2007年10月15日
田中先生コラム 「ダブルタイトルマッチを振り返る」
9月15日のダブルタイトルマッチだが、榎(洋之)、小堀(佑介)ともに防衛に成功してひとまず安心といったところだ。けれど世界を狙う2人にとっては少なからず課題が残る内容だったとも思う。 まずは小堀だが、とにかくコンディションは今までにないくらい良かった。結果的には最終10回終了直前に2度目のダウンを取って判定勝利となったわけだが、かなり苦戦したことには間違いない。 1、2Rで様子を見て、3Rでダウンが取れたことで「これなら行ける」と判断して一発狙いを意識し始めてしまったことが良くなかったのかもしれない。挑戦者の三浦(隆司)君がタフな相手だったことは素直に認めよう。特にノーモーション気味で出てくる左ストレートは予測することがなかなか難しく、小堀が合わせよう合わせようとしても後手後手に回ってしまい、かなりパンチを貰ったし見映えも良くなかった。 本来小堀は一発狙いというよりは、リズムを作って回転力で勝負するタイプなんだが、最近は一発のカウンターで勝負を決める試合が続いたこともあって、こういう展開になってしまった。最終回で見せたああいうテンポの良い攻撃をもっと早く出せれば良かったんだが……。 8回には右目にパンチがモロに入ってしまって、小堀は右目がほぼ見えない状態で終盤を戦った。しかも僅差の試合だったから若干不安だったけれど、しっかり走り込みをしたおかげでスタミナも切れず、最後の最後で試合を決めることができたのは小堀の地力だろう。もちろん挑戦者の三浦君の健闘は評価されてしかるべき。いずれベルトを巻くボクサーになるんじゃないかな。 とにかくボクシングは何が起こるか分からないということ。いくら調子が良くても目に見えない流れがあって、そこを見極めずに少しでも油断すると命取りになる。今回も小堀は良い勉強をしたと思う。 そしてメインの榎の試合だ。本人も反省しきりだったようだが、もう少し突き抜けたボクシングをしても良かったのかなとも思う。 榎はご存じの通りいまだ過去無敗。そして見据える先は世界戦ただひとつ。そのためにまず最初に来るのは「負けられない」ということだろう。それがプレッシャーになって、良くも悪くも手堅いボクシングに終始してしまい、昔のようなハードパンチャーの榎が鳴りを潜めてしまっているような気がする。 今回の防衛戦では挑戦者の杉田(真教)君は果敢に挑んできたが、榎は勝ちに行くというよりは負けないボクシングに徹していたよね。その辺りを榎は反省していたんだろうけど、きっと榎にとって今は我慢の時期なんだろう。世界戦ができるまでモチベーションを維持するのも大変だろうがこれもまた試練、踏ん張らないといけない。勝利はもちろんのことしっかり内容でもアピールして、自分に世界戦がやれるだけの資格と実力があることを常に証明することだ。 榎、小堀の2人はうちのジムのツートップと言ってもいい。2人にとって来年のテーマは間違いなく「世界」になっていくだろう。それまでは試合だけでなく練習、コンディショニング、メンタル面などさまざまな面でさらに厳しいハードルが待ちかまえているはずだ。今回の試合も含め、反省点を課題に変えて目指す夢の舞台へと突き進んでいってほしい。
■田中栄民プロフィールhttp://www.kadoebi.com/boxing/trainer/tanaka/
posted by 角海老広報室 |15:14 |
田中栄民の徒然なるまま日々のこと |
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