2006年09月12日
塩野翼[角海老宝石]***小口雅之[草加有沢]2006/09/05
注目の「カツラボクサー決戦」が9月6日、「クリーンファイトボクシングパート3」のメインイベント・スーパーフェザー級8回戦で行われた。友人27人による色とりどりの「ヅラトレイン」を従えた塩野翼(角海老宝石)は銀色のロン毛、一方の小口雅之選手(草加有沢)は本格的なアフロヘアと、入場前のカツラ対決も盛り上がったが、試合はパフォーマンスを忘れさせる純度の高い好勝負。お互い一歩も譲らない気持ちの入った乱打戦を展開した結果、経験で上回る小口選手が3-0の判定決着で勝利した。入場時のパフォーマンスでは小口選手を上回る強烈なインパクトを残した塩野。それもこの試合に懸ける意気込みの表れであり、塩野自身も「減量も早い段階から調整したおかげでスムースに行ったし、今までで一番充実した練習ができた。ここで負けたら後はない、そういう覚悟でやってきたから」と話し、気力体力ともに万全のはずだった。 しかし、試合は塩野にとって未体験の8回戦。そこで田中栄民チーフトレーナーが打ち出した作戦は「スタミナのある早い段階から打ち合って勝負に出る」というものだったが、やはり初めての大舞台を任されたプレッシャーのせいか、1、2Rの塩野の動きは硬く、何度も肩の力を抜く素振りを見せる。緊張は誰の目にも明らかでコンビネーションは空を切ることが多く、単発のパンチしか当てることができない。 一方、塩野よりも7歳年上で4戦多く戦っている小口選手は落ち着いて試合に入っていった。互角の序盤にこそ見えたが、小口選手は判定勝負も視野に入れて戦っていたに違いない。ジャブで距離とリズムを作って前がかりの塩野をうまく制していたが、早期決着に勝負をかけるべき塩野の方は自分のペースをつかめきれず、これが勝敗を分けたと言ってもいいだろう。 3Rに入り、塩野がようやく攻勢に出る。打ち合いを仕掛け、左フックを中心に何度も良いパンチが入り始める。小口選手もこれに応え、ここから試合は壮絶な殴り合いへとシフトしていく。小口選手はこのラウンドで右目をカット、そして試合後に発覚することになるが、塩野はこのラウンドで鼻骨を折っていた。 4Rからはお互い頭をくっつけた流血の熱戦。気持ちと気持ちがぶつかり合い、ノンタイトル戦とは思えない濃密で素晴らしいボクシングを繰り広げる。 塩野は鼻のダメージから口が開いて呼吸すらまともにできないはずだが、それに加えて両目もカット。しかし、それでも引き下がらず打ち合う根性を見せた。小口選手も何度も良いパンチを貰い途中再三のドクターチェックを受けたが、表情すら崩さずに拳を振り回した。 観客にとってもほや「カツラ対決」というテーマはどこ吹く風、顔面を真っ赤に染めた一進一退の男同士の戦いにただただ興奮し、場内は異様な熱気を帯び始める。 試合は終盤に入り、怪我の影響もあり塩野のスタミナが切れ始める。ふらつく場面が増え、必死の形相でなんとか食い下がるが、6R終盤にはロープ際に追いつめられ、なんとかクリンチでしのぐ場面も。7Rも両者根気を振り絞って戦い抜き、ついに最終8Rを迎える。塩野の顔はかなりのダメージを受けており、肩で息をして苦しそうな表情を浮かべる。小口選手がスパートをかけ攻勢を強めるとふらふらになりながらスリップダウン。それでも立ち上がってパンチを出すことをやめない塩野の姿に場内も大歓声で応援する。もはや両者あっぱれという空気の中、ここで試合はタイムアップ。難しい判定だったと思うが、最後までダメージを見せず一貫して戦い通した小口選手に軍配が上がった。 しかし、小口選手の強さを引き出し、見応えのある試合を作り上げられたのは塩野の頑張りがあったからこそ。塩野にしてもここまで自分の潜在能力を見せることができた試合は過去になく、そういう意味でもこの一戦は塩野のボクシング人生の転機となったのは間違いないことだろう。 「カツラ対決」というバラエティ的な要素から注目を浴びた今回の一戦だったが、会場に足を運んだ観客は塩野と小口選手の闘志、勇気に溢れた戦いぶりに、きっとボクシングの根源的な面白さを堪能したことだろう。試合後、勝敗に関係なく2人のボクサーに惜しみない歓声と拍手が送られたことは非常に清々しい光景だったことを付け加えておく。 ※塩野は試合に負けた悔しさから控え室で目を腫らして泣き崩れた。しかし集まった報道陣からも「本当によく頑張った」「久しぶりに胸が熱くなる試合だった」などの声が聞かれ、引退を口にした塩野に対して周囲は「現役続行」を期待していた。 塩野の試合後の話 「たくさんの方に応援してもらっていたのに本当に申し訳なく思っています。3Rで鼻を折り、両目も切っちゃって4Rくらいからはスタミナが完全に切れました。結局は小口選手が気持ちの面で自分を上回っていたんだと思います。負けたら引退するつもりでやっていたんで、今後の進退は落ち着いてから考えたいと思います」
■塩野翼プロフィール http://www.kadoebi.com/boxing/players/index.cgi?n=357
posted by 角海老広報室 |19:48 |
試合レポート |
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