2007年05月25日
本望信人インタビュー世界戦を振り返って(1)
5月3日にWBC世界スーパーフェザー級王者、エドウィン・バレロ選手(帝拳)との世界タイトルマッチに挑み、8回負傷TKO負けを喫した本望信人。しかしその戦いぶりは自らのボクシングキャリアの集大成とも言うべき素晴らしい内容で、スーパーチャンプのバレロを十分苦しめ、流血で顔面が染まる中で最後まで闘志を切らさず戦い続けた本望の姿は感動的でさえあった。その初めての世界挑戦を本望に振り返ってもらおう。--まずは世界戦お疲れさまでした。負けはしましたけど、素晴らしい試合内容だったと思います 「ありがとうございます。今はもうすっきりしてますよ(笑)」 --そうですか。それではまずは試合のことから聞かせて下さい。夢の舞台である世界戦のリングに上がった瞬間の心境はいかがでしたか? 「はい。やっぱりずっと夢見てたリングですから、試合直前まで正直リングに上がったら緊張しちゃうんじゃないかと思ってて。でも実際リングに上がってみてまったく緊張しなかった。すごいリラックスしてたんですよね。そこであたらめて自分のやってきた事が自信になってることを確信しました」 --それでは試合が始まって、バレロと拳を合わせてみてどうでしたか? バレロ選手が過去タイトルマッチを除いてすべて1RKO勝利ということもあって、初回はやっぱり意識したんじゃないでしょうか? 「1Rで拳を合わせればだいたい相手の実力が分かるんですが、やっぱりバレロはただ者じゃなかったですね。今まで戦ってきた相手の中で最強であったのは間違いないです。パンチもあるし、スピードもあるし、それに加えて巧さもある。凄い選手だと思いました。ただ、僕も相当練習してきたし自信もあったんで、ある程度想定の範囲内の強さというか、これだったら行けるっていう手応えは序盤でありました。1Rから仕掛けてくるのは分かってましたけど、むしろそこはあまり意識しませんでしたね。たぶんバレロにやられた相手というのは、1Rを必要以上に警戒し過ぎたところがあったんじゃないかな。変に守りに入ったり腰が引けた時点でやられちゃうと思うんです。僕は自信を持って自分のやってきたことを1Rからやろうとしか考えなかったんで、なんとか持ちこたえることができました(笑)」 --しかしやはりあれだけ強打を振り回されて恐怖心とかはなかったですか? 「恐怖心は・・・・なかったですね。やっぱり厳しい練習を積み重ねてきたんで。練習することで恐怖心は消し去ることができました」 --確かに見ていて効いたパンチはなかったように思えました 「そうですね。まともに食らったらやばいと思うパンチは何発もありましたが、クリーンヒットはもらわなかったんで効いたパンチはなかったですね。ただ試合が終わってから血尿が出たり、顎が痛くて食べることができなかったりっていうことがありました。今までそんなことは一度もなかったんで、試合中は興奮してて感じなかったのかもしれないけど、まともにもらわなくてもバレロのパンチは相当威力があったんだなと思いました」 --本望選手サイドの作戦というのはどのようなものだったんでしょうか? 「やはり先に仕掛けてくる選手なので受け身に回らず出鼻をくじくこと、バレロより先に手を出していこうと。それからパンチをよけながら左右に回り込んで打ち終わりのカウンターを取っていく、ということですね」 --なるほど。その作戦の効果かバレロ選手はなかなか思う通りにできず相当苛立っていたように見えましたね 「それなりにできたんじゃないかと思います。自分のボクシングの特徴は相手の良さを消すということだと思うんです。僕は派手なボクサーではないので、相手に100%の力を出させないことをいつも意識して戦ってるんで今回の試合でもその辺の部分は出せたんじゃないかなと思います。ただやはり序盤立て続けに目をカットしてしまって・・・・」 --あれがなければとも思いましたが、目の傷はもはや本望選手には付きものになってしまっているというか 「本当ですよね。もうしょうがない(笑)。それを含めて自分の実力なので言い訳にはなりません」 --それでもバレロ選手をここまで苦しめたのは本望選手が初めてなんじゃないでしょうか? 途中からは露骨に目の傷を狙ってきていましたし 「序盤はやはり強打で倒しにきてたと思うんですけど、4Rくらいから切り替えてきましたね。目の傷を狙ってきたことも含め、冷静に勝負に徹することができるというのはさすが世界チャンピオンです。バレロはこれまでほとんど1RKO勝利なのでああいう試合展開は経験したことないはずなんですが、うまくいかないからと言って熱くならず、KO狙いの戦い方からプライドを捨てて確実に勝ちに来ましたから」 --その後、流血がひどくなって度々ドクターチェックが入りました。傷のことは意識しましたか? 「序盤からやばいと思いつつも、なるべく意識しないように集中してやってたんですが、7Rからはさすがに止められるだろうなとは思ってました。実際8Rのチェックでレフリーから『次は止めるからな』って言われて。もう行くしかないと思って打ち合いを挑みました」 --あの打ち合いは壮絶でした。最後の2人の戦いには観客も心を打たれたと思います 「僕の気持ちに応えてくれたバレロには本当に感謝してます。試合はあのまま行けば僕の傷で遅かれ早かれ終わってたと思うし、バレロにしてみたら無理してあそこで打ち合う必要はなかったんですよね。それを分かった上で打ち合ってくれたんだと思います。しかもあの打ち合いでバレロは初めて声を出して打ってきたんですよ。気持ちが入った勝負が最後に出来て本当に楽しかったし、興奮しました」 --そしてその直後に試合は止められるわけですが、止められた瞬間はどういう心境でしたか? 「それはやっぱり悔しかったです。ものすごく悔しかったです。でも世界チャンピオンの壁は大きかったということなんだと思います。僕とバレロの違いというのは技術や経験で言ったらそんなに大きな差はないのかもしれませんが、何かが決定的に違うし、その小さな差が世界を獲るという目標においては大きな差になるんですよね。世界でたった1人の称号はすべてにおいてパーフェクトじゃなきゃ与えられないんですよね。この試合を終えてみてボクシングの奥深さ、そして世界チャンピオンの価値というものをあらためて勉強させてもらいました。今は本当にすっきりしてますよ。自分のボクシングキャリアの最後にずっと夢見てきた晴れ舞台に立ち、最強の相手に自分の持てる力のすべてをぶつけることができた。後悔はひとつもありません」(つづく)
■本望信人プロフィール http://www.kadoebi.com/boxing/players/index.cgi?n=336
posted by 角海老広報室 |13:43 |
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