2006年12月22日

坂本博之という男

97年エディ・タウンゼント賞受賞の名伯楽、角海老宝石ジムの「先生」こと田中栄民チーフトレーナーが選手のことやジムでの出来事、試合の裏側などを毎月語ってくれます!!


坂本(博之)が1月の試合を最後についに引退することになった。この15年間うちの看板選手として数々の名勝負を繰り広げ、4度の世界挑戦もベルトには届かなかったが、それでも坂本ほど記録以上のドラマを生んだボクサーは過去にいなかったし、これからもいないだろうなと俺は思う。

坂本博之
坂本のボクシングには坂本の人間性、生き様がそのまま投影される。打たれても打たれても決して諦めずに前に出る、そして強打をぶん回して相手をなぎ倒す。そんな坂本の愚直なボクシングは、ハングリーな環境で生まれ育ち、まさに拳だけでのし上がってきた男の人生そのものなんだよ。 だからたとえ世界チャンピオンになれなくてもたくさんの人たちが熱狂し、感動し、そして坂本の戦う姿から勇気を貰ってきた。ボクシングは厳しい勝負の世界だけれど、坂本は勝敗を超えた価値観を表現してきたんじゃないかな。坂本のような人間が持つ価値観というのは古き良き日本というか、今の日本人が失いかけてるものなんだと思う。なんだろう……、人情や根性、男らしさとか、何か熱い感情のようなものだと思う。 でもね、坂本は打たれ強いイメージがあるけれども、不死身の人間じゃない。決してディフェンシブな選手じゃないから歴戦のダメージは蓄積してただろうし、腰にメスまで入れてる。それでもリングに上がり続けられたのは坂本のメンタルの強さだよ。精神力が才能と肉体を引っ張ってきたっていうのかな。とにかくあの男の根性は並外れてたよ。 俺は坂本の引退を否定しないよ。あいつはもう十分すぎるほど頑張ってきたし、やっぱりジムの人間としては坂本の体のことが何より心配だからね。純粋な勝負論で言えば勝利の女神は最後の最後で微笑まなかったかもしれないけれど、坂本は子供たちやファンの人たちにとっては間違いなく永遠のチャンピオンだよ。 ジムにも坂本に影響されてボクシングを始めた人間が何人もいる。坂本がこれからどういう人生を歩むのかは本人次第だが、坂本が培ってきた貴重な経験を何らかの形で次の世代たちに伝えていって欲しい。 1月6日の試合ではきっと坂本らしいボクシングを見せてくれるはず。俺も期待してるし、ファンの皆さんも最後の応援をしてほしい。 試合が終わったら俺からは何はともあれ15年間本当にお疲れさまと心の底から言ってあげたいね。


■田中栄民プロフィール
http://www.kadoebi.com/boxing/trainer/tanaka/

■坂本博之プロフィール
http://www.kadoebi.com/boxing/players/index.cgi?n=339

posted by 角海老広報室 |17:41 | 田中栄民の徒然なるまま日々のこと | コメント(0) | トラックバック(0)
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