2011年09月16日

スーパーチャンプ、ガンボア来日 角海老ジムでスパー

 前WBA・IBF世界フェザー級チャンピオンで、「軽量級最強」と言われるキューバの至宝、ユリオルキス・ガンボアが来日した。8月10日に初防衛戦を行ったWBC世界ミニマム級チャンピオンの井岡一翔が、同じくキューバ出身でガンボアのトレーナーを務めるイスマエル・サラス氏に師事していることから、サラス氏の来日にガンボアも帯同してきたというわけだ。

 サラス氏と言えば元キューバのナショナルコーチで、タイで5人の世界チャンピオンを育て、日本では角海老宝石ジムに所属し、坂本博之や中島吉謙、現トレーナーの阿部弘幸らチャンピオンを育てたことでも知られる名伯楽だ。ガンボアがサラス氏とともに来日するのは2回目、常に行動を共にしているのも幼い頃から指導を受けているサラス氏によほど心酔している現れか。

 ガンボアはWBAを4度防衛したスーパーチャンピオンで、パウンドフォーパウンドの上位にも名を連ねるボクシング界のビッグネーム。そんなガンボアがサラス氏との縁もあって角海老ジムで軽いスパーリングをするというので、見学させてもらった。

 スパーの相手は日本ライト級チャンピオンで世界ランカーの荒川仁人選手(八王子中屋)。ガンボアは9月10日にアトランティックシティーで元WBO世界スーパーバンタム級チャンピオンのダニエル・ポンセ・デ・レオンと戦うことが決定しており(※注)、サウスポーのポンセ・デ・レオン対策として荒川選手がパートナーに指名されたという。いずにしてもボクシング好きには非常に興味深いマッチアップだ。

 スパーは計6ラウンド。まるで彫刻のように鍛え上げられた肉体のガンボアはONとOFFを切り替えて、ひとたびONになれば決してリーチが長いわけではないが、その踏み込みの早さで一気に距離を詰め、「サイクロン」の異名を取る回転力でラッシュを仕掛ける。至近距離の打ち合いになっても体幹はまったくブレない。時折打ちこむ強打にはリングを囲む選手や関係者もどよめくほど。

 一方、荒川もガンボア相手に臆することなく、しっかりジャブを突いて後ろに下がることなく応戦し、日本チャンピオンとしての実力と意地が十分に感じられたグッドスパー。

 もちろんガンボアにとっては流し気味だったのだろうが、それでもラッシュ時の迫力と強打、フットワークなどスーパーチャンピオンの片鱗を十分に見せてくれた。いつか日本のリングでその姿を見てみたいものだ。

(※注)8R1:24負傷判定勝ち

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posted by CRK |14:27 | コラム-リングサイド | トラックバック(0)
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2011年08月27日

井岡が快勝、WBC世界ミニマム級タイトルマッチ

 8月10日のWBC世界ミニマム級タイトルマッチをテレビ観戦したが、今のところ今年のベストバウトじゃないかと思うほどの好試合だった。わずか7戦でチャンピオンになった弱冠22歳の井岡一翔(井岡)の実力が本物かどうか、試合前までは正直疑問だったが、階級1位の強敵フアン・エルナンデス(メキシコ)を相手に世界チャンピオンらしく堂々と戦い完封したことで、その疑問はすっかり晴れた。

 挑戦者のエルナンデスは19戦18勝の24歳。KO率の少ないこの階級で18勝のうち13KOを記録しているハードパンチャーだ。2月に前王者のオーレイドン・シスサマーチャイ(タイ)に挑戦して5回KOでタイトル奪取に成功、国内最速で世界制覇を果たした若き井岡にとっては、トップコンテンダーのエルナンデスとの初防衛戦が世界王者としての真価を問う戦いでもあった。

 序盤の立ち上がりではエルナンデスの左フックを被弾して後ずさりする危ない場面もあったが、中盤からはエルナンデスが前に出たくても出られないほど、しっかりと圧力をかけて距離をコントロールし、22歳とは思えないほど落ち着いた戦いぶりで終始主導権を握った。終盤にはボディーへの攻撃でKOチャンスも作り、ミニマム級の特徴であるスピーディーでキレのある攻防を十分楽しませてもらった。

 とにかく「井岡強し」に尽きる試合。4階級制覇を狙うと宣言している井岡だが、これをビッグマウスと切り捨ててしまうより、このヤングチャンピオンの大きなチャレンジに期待したくなる。それぐらい井岡は高いポテンシャルを秘めた、将来の日本のボクシング界を背負って立つスター候補だと思う。

