2008年08月16日

北京オリンピック女子個人決勝レポ

 女子個人総合は、団体戦と同様にアメリカ対中国の一騎打ちの様相を見せた。

 第一ローテーション(跳馬)では、アマナール(ユルチェンコとび2回半ひねり)に挑戦した中国のJIANG選手がしりもちをつき、残念なスタートとなった。同じくアマナールを見せた世界チャンピオンのジョンソン選手(アメリカ)、ユルチェンコとび2回ひねりを行ったYANG選手(中国)は共に着地をまとめた。そして一番見事であったのはリューキン選手(アメリカ)。ユルチェンコとび1回半ひねりを、空中姿勢もこれまでで最高といえる美しさで着地まで止めた。この時点ではジョンソン選手が順当にリードした。

 第二ローテーション(段違い平行棒)は高得点が連発した。まず団体決勝で16.900を出したリューキン選手。片手軸の車輪1回ひねりを連続するシリーズは見事であったが、パク宙返りの後の捌きでややスピードが落ちてしまい、着地も低くなって前に一歩出てしまう。しかし、それでも16.650を出し、伸身新月面宙返り下りの着地を止めたジョンソン選手を逆転。しかし更に上回ったのはYANG選手で、リューキン選手と違い、流れが留まることなく演技を続け見事に16.725と今日最高の得点を出した。

 第三ローテーション(平均台)に入ると、まずジョンソン選手が追い上げにかかる。スタンドの後方宙返り1回ひねりやかかえ込み月面宙返り下りなどの高難度を見せ、着地以外ではほぼミスがなく演技を行った。そして16.050という得点を出してリューキン選手、YANG選手の演技を待つ。YANG選手は非常に落ち着いた演技で15.750をマークし、ジョンソン選手を上回った。そして最後のリューキン選手は更に完璧な実施を行う。ぐらつきを見せない実施を見せて、最後の後方伸身宙返り2回半ひねり下りでは跳馬同様美しい実施で着地を見事に止め、ジョンソン選手を更に上回る16.125を出した。これによりリューキン選手が優位に立った状態で最終種目を迎えることになった。

 最後のローテーション(ゆか)ではまずYANG選手が後方宙1回半ひねり~前方宙返り1回半ひねりの着地が低くなり15.000に留まり、アメリカ勢二人にプレッシャーを与えることはできなかった。次にリューキン選手が素晴らしい着地を連続し得点は15.525。その後に行ったジョンソン選手は同じく素晴らしい演技を見せ15.525。リューキン選手を上回ることはできなかったが、YANG選手を上回り、アメリカ勢が見事に金メダル、銀メダルを獲得した。また、YANG選手はシドニーのLIU選手、アテネのZHANG選手に続いて、三大会連続となる中国勢の個人総合メダル獲得となった。

 表彰式では、「Olympic Champion」のアナウンスと共に感動の涙を浮かべるリューキン選手の表情が印象的であった。演技と共に我々の心に刻み込まれるものであったといえよう。五輪でこそ生まれる感動的な瞬間ではないだろうか。

 なお、決勝に進出した鶴見選手はゆかの最後の後方屈身2回宙返りで後ろに数歩大きく下がって両足が出てしまうライン減点、大島選手は平均台で落下するなど、団体の時よりはミスを出し順位を伸ばすことはできなかったが、両選手ともに、はつらつとした演技を披露した。

posted by 藤井俊明(総務広報) |01:43 | 体操競技 | トラックバック(0)
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2008年08月14日

北京オリンピック男子個人決勝レポ

 これも10点を廃止したルールの影響なのか。昨年の世界選手権同様、大過失の目立つ試合展開の中、ミスを最小限に抑え、A得点合計でも優位に立つ中国の楊威が優勝。あん馬でミスを出した内村は2位、つり輪でアクシデントに見舞われた冨田は4位となった。

<第1ローテ>
 日本から出場の冨田、内村はゆかスタート。優勝候補の楊威ら、予選上位6名がゆかから開始する。この班の選手の動向がメダルを占うのに重要。その中にあって、冨田(13位)と内村(2位)は上々の滑り出し。内村は団体決勝同様、最後の着地を決めてアピール。楊威はライン減点あるも無難な滑り出し。あん馬スタートの陳一氷は落下。

<第2ローテ>
 あん馬最初の演技者となった内村はフロップの途中で落下。気を取り直してEフロップを成功させるが、その後に行う予定のコンバインの途中で落下。その後は気を取り直して13.275を獲得。冨田は素晴らしい演技で15.425をマーク。陳一氷は得意のつり輪であん馬のミスを挽回する16.650を獲得。
(フロップだのコンバインだのと、あん馬の表現は難しいのだが、これらの技は一把手の上で旋回や転向を行うもの。通常は2つの把手を使うが、一把手上なのでちょっとのバランスの乱れで落下につながる。見た目はどの旋回技も同じようだが、旋回を行う場所によって難度がかわってくる。)

