と聞いたら「この間よりもっとボコボコにやられました」って普通に言ってたとのこと。彼に勝たせる、つまり彼を必死に頑張らせるには、負けたらインタビュー有り、勝ったら無しという条件にしたらいいんじゃないかと思うんだけど……。 『小堀さん』も『沼田さん』も体内に溶鉱炉を備えたクールなファイターだけど、あんまり人にいじられる事は好きではないところも良く似ていているので、遠くから見ていてあげるともっと伸びると思うな。 残念だったのは『大場さん』と『三谷さん』、『黒木さん』と『三澤さん』の試合に立ち会えなかったこと。 東京以外で行われた試合は、B級とW級、M級の3試合。12人のチャンピオンのうち (SFe級は空位)10人までが首都圏ジムのボクサーということになった。


posted by 村木田一歩 |17:07 | コラム-リングサイド | コメント(0) | トラックバック(0)
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2008年04月24日

『止め時』は、“やめどき”とも“とめどき”とも読める。 村木田一歩

20080424
ボクシングにおける“とめどき”とは、試合中のレフェリーストップとセコンドからのタオル投入のタイミングということになる。 このうちタオル投入の場合は、観客を含めてほとんどの人たちの納得が得られるが、 レフェリーストップのケースだと、止められた側のボクサーやセコンドから大きな不満が生ずる場合が度々ある。 だけど、試合の最中ボクサー自身は勿論、セコンドを含めた周囲の全てが、アドレナ リン大噴出で言わば舞い上がった状況になってしまうことが多いし、どうしても身贔屓な判断をしがちになるものだし、そもそもボクサーの健康に配慮すれば、早目早目の“とめどき”こそが望まれる。 次に、“やめどき”のこと。で、以下の『止め時』は“やめどき”と読む。 ボクサーがリングを去る理由には、実に様々なものがある。 周囲が最も分かりやすいのは、身体上・健康上の理由だ。外傷性のケガのみならず、視聴覚関係や脳のトラブルに直面してリタイヤすることもとても多い。それと年齢的なもの。全くの私見なのだが、それまで勢い一発でやって来たボクサーでさえも、32才頃になると過去を振り返り、将来を見据えて色々考える時期を迎えるのではないかと思っている。以前のビデオを見比べても動きの違いを知らされることにもなる。 その他の止める理由としては……。  ・なかなか負け越しが解消できなくて  ・戦績も芳しくなく、そんな折の微妙な判定に嫌気がさして  ・自分に対するジムの期待が段々薄れてきているような気がして  ・これ以上頑張っても上へ行ける気がしなくて  ・自信が過信に過ぎなかったと気づいて  ・一応タイトル戦まで行ったので  ・家族の反対が強くなってきて  ・子供もできたし、このままでは暮らしがきついので  ・仕事と両立できなくなって  ・他に自分らしさを発揮できる場所を求めて  ・とにかく限界! その一方で、なかなか“止めない”あるいは“止められない”ボクサーもたくさんい る。 頂点を極めたわけでもなく、自分でも極められると思ってもいないのに、止めないボ クサーがいる。 トレーナーや更には友人達さえも「そろそろ止め時じゃない?」なんて雰囲気なの に、それでも止めない。 