2009年11月20日
大分トリニータ 社長「宏」君 退任へ
大分トリニータの社長である溝畑宏に初めて会ったのは1992年の慰労会だった。今から17年前である。 Jリーグができる1年前、日本ロードマップの大会が各地で開催されて、大分でも東京V対名古屋グランパスの試合が開催された。東京Vはペペ監督、加藤久、都並・・・名古屋は平木監督、小倉、中西、飯島・・・大分市営陸上競技場が超満員になった。その中で平松知事が満面の笑顔で挨拶した。 その大会が無事に終わり、サッカー協会が慰労会を行った席に彼がきていた。協会内部でも型破りな性格で話題を呼んでいた。 そして1993年、大分トリニティ設立準備会ができて、それ以来「宏君」と毎週夜、顔を会わせることになった。彼の人となりについては、長い付き合いの中で飽きるほど観てきた。 2002年W杯を招致して、九石ドームを含むスポーツ公園を作り、そして大分トリニータを作った。彼がいなければできなかったことである! 機関車になり、車輪をしっかり回してきたのは彼が軸だった。彼がいなければ、どれもできなかったことである。 今は亡き溝畑宏のお母さんが言った「宏の良かったことは、大分の人たちに喜ばれる大分トリニティを作ったこと・・・」と言っていたのは、忘れられない。 あれは1993年の最初のセレクションだった。400人が応募に来て、セレクション後、彼は最終面接を行い、初の顔合わせに集まるのが遅くなった。メンバーは当時広島の今西氏、スポンサー社長、初代文監督ら数人だった。遅れた彼にスポンサー社長は不機嫌で途中退席した。彼はその夜、スポンサー社長宅を訪れて、玄関土間で土下座して詫びた。 初代メンバーは仕事をしながら夕方から練習した。仕事が辛く辞めたいと言ってきた選手。溝畑は県庁の仕事が終った夜10時に宅を訪れて、夢を語り説得して、朝まで飲んで、その足で出勤していた。 彼の逸話は多い。それは喜ぶこともあれば悲しいこともある。その宏君が大分トリニータを退任することが決まった。大分トリニータに全力でぶつかり、命を捧げてきたと言っても過言ではないほどの道だったと思う。 同じ人間であるならば、長所があり短所もある。あげつらうのもよかろう。しかし同じ人間ならば、彼に「感謝の念」を持つのも、人間として自然なことである。それは彼がいなければ、大分トリニータは間違いなく存在しなかったのであるから。 あの青空の国立で輝いた大分トリニータを見て涙した多くの大分の人達は、大分トリニータが好きで、好きでたまらない人たちだったと思う。そしてそれを支えてきた柱は溝畑宏だった。 個人の私腹を肥やすことなく、親戚縁者に借金して、私財を1億近く投げ打って、大分トリニータに注いだ情熱は、2009年もろくも崩れ去ってしまった。彼にしてみれば激動の15年8ヶ月だった。 練習グランドで選手に挨拶した時に、涙腺が崩壊して泣き崩れる溝畑宏をポポビッチ監督はやさしく肩を抱いて感謝の念を送っていた。 「監督、大分を支えて欲しい」と語った私も言葉に詰まり・・涙腺が緩んでしまった。 今は亡き溝畑宏の父も母も、きっとやさしく見守っているだろう・・・。大分から星がひとつ消えた・・・。
posted by kabosu |23:18 |
大分トリニータ |
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