<第3ローテ>
 つり輪の楊威はA得点7.5を得て16.625を獲得。そして冨田は屈身ヤマワキでバランスを崩して臨機応変にA難度技に切り替える。その後、終末技の離手直前に左手が先に離れてしまい、空中分解するように着地。終末技なしと判定され13.850。立ち上がって着地姿勢をとったが、この予期せぬ冨田のアクシデントに、彼の後半種目への影響はどうなのか心配は消えない。続く内村は、若干慌ただしい実施となったが、つり輪では国内大会で14点台しか獲得していなかったが15.200を出した。代表に決まってから彼の努力が失敗直後の種目で実る。跳馬で前転とび前方伸身宙返り2回半ひねり(ヨー)を跳んだヤンテヨン(韓国)がトップ。

<第4ローテ>
 楊威が跳馬のロペスをまとめてトップに。冨田はアカピアン(伸身カサマツとび1回ひねり)をまとめ、内村もシューフェルトの着地をほぼ決めて得点を伸ばす。

<第5ローテ>
 平行棒で楊威が演技をまとめ16.100を獲得。冨田も内村も素晴らしい演技で得点を伸ばし、内村4位、冨田9位にまで躍進。追い上げて最終種目鉄棒を迎えることに。なお、予選2位のハンビュッフェン(ドイツ)はミスを出して得点を伸ばせなかった。ホロホルディン(ロシア)も堅実な演技を続け、メダル争いに加わる。1位楊威、2位ヤンテヨン、3位ホロホルディン…。得点差からみて1位以外のメダル争いは混とんとした状況で、最終種目までもつれ込んだ。なお、鉄棒の最終演技者陳一氷は途中でプロテクターが切れ、演技を中断し、個人総合争いを自らあきらめた。

<最終ローテ>
 ホロホルディン、鉄棒のアドラー1回ひねり(E難度)で肘を大きく曲げて力を使うミスで15.050。冨田、コールマンの懸垂でゆがんだが最後の着地を決めて15.675を獲得し、ホロホルディンを抜く。あん馬、ヤンテヨンは途中の足割れ、そして交差ひねりでほとんど腰をおろしてしまうミスで14.300に終わる。鉄棒の内村、コールマン後にひじを曲げたりバランスを崩しそうになるところもあったが持ちこたえ、冨田同様、伸身新月面の着地を止め15.400を獲得しトップに。跳馬の屈身ツカハラとび2回宙返りの着地を止めて高得点を獲得したフランスのカラノブは最後のゆかで15.350を獲得して冨田を抜く。鉄棒のハンビュッフェン、コールマンで痛恨の落下。世界選手権2位のドイツ期待のホープも今日は不本意な戦いぶりで涙も。そして最後の演技者楊威。不得意種目だけあってぎこちない動きを続けてしまうが、最後まで演技を全うしガッツポーズ。この結果、優勝は楊威、2位は内村、そして3位にカラノブ、4位冨田。

 最後まであきらめない姿勢が銀メダルとそれ以上のものを我々に与えてくれた。結果以上にそれを大切にしていけば必ず頂点が見えてくる気がした。

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個人総合銀メダルの内村選手
(撮影 竹内里摩子)


posted by 遠藤幸一 |16:19 | 体操競技 | トラックバック(0)
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2008年08月13日

北京オリンピック女子団体決勝レポ

 2006年世界選手権・オーフス大会で世界の頂点に初めて立った中国女子チームは、地元開催のオリンピックで初めての金メダルを手にした。男子の優勝とともにその活躍と努力を讃えたい。そして女子は5位と大躍進。ミスをしない演技を前提とした強化の方向性が、ミスの許されない団体決勝において結果として表れた瞬間だった。

