2008年12月10日

新生アンリ バルセロナ-バレンシア

アンリ中心のシステムでした。
エトーがいない試合への回答として面白い案です。

今年のアンリはアーセナル時代、もしくは作シーズンに比べてスタート位置がより外になっています。ユベントス時代にウイングとして失敗したわけですが、そのアンリを説得し、成功へのイメージを植え付けた監督の手腕は素晴らしいと思います。適応できなかったのはメッシ。的確にサポートしていたのはフレブとグジョンセンでした。

<中央の選手がいない>
エトーがいないという状況は中央でストライカーの仕事をする選手がいない、ということです。中央としてはグジョンセンは一発の怖さがなく、アンリは前を向いてこその選手で、こなせるという程度です。

ではどうしようか、というわけですが回答は今年のバロンドールを輩出したチームがあるわけです。つまり軸をサイドにおいて流動的にポジションチェンジをする3トップです。Cロナウド役はアンリでした。ルーニー役はフレブ、テベス役はメッシで、ポジションチェンジをしても基本的には左右中央に一人ずつ、というバランスは崩しません。

ただメッシは中央の仕事ができずにいつものプレーをしようとしてしまったため、フレブとグジョンセンがポジション埋めのサポートをし、飛び出しでアレンジを加えていました。

<アンリの役割>
ワイドに開いた場合、サイドでのキープと突破からのチャンスメイクがメインです。この場合は周りのグジョンセンらもフォーメーション表通りのポジションです。

中央に絞って絞る場合は斜めに入って、もしくは裏に抜けてシュートを中心とした決定的な仕事を求められます。アーセナル時代とほぼ同じプレーです。最初から内に絞る場合はグジョンセンが左に開き、外から斜めに入る場合はフレブが左に開き気味に動いてサポートすることが基本です。

1点目はヤヤからの浮きパス一発で、内よりのポジションからミゲルとアルビオルの間を斜めに入りつつ裏へ抜けましたが、左ワイドにフリーのグジョンセンがいたことでミゲルの対応が少し遅れたことも一因と思います。

2点目は外からスタートし、中央のフレブとポジションを変えて斜めに、ギャップへ入り込みゴールへ流し込みました。

ですがこのシーン以外はかなり外にいたことが昨シーズンと違う点で、中央で渋滞しないよう戦術的に気を遣っていることが分かりますし、外の動きがあることで中央に飛び込めるスペースが出来ていることが得点につながっていると言えると思います。

<メッシは適応出来なかった>
スタート位置がセンターだったメッシは前半途中から右にポジションを変え、いつものプレーに固執しました。プレーのレパートリーの少なさからでしょうが、シンプルなプレーをせずに流動性を止めることになってしまい、決定的なシーンに絡めませんでした。個の能力に疑問の余地はありませんが、周りのプレーを引き出すことが出来ない、縦のスピードの速い攻めではプレースタイル的に置いていかれてしまいます。

スタート時のシャビやグジョンセンの飛び込みから、中央で引いてくさびを受け、後ろの飛び出しを引き出すことを求められていたと思いますが、その仕事は出来ませんでした。

監督としてはメッシの幅を広げるためという目的もあったと思うんですが、出来なかった今回、フレブとグジョンセンがサポートに回るようプレーを変えたのは選手判断なのか監督の指示かは分かりませんがチームとしてのクオリティの高さを感じます。

守備面では、バランスを取った攻めからそのまま守備への速い切り替えによる効果的な高い位置からのファーストプレスから、ボールカット、パスミスの誘発と文句ありませんでした。ファーストプレス失敗の場合、中盤でのディレイと速い戻りからセカンドプレス、そこで止められない場合は両ウイングのメッシやアンリまでが守備に戻るという非常に堅い守備をしていました。