そういう彼にとっては、自慢できるものではない戦績さえもそれほど気にかかるもの ではなく、とにかくボクシングが大好きで、あのカアーッと照らし出されたリングに上がるのがたまらないといった感じなのだ。 食べたいものも食べずに走って走って、トレーニングを重ね、5~10㎏も減量し て、同じように苦しんだであろうそんな相手を殴り倒そうというのがボクシングだ。 嫌がっている所を攻め、出血した傷口に更にパンチをぶち込もうとするのがボクシン グなのだ。 ボクサーの中には、サドとマゾが同居しているとしか言いようがない。 そして、減量やトレーニングに苦しんでいる自分を、ストイックでカッコいいと思え るくらいでなければ続けられないスポーツだし、その思いに強く執着すればするほど、ボクシングから足を洗えなくなるのだと思う。 そう考えると、止めると言って一度ボクシングから遠のいたボクサーが再びジムを訪 れるのもよく分かる話しだし、ずっと以前に引退したのに、ついつい後楽園ホールに足が向いてしまうっていうのも共感できるのだ。 だって、一度引退式をやってもらったにもかかわらず、またリングに立ったボクサー さえいるんだからね。 そんなボクサー達はみんな、「自分の努力が足りず、まだ限界に挑戦できていな い。」と思っているし、「まだ燃え尽きていない。」と感じているのだ。そう、この “燃え尽きていない”というのがキーワードなのだ。 燃え尽きたかどうかについての判断基準は、全てのボクサーの心の中に固有のレベルで存在するものなので、「これだけやったんだから。」とか 「ここまで来たんだから。」という周囲が抱いている常識的な判断や画一的な見解・ 思惑などが通用するものではないのだ。だから、ボクサーは、それぞれが“燃え尽き た”か未だ“燃え尽きていない”かについて一人でジックリ考えて、自分だけの『止 め時』を決めればいいのだ。 自分の部屋にはボクシングや音楽と映画に関したものが雑然と散らばっていて、大型 のアクオスもあるし、どこかに猫もまぎれていてとても居心地がいい。壁や天井にも 気に入ったボクシング関連のポスターがたくさん貼ってあるんだけど、このあいだボ ヤーッと眺めていたら去年の5月の角海老ボクシングのものが目が止まった。そして 顔写真が出ている4人のボクサー全員がもういないことに気が付いた。『渡邊一久さ ん』『木嶋安雄さん』『佐藤常二郎さん』『平野博規さん』。それぞれまるで性格の 違う思い出深いボクサーたちだった。4人には4通りの引退理由があったんだけど、 ボクサーの寿命は何て短いんだろうと感慨深いものがある。でも彼らはずーっとDVD の中に生き続けている。そうやって頑張ってた姿を残しておけるのは羨ましいとも思 う。自分も頑張った時期はあるんだけど、それは自分の記憶の中だけにしかないから ……。 何十年も前の話だけど、日本タイトルに挑戦した試合で、チャンピオンをKOに下し、新王者になったその日に、ベルトを返上し引退届けを出したボクサーがいた。彼はそ の夜「限界だ、もう十分地獄を見た。」と言って、青白く燃え尽きたのだ。 それから、あの『矢吹ジョー』は白く燃え尽きたし、『本望信人さん』は、去年まさに真っ赤になって燃え尽きた。 果たして君は、何色で燃え尽きるのか……。 ♪右利き用のビッグヘッドのストラトキャスターを逆さまにして使ってたジミ・ヘン ドリックスも異様にカッコ良かったなあ。  ただ、ギターにライターオイルぶっ掛けて火をつけたり、アンプをぶち壊すのは、 意味わかんなかったなあ。フーもやってたけど……。


