2013年05月19日

W杯ベラルーシ新体操国際レポート2

5月18日、W杯ベラルーシ新体操国際・ミンスク大会2日目は個人総合が行われた。日本からは特別強化選手の皆川夏穂、早川さくらが出場。3月からロシア留学をしていた二人は、W杯ブカレスト大会、ペサロ大会に続いて、今季3大会目。

早川は試合前から落ち着いた練習を行っていたが、試合もそのままのものが出せたと言えよう。
1種目目のクラブでは投げのミスがあり、ジャンプターンがひとつ減るなどDの得点は伸びなかったが、投げに対する対処は良く、落下ミスはなかった。

2種目目のボールでは最初のマステリーで操作ミス。身体の引き上げが足りないためにバランスやピボットでかかとが早く床についてしまったが、美しい演技を見せた。

3種目目はフープ。ジャンプでのキャッチで落下し、ラストのDERも投げが乱れたためにやれなかったが、大きなミスは防いだ。

4種目目はリボン。4種目を通じて一番出来が良く、実施は8.3666まで伸びた。ローテーションの回転数が不足しているためにDは7.3であったが、今後Dの精度があがっていけば、16点台に乗せることができるであろう。

全体的にはとても美しく、華やかな印象を放った。

一方の皆川は、4月中旬のブカレスト大会直前にフープの上にジャンプの着地をしたことから足を痛めていたが、そのままペサロ大会はこなした。ペサロ大会後、ビザの取得のために日本に一時帰国。その際の検査で骨折していたことが判明した。すでに完治に向かっているとはいえ、痛みからか身体のバランスを崩していた。日本でもきちんとした練習がこなせなかったのか、心も体もバラバラという感じで、手具を扱うコースも非常に悪かった。そのため練習の時から何もかもがうまくいかず、それゆえに不安になるという負のスパイラルに突入していた。試合でも不安に感じている箇所をすべてミスし、4種目ともミスの多いものとなった。 

1種目目のクラブでは最初の足投げからのDERで落下。中盤のDERも落下。足でのつきでもミスを犯した。

2種目目のボールでは、身体が思い通りに動かず、幾度か落下ミス。最後はDERでキャッチできずに手具なしでポーズすることとなった。

3種目目のフープではジャンプターンでの転がしキャッチでミス。背面をひねりまわすところでも落下。

4種目目のリボンでもキャッチミスが相次ぎ、4種目を通じて思うような結果を残せなかった。
皆川にとっては非常に苦い試合となったが、多くの落下ミスをしてもDの得点は高いものもあり、技術的な評価は高いと思われる。いずれも難易度の高い手具操作の場面でミスしており、思い通りにこなすまでにはもう少し時間がかかるが、まずは正しく行うということを心がけていけば整理ができていくだろう。

今後はふたたびロシアでの練習が始まるが、ロシアのコーチ陣からは二人ともすばらしい選手として期待を寄せられており、紆余曲折しながらも高みを目指していってくれるに違いない。

個人総合を制したのはロシアのYANA KUDRYAVTSEVA。
まだシニアになったばかりの選手であるが、手具操作が神業と思えるほどにうまい。ボールでは回転しながら転がしながらのキャッチがいくつも入っていて、身体に吸い付くように、しかも身体の一番遠いところで操作している。フープではDERで落下ミスを犯したが、全体を通じて、正確な難度と美しい身体のさばき、目を見張る手具操作を見せつけた。

明日は団体種目別決勝と、個人種目別決勝が行われる。

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posted by 山﨑浩子 |05:43 | 新体操大会報告 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2013年05月18日

W杯ベラルーシ新体操国際レポート

5月17日、W杯ベラルーシ新体操国際・ミンスク大会初日は団体総合が行われた。日本はプログラムの変更をするために不参加となったが、強豪ロシア、イタリアをはじめとした8ヶ国が参加した。

1位はロシア。
クラブは危うい箇所はいくつかあったが落下ミスは防ぎ、多彩な手具操作を見せつけた。 手具が手の中にある時間が非常に短く、次々と技を繰り広げる。春先の大会ではバタバタとした印象であったが、ヨーロッパ選手権を目前にして、ようやくまとまりをみせてきたようである。ボール&リボンも、キャッチの移動はあったが落下ミスはなく、2種目を通じてうまくまとめた。

2位はベラルーシ。
W杯ペサロ大会ではミスが相次ぎ、9位に沈んだが、今回は地元ということもあり、安定感が増していた。クラブでは、一人の選手が故障しているため、ジャンプターンが跳べないミスがあったのと、フェッテでの跳びがあるなど身体難度にミスが出たが、落下ミスはなかった。ボール&リボンは、交換でリボンが落下。しかし全体的にはエネルギーのある演技であった。