毎回メッシやアンリが戻っていたらオーバーワークですが、陣形が整っている場合には戻らないこともあり、メリハリが効いていました。若い新監督としては驚くべき手腕です。これから後半に入るにつれ、疲労や故障者のやりくりが厳しさを増すと思いますが、そこで破綻がなければタイトル獲得はほぼ間違いないでしょう。

CLはバックラインへの厳しいプレスからロングボールの蹴り合いを強要されなければ頂点も夢ではありません。が、決勝トーナメントは異常なハイテンションの試合があるので、つまずくかもしれません。良い意味で興味深いチームであることは間違いありません。

posted by juventus1buffon |14:29 | 08ー09リーガエスパニョーラ | コメント(2) | トラックバック(0)
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2008年11月19日

レアルマドリーの失速 バジャドリー戦

攻撃の軸・ファンニステルローイ欠場の大きさをまざまざと見せられました。

〈スリートップ中央のラウール〉
豊富な運動量と視界から消えるポジショニング、正確なシュート技術が売りのラウールですが、スリートップの真ん中の選手が存在感を消していてはマドリーの標榜する攻撃的なサッカーは出来ません。なのでラウールは運動量を活かす方向でプレーしているように見えましたが、身体能力的にもポジショニングのスキル的にも向いていません。存在感を出して起点を作ろうとするほど向いていないプレーを強要されている形です。

〈中盤の緩急の欠如〉
スナイデルとファンデルファールトは展開力に優れていますが、緩急を変えるプレーより急ぐプレーを得意にしています。ショートパスでの遅攻で主役を握れるほどの能力は今のところあまりない、と感じます。グティは遅攻でのショートパスは得意なプレーで、緩急をつけられる選手ですが、メンタル面がそのままプレーに出やすく、上手くいかなくてイライラし始めるとプレーを急ぎすぎたり雑になったりします。

この試合ではグティが精神面からかプレーが単調になり、チーム全体が緩急のない一本調子のプレーに終始しました。

〈エインセのCB〉
ユナイテッド時代からですが、エインセは人につく守備を好み、アグレッシブで闘志を前面に出したプレーが売りです。またユナイテッドではSB、アルゼンチン代表では3バックの左で、アグレッシブに行ったあと失敗してもサポートがいる環境で力を発揮してきました。その特性からラインを崩しやすく、ただでさえサポートが少ないマドリーのディフェンスでは欠点が目立ってしまいます。

CBで使うならサルガド、ミゲルトーレスあたりを守備重視で置くしかない、と思います。微妙ですが、マルセロやドレンテよりはまし、と思います。

〈補強失敗のツケと監督の限界〉
けが人続出という不幸はありますが、補強の失敗も影響も大きいと思います。特にファーストトップ適性のある選手がとれなかったことは大きいです。ラウールをFWで使うなら2トップかその応用型しかありません。攻撃が回らないマドリーは、攻撃重視のチームだけに守備の負担が過剰になりやすいです(カペッロはカペッロのチームを作るので例外だと思います)。

シュスター監督は同情の余地はありますが、後半戦失速しやすい指揮は応用力の無さからきている、と思います。ファンニステルローイがいなくなっても、適性のない選手にファーストトップをやらせる点がそう感じさせます。マドリーの監督なら例えばイグアインとラウールの2トップで運動量と連携、前からの守備で勝負するオプション、空けたスペースにファンデルファールトが飛び込む形などを用意していて欲しいと思います。

posted by juventus1buffon |22:33 | 08ー09リーガエスパニョーラ | コメント(4) | トラックバック(0)
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2008年09月27日

序盤戦を終えて、バルサの印象

最大の問題はメッシをどう活かすか。

ドリブルはCロナウドより上だと思います。小回りが利くので前を向く技術も上でしょう。ですが、チームにその能力を還元できていません。ポゼッションを信条とするバルサのスタイルは、格下相手に引かれるとバイタル以降の最終局面で、相手にスペースを消されることが良くあります。そこに突っ込んで何とかしてしまう時には彼の素晴らしい能力に感嘆しますが、失敗が多くなるのは当然です。セットプレーも強くないため、誰かの個人技で先制できないと苦しくなり、格下に勝ち点を取りこぼすことが多くなります。