posted by 村木田一歩 |10:46 | コラム-リングサイド | コメント(1) | トラックバック(0)
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2008年04月02日

『名前』 村木田一歩

20080402
少し前まではボクサーは、本名で出ていた場合も勿論多かったが、特別のリングネームを名乗ることも珍しくなかった。 特に、姓の前にカタカナを付けるのが流行っていたみたいで、 『ピストン』『ファイティング』『バズソー』『アポロ』『ロイヤル』『ガッツ』『ムサシ』『スパイダー』『セレス』『ピューマ』『レパード』『リック』『クラッシャー』などなど……。 ほんのちょっと前では、『プロスパー』と『トラッシュ』があったけど、最近のランカー以上では、『リッキー』だけかも知れない。 現在のところでは、リングネームは本名そのまま、というのが殆どのようだ。 そして、流行の名前というか、彼らの両親が息子達に好んで付ける名前にも、ある傾向があるのに気が付いた。 名前に使っている字で多いものを取り上げてみると以下のようになる。(敬称略) 【人】 本望信人、小林生人、外園隼人、瀬藤幹人、荒川仁人、斉藤直人、中村徳人、有富康人、新井雅人、西尾彰人、外村鉄人、大北正人 【也・哉・弥】 福岡力也、鈴木哲也、木村哲也、ジャガー哲也、小路尚也、鎧塚真也、坪内達 哉、金城智哉、関根一哉、長瀬慎弥、須田拓弥 【輔・助・介】 高橋良輔、山中大輔、丸山大輔、畑大輔、宇賀神大輔、小堀佑介、秋葉慶介、今宮佑介、山中慎介、伊藤俊介、冨山浩之介、内藤大助 【樹】 佐々木基樹、武本在樹、武本康樹、奈須勇樹、小川利樹、野中悠樹、澤永真佐 樹、今西秀樹、川端賢樹、佐野友樹 【太】 真鍋圭太、寺畠章太、涼野康太、上野康太、長井裕太、粟生竜太、中岸風太、関本純太 【平】 河野公平、菊井徹平、田口雄平、玉腰強平、山本浩平、千木良恒平、大場浩平、鳥海純平 【大】 嶋田雄大、木村勇大、阿部展大、田中稔大、下河原雄大 それから、名前を見れば明らかに、そのボクサーが長男とか次男とかが予想できる名付け方もある。 ランカーの中から探してみると……。 《長男》 謙一、賢一、淳一、清一、伸一、龍一、恵一、良一、一久、一太郎、福太郎、純一郎、淳一郎 《次男》 健二、昭二、啓二、健司、章司、康司、裕司、幸司、幸治、祐治、宏治、貢治、康治、好治、栄治、大治、龍次、祐次郎、壮次郎、常二郎 こうしてみると、次男名の方が多いことが分かる。ボクサーはやっぱり次男坊が多い! これって本当? それから、名前の事をボーっと考えていたら、ある特定の名前が、そのジムにおいては出世名であることも発見した。 それは、角海老宝石ジムの『ヒロユキ』という名前。 現役では『榎洋之さん』になるけど、過去には『阿部弘幸さん』『前田宏行さん』『坂本博之さん』がいて、みんなチャンピオンになっている。 で、『ヒロユキ』という名前で、是非ともチャンピオンになりたいと思っているボクサーは、角海老ジムに行くといい。 ほかのジムでも、もしかしたら、そのジム特有の出世名があるかもしれない。 それからそれから……。 今日本に2500名以上のプロボクサーがいるけど、その中で一番多い姓を調べてみたら、それは『高橋』で29名もいた。 それに続くのは、『斉藤』で22名、次に『鈴木』と『山口』の20名……以下次のようになる。 『山本』19名、『伊藤』18名、『佐藤』『中村』『吉田』が17名、『佐々木』『橋本』16名、『加藤』『木村』『田中』が14名、『小林』12名。 これがベスト15だけど、ここまでで合計255名になるから、ボクサー全体の10%もがカバーされていることになる。 ということは、一日6~7試合あるとすれば、その中に必ず一人は上記の名前を見かけることになる。 最後の最後。 そんなものが世の中にあるかどうか知らないが、自分はいわゆる左右対称フェチで、物の重心や中心を探したり、建物はおろか、漢字でも英字でも何でもすぐ半分に切ってみる癖がある。そんなもんでボクサーの名前を縦書きにして、真ん中に線を引いてみて、左右真半分に分かれる、つまり名前の全てが左右対称の漢字からできているボクサーはいったい何人いるかを調べてみた。2500名の中にたった8名しかいない。 およそ300人に一人ということになる。それだけで貴重だな。 『青空西田君』『小出大貴君』『立山昌幸君』『山口亘君』『三平大貴君』『山田大介君』『大木一真君』、それとランカーからはただ一人『吉田真さん』。 実はこの『吉田真さん』と全く同姓同名でミニマム級に『吉田真君』というのがいるんだけど、デビューが早い先輩に配慮してか現在は 『吉田アーミー真』と名乗っている ごく厳密にいうと左右対称の漢字とは言えないものもあるが、自分の中ではおおむねOKとしている。 今までに名刺を貰った中で3人いたけど、どういうわけか、みんな大柄でいい人達だった。 ♪そのジェフ・ベックが初めて手にしたエレクトリックギターが、何と日本のグヤトーンだったってのは、驚き!


