2009年06月15日
田中栄民の徒然なるまま日々のこと 金沢のタイトルマッチを振り返って
6月8日の金沢(知基・日本スーパーバンタム級6位)のタイトル初挑戦は、9回KO負けという残念な結果で終わってしまった。金沢は積極的に前に出て、根性もあったし、勝とうという気持ちも見えた。だが、いかんせん攻撃が正直すぎて、キャリアで勝るチャンピオンの木村(章司・花形)君にタイミングを完全に読まれてしまって、内容的に見たら木村君の完封勝ちと言って良かったと思う。 特に木村君のようなキャリアを活かした巧いタイプのボクサーは、対戦相手に合わせて攻略法を考えて戦うから、必然的に相手を読む能力に秀でてるんだよね。金沢はまだ勢いだけでボクシングをやってるようなところがあるし、木村君にしてみると読みやすい、攻略しやすい相手だったと思う。 一方の金沢はやりにくかっただろうね。言ってしまえば木村君はかみ合わない相手だった。金沢はもっと接近戦で打ち合いたかったんだろうけど、たぶん試合が終わって振り返ると、やりたいことはほとんどできなかったと思うんじゃないかな。つまり木村君は、金沢にそう思わせるようなボクシングをしたんだよね。木村君がそういうボクシングができるのもキャリアがあるからなんだよね。 金沢にしてみると、何をやっても当たらない。気持ちも焦ってくるし、大きいパンチを狙っていくんだけど、逆にカウンターを合わせられてしまう。将棋で言えば完全に詰められてしまってる状態。悪い流れにハマってしまって、金沢はそこから打開策が見いだせなかった。 もっと中間レンジで細かいフェイントを入れてタイミングをずらす努力をしてみたり、つまりもう少し駆け引きができるようにならないと木村君のような相手を崩すことはできない。例えば、ジャブの打ち方ひとつでもああいう局面を打開できる時もあるんだから。 ボクシングっていうのはすごく繊細なスポーツなんだよね。実力的に見たら2人に大した差はないんだよ。紙一重だと思うよ。ところが紙一重でどこかが狂い始めると、それが紙10枚分ぐらいになってしまうことがある。 そういう時にキャリアがあると深手を負う前に修正できてくるんだが、まだまだキャリアの浅い金沢だからしょうがない。そういう部分はこれから経験を積んで覚えていくことだし、今回のタイトルマッチは「大きな勉強」だったと思った方が良いよね。 タイトルは1回で獲れる時もあるが、何回かチャレンジして獲れることもある。1度タイトルに挑戦して失敗しても、そこで気持ちが切れてしまうか、さらに強くなって戻ってくるか。今後の金沢のボクシング人生にとっても大きな分かれ道になると思う。年齢的にも体力的にも金沢はまだまだやれると思うし、今回の敗戦を大舞台での貴重な経験だと思って、それを糧にこれからさらに厳しいトレーニングを積んでひとつ上のレベルのボクシングを目指してほしいよね。
■田中栄民プロフィール
http://121.50.45.212/boxing/trainer/tanaka/
posted by 田中栄民 |17:09 |
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