4ー3ー3を堅持すること、メッシを右に置いて内に切れ込むスタイルでプレーさせることを前提とすると、中央のエトーが左寄りにプレーエリアをずらし、真ん中には張らずに動いてスペースを作ること、左のアタッカーがシンプルに裏に抜ける動きをしてラインを崩す、もしくはやや低めからプレーし、エトーやメッシが流れてくるサポートをする、中央に入らないといった工夫が必要と思います。もしくはエトーが右に流れて中央を空けることも考えられますが、フィニッシャーとしてのエトーの能力を考えるともったいない気がします。

ただシンプルに裏に抜けて低いクロスを上げられる、左利きウインガーはちょっと思い浮かびません。左がやや引き気味となると、イニエスタもしくはフレブが適任と思いますが、左のサイドアタックをサポートするSBはいまのところアビダルで、攻撃力に難があります。攻撃力があれば敵が左に寄せられるため、右サイドへのサイドチェンジの効果が高くなります。ただ右SBがアウヴェスですから、単純に左右のバランスを考えると仕方がない気もします。

今のスタイルを代えないとすると、選手構成的にも手詰まりな気がします。メッシ含め、それぞれの個人技頼みサッカーになってしまうと思うので、おそらくタイトルは取れないでしょう。

シンプルな解決策は、メッシを左に置いてメインのフィニッシャーはエトーにすることだと思います。ポジションチェンジで右に流れ、内に切れ込むプレーを選択することはあっても、基本は左でチャンスメーカー。右サイドの選手はアウヴェスとの関係を活かして崩すことも可能です。もう一つは2トップにしてスペースを確保すること。

メッシの更なる成長を考えるとプレースタイルを今固定するのはマイナスですし、中心選手にするには若すぎるし重すぎる。ダイナミックさを増し、世界最高のCHといえるカンテラ育ちのシャビをゲームの中心にする方が良いと思います。

中盤ではユーロから引き続き、さらにスケールアップした感のあるシャビが中心です。ダイナミズムと得点力を増した彼は、キャリア最高の輝きを見せているといってもいいと思います。問題はアフリカ系の2選手、トゥーレ・ヤヤとケイタのプレーポジションで、全体的に前すぎると感じます。フィルタになりきれていないため、中盤のボール奪取も少なくカウンターで最終ラインまで行かれることが多い印象です。

最終ラインですが、アビダルの攻撃性能の低さはバルサの攻撃を破綻させる可能性があります。ベティス戦後半で、前から守備することの切り替えたベティスの網にひっかかり、ロングボールを蹴ってしまっていましたが、ロングボールを蹴らされることはバルサの戦術的な死を意味します。CBはけが人の影響もあり、フィルタの機能不全による過負荷もあるので良くやっている方だと思います。アウヴェスはメッシと合っていません。クロスのターゲットもいないので、戦術で持ち味が失われている選手です。メッシとの連携を改善することが急務で、そのあと低くて速いクロスを入れられるタイミングを前線と合わせることが最低限必要と思います。

ビクトール・バルデスはシュートへの反応、ハイボール処理、飛び出し、守備範囲の広さと足元のテクニックなどを、やや不安定ながらも高いレベルで備えています。気になるのは守備陣を統率できていないのではないか?という疑問です。セットプレーでのマークのずれの多さや、壁の指示、裏へ出たパスをペナルティエリア前目で取るプレーの少なさから感じます。

最後に監督ですが、今のところ大きくおかしな采配はないと思います。ベティス戦では前線でベターな修正も行いました。メッシ中心の現在のバルサを変える気があるのか、が注目です。

posted by juventus1buffon |02:02 | 08ー09リーガエスパニョーラ | コメント(5) | トラックバック(0)
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