 テレビ放映も瞬間19.4%、平均16.6%と高い視聴率を記録したことも朗報だ。奇しくも試合前に放映されたサッカーの日韓戦でも同じく22歳の香川真司が2ゴールを決めて日本が3-0の歴史的勝利を飾った直後の世界戦。香川や井岡らこの世代の日本人アスリートは臆することなく世界にチャレンジし、そして結果を出している。国境の壁がないインターネット世代ならではの特徴なのか、閉塞する日本の社会を打ち破ってくれるのはこの世代なのかもしれない。今の世相に重ねてそんなことも感じられた試合だった。

posted by CRK |13:28 | コラム-リングサイド | トラックバック(0)
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2011年01月06日

6階級制覇のパッキャオ、前人未踏の領域に

 最近のボクシングニュースの中で、やはりマニー・パッキャオの6階級制覇はダントツでインパクトがあった。フライ級から12年かけて6階級目のWBC世界Sウェルター級のベルトを制覇。しかもメキシコ屈指の強豪である元WBAウェルター級スーパー王者のアントニオ・マルガリートを判定ながら圧勝の末に下しての偉業だった。

 フィリピン南部ミンダナオ島ジェネラルサントス市で生まれ育ったパッキャオは東南アジアの典型的な貧困層の出身。幼い頃に父が蒸発し、家計を助けるために10代の早くから物売りとして路上に立った。彼の国では決して珍しくない幼少期の現実だ。

 生きていくだけでやっとの暮らしの中で、少しでも日銭を稼ぐために12歳から始めたボクシングがパッキャオの人生を大きく変え、今では史上最高のパウンド・フォー・パウンド、祖国では国会議員として国民的英雄にまで上り詰めた。ボクシングの世界でのパッキャオのサクセスストーリーは、もはや前人未踏の領域に到達していると言っていい。アジア人が西洋社会でこれだけの成功を収めたことは過去例がなく、パッキャオの活躍は同じアジア人であるわれわれ日本人にも十分勇気と誇りを与えてくれる。

 マルガリート戦では最終ラウンドで「ボクシングは人を殺すスポーツではない」と手加減するほど圧倒的な強さを見せたパッキャオの次なる標的は1人しかいないだろう。一度は対戦が決まりかけたもう1人のスーパースター、無敗で世界5階級を制覇したフロイド・メイウェザーだ。

 パッキャオはマルガリート戦後、「やってもやらなくても、どちらでも良い」とメイウェザーさえ承諾すれば対戦する構えを見せているが、9月に暴行容疑で逮捕されるなど身辺騒がしいメイウェザーが世紀のドリームマッチに応じるか不透明な状況。

 しかしパッキャオにとって戦う価値のある相手はもはやメイウェザーしか見あたらない。果たして来年もう一度パックマンがリングに上がる姿を見られるだろうか。世界中のボクシングファンの祈りが通じることを願いたい。

posted by 野口 弘宜 |15:03 | コラム-リングサイド | トラックバック(0)
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2010年10月23日

東新人王決勝は11.3、角海老勢5人が出場!!

東日本新人王
 いよいよ東日本新人王トーナメントが大詰めを迎え、11月3日に決勝戦が行われる。我らが角海老宝石ジムは、5人のルーキーを決勝に送り込むことに成功した。  中でも注目は参加選手が29人と最多のSバンタム級。この激戦階級を勝ち抜いた2人はともに角海老所属のコーチ義人と大橋健典で、まさかの同門決勝が実現することとなった。  ジムサイドとしては、この段階で新人王獲得が確定しているのは喜ばしいことでもあるが、勝つのは当然1人だけ。選手はもちろんスタッフも複雑な思いもあるだろうが、ここは勝負の世界である以上は避けて通れない。むしろコーチ、大橋がこの厳しいトーナメントを勝ち残ったことは強さの証明であり、お互い手の内を知り尽くした相手同士、正々堂々と戦って試合内容でもこの同門対決を盛り上げてほしい。  また、元キックボクシングの日本ランカーということで戦前から今大会の最注目選手として名前が挙げられていたライト級の土屋修平は、周囲の期待を裏切ることなく、トーナメント4戦全て2ラウンド以内でのKO勝利という圧倒的な強さで決勝に進んだ。決勝は名門・帝拳の中澤将信が相手だが、優勝への期待が俄然高まると同時に、オールKOで新人王獲得となれば、知名度はもちろん今後のキャリアに大きな華を添えることになる。  角海老勢の中でもっとも重い階級での決勝進出を果たしたのは、Sライト級の高橋光政。6戦6勝の23歳は、11戦のキャリアを持つ協栄の山田智也と対戦する。  フェザー級の関豪介はスタミナに定評のあるサウスポー。ワタナベジムの小野田昌史を相手に、持ち前のしぶとさと粘り強さを活かして後半での消耗戦に持ち込みたい。  角海老からの参加11人中5人が決勝に進んだことは誇らしい結果であり、今年度のルーキーたちがいかに豊作かを現す端的な事実でもある。それだけに決勝全階級での新人王も夢ではなく、今年最後のビッグイベントを盛り上げるべくこの5人の精鋭フレッシュマンたちにはジムの看板を背負って爆発してほしい。東日本新人王トーナメント決勝戦は11月3日。是非とも会場での観戦をお勧めしたい。


