2008年09月27日

序盤戦を終えて、バルサの印象

最大の問題はメッシをどう活かすか。

ドリブルはCロナウドより上だと思います。小回りが利くので前を向く技術も上でしょう。ですが、チームにその能力を還元できていません。ポゼッションを信条とするバルサのスタイルは、格下相手に引かれるとバイタル以降の最終局面で、相手にスペースを消されることが良くあります。そこに突っ込んで何とかしてしまう時には彼の素晴らしい能力に感嘆しますが、失敗が多くなるのは当然です。セットプレーも強くないため、誰かの個人技で先制できないと苦しくなり、格下に勝ち点を取りこぼすことが多くなります。

4ー3ー3を堅持すること、メッシを右に置いて内に切れ込むスタイルでプレーさせることを前提とすると、中央のエトーが左寄りにプレーエリアをずらし、真ん中には張らずに動いてスペースを作ること、左のアタッカーがシンプルに裏に抜ける動きをしてラインを崩す、もしくはやや低めからプレーし、エトーやメッシが流れてくるサポートをする、中央に入らないといった工夫が必要と思います。もしくはエトーが右に流れて中央を空けることも考えられますが、フィニッシャーとしてのエトーの能力を考えるともったいない気がします。

ただシンプルに裏に抜けて低いクロスを上げられる、左利きウインガーはちょっと思い浮かびません。左がやや引き気味となると、イニエスタもしくはフレブが適任と思いますが、左のサイドアタックをサポートするSBはいまのところアビダルで、攻撃力に難があります。攻撃力があれば敵が左に寄せられるため、右サイドへのサイドチェンジの効果が高くなります。ただ右SBがアウヴェスですから、単純に左右のバランスを考えると仕方がない気もします。

今のスタイルを代えないとすると、選手構成的にも手詰まりな気がします。メッシ含め、それぞれの個人技頼みサッカーになってしまうと思うので、おそらくタイトルは取れないでしょう。

シンプルな解決策は、メッシを左に置いてメインのフィニッシャーはエトーにすることだと思います。ポジションチェンジで右に流れ、内に切れ込むプレーを選択することはあっても、基本は左でチャンスメーカー。右サイドの選手はアウヴェスとの関係を活かして崩すことも可能です。もう一つは2トップにしてスペースを確保すること。

メッシの更なる成長を考えるとプレースタイルを今固定するのはマイナスですし、中心選手にするには若すぎるし重すぎる。ダイナミックさを増し、世界最高のCHといえるカンテラ育ちのシャビをゲームの中心にする方が良いと思います。

中盤ではユーロから引き続き、さらにスケールアップした感のあるシャビが中心です。ダイナミズムと得点力を増した彼は、キャリア最高の輝きを見せているといってもいいと思います。問題はアフリカ系の2選手、トゥーレ・ヤヤとケイタのプレーポジションで、全体的に前すぎると感じます。フィルタになりきれていないため、中盤のボール奪取も少なくカウンターで最終ラインまで行かれることが多い印象です。

最終ラインですが、アビダルの攻撃性能の低さはバルサの攻撃を破綻させる可能性があります。ベティス戦後半で、前から守備することの切り替えたベティスの網にひっかかり、ロングボールを蹴ってしまっていましたが、ロングボールを蹴らされることはバルサの戦術的な死を意味します。CBはけが人の影響もあり、フィルタの機能不全による過負荷もあるので良くやっている方だと思います。アウヴェスはメッシと合っていません。クロスのターゲットもいないので、戦術で持ち味が失われている選手です。メッシとの連携を改善することが急務で、そのあと低くて速いクロスを入れられるタイミングを前線と合わせることが最低限必要と思います。

ビクトール・バルデスはシュートへの反応、ハイボール処理、飛び出し、守備範囲の広さと足元のテクニックなどを、やや不安定ながらも高いレベルで備えています。気になるのは守備陣を統率できていないのではないか?という疑問です。セットプレーでのマークのずれの多さや、壁の指示、裏へ出たパスをペナルティエリア前目で取るプレーの少なさから感じます。

最後に監督ですが、今のところ大きくおかしな采配はないと思います。ベティス戦では前線でベターな修正も行いました。メッシ中心の現在のバルサを変える気があるのか、が注目です。

posted by juventus1buffon |02:02 | 08ー09リーガエスパニョーラ | コメント(5) | トラックバック(0)
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2008年09月20日

マンチェスターユナイテッド プレビュー

昨シーズン見に行った、2冠達成のマンチェスターユナイテッドのプレビューです。

昨シーズンは実質Cロナウドが最前線で主にウイング、サブの役割でストライカーなのに、フォーメーションはルーニー、テベス2トップでサイドにCロナウドの4ー4ー2という特殊な布陣でした。スタート位置としてのフォーメーションとシステムでのフォーメーションが違う好例と思います。