3位はイタリア。
クラブでは最初の連係にミスが出た。一本を落下したのであるが、それを拾わずに次の連係に移ったため、大きな乱れが生じた。後半でも4本投げを落下。その前の投げも大きくなり、回転を行わずにキャッチするなど、連係でのミスがあり、全体的にもエネルギッシュさに欠けた。ボール&リボンでも連係がうまくいかない箇所があり、リボンの端が場外するなどのミスがあった。選手が大幅に入れ替わっているため、いくらイタリアと言えども、安泰とは言えない状態である。

4位はアゼルバイジャン。
クラブは交換で2度の落下があって大きく乱れたが、Dは8.5。思いのほか、点数が伸びた。ボール&リボンでもバランスではかかとが上がらず、パンシェでも崩れる選手がいた。ラストも曲に合わないなどミスはあったが、得点は16点台に乗せた。

5位は中国。
クラブではキャッチの移動は少々あったが落下ミスはなく、安定感のある演技だった。 ボール&リボンは非常に工夫された連係を繰り広げていたが、終盤で落下ミス。会場からもため息がもれた。

6位はポーランド。
クラブは細かい操作での落下があった。ボール&リボンでは早い段階でリボンに結び目ができてしまった。それをほどくことができずに我慢しながら進めていたが、後半の交換でリボンを落下。最後までほどけずにポーズを迎えることとなった。

7位はブラジル。
クラブはサンバのリズムに乗りたいところであったが、交換で3度落下。連係でも落下した。ボール&リボンでもフェッテピボットでボールを落下。大きな得点源を失った。後半でも連係や受け渡しでボールをポロポロと落下した。

8位は韓国。
クラブは前半の連係で落下し、不正確なキャッチもいくつかあったが、Dの6.70は低すぎる。話によれば、申告書の書き方が悪く、一つの交換ごとに0.3の減点があったという。 ルール変更後、各国で解釈の違う場面があったり、講習されたものとは違う内容となっていたりしているが、実施された内容ではなく、申告書の間違いで減点されるのは忍びない。日本も正しい情報を入手し、こういったことがないように気をつけていかなければならない。ボール&リボンも連係の落下や交換の落下はあったが、Dの5.00はやはり低すぎる。この種目も同様のミスがあったということであろう。

団体総合ではロシアの強さがひときわ目立ったと言える。難しい内容をものにしてきたいま、王者ロシアの牙城を崩すのは容易ではない。

明日は個人総合に早川さくら、皆川夏穂が出場する。

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posted by 山﨑浩子 |05:31 | 新体操大会報告 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2013年04月28日

新体操W杯イタリア国際レポート2

4月27日、新体操W杯イタリア国際・ペサロ大会二日目が開催され、個人総合後半2種目(クラブ、リボン)と団体総合後半種目(ボール3&リボン2)が行われた。

3月初旬よりロシア留学をしている早川さくらのリボン種目は、動きの強さが出てきたが、リボンの描きが弱く、幾度が身体にリボンが触れていた。そして背面でスティックを転がしながらの側転でリボンが落下。しかし、投げが悪くても、きちんと投げ上げられた方向を見定めてからDER(回転技)に入っており、大きな落下は防いだ。このあたりはよく練習を積んできた現れであろう。(D7.450 E7.633 計15.083)

同じくロシア留学中の皆川夏穂のクラブ。音楽も内容もすっかり変え、皆川に合った音楽構成となっていた。しかし、難しい技をふんだんに取り入れているため、リスクで崩壊。数度の落下ミスを犯し、12.633となってしまった。(D6.300 E6.333)

続いて最終種目は早川がクラブ。ジャンプからのキャッチでクラブがこぼれるなどのミスがあり、15.167(D7.300 E7.867)。

皆川はリボン。若干リボンの操作に手間取った箇所と、DERの部分でもぐり回転でキャッチをした際に、リボンの端が場外に出てしまったのは残念だったが、クラブでの大きな失敗から持ち直せたことで、これからの自信となっていくだろう。(D7.600 E8.033 P0.3=場外)

結果、早川が30位。皆川が34位。順位としては決して良いものではなく、他の選手と比較するとまだまだひ弱な感じはあるが、2人とも1ヶ月半でよくここまでレベルアップをしたなという思いである。彼女たちの挑戦は始まったばかり。通訳も日本人コーチもいない中で、難しい技に挑み、難度の精度を上げる毎日であるが、日増しに強くなってくれるに違いない。