<第1ローテ>
 ゆかは比較的A得点を獲得しにくい種目のため、得点が伸びない。しかし、平均台や段違い平行棒と異なり落下などの危険性が小さく、最初の種目としては思い切り取り組める種目である。団体予選8位の日本はそのゆかからのスタートとなった。
 最初の演技者は新竹。細かなミスからその緊張感が伝わってきたが、最初の演技者として堂々とその役割を果たした。続く鶴見も着地を決めきれなかったが丁寧な演技を披露。最後の大島は団体予選とは見違えるほどメリハリのある動きで、自分の演技をオリンピックという最高の舞台でしっかり表現した。結果チーム得点42.675。
 なお、中国とアメリカの優勝争いは跳馬から、そしてロシアとルーマニアの3位争いは段違い平行棒から始まり、呉越同舟の試合展開は目を離せないものとなった。
 中国は予選でA得点6.5の跳躍を跳んでミスを出した江をエントリーしていたが鄧に変更。A得点でのアメリカへの対抗を避けてミスのできない団体決勝における安定性を選択。鄧は交代出場にもかかわらず「ユルチェンコ2回ひねり」の着地を止める。中国よりA得点で勝ることになったアメリカは、スローン、ジョンソン、サクラモンともにまとめ、46.875で中国(46.350)を上回る。なお、段違い平行棒世界チャンピオンのセメノワが得点を引き上げロシアが46.950を獲得してトップ。ルーマニアは45.000とチーム得点を伸ばせず厳しいスタートとなった。

<第2ローテ>
 日本はゆかから跳馬までの間がなく、3選手中2選手がゆかの後、すぐにアップしなければならないため、その影響を心配した。しかし、跳馬の強化を指針に置き、国内合宿において十分に練習を積んできた成果から、新竹、上村、大島の3選手がユルチェンコ1回半ひねりを成功させた。とりあえず苦手種目をミスなく乗り切り、チーム得点43.550(合計86.225)。
 段違い平行棒のアメリカ、予選で失敗したメメル、リューキンともにミスなく演技。リューキンの得点は16.900で中国に大きなプレッシャーをかける。中国は得意種目であり、江、楊、何の若手が緊張感を抑えながら成功。楊と和両選手が16点台後半の得点を出してアメリカを上回る。なお、平均台におけるロシアはグレベンコワとパブロワが落下。チーム得点44.900(合計91.850)と伸ばせず後退。ルーマニアは何とか46.175(合計91.175)を獲得してロシアを追いあげる。

<第3ローテ>
 日本は跳馬の演技から段違い平行棒まで少し時間があるため、集中を切らさない必要がある。その点、団体決勝初登場となる黒田がトップとして応援を二の次に準備に集中し、見事トップバッターの責任を果たす。鶴見、大島も演技をまとめ45.525(合計131.750)を獲得し6位に浮上。
 平均台に移った優勝争いは中国が先行。1番目の程が「後転とび~後方かかえ込み宙返り1回ひねり」の高難度技で落下。次の鄧は、シリーズがつながらないなど、1番手のミスによるプレッシャーがのしかかる。しかし落下せずに終え、予選平均台トップの得点を獲得した李につなぐ。李もターンでふらつくなどしたが、着地を決めて会場が盛り上がる。アメリカはここをノーミスで乗り切りたかったが1番手のサクラモンが入りの前方宙返り上がりで落下。6-3-3制の怖さを見る。続くリューキンとジョンソンがそのミスをカバーするが47.250で、47.125を獲得した中国を十分に追い詰めることができずに最終種目へ。ゆかではロシアがアファナシェワ(-0.5)とパブロワ(-0.3)が大きくライン減点を出すミス。ライン減点は専門家がつける技術欠点とは異なり、誰もがわかる罰則。決定点から減点されるため、この罰則の重みは大きい。それに対してルーマニアはポイントゲッターのイズバサが15.550を獲得し、チーム得点45.075(合計136.250)でロシアを逆転。

<最終ローテ>
 緊張感の高まる中、1番手の黒田が予選同様に落ち着いて演技して14.725。2番手新竹も15.000で鶴見につなぐ。落ち着いた演技を続ける鶴見がターンでバランスを崩すが持ちこたえ、15.225を獲得し44.950(合計176.700)。この時点でフランスを上回り7位以内を確保。
 アメリカはパーフェクトの演技で中国にプレッシャーをかけ、逆転を目指したが、1番目のサクラモンが後ろとびひねり前方かかえ込み2回宙返りで尻もち。リューキン(-0.1)、ジョンソン(-0.1)ともにライン減点を出し、相手に余裕を与える展開になった。中国は男子同様、精神的な余裕のもと、のびのびと演技。結局、チーム得点合計は中国188.900、アメリカ186.525。歴史的なページを地元北京の中国女子体操がその名を刻んだ。
 3位争いをしていたロシアとルーマニアは跳馬。いずれも3選手がユルチェンコ2回ひねりで勝負するが、ルーマニアの実施が上回り、チーム得点合計はルーマニア181.525、ロシア180.625でルーマニアに軍配が上がった。ルーマニアはオリンピック団体メダルをコマネチのいたモントリオール大会から9大会連続で獲得。しかしロシアは旧ソ連から数えて、ボイコットしたロサンゼルス大会を除くと、初出場のヘルシンキ大会(1952年)からすべての大会で続けていたオリンピック団体メダルを途絶えさせることになった。ロシア女子は若手がここへきて成長し、その活躍が期待されたが、男子同様、体操伝統国の立て直しを迫られることになった。