posted by 野口 弘宜 |16:35 | コラム-リングサイド | トラックバック(0)
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2010年10月17日

世界戦ラッシュを振り返る

内山高志
 9月から10月にかけて、日本人選手による世界戦が立て続けに4試合も行われ、スポーツニュースでもボクシングの話題で久しぶりに盛り上がった。  まずは9月20日のWBA世界Sフェザー級王者の内山高志(ワタナベ)の2度目の防衛戦。同級5位のロイ・ムクリス(インドネシア)に圧倒的な力の差を見せつけ、最後は強打の連打で5回TKOでムクリスを撃破、世界戦3連続KO勝利で見事V2を達成した。「内山強し」の印象をさらに決定づける一戦で、あらためて内山が世界に通用する強打を持っていることを証明した。  V3戦は同級暫定王者ホルヘ・ソリス(メキシコ)との王座統一戦とみられ、この場合は敵地メキシコか米国で開催される可能性もあるという。世界的にも人気の高い中量級とあって、内山の海外進出は日本ボクシング界にとっても華のある話。内山陣営にとっては国内開催を希望したいところだろうが、内山のファイトスタイルはエンターテインメント性が高く、個人的には是非とも海外のリングに立つ内山が見たいところだ。  また内山とのダブル世界戦としてセミで行われたWBC世界Sフライ級王座決定戦で、同級1位の河野公平(ワタナベ)は同級2位のトマス・ロハス(メキシコ)の足を使った巧妙なボクシングにペースがつかめず、残念ながら判定負けを喫し、タイトル獲得はならなかった。  河野は最終12回にはついにロハスを捉えてダウンを奪い、ポイントで大きくを差を付けれらた中から逆転勝利へ最後の期待が高まったが、惜しくもベルトに手は届かず。しかし河野の鬼気迫るファイト、ロハスの卓越した技術は素晴らしい攻防を生み、世界戦ならではのクオリティーボクシングを堪能させてもらった。  そして世間的にも注目を集めた9月25日のWBA世界フライ級タイトルマッチは王者の亀田大毅(亀田)と同級5位の元王者・坂田健史(協栄)の元同門の「因縁対決」。ご存じの通り、大毅が後半を優位に進めて3-0の判定勝利を収め、以前と比べ大毅のボクシングもだいぶ安定感が増したように見えた。しかし両者ともクリンチが多く、内容的には内山、河野の世界戦には及ばず、これが世界戦と言われても… と納得しないボクシングファンも多いかもしれない。弱冠21歳の大毅にとっては酷かもしれないだが、世界王者であることは事実。勝つだけでなく、世界最高峰の戦いも意識してもらいたい。  最後に予想を覆す大番狂わせで、10月2日にWBA世界Sバンタム級王座を初挑戦で獲った同級14位の李冽理(横浜光)。4度目の防衛戦を迎えたタイの強豪王者、プーンサワットを、圧倒的不利の下馬評から得意のアウトボクシングで封じ込めて3-0の判定勝利というまさかの戴冠劇となった。   29歳の李が頭角を現すきっかけとなったのは、すでに引退した元東洋太平洋フェザー級王者の榎洋之(角海老)との09年7月の一戦。世界再挑戦を目指していた格上の世界ランカー榎相手に、李は日本ランカーとして挑み、距離をコントロールしてテクニカルなアウトボクシングで榎を翻弄して判定勝利、世界ランキング入りを果たした。その李が榎戦同様、世界戦でもアップセットを起こし、見事王座の栄冠を手に入れたのだからボクシングは何が起こるか分からない。  ボクシングファンにとっては観戦に大忙しの世界戦ラッシュだったはず。11月には2階級上げてフェザー級に転向した長谷川穂積の世界戦もあり、今年はまだまだボクシングの話題には事欠かなさそうだ。


posted by 野口 弘宜 |18:46 | コラム-リングサイド | トラックバック(0)
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