posted by 村木田一歩 |19:00 | コラム-リングサイド | コメント(0) | トラックバック(0)
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2008年03月22日

『有望株』 村木田一歩

20080322
去年ボクシングを見に行ったのは、合計76回。おととしは85回、その前の年もほぼそのくらいだったから、去年は1割ほどへっている。何故減ったのか色々思い返してみたら、新人王トーナメントを見に行くのがとても少なかったのが大きな理由だと分かった。時間があったにもかかわらず、東日本の決勝戦にも立ち会っていないんだから……。 おととし、新人戦のレベルが急に低くなったような気がしたけど、去年も、是非次の試合を見たいなと思うようなボクサーがとても少なかった。以前だと、「これは、将来ランカーだな。」とその後の成長が楽しみなボクサーもいたし、それほど強くはないけど、何故か惹かれるボクサーも必ずいたんだけど……。それと去年は、途中で棄権してしまうケースが例年以上に多くて、少し期待を寄せていたボクサーが3回戦目を突然棄権してしまってからは、一気に興味が失せてしまった。 唯一今後楽しみなのは、古口ジムの『古口学君』だな。他のランカーの事情や、彼の試合のタイミングなどで、残念ながら今はランク落ちしてしまったけど、クラス慣れしたら、彼はきっと伸びると思うな。 鳴り物入りでプロ転向するようなボクサーは、有力ジムに破格の処遇で引き取られ、いきなりB級デビューするので、そもそも新人王トーナメントには縁がないし、自分としては、原石のようなボクサーを発見するのが嬉しくて、新人戦やデビュー戦の試合会場に足を運ぶ。今年は何だか昨年以上に期待できると思っているんだけど……。 実は、今度の新人戦に向けて、今からとても楽しみにしているボクサーが一人いる。それは、ドリームジムの「藤原陽介君」だ。彼、デビュー戦では、1Rの初めの1分半を全くパンチを出さず、ひたすらガードを固めて相手にプレスをかけることだけに費やした。ガードの上からとはいえ、それこそ打たれに打たれまくって、それでも一発も打ち返さないので、「こいつは何なんだ。」って……。三浦会長もプレスをかけることの指示は出すが、パンチについては一言もアドバイスしないので、とても不思議に思っていたら、ハーフタイムを過ぎる頃突然、「よーし、行けー!」と怒鳴った。その途端「藤原君」は、まるでドッグレースでゲートが開いた瞬間の弾け出たグレイハウンドのように、ガガーッと打ちまくり、あっという間に相手を倒してしまった。自分も驚いたが、相手も相当タマゲタと思うよ。 デビュー戦がそんなんだったので、彼の2戦目を楽しみにしていたら、今度の相手は初戦のボクサー以上のテクニシャンで、アマチュア経験もありそうなファイターだった。今回も前回のような試合運びをするのか注目していたら、さすがにごく普通に戦っていたけど、体の入れ替え方や手数、コンビネーションにも長けた相手に対して、相変わらず厳しいプレスをかけることができて、タイミングのいい鋭いパンチで、またもや見事に打ち倒した。この子は、楽しみだな。 新人王トーナメントで思い出すのは、残念ながら2年続けて無残な負け方をしてしまった弟の応援のため、毎回会場を訪れ、必死の形相で喉が壊れるくらいの大声で声援を送っていた『粟生隆寛さん』。それと、いかにも貧相な新人に対して、床を踏み鳴らして気合を入れていた『クレージー・キムさん』。自分は長いこと生きてきたけど、身内も含めて人からあんなに熱っぽく応援されたことがないもんで、見ていて胸が熱くなったな。 ♪そのエリック・クラプトンやジェフ・ベックが去来していたヤードバーズっていうバンドは、今考えると凄いね。バーズってバンドもあって、こっちの方が“ターン・ターン・ターン”とか“ミスター・タンブリンマン”とか洗練された曲をいくつもヒットを飛ばしてたけど、ヤードバーズは、何だかとても荒っぽいサウンドだったな。かろうじて、“フォー・ユア・ラブ”を記憶しているけど……。


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