 今回、日本女子は予選においてチームA得点10位、チームB得点6位で団体決勝に進出した。体操は人に見せてできばえを評価するスポーツである以上、難しい技を優先して落下するチームより、やはり大過失なく演技するチームに勝ってほしい。その意味で、団体決勝を大過失なく演技した日本女子は世界でもっとも体操競技の本質を表現したチームと評価していい気がする。

posted by 遠藤幸一 |17:43 | 体操競技 | トラックバック(0)
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2008年08月12日

北京オリンピック男子団体決勝レポ

 男子団体決勝が終了。中国強し!今回の戦いぶりにおいて、敵ながらその優勝をたたえたい。そして最後まであきらめない姿勢をみせて銀メダルを獲得した日本チームに感謝したい。

<第1ローテ>
 中国の陳がゆか最初の演技者として登場。安定した演技を続けていたが、最後の月面宙返りでライン減点。6-3-3制の団体決勝における最初の演技者にかかる精神的な負荷は計り知れない。その中でまずは最低限の仕事を果たした。最後の演技者鄒も大きな過失なく実施。完璧な演技で日本にプレッシャーをかけたかったところだが、そこまでには至らなかった。ゆかは日本のセールス種目。ここでしっかり点差を広げておきたいところ。
 今大会好調をキープして頼もしい存在に成長した中瀬がトップ。最後の月面宙返りで前に倒れそうになるが踏みとどまる。得意種目ではあるが4月の2次予選で転倒するなど失敗していたことを思えばミスを最小限に食い止めたといえる。次の沖口は万全の体調ではない中、落ち着いた演技を披露。2007年世界選手権では頭が真っ白になったというが、予選の時よりも動きはしまっていた。残念ながら最後の月面でライン減点。そして内村は、2コース目の後方宙2回半ひねりの着地でバランスを崩しかけ、次の前方宙返り1回ひねりをかかえ込みに対応し、その後の前方宙返り1回半ひねりを成功させた。内村選手は最後の後方宙3回ひねりの着地を決めたが、それ以上に彼の若さと能力の高さを示したところであった。
 結果、日本45.975、中国45.925でわずかにリード。金メダルのためにはここで1点近い差を広げておきたかった。

<第2ローテ>
 あん馬では、ゆかを演技しなかった冨田、坂本、鹿島が登場。予選2位になるとゆかからあん馬への時間的な余裕がない。ゆかは持久力の必要な種目のため次の種目までに時間的な余裕がないことは疲労の回復時間がなく、ゆか、あん馬と演技する選手にとって大きな負担となる。その意味で、今回の代表はいい形であん馬を迎えることができた。
 1番手の冨田はウゴニアンでバランスを崩しかけるが持ちこたえる。また、2番手坂本もウゴニアン後の転向技で落下しそうになるが持ちこたえた。そして予選で落下している鹿島。今日の演技構成はその落下した一腕上上向き全転向(E難度)を除いたものにし、A6.3に抑えた。上記E難度技を入れるとカウントされたB難度(0.2)がE難度(0.5)にかわるため0.3アップ。つまり本来、鹿島のA得点は6.6である。失敗がそのままチーム得点につながる団体決勝では安定性が重視される。1種目めにあん馬から入ったロシア(予選3位)、韓国(予選4位)が失敗していることを考えても、日本が安定性で中国にプレッシャーをかける戦略は正しい選択といえるだろう。
 その成果はすぐに現れる。中国トップの黄は、あん馬を得意にしているベテランだが最後の終末技「倒立移動ひねり」を行うが、途中でバランスを崩し、馬体を乗り越えられず、転向倒立下りとしてC難度に判定された。これによりA得点は予選よりも0.3マイナス。この1番手のミスは2番手の楊の演技にも影響を与え、最高の実施はできなかった。しかしあん馬の世界チャンピオン肖は危なげない演技で16点台を出し、悪い流れを払しょくした。
 結果、日本91.550、中国91.950で中国に0.40逆転を許す。