優勝はSTANIOUTA Melitina(ベラルーシ)。後半種目は、難度の不正確な箇所はあったが、エネルギーのある演技であった。

2位にTITOVA Maria(ロシア)が入り、前半戦首位のSVATKOVSKAYA Daria(ロシア)は、クラブの出だしで落下ミスがあり、3位となった。

4位にイスラエルのRIVKIN Netaが入ったが、特筆すべきは5位のHALKINA Katsiaryna(ベラルーシ)。難度も正確な上に、手具操作が巧みで、動きのこなしもうまい。今後メダル争いに絡んで来るであろう。

MAKSYMENKO Alina(ウクライナ)は、クラブを2度落下し、8位に。前日ボールのアクシデントがあり13位だったSON YEON JAE(韓国)は、クラブでほぼミスのない演技を見せ、17.600。2種目を17点台に乗せて、9位まで順位を上げた。

そのほかアゼルバイジャンのDURUNDA MarinaやウズベキスタンのDAVIDOVA Valeriya、イタリアのBERTOLINI Veronicaなど、注目すべき若手の活躍が目立った大会であった。ウクライナのRIZATDINOVA Gannaは6位に入ったが、ベラルーシのHALKINAら、若手の手具操作からすると物足りなさもある。AKSYMENKOにしてもRIZATDINOVAにしても表現力は抜群であるが、踊れてなおかつマステリー(一般的でない手具操作の組み合わせ)をこれでもかと入れてくる選手がどんどん出てくると、多少色あせて見える感じもあった。

またロシア選手と他の国の選手の力量もさほどなくなってきたように思う。カナエバやディミトリエバ、コンダコバなどのスター選手がいなくなり、どの国もすばらしい選手が出てきているいま、誰が勝つかわからないという点でも興味深くなっていくことだろう。

そして団体総合後半種目はボール3&リボン2。
フェアリージャパンPOLAは前日のクラブで落下ミスがあり、巻き返しを図りたいところであった。が、序盤細かいミスはあったが持ち直し、勢いが出てきたところで、DERでリボンを落下。焦ったままリボンの背面投げをしたため、リボンが低空飛行となり場外へ。キャッチはよく反応したが、リボンと足が場外に出たため、ここで0.6のペナルティ。ラストの、ボールを3人でキャッチするところも、落ち着かない状態であったためにボールがこぼれ、場外へ。ボールを拾いにいくほどの時間はないがまだ音楽が終わっていない段階での場外のため、0.3のペナルティ。場外だけでも0.9の減点となり、ひとつの手具はない状態でポーズすることとなった。今大会はミスが相次ぎ、今季2戦目は12位に沈んだ。
ボール3&リボン2の伴奏音楽はモノトーンであるため変更した方がいいという評価であるが、5月の中旬にはミンスク大会、6月の頭にはアジア選手権があり、変え時が難しい。しかし、クラブも変更したばかりで選手への負担も大きいが、気持ちをリフレッシュするためにも、帰国後すぐに変えることになるであろう。今大会を価値のあるものとするために、悔しさを忘れずにがんばっていかなければならない。

優勝はイタリア。細かなミスはあったがうまく対処し、大事には至らなかった。まだ荒い感じはあるが、次々と連係を繰り広げて、地元の大会で頂点に立った。

2位には、ほぼミスがなく、ブルガリアが入った。3位はウクライナ。交換で落下ミスがあったが、動きの大きさがあった。

強豪ベラルーシは9位に沈んだ。交換で落下。連係でもボールが場外。ボールを予備手具に差し替えることで、場外のペナルティは0.3にとどめた。若いメンバーでまだがたつきがあるが、ミンスク大会までには整えてくるだろう。

4位にはフランス、5位にはスイスが入った。スイスは2種目を通じて大きなミスがなく、作品にも工夫が見られた。

個人競技と同じで、団体でもどの国のレベルも上がっている。新体操の面白さが増してきた反面、上位に上がるのはこれまで以上に容易いことではない。それでも持っているポテンシャルを最大限に生かすことで、勝機を狙っていきたい。

結果

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posted by 山﨑浩子 |14:21 | 新体操大会報告 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2013年04月27日

新体操W杯イタリア国際レポート

4月26日、新体操W杯イタリア国際・ペサロ大会初日が開催された。個人競技には特別強化選手の皆川夏穂(15歳)と早川さくら(16歳)の2人が参加。先週のW杯ブカレスト大会に引き続いての出場となった。3月5日よりロシアに留学して練習を重ねていたが、1ヶ月半ぶりに2人の姿を見て、手具を遠くで扱うなどの基本的技術が向上しているのが如実に感じられた。ただ、皆川の体調がかんばしくなく、体力的な低下があったため、試合でどうでるかが心配された。しかし、そんな心配をよそに、2人とも落ち着いた試合運びを見せた。

