2007年05月14日

見た目

長年ボクシングを見続け、自他共に認める大のボクシングファン、村木田一歩氏の独善コラム!

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やっぱり、ボクサーは『ボクサー』と呼ぶのが正解で、『選手』と称するのは自分の中ではしっくりこない。『プロボクサー』・・・。何とかっこいい肩書きなんだろう。マスコミにとっては、『何々選手』としか呼びようがないのだろうが、自分の中では普通のボクサーは『何々君』と呼び、ランカー以上は『何々さん』に昇格する。『何々さん』になると、シューズやトランクスも見慣れてきて、いつもの彼の軽いアップ動作とともにリング上に彼のイメージがすんなり収まる。ところがまだ『何々君』の場合だと、これが色々あって実に面白い。頭からシーズまで、まるで極楽鳥のようにヒラヒラ着飾っていきり立って入りのもいれば、トランクスに自分の名前はおろか、ジム名さえ、とにかく何の刺繍もない黒無地の練習用みたいなイデタチでショポッーと出てくるのもいる。それで、いざ試合となるとこの地味な方が恐ろしく攻撃的であったり、あの極楽鳥の腰が初めから引けてたりするのがとても面白い。 スペースKの『大場浩平さん』みたいな、見た目真面目な普通の学生さんにしかみえないようなボクサーは、全体の中ではごく少数派であって、殆どは目の周辺に傷を負った鋭い目つきのイカツイ顔をして、髪の毛を金色にとんがらせて、ストリート系のファッションで身を固め、アイポットでがんがんラップを鳴らせているもんで、電車の中なんかで出会うと、なるべく目を合わさないようにしていまいがちになるけど、これが実際に話をしてみると、『何々君』も『何々さん』も拍子抜けするというか、驚くほどいいヤツばかりなんだ。 入場の際のパフォーマンスが、試合に入るとガラッと変わるボクサーの筆頭が『クレージー・キムさん』だ。彼は入ってくる時には、『地球上に俺以上に悪いヤツはいねえぞ!』なんて感じで観客を煽るが、ボクシングを始めると全く変わる。特に目付きが、まるで精密機械に取り組むエンジニアのように真撃な眼差しになる。クレージーとは全く仮の名で、そのギャップに、初めは随分驚いた。自らが超劇的な負け方をしてベルトを失ってからそんなに時間が経っていないある日ホールに現れたときに、同じジムの後輩に、気後れする事もなく彼は精一杯の応援をしていた。いいヤツだな。 いつも普通に会社に出勤してくるみたいに出てきて、『どれ、今日も一仕事するか』なんて感じでリングに上がるボクサーもいるね。日本チャンピオンだと『木村登男さん』と『小堀佑介さん』。『木村さん』は最後まで黙々と仕事をこなす職人のようだけど、『小堀さん』の場合は相手のパンチを受けた途端に人が変わる。『キムさん』と『小堀さん』はインタビューとなると、またまた別の人になる。


posted by 村木田一歩 |21:03 | コラム-リングサイド | トラックバック(0)
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