2009年01月10日
2009年1月3日 WBA世界ライト級タイトルマッチ12回戦 「雑感・試合後の控え室から」
ナミビアのパウルス・モーゼスに破れ、WBA世界ライト級タイトルの初防衛に失敗した小堀祐介。試合後、小堀陣営の控え室には多くの記者、メディア関係者が集まり、苦痛の表情でリングから戻ってきたばかりの前チャンピオンを取り囲んだ。 2008年の1年間を振り返ってみても小堀の世界ライト級タイトル獲得は、中量級での日本人世界チャンピオン誕生という、日本のボクシング界にとっても近年まれに見るビッグニュースだったはずだ。モーゼスとの初防衛戦をクリアすれば、本場ラスベガスでメキシコのスーパースター、マルコ・アントニオ・バレラを挑戦者に迎えたタイトルマッチの青写真まで描かれていた。 昨年11月ぐらいから日本サイドには、バレラ自身が小堀との対戦に強いやる気を見せていると伝えられていた。 今から2年前、当時日本チャンピオンだった小堀は、同じくメキシコのスーパーチャンピオンであるファン・マヌエル・マルケスとのタイトルマッチを控えたバレラのスパーリングパートナーとして招聘され、アメリカ国内でのキャンプに同行したことがある。 1カ月に及んだこの「米国修行」で小堀はバレラと拳を合わせ、初めて世界を肌で知ったのだ。世界随一のエンターテインメントシティー、ラスベガスのメインイベントとして行われたマルケスとの壮絶なタイトルマッチをリングサイドで観戦し、「ボクシングを見て初めて感動した。同じ舞台に立つことなんて考えられない」と話していた。 そんなかつての弟分「KOBORI」が世界チャンピオンになったことに対して、バレラが特別な感情を頂いていても不思議ではないし、実際にバレラは小堀戦を視野に入れて小堀の興行権を持つドン・キング・プロモーションと契約したといわれていた。 モーゼス戦の先にぼんやり見えていたバレラとのビッグマッチは「日本人がベガスのメインを張る」という、日本ボクシング界にとっても史上初めての出来事。小堀の言葉を借りれば、まさに「考えられないこと」だった。 日本タイトルを獲得した真鍋圭太戦での衝撃の2ラウンドKO劇から始まった小堀のチャンピオンロードをつぶさに観てきたボクシング記者たちにとっても、小堀の奥に潜む不思議な「大物感」にきっと大きな期待を寄せていたはずだ。それだけに控え室の雰囲気も重かった。その場にいた記者たちもこの先、小堀の目の前に広がってくる風景をもう少し見てみたかったというのが本音だったのではないか。 いくつかの質問に対して、口べたな小堀が言葉を振り絞り、「相手の方が強かっただけです…」「(モーゼスは)遠かったです…」と繰り返した。 どういう気持ちで戦っていたのかという質問に、「10発貰っても、1発良いのを返せれば」と答えたのは、良くも悪くも小堀らしいコメントだったと思う。最後に進退について聞かれ、「少し考えます」とだけ言ってうつむいた。 同席した角海老宝石ジムの田中栄民チーフトレーナーは、デビュー以来小堀を見続け、二人三脚でチャンピオンロードを歩んできた。小堀の強さをもっとも良く知り、勝利をもっとも確信していた一人だったはず。「しっかり研究されていた。打ち合ってくれなかった…」と悔しがった。(フリーライター・野口弘宜)
■小堀 佑介
http://www.kadoebi.com/boxing/players/index.cgi?n=338
posted by 野口弘宜 |14:20 |
コラム-KNUCKLE IS THE SOUL |
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