攻撃の核はCロナウド。彼の特性を最大限活かすため、前にスペースを作ることが最優先となっています。前さえ向ければ個人でゴールを取れる可能性のある、スペシャルな選手です。視野の狭さも年々解消され、攻撃面では前を向く技術以外全て高い次元で兼ね備えており、代名詞のドリブルの突破力は脅威です。苦手なプレーは守備と前を向くプレー。嫌いなプレーはゴールに直結しない場面での接触プレー全般で、ダイブも多いですがおかげでけがが少ないという面もあります。FKの精度も上がったためファウルで止めにくくなった点も含め、得意なドリブルを活かす、という明確な意図が見えます。

ルーニーは視野が広く他人を活かすプレーに長け、フィジカルも強く、運動量豊富で、守備も嫌わないという利他的なメンタリティを持っています。停止時の技術はほどほどですが、スピードに乗っても精度落ちにくい。プレーのタイミングが素直なので、読み切られると攻撃の脅威が大きく下がりますので、課題といえると思います。ただ今シーズンは意識しているようにも見えるので、すぐに改善するかもしれません。

テベスはルーニーより狭いエリアでの技術があり、前を向く技術も持っています。フィジカルも強いですし、シュート精度やプレーのタイミングをずらす技術やフェイクも高いレベルにあります。利他的なメンタリティも持ち合わせており、上2名と同じくスピードに乗っても精度が落ちにくいため3人揃ったときのカウンターは極上の美しさと破壊力を発揮します。身長が低いことと、ルーニーよりは視野が狭いのが弱い点です。

ベルバトフは生で観戦したときには足もとの柔らかさとフィジカルの強さが目に付きました。行動範囲はそれほどなく、中央を基準点にポストワークをメインに行うと思います。最初は上3人の行動範囲とかぶらないプレーができるようすり合わせるのが課題で、もし4人とも使うならルーニーがMFに下がっての4ー3ー3になる気がします。

前線はCロナウドの個性を最大限活かすことが目的のシステムでしたが、それぞれの負担減とバリエーションの増加及び質の変化を狙った補強と思います。3人とは全く別のタイプなので、3人がベルバトフをどう活かすかといった課題をファーガソンが与えた気もします。

中盤は一定の守備力と視野の広さ、ミドルレンジ以上のパスのうまさがある選手が多いです。ただ基本的に足元の技術は高くないので、質の高いプレスとポゼッションを展開されるCLは基本的に苦手で、中盤を制圧することは期待できません。スコールズ、キャリック、フレッチャー、ハーグリーブスはそれぞれ特徴に違いはありますが、傾向は当てはまります。足元の技術が高い選手としてナニ、アンデルソンがいますが、まだ成長待ちの部分があります。かれらの成長と、苦しいときの朴の運動量や献身的なプレーが、ユーロから続きクラブW杯を加えたハードスケジュールにおいてキーになると思います。ギグスとスコールズはフル稼働は見込めませんが、ユナイテッドのレジェンドといえる選手ですし、経験は若い選手の成長や、苦しいときの打開が期待されます。

前線にスペースを与えるためと、ミドルレンジのプレーが強いこと、足元がうまくないことから守備時はラインは基本低めにとります。ただ状況判断に優れ、攻守の切り替えが速いため、状況が揃えば高い位置から取りに行くこともあります。

最終ラインは世界屈指のCB、GKがいることもあり、前線と中盤との兼ね合いもあって守備時のラインは低めです。組み立てての攻撃時はラインを押し上げますが、GKが足元に優れていて強いバックパスを受けられることが大きく、ファンデルサールはこのチームのポゼッションの軸の一つです。ビディッチとリオは対人守備、カバーリングの関係なども含めて非常に高いレベルの守備力を誇り、リオは組立にも参加できる攻撃能力もあります。SBは復帰したネビル、昨シーズン攻撃面で成長があったブラウン、攻撃力が高く、守備面も軽さが改善されつつあるエブラ、ユーティリティなオシェイと連携面には不安のない、長くチームにいる選手たちにエヴァンスらを加えた構成です。大きな問題はないと思います。

顕在化しつつある不安はGKです。ファンデルサールは、特に速いミドルシュートやクロスへの反応に衰えが出てきています。フル稼働も厳しくなってきていますし、クスチャクやフォスターがどれだけ攻守で成長できるか。近年GKを育てるのがうまくない印象がありますし、ファンデルサールへの組立の依存が大きいので、ここからシステム全体が崩れる可能性は十分あります。

posted by juventus1buffon |03:43 | 08-09プレミアリーグ | コメント(2) | トラックバック(0)
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2008年09月10日