<第3ローテ>
 輪を握ったままで演技できるつり輪は、大きな失敗が出にくい種目である。そんな中、黄、楊、陳がその強さを発揮して日本を大きく引き離す。日本1番手の中瀬は、見どころである難しいグチョギー連続からのほん転倒立を決めてアピールしたが着地を決めきれず。坂本も表現の素晴らしいホンマ十字を決めたが着地でわずかに動く。冨田は予選で評価されなかったホンマ中水平を除き、A得点6.9を6.8にして着地をまとめる。
 結果、日本138.450、中国140.825で中国リードを広げる。

<第4ローテ>
 ロペス(A得点7.0)を跳べる沖口は負傷部分の回復具合から、鹿島のトップ起用に変更。しかし、鹿島は踏切から着手においてミスし、本来行う予定の2回半ひねるドリッグス(A得点6.6)が2回ひねりになってしまった。さらに空中で膝を曲げるシーンもあり、A審判員がかかえ込みに判定するとA得点5.4にまで下がってしまう危機的状態に。しかし伸身の評価でA得点6.2、さらに実施点も9.000。何とか最悪の状況は免れた。次の坂本は大きくライン減点。内村はシューフェルト(ユルチェンコとび2回半ひねり)を無難にまとめたが、この後に演技する中国に大きな余裕を与える状況となった。
 予想通り、余裕を持った中国は陳(ドリッグス:ライン減点あるもまとめる)、楊(ロペス:着地を止める)、李(リシャオペン;A得点7.2)が持ち味を出し、結果、日本185.200、中国190.150で中国リードをさらに広げる。

<第5ローテ>
 中国がここでも持ち味を発揮。今大会、平行棒もA得点上で差をつけられていた種目であり、残念ながら16点台を3選手全員に出され、勢いづいた。
 1番手坂本はチッペルトでミスし15.000。全選手が16点台の中国にあっては非常に厳しい状況に。しかし内村は美しさとスピード感を、冨田は美しさとシャープさを表現し、最後まであきらめない姿勢を示した。結果、この段階で日本のメダルの色が問題に。5種目終了時点で1位中国239.175、2位アメリカ233.975、3位日本232.275。

<最終ローテ>
 1番手中瀬。予選よりも落ち着いた内容で演技をしめる。着地で大きく動くが持ち味を発揮。2番手内村も3つの手放し技を豪快に決めて最終演技者冨田につなげる。そして冨田。予選ではコールマンが近づきけ上がりで対処する状況だったが今度はうまく捌き、アドラー1回ひねりからヤマワキも安定して成功。伸身新月面の着地もまとめ、日本チームの最後の演技を締めくくった。
 大きな点差を持った中国は、時折慎重になりすぎて演技に力の入る部分もあったが肖、李がまとめ、ゆかで演技して以来の演技となる鄒が最後の伸身新月面の着地を決め、会場の大歓声を誘った。
 なお、2位争いをしていたアメリカは、苦手としているあん馬1番手タンが失敗し、2番手バブザーも実力を出し切れず、最終演技者のアルチモフが本日最初で最後の演技をしめくくったが日本に及ばず銅メダルとなった。

 日本はいいチームだった。アテネの時と同じように、各選手がオリンピックという舞台でまた大きく成長した。誇れる銀メダル。これから男子は個人の戦いへと移る。チームとして成長した色を合わせて自身の個性を発しながら納得の演技を個人総合、種目別で期待したい。引き続き応援をお願いします。

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男子団体銀メダル
(撮影 竹内里摩子)


posted by 遠藤幸一 |17:17 | 体操競技 | トラックバック(0)
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2008年08月11日

北京オリンピック女子団体予選レポ

 まずはこの団体予選制度になってから初めての決勝進出を達成した選手、そしてそれを支えてきた方々を労いたい。

 最初の種目、段違い平行棒。もっとも緊張する最初の演技を任されたのは主将の上村だが、出だしのシュタルダー1回ひねりの部分で回転が不足し1/2ひねりになってしまう。その後もバランスを崩す場面がみられたが持ちこたえ、大過失を出さずに演技をまとめた。演技構成が変わってしまい、余分な技を実施すれば心身ともに消耗する。その中にあって、ミスを最小限にとどめた演技から、彼女のこの大会にかける前向きな思いが伝わってきた。その後、黒田、鶴見、大島、美濃部も大きなミスなくチームとしていいスタートを切った。

 平均台では黒田をトップに起用し、いい流れを作る。その後、上村、鶴見、新竹、大島と落下せずに乗り切る。チーム得点59.900は5番目の成績。実施点であるB得点だけをみるとアメリカ、中国、ロシアに次いで4番目の成績だった。

 ゆかは、新竹が平均台同様、落ち着いた演技で演技をまとめた。次の上村が最初の月面宙返りで前に転倒してひやりとさせたが、鶴見、大島、美濃部の3選手が大きなミスなく演技し、3種目を終えた。

