2006年01月25日

坂本博之[角海老宝石]***M・ポンソムクワーム[タイ]2006/01/14

椎間板ヘルニアを克服した不動心・坂本博之の復帰第2戦。さらに、最多防衛記録を樹立して長期政権を築いた本望信人の返上した日本スーパーフェザー級タイトルの空位の座を、本望の後輩で同級3位の小堀佑介が「KOセンセーション」の異名を持つ同級2位の真鍋圭太と争う。1月14日、後楽園ホールで行われた注目のダブルメインイベントをレポートする。


場内を埋め尽くした満員の観客の大半は、この男の生き様を見るために後楽園ホールへやって来た。大トリを飾るのは、椎間板ヘルニアを患い腰の手術から奇跡的なカムバックを果たした元東洋太平洋ライト級王者、坂本博之の復帰第2戦。
昨年5月の柏樹宗戦で2年7カ月ぶりにリングに帰ってきたものの、結果は5回TKO負け。引退も囁かれたが、それを承知で坂本はあえて現役続行の道を選んだ。過去4度に及ぶ世界挑戦、何度負けてもどんなに苦しい時でも、坂本は前を見据えて立ち上がってきた。ボクシングこそが自分の生きる世界、その闘志はまだ燃え尽きていない。

この日行われるタイ国ライト級10位のマンコントーン・ポンソムクワームとの一戦は35歳、45戦目の挑戦。坂本の試合前、後輩の小堀佑介が強敵・真鍋圭太を2回TKOで破り、同じく後輩の本望信人が守り続けた日本Sフェザー級タイトルを獲得するという偉業を成し遂げた。ジムの先輩としても坂本は大勢のファンが見守る中、しっかりと勝ちを収めてハッピーエンドで締めくくりたい。

場内にドヴォルザークの「新世界」が流れる。もはや説明不要、言わずとしれた坂本の入場曲。坂本コールの中、私設応援団が陣取る花道に今夜の主役が姿を見せる。白いトランクスの左側には「不動心」の文字、体を絞り精悍な顔つきの坂本がゆっくりとリングイン。いざ両者向かいあっていよいよ試合が始まる。

1R、坂本は積極的に左のジャブを伸ばし、じっくりと試合を組み立てる。序盤からがんがん打ち合う以前のスタイルとは違い、ガードをしっかりと上げて慎重に試合を進めていく。長い間、実戦から離れていたのだから無理に攻め急ぐ必要もない、その辺はやはり経験の成せるわざだろう。
自らが育った福岡の養護施設をサポートする坂本、声援の中には子供の声も混じる。中盤に入って徐々にペースを上げ、ワンツー、左右のボディーブローを見舞っていく。近距離での右がテンプルにヒット、ぐらついた対戦相手・マンコントーンがすかさずクリンチに逃れる場面も。終盤には坂本の代名詞とも言える左フックが空を切る。まともにくらえば一撃必殺、当たりはしなかったが、破壊力はいまだに健在なことがよく分かる強打だ。

2R序盤、ジャブでリズムを掴んだ坂本が距離を詰めて強烈なワンツー。必死ですがりつくマンコントーン、さらに連打を叩き込まれてついにダウン。なんとか立ち上がるも坂本は、左右の脇腹に強烈なボディーブロー、インファイトで攻勢を強める。そして終盤、強烈な右ストレートがクリーンヒットし2度目のダウンを奪ったが、ここでラウンド終了のゴング。

坂本博之
そろそろ決着をつけたい3R。坂本が一気に前に出る。左右のボディーから得意の左フックが顎をかすめ、マンコントーンの膝が曲がりダウン。立ち上がってきたマンコントーンに対してさらに坂本は猛攻を仕掛け、最後は1分04秒、右フックで仕留めてカウントアウト! 復帰第2戦を計4度のダウンを奪って見事なKO勝利で飾った。 坂本の勝利は02年6月1日以来、実に3年7カ月ぶり。場内も久しぶりに見る坂本の笑顔に大いに沸く。勝利者インタビューで坂本は「手術をして、リングに帰ってきてようやく勝てた。本当に嬉しい。これまでサポートしてくれたジムや応援してくれた人たちに感謝したいです。みなさん本当に有り難うございます!」と語った。 試合後、控え室に戻った坂本は「(復帰戦で負けた時は)誰もが引退すると思ったはず。それでもやるって決めて、だからこの試合は今まで以上にプレッシャーを感じたし、本当に重たかった」と心境を吐露。また、「とにかくジムのサポートが大きかった。若い連中とやるのはいい刺激になった。榎、本望も世界を目指してるし、小堀も今日チャンピオンになって、(日本タイトル戦が控えた渡邊)一久も頑張ってる。その後ろには世界チャンプのデン(イーグル京和の本名)がどしっと構えていて。みんなが本当に支えてくれた」と、この日の勝利をジムメイト、スタッフたちに捧げた。そして、最後に坂本博之のこれからをこう話してくれた。 「今、ボクシング以外のトレーニングも取れ入れて練習してる。腰を強くするために相撲の四股踏みや、インナーマッスルを鍛えたり、ストレッチも徹底してやってる。今はトレーニングをもっともっとやってきたい。それで、一戦一戦クリアして先が見えてくると思う。客観的に見たら35歳、45戦でもうダメだと思う人も多いだろうけど、世の中には世界を目指すだけじゃないボクサーもいるんだ、脊髄の病気でもボクシングができるんだっていうことを証明したい」


■坂本博之プロフィール
http://www.kadoebi.com/boxing/players/index.cgi?n=339

posted by 角海老広報室 |18:11 | 試合レポート | コメント(0) | トラックバック(0)
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