フープからの登場は早川。エカルテのバランス時にフープを落下したが、そのほかはていねいな演技であった。D7.100 E7.767 計14.867

そして皆川のボール。曲を変え、中身もほとんど変わっていたが、大きなミスはなく15.983と、もう少しで16点台という点数を得た。(D7.650 E8.333)

2種目目、早川のボール。最初の足でのつきや、足キャッチからのボールの操作に手間取ってしまったが、難度においては、最後まで見せようという執着心があった。ピボットの終末も美しく、15.900(D7.800 E8.100)。

皆川のフープは、ピボットでかかとが早く床に着いてしまうなどの細かいミスがあったが、15.667(D7.700 E7.967)で2種目とも15点台に乗せた。

ロシアに行ってから1ヶ月の間に曲や作品を変更し、まだ踊りこなせているとは言い難い。それにより強い線はまだ出てきていないが、難度の質や手具操作の質は格段に向上した。ヨーロッパの間でも、日本の選手は美しいと評判になっており、今後試合をこなすごとに強くなっていってくれるであろう。皆川は2種目を終えて、23位。早川は28位につけている(54人中)。

前半1位はSVATKOVSKAYA Daria(ロシア)。難度が崩れる場面があったが、難しい技を次々とこなし、フープでは18点台に乗せた。2位に同じくロシアのTITOVA Maria。3位にイスラエルのRIVKIN NETAがつけている。 

韓国のSON YEON JAEはボールの種目でアクシデントが起きた。曲が鳴ったために動き出したのであるが、その後すぐに音楽が切れ、伴奏音楽がないまま演技を続けるはめになった。観客の手拍子に支えられ、最後まで素晴らしい演技を行ったが、主催者側のミスということで、試技順の最後に再度演技することになった。しかし、良い演技を見せただけにすでに集中力がなく、幾度かポロリと落下。難度も不安定になってしまった。現在13位につけているが、巻き返しが期待される。

全体的にはやっとルールがこなれてきて、構成が豊かになった気がした。以前はどの選手を見てもほとんど同じ手具操作ばかりであったが、今大会ではそれぞれの選手がマステリー(一般的でない手具要素の組み合わせ)に工夫をし、難しい手具操作に挑戦していた。音楽から外れている動きも少なく、身体を十分に動かして、音楽を表現しようとする姿勢が感じられ、ルールを大幅に変えたことの良さが出てきたと言えよう。今後ますます面白くなっていくに違いない。

個人結果

そして団体競技には13ヶ国が参加。王者ロシアは不参加であるが、地元イタリアやベラルーシ、ブルガリアなど、今季初めて見る国も多く、興味深いものとなった。

今日はクラブの演技が行われたが、日本はフェアリージャパンPOLAが出場。新チームとなって2回目の国際大会出場であるが、2週間前にクラブの作品を変えたために踊りこなせておらず、精神的な負担も大きかったのか、落下ミスが多かった(12位)。

まずジャグリングの連係でポロリと落下。その後、フェッテピボットの直前にクラブを落下し、フェッテの入りが遅れた。ラスト間際の連係でもクラブが短くなり落下。直後のそりジャンプターンが遅れて、全体的にばらついた。
演技途中で急に堅くなった感があり、消極的になってしまった。まだ練習をし始めたばかりの作品で、ミスは仕方のない部分もあるが、どんなときでも積極的にやるという精神力を身につけていかなければならないであろう。作品の内容の厚みもまだまだなので、試合に出つつ、変更を重ねていく必要がある。

また日本でのルールの解釈とこの大会での解釈が違うものがあるようで、何が本当なのか情報を収集しつつ、作品に手を加えていかなければならない。

現在の1位はイタリア。難度の質などはそれほど良いとは思えないが、勢いという点では他国に勝っていた。

ベラルーシは連係で落下ミスし、ほかの場面でもあたふたとしていて下位に沈んでいる。日本と同じように若いメンバーが入り、なじめていない感じであったが、作品の内容や難度の質などはとても良く、今後すぐに上位に上がって来るであろう。

前半を終えて2位にウクライナ、3位にブルガリアがつけている。

明日は個人競技の後半種目(クラブ・リボン)と団体競技後半種目(ボール&リボン)が行われる。

団体結果

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posted by 山﨑浩子 |08:54 | 新体操大会報告 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2013年04月21日