 跳馬は、新竹がユルチェンコ1回半ひねりの着地を止めて流れを作り、上村、大島とユルチェンコ1回半ひねりの着地をまとめた。鶴見はユルチェンコ1回ひねりで演技をまとめ、最終演技者の美濃部はユルチェンコ1回ひねりの着地を止めてしめくくった。

 日本女子が初めて経験する団体決勝は13日。国内では6-3-3制の大会がないため、今回の経験は、成功も失敗もすべてが選手自身、そして日本女子体操界にとって非常に貴重な財産となる。その財産を3年後の地元東京世界選手権、ロンドンオリンピックへ向けて生かしていけるか。皆さんには団体決勝にとどまらず、その後も一層の応援をお願いしたい。

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演技を終えた女子チーム
(撮影 竹内里摩子)


posted by 遠藤幸一 |21:40 | 体操競技 | トラックバック(0)
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2008年08月11日

北京オリンピック男子団体予選レポ

 跳馬とあん馬に大きな過失を出したが、団体予選の日本の戦いぶりには、チームとしてのまとまりを感じた。沖口のけがが完治せず、チーム状態としては、決して万全とは言えない。しかし、その状況だからこそ、それぞれが持てる力を出し切ろうという気持ちが演技から伝わってきたからかもしれない。

 度重なるケガから復帰してきた鹿島が平行棒の最初の演技をまとめ、流れを作る。その後、五輪初出場となる中瀬、坂本、内村は、危なげない演技をし、主将の冨田へとつないだ。平行棒は支持系の種目であん馬とともに過失の出やすい種目だが、好スタートを切った。

 続く鉄棒では坂本が伸身新月面の着地を止めて日本の強さをアピール。鹿島の演技まで間があり、集中力を維持するのに苦労したと思うが、コールマンがバーに近づきけ上がりで処理する場面もあったが、坂本同様、最後の着地を決めた。中瀬の落ち着いた演技後、冨田、内村も大きなミスなく続いた。

 ゆかは、坂本、中瀬、冨田が大過失なく沖口の演技につなげた。そして沖口もそれに応える演技を成功させ、内村につなげた。チーム得点61.675はトップ。ベスト3の成績でもトップに位置した。

 あん馬では、中瀬、坂本と持てる力を発揮。内村はマジャール移動の途中でバランスを崩して落下。しかし、マジャール移動のD難度が成立していなかったことから冷静にマジャール移動を成功させてA得点を落とさずに演技を終了した。その後、冨田が演技を成功させて最終演技者鹿島につなげる。鹿島はEコンバインで握り換えがいつも通りにいかず、その後、バランスを立て直しにかかるが、一腕上上向き転向(E難度)で落下。チームとして2名の大過失を出してしまった。

 つり輪では大きなミスなく内村、中瀬、坂本が演技。冨田はホンマ中水平で停滞に近い実施でリズムを崩す。詳細は確認していないが、ホンマ中水平(F難度)の部分を「ホンマ(B難度)」と「中水平(D難度)」に分割して判定されたようだ。これにより「ホンマ中水平」であればグループⅢの技が、分割によりグループⅠとⅣになった。カウントできる技は同一グループで4つまでという制限があるため、グループⅢであれば問題のなかった構成がグループⅠとⅣに代わったことにより、その制限に抵触。予定では6.9であったA得点を6.3 まで引き下げてしまった。冨田としてはその表現に工夫を凝らし、個性的な習熟度をアピールする部分であったが、審判分業制のもっともマイナス面が出てしまい残念で仕方ない。

 跳馬は、沖口が見事に伸身カサマツとび1回ひねり(アカピアン)の着地を決め、鹿島、坂本、内村のいい演技に導いた。なお、冨田はドリッグスに挑んだが着地でバランスを崩し、左手をつき、左エリア外に出てしまった。

 12日には団体決勝が控える。持ち点もなくなり、予選と異なり6-3-3制(6選手の中から3選手が演技しその3選手の得点がチーム得点となる制度)はミスが許されない。正月の風物詩「駅伝」と同じように、区間で大ブレーキがあると失速する。2001年世界選手権にこの競技方式が採用された時には、男子団体において予選3位の韓国が選手の怪我により最下位に。また、昨年の世界選手権の女子団体においては予選4位のロシアが跳馬の助走をミスして0点となり最下位に沈んだ。何が起きるか分からないこの団体決勝。予選を通じて日本チームが見せてくれた「和(まとまり)」は、決勝においても力を発揮してくれることだろう。その後押しをぜひ皆さんにはしてもらいたい。
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思い切った演技を披露した内村航平選手
(撮影 竹内里摩子)


posted by 遠藤幸一 |10:22 | 体操競技 | トラックバック(0)
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2008年08月11日

