2006年05月15日
イーグル京和[角海老宝石]***ロデル・マヨール[三迫]2006/05/06
WBC世界ミニマム級王者・イーグル京和が2度目の防衛戦にして最強の挑戦者を迎えた。同級1位の指名挑戦者でフィリピン出身の24歳、ロデル・マヨール(三迫)は22戦全勝17KO(アマチュア戦績124戦120勝4敗)というトップコンテンダー。その名に恥じない驚異的な戦績を誇り、無敗の勢いのまま待ちに待った初の世界タイトル挑戦で王座奪取を目指す。一方、イーグルにとってもマヨールは絶対に避けては通れない相手、防衛に成功すれば絶対王者により近づくことは間違いなく、さらにその先にある統一王者の夢も見えてくる。両者にとっての本当の大一番、最大の正念場と言える見逃せない一戦となった。 テクニックと総合力のイーグルか、勢いと一発のマヨールか。ラスベガスで行われてもいいほどの屈指の好カードに後楽園ホールは超満員、試合前から世界戦特有の緊張感が会場を包み込む。両者の出身国であるタイ、フィリピン、それに日本を加えた3カ国の国歌斉唱の後、いよいよ世紀の一戦のゴングが鳴る。 1R開始早々、左利きのオーソドックスという変則スタイルのマヨールが王者の出鼻をくじく形で距離を詰め、左右の大きなパンチをぶんぶんと振り回してくる。マヨール最大の武器である伸びのある左フックがいきなり王者の顔面を捉え、イーグルの頭が一瞬後方に揺れる場面も。これに対してチャンピオンも果敢に応戦、試合は序盤からお互いのグッドパンチが激しく交錯する思わぬ打撃戦となり、息をつかせないハイレベルな攻防に場内もどよめく。そして2R、勢いが増したのは挑戦者・マヨールの方。ガードの上からでも連打を見舞い、1分すぎにはカウンター気味に入った左フックがクリーンヒット、見る見るうちにイーグルの右目部分が腫れ上がる。この時点で王者の表情は一変し、これまで試合中に時折見せていた微笑みが完全に消える。 消耗戦を避けたいマヨールはさらに王者を攻め立て、ロープに追いつめて強烈なボディーへのラッシュ。イーグルはぐらつきながら必死でそれをこらえる。抜群の動体視力を持つ攻防一体型のイーグルがここまで打たれるのは見たことがなく、挑戦者の勢いに為す術がない予想外の苦戦を強いられる。 3R以降、なんとか突破口を見い出したいイーグルは、マヨールの圧倒的なプレッシャーの中からもスピーディーなコンビネーションを繰り出していくが、どれも決定打にはならない。それよりもマヨールの左が王者の顔面を揺らすシーンが多くなり、焦りが見える王者には大振りなパンチが目立ち、なかなか自分のペースをつかむことができない。さらに5R終盤には偶然のバッティングから右目に加えて左目の上をざっくりとカット。出血も激しく、両目の視界が効かないイーグルは絶対絶命のピンチに。必死で応援する観客も不安そうな表情。 しかし、会場には妻の貴子さんと2人の息子も観戦に来ている。母国タイでの極貧生活から苦労して掴んだジャパンドリームをそう簡単に手放すまい。ダウンしてもおかしくないパンチを何度も貰いながらも王者の気持ちは決して切れていなかった。 そろそろ終盤という8R以降から、中盤まで我慢のボクシングで堪え忍んだイーグルは、トップギアで戦い続けてきたマヨールのスタミナが切れ、手数が落ち着いたところを見て攻勢に打って出る。リーチで6センチ上回るマヨールのロングパンチも視界不良ながらもほぼ見切れてきた。マヨールの打ち終わりを狙ったコンビネーション、右の強打が当たり出す。 一方の挑戦者も必死で食い下がる。フィリピン・セブ島で生まれ育ち、幼い頃に両親が離婚、子供の頃から車の洗車や魚の行商で2人の弟を養ってきたというマヨール。母国では英雄・マニー・パッキャオの後継者と目され、この日の試合もフィリピンでは生中継されている。お互い貧困という途上国の現実から拳だけで成り上がった者同士、気迫と気迫がぶつかり合う壮絶な打ち合いとなる。だが、こうなってくると前半に体力を消耗しているマヨールの分は悪く、総合力ではやはりチャンピオンの方が上。10Rからは接近戦でのボディー攻撃に的を絞り、序盤のロスを盛り返す怒濤の攻撃でマヨールを追いつめる。 そして迎えた最終12R1分すぎ、ガードの隙間をピンポイントで狙った右ストレートがマヨールの顎を打ち抜く。ふらつく挑戦者に対してすかさず距離を詰め、左のジャブからボディー、右ストレートとコンビネーションを打ち込み、なんと王者が最後の最後でマヨールから大逆転のダウンを奪う。イーグル陣営が歓喜に沸く中、そのまま試合終了のゴングが鳴り、勝敗は判定に持ち越された。 判定結果は3-0で勝者イーグルの名がコールされる。場内が大歓声に包まれる。勝利を称えるスタッフや関係者に交じって、応援に駆け付けた大相撲の大関・千代大海もリングに上がり、イーグルを抱え上げて祝福する。 過去にないほどの苦戦を強いられ、逆境の中でも諦めずに勝機をひたすら待ち続けたイーグルの精神力は見事としか言いようがない。そして、会場からは対戦相手のマヨールにも惜しみない拍手が送られた。勝者インタビューでイーグル自身が「今日は難しかった」と答えるほど、最強の挑戦者にふさわしいファイティングスピリットと質の高いボクシングを見せ、その実力が世界トップクラスであることを証明したマヨール。今後が大いに期待されるボクサーであることは間違いない。 イーグルはマヨールを破ったことで長期政権への期待が高まり、さらにこの階級ではリカルド・ロペス以来となるWBA王者との統一戦という新たな夢に向かって前進する。 イーグルの試合後の話 「マヨールの伸びのある左が強くて苦労した。そこまで準備ができていなかったので、少し混乱もしていた。前半はそれにどう対応していいかをずっと考えていた。ただ視界も悪かったし、無理をしないように自分のペースを取り戻すことを努力した。だんだんパンチも見えてきて、打ち終わりを狙うようにパンチを出していった。ボディー攻撃も手応えがあった。とにかく負けたくないという気持ちだけ、最後は気持ちの勝負だったと思います」
■イーグル京和プロフィール http://www.kadoebi.com/boxing/players/index.cgi?n=328
posted by 角海老広報室 |18:58 |
試合レポート |
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