バーレーン戦(A)を終えて

前半早々にセットプレーで点が取れたことが全てでした。カウンター主体のバーレーンは技術の差もあり、先制されて手詰まりだったはず、だったんですが。

まず簡単に良かった選手は玉田、中村俊。先制したFKの取り方はお互いに明確な意図を持ってのファウルゲットでした。特に玉田はゴールこそないもののプレーバリエーションに幅が出てきたと思います。

中村俊は攻撃の構築を一手に担っている形です。以前書いたように癖が非常に強く、特に内田との組み合わせは現状ではあり得ない。内田の守備とフィジカル、プレーバリエーションの幅の狭さの問題から、現状内田の攻撃面のいいところを潰すことで自身のプレーをしている状況です。中村がキャリア終盤に差し掛かっていることから、期待したいのは内田の成長です。当面結果がでないとは思いますが、内田の成長を考えると今の並びは悪くないと思います。

〈課題の出た守備〉
まず岡田ジャパンに限らず、日本の最終ラインの守備は攻撃の思想が薄い前時代的なものです。はじめから目的は攻撃を跳ね返すことのみです。現代サッカーでは攻撃に繋がるように跳ね返すことを目的にするのが一般的で、理想としては積極的に組立に参加することが求められています。そのトレードオフとして、前線からの守備が要求される。

前時代的な最終ライン守備は基本的に下がります。ラインを高く取っていたとしても、すぐに下がります。そして前線から中盤でボールを取りに行くと当然中盤と最終ラインとの間が間延びします。中盤はアタックに行ったからラインが崩れます。そして最終ラインは前を向いた相手を再度捕まえにいくわけで、最終ラインもラインを崩さざるをえず、消耗が激しくなります。最終ライン前が開いているので、相手トップへの楔のパスも良く入りますので、簡単に前を向いて仕事されるわけで厳しい対応を迫られることが多くなります。

守備戦術の矛盾による消耗の激しさが後半最後の足の止まり方と、判断ミスにも繋がります。攻守の切り替えも遅くなります。中澤と闘莉王はハイボールと停止状態での対人守備はアジアでも屈指で世界でも互角に戦えると思いますが、高い位置でのグラウンダーパスの楔の潰し方に不満が残ります。

ラインコントロールの稚拙さは、前線を含めた全体の守備戦術のレベルの低さから来ていると思います。ここは監督の手腕によるものだと思います。

〈選手交代と混乱〉
松井と交代した中村憲剛は、はじめこそ左にいましたがだんだん内に入ってきました。サイド適性がないのはウルグアイ戦を見ても、特性を考えても明らかで、内に入るのはプレースタイルとして当然です。ゴールは素晴らしかったが、1失点目のパスの出し手のマークを外したのはポジション的には彼です(プレースタイル的には彼ではありません)。

今野、寿人はおかしくなったバランスのなかで入りましたが、両者とも不明確なポジションを取っていました。今野は遠藤の守備の負担を減らす役割も担うなら横並びになってはいけないし、寿人は田中達也と両サイドに開いていました。だったら憲剛が中に入るべき、ということになるんですが、憲剛は最初左に入れ、といわれて交代したはずですし俊輔からも開けと言われてた、となると意味がわかりません。

交代だけでなくスタメンもそうで、松井、田中達也、玉田とドリブルしたい選手を整理しないで2人以上同サイドに置けば、個性を消される松井のような選手が出ます(FWの方が先に前のスペースを使えます)。

〈失点は自業自得〉
1失点目はパスの出し手のマークを外した憲剛、ポジショニングがおかしかった今野、エリア内で一発でいったあげくミスした内田の判断ミス。

2失点目はおそらくオフサイド崩れで、CB2枚より後ろにいた内田のポジショニングミスで闘莉王がヘディングすることになりました。が、闘莉王も緊急時なので安全策をとるべきでした。楢崎が声を出していたならそちらが最優先なので、なおさらです。

ミスがおきた理由は個々による部分もありますが、上で書いたようにミスが出やすく目的のはっきりしない組織であることもたしかです。勝ち点3も取れたし、気候を考えれば選手はむしろ想像以上に良かった、と言ってもいいと思います。

チーム戦術のレベルの低さから安定した戦いは望めませんが、南アフリカにはいけるよう頑張って欲しいです。

posted by juventus1buffon |17:28 | 日本代表 | コメント(2) | トラックバック(1)
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