北京オリンピック女子予選終了

女子予選終了

団体総合予選
1.CHN 248.275
2.USA 246.800
3.RUS 244.400
4.ROU 238.425
5.AUS 235.450
6.FRA 233.875
7.BRA 233.800
8.JPN 233.175
9.GBR 232.425
10.ITA 231.275
11.UKR 231.125
12.GER 230.800
上位8チームが団体決勝へ
日本は団体決勝制度になって初の予選突破

個人総合予選(Q資格取得者R補欠)
1.JOHNSON Shawn(USA)62.725Q
2.LIUKIN Nastia(USA)62.375Q
3.YANG Yilin(CHN)62.35Q
4.SEMENOVA Ksenia(RUS)61.475Q
5.PAVLOVA Anna(RUS)60.9Q
6.AFANASYEVA Ksenia(RUS)60.8
7.JIANG Yuyuan(CHN)60.625Q
8.NISTOR Steliana(ROU)60.5Q
9.DENG Linlin(CHN)60.45
10.KRAMARENKO Ekaterina(RUS)60.425
11.SLOAN Bridget(USA)60.425
12.BARBOSA Jade(BRA)59.5Q
13.IZBASA Sandra(ROU)59.375Q
14.CHUSOVITINA Oksana(GER)59.375Q
15.MORGAN Shona(AUS)59.075Q
16.TAMIRJAN Anamaria(ROU)59
17.TSURUMI Koko(JPN)58.975Q
18.BONORA Georgia(AUS)58.9Q
19.HOPFNER-HIBBS Elyse(CAN)58.65Q
20.PETIT Marine(FRA)58.35Q
21.FERRARI Vanessa(ITA)58.3Q
22.DUGAIN Laetitia(FRA)58.275Q
23.PAROLARI Lia(ITA)58.2Q
24.DOWNIE Becky(GBR)58.075Q
25.KASLIN Ariella(SUI)58.05Q
26.PALESOVA Kristyna(CZE)57.8Q
27.OSHIMA Kyoko(JPN)57.625Q
28.SILVA Ana(BRA)57.575Q
29.MOREL Pauline(FRA)57.45
30.BRENNAN Ashleigh(AUS)57.25
31.MYS Gaelle(BEL)57.15Q
32.HARMES Suzanne(NED)57.075R
33.CAIRNS Imogen(GBR)57.05R
34.GIOVANNINI Carlotta(ITA)57.05
35.BENOLLI Francesca(ITA)57
36.FRANCO Ethiene(BRA)56.95
37.HOLENKOVA Valentyna(UKR)56.75R
38.DAMIANOVA Nansy(CAN)56.7R

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2008年08月10日

北京オリンピック女子予選1,2班終了

女子1,2班終了
団体
1 CHN   248.275 
2 USA   246.800 
3 ROU   238.425 
4 JPN   233.175 
5 GBR   232.425 
6 ITA   231.275 

個人
1 JOHNSON Shawn USA   62.725 
2 LIUKIN Nastia USA   62.375 
3 YANG Yilin CHN   62.350 
4 JIANG Yuyuan CHN   60.625 
5 NISTOR Steliana ROU   60.500 
6 DENG Linlin CHN   60.450 
7 SLOAN Bridget USA   60.425 
8 IZBASA Sandra ROU   59.375 
9 TAMIRJAN Anamaria ROU   59.000 
10 鶴見虹子 JPN   58.975 

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2008年08月10日

北京オリンピック男子予選終了

男子予選終了

団体総合予選
1.CHN-374.675 
2.JPN-369.550 
3.RUS-366.225 
4.KOR-365.675 
5.GER-365.675 
6.USA-365.200 
7.FRA-361.200 
8.ROU-359.350 
9.CAN-358.975 
10.BLR-357.950 
11.ESP-357.925 
12.ITA-355.500 
上位8チームが団体決勝へ

