2006年09月22日
榎洋之[角海老宝石]***ナデル・フセイン[オーストラリア]2006/09/16
東洋太平洋フェザー級王者の榎洋之(角海老宝石)が世界トップクラスの実力を証明した。初防衛戦が9月16日に行われ、指名挑戦者で屈指の世界ランカー、ナデル・フセイン(オーストラリア)と対戦。榎にとっては念願の世界初挑戦に向けた最大の試練となったが、フセインを文句なしのフルマーク判定で下した。 WBC同級6位のフセインは2度の世界挑戦を経験しており、戦績は41勝(26KO)3敗。しかも負けた相手はマニー・パッキャオ、オスカー・ラリオス、スコット・ハリソンという名だたる世界王者のみ。24勝(18KO)1分けでいまだ無敗の榎だが、キャリア、実績ともに確実に格上の相手だ。指名挑戦者ということもあって、世界のボクシング関係者が注目するこの試合。勝てば世界の壁が確実に見えてくるが、逆に勝てなければ「世界挑戦の資格なし」の烙印を押されかねない、夢の大舞台への切符が懸かった大事な一戦となった。 周囲から「フセインは強い」と言われ、かつてないプレッシャーを感じていたはずの榎。それは「精神力が今回の課題」と語っていたことからも明らかだった。実際リングに上がった榎は何かの覚悟を感じさせるほど引き締まった表情を浮かべ、この試合にかける強い意気込みが見て取れた。 試合はファイタータイプのボクサー同士、技術と技術、気力と気力がぶつかり合う、まさに「世界」を意識させる好勝負となった。スロースターターの印象が強い榎だが、いつもとは違って1R立ち上がりから積極的にジャブ、ワンツーを繰り出していく。一方のフセインは、まずは様子見といったところ。しかし2Rからは一気にペースを上げ、ノーモーションからフリッカー気味の高速ジャブで差し合いを制し、コーナーに追いつめての強烈な右のボディーブローに榎が一瞬バランスを崩す。 あのパッキャオ、そしてハリソンからダウンを奪い、ラリオスとは判定まで戦ったその実力はやはり歴戦の強者であることをうかがわせる。だが、榎はそのフセインのプレッシャーに決して負けることなく、集中力を切らさなかった。 その後も左のリードジャブを効果的に使い、日本屈指の剛腕を誇る右の強打は何度もフセインの顔面を脅かし、ガードが上がればボディーを下がれば顔面を、という具合に丁寧かつ執拗に攻め立てていく。フセインもフットワークを使いながら榎の強打を警戒しつつ、スピーディーで伸びのあるパンチを武器に一進一退の攻防を展開する。 6R、榎がついにフセインを捉え始める。右のストレートの強打をくらったその直後、左右のボディーの連打からカウンターの左フックがフセインの顎を打ち抜き、ピンチをチャンスに変える会心の一撃。 7Rには右の強打を側頭部に叩きつけ、さらにロープ際で右のストレートを見舞う怒濤の攻撃に、フセインの頭が大きくのけぞる。8R以降、明らかにフセインは失速した。セコンド陣営がたまらずインターバルで時間遅延を図る苦肉の策を何度も試みる。表情にも覇気がなくなり焦りの色が見え始め、フットワークで榎の攻撃をかわしてスタミナ切れを狙うが、榎の勢いは途切れない。距離を詰めてショートレンジから打ち込んでいく。 そして最終回。榎にとって12Rを戦うのは初めての経験だが、ここでセコンドも「絶対に下がるな。ポイントよりも倒しに行け」と気合を注入して盛り立てる。結局KOこそならなかったが、最後まで油断することなく一発を狙うフセインを寄せ付けず、そのまま試合終了のゴングがなった。 判定は3人全員が2~4ポイント差を付けて榎の完全勝利。強敵を迎えた上、難しいといわれる初防衛に見事成功した。勝者コールの瞬間には榎が珍しく感情をあらわにし飛び上がって喜びのガッツポーズ。リング上では「本気で本気で世界……、応援よろしくお願いします!」とアピールし、会場は大歓声に包まれた。この試合でのフセインの強さは誰もが納得するところ。その強敵相手に判定だったものの内容では圧倒した榎の実力は、文句なく世界を狙える位置にまで達していることを証明したと言える。 角海老宝石ジムの鈴木会長も「世界挑戦に値する選手に成長した。ジムとしてもなるべく早くタイトル戦を組んであげたい」と話し、いよいよ次戦の期待も膨らんできた。 榎の試合後の話 「初めて試合に勝って喜びました。これで喜んじゃいけないんですけどね。世界との差がそんなにないことを実感できたのは大きい。これで文句を言われずに世界戦ができる時が来たんじゃないかな。ブランクが8カ月もあって減量がきつくて不安もありました。練習自体はうまく出来たんですけど、やっぱり試合直前になって弱気になっちゃって。だから木内さん(トレーナー)とも『精神力が課題だぞ』って。特に作戦とかもなくて、とにかく勇気。勇気を出して戦いました。相手はそれなりに強かったですけど、うちのジムには本望さんっていうものすごく強い世界ランカーがいるんで。試合は先手先手でずいぶん飛ばしましたけど、そのまま最後まで行けました。それでもスタミナはもっと付けないと。それにジャブの差し合いで負けてたのはあり得ないですね。今後の反省点です」
■榎洋之プロフィール http://www.kadoebi.com/boxing/players/index.cgi?n=335
posted by 角海老広報室 |19:53 |
試合レポート |
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