個人総合予選(Q資格取得者R補欠)
1.YANG Wei(CHN)-93.875Q
2.HAMBUECHEN Fabian(GER)-92.425Q
3.KIM Daeeun(KOR)-92.4Q
4.内村航平(JPN)-92.05Q
5.坂本功貴(JPN)-91.95Q
6.冨田洋之(JPN)-91.9
7.KHOROKHORDIN Sergey(RUS)-91.8Q
8.HORTON Jonathan(USA)-91.65Q
9.CHEN Yibing(CHN)-91.6Q
10.CARANOBE Benoit(FRA)-90.925Q
11.MARTINEZ Rafael(ESP)-90.8Q
12.SAVITSKI Dmitry(BLR)-90.65Q
13.RIVERA RIVERA Luis(PUR)-90.6Q
14.DEVYATOVSKIY Maxim(RUS)-90.35Q
15.FUENTES Jose Luis(VEN)-90.325Q
16.KOCZI Flavius(ROU)-90.175Q
17.RYAZANOV Yury(RUS)-90.125
18.KIM Soomyun(KOR)-89.9Q
19.ARTEMEV Alexander(USA)-89.725Q
20.GAFUIK Nathan(CAN)-89.725Q
21.BOY Philipp(GER)-89.475Q
22.YANG Taeyoung(KOR)-89.3
23.FOKIN Anton(UZB)-89.275Q
24.WONG Adam(CAN)-89.125Q
25.KEATINGS Daniel(GBR)-88.95Q
26.POZZO Enrico(ITA)-88.675Q
27.BOUHAIL Thomas(FRA)-88.55Q
28.KARBANENKO Dimitri(FRA)-88.5
29.SHATILOV Alexandr(ISR)-87.8R1
30.SABOT Hamilton(FRA)-87.75
31.MORANDI Matteo(ITA)-87.575R2
32.POPESCU Daniel(ROU)-87.3R3
33.SAVENKOV Denis(BLR)-87.025R4

種目別予選上位3名
ゆか
1.HYPOLITO Diego(BRA) 15.950-6.6
2.DRAGULESCU Marian(ROU) 15.925-6.9
3.DEFERR Gervasio(ESP) 15.825-6.5

あん馬
1.XIAO Qin(CHN) 16.000-6.4
2.FUENTES Jose Luis(VEN) 15.525-6.5
3.UDE Filip(CRO) 15.475-6.4

つり輪
1.CHEN Yibing(CHN) 16.525-7.3
2.IOVTCHEV Iordan(BUL) 16.275-7.3
3.VOROBIOV Oleksandr(UKR) 16.250-7.2

跳馬
1.DRAGULESCU Marian(ROU)16.625(7.0)/16.900(7.2)-16.762
2.BOUHAIL Thomas(FRA)16.625(7.0)/16.700(7.0)-16.662
3.BLANIK Leszek(POL)16.700(7.0)/16.475(7.0)-16.587

平行棒
1.LI Xiaopeng(CHN)16.425-6.9
2.KRYUKOV Nikolay(RUS)16.175-6.8
3.FOKIN Anton(UZB) 16.150-6.8

鉄棒
1.HAMBUECHEN Fabian(GER) 16.200-7.0
2.CASSINA Igor(ITA) 16.000-6.8
3.CUCHERAT Yann(FRA)15.850-6.9

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2008年08月09日

北京オリンピック男子予選2班終了

男子2班終了
団体
1.CHN 374.675  
2.JPN 369.550  
3.RUS 366.225  
4.USA 365.200  
5.FRA 361.200  
6.CAN 358.975  
7.ESP 357.925
8.ITA 355.500

個人
1.YANG Wei(CHN) 93.875 
2.内村(JPN) 92.050 
3.坂本(JPN) 91.950 
4.冨田(JPN) 91.900 
5.KHOROKHORDIN Sergey(RUS) 91.800 
6.HORTON Jonathan(USA) 91.650 

ゆか
1.HYPOLITO Diego(BRA) 15.950-6.6
2.DEFERR Gervasio(ESP) 15.825-6.5
3.内村(JPN) 15.725-6.5

あん馬
1.XIAO Qin(CHN) 16.000-6.4
2.UDE Filip(CRO) 15.475-6.4
3.YANG Wei(CHN) 15.425-6.1

つり輪
1.CHEN Yibing(CHN) 16.525-7.3
2.YANG Wei(CHN) 16.225-7.3
3.MORANDI Matteo(ITA) 16.025-7.1

跳馬
1.BOUHAIL Thomas(FRA)16.625(7.0)/16.700(7.0)-16.662
2.BLANIK Leszek(POL)16.700(7.0)/16.475(7.0)-16.587
3.GOLOTSUTSKOV Anton(RUS)16.550(7.0)/16.600(7.0)-16.575

平行棒
1.LI Xiaopeng(CHN)16.425-6.9
2.KRYUKOV Nikolay(RUS)16.175-6.8
3.FOKIN Anton(UZB) 16.150-6.8

鉄棒
1.CASSINA Igor(ITA) 16.000-6.8
2.CUCHERAT Yann(FRA)15.850-6.9
3.ZONDERLAND Epke(NED) 15.750-7.1

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