アジア選手権ほか代表決定競技会レポート2

第6回アジア選手権大会・第27回ユニバーシアード大会新体操日本代表決定競技会
競技2日目(4月21日)のレポート

■個人

 1位で代表権を獲得したのは山口留奈(イオン) 総合 56.900点
クラブ(13.900点) 一度小さな投げで落下があったものの、高い投げは全て決め会場を沸かせた。1分30秒の間気持ちを落とすことなくミスを最小限に抑えられることも、選手にとってはとても重要な能力の一つである。
リボン(14.500点) 大きなミスなく踊り上げた。後半手具操作に追われ表現が弱くなってしまう部分もあったが、全体を通し以前よりも表現に力を注いでいることが分かるほど、動きや表情に変化が感じられた。

 残り一つの代表枠を獲得したのは穴久保璃子(イオン)総合 54.500点
クラブ(13.450点) 2本投げでのミスはあったが、作品としてのまとまりを欠くことはなく、最後まで表現し切った姿はベテランの風格を漂わせた。
リボン(13.450点) 落下はあったものの、難度もステップも演技に上手く組み込まれており、以前よりも流れが良くなった演技は観ていて心地よいものに仕上がっていた。今後、このバイオリンの音色を表現するには、表情だけではなく空き手や手具操作にまで細やかな意識が必要になるだろう。

 新ルールが導入され難度数が減ったものの、どの選手も難度の精度が落ちているように見えた。また、末端まで意識が届いていない選手が多く、例え目に見えるミスがなかったとしても採点上基礎技術の面で評価を下げなければならず、今大会においては点数が伸びなかった。難度や技をこなすことにとらわれず、美しくより正確に実施出来るよう身体の資質を上げることが必要不可欠である。

■団体 リボン2ボール3

 ユニバーシアードの出場権を獲得したのは東京女子体育大学(リボン2ボール3 15.850点 総合31.250点)
前回の悔しさを晴らし、貫録ある演技で代表権を勝ち取った。
フェアリージャパンで活躍していた三浦莉奈選手が入ったことにより、今までの東女とは異なる雰囲気の作品に仕上がっていた。強さや勢い、ノリのよさだけではなくバレエ要素を生かした伸びやかで華麗な動きは、観ている者の心を引き寄せ次を期待させるほど魅力的であった。

 惜しくも2位となり代表権を逃したのは日本女子体育大学(リボン2ボール3 15.250点総合30.400点)
交換で一度不正確な受けがあったものの、最後まで勢いが衰えることなくテンポの良い演技で次々と技を決め会場を沸かせた。

 新しいルールになり一番重要視されていることは、曲を理解し最初から最後まで作品のコンセプトを崩すことなく演じ切ることである。その為、難度が12個から9個に減り、投げ技(DER)の回数が3回に制限され、曲のテンポ、リズムと調和した8秒間のダンスステップコンビネーションを入れなければならなくなった。

 しかし、今大会においてはほとんどの選手が足を動かすことや曲に合わせることに必死になっている印象を受けた。また、曲に動きが合っていたとしても、作品を踊る選手自身にそのキャラクターがなければどうしても違和感を覚えてしまうのも事実である。もちろんジュニア期においては、色んなジャンルの曲に挑戦することも大切である。その為にも、頭で考えて動く段階から体全体でリズムを刻めるようになるまで踊りこまなければならない。

 今後世界と戦うためには、曲を聴けば自然に踊りたくなってしまうような“踊り心”をジュニア期に養う必要があるだろう。そして、曲が明るいから何となくこのステップ・・・というような安易な考えで作品を作らず、作品全体を通し無駄がないよう手具の軌道やつなぎなどにも試行を凝らし、選手と共に指導者自身も切磋琢磨しなくてはならない。

 各国トップ選手の映像をいつでも観ることが出来る情報社会の今、世界の流れに乗り遅れないよう常に新しい情報を取り入れ、日本全体が世界規準の目線になるよう努力しなければならない。更に世界と肩を並べるには、オリジナリティーを磨いていくことが求められるであろう。

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posted by 村田由香里 |20:43 | 新体操大会報告 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2013年04月20日

アジア選手権ほか代表決定競技会レポート1

4月20日21日、千葉ポートアリーナにおいて、第6回アジア選手権大会(個人)、第27回ユニバーシアード大会(個人、団体)の代表権をかけた戦いが繰り広げられる。

昨年ロンドンオリンピックを終え大幅にルール改正されて以来、全日本レベルの大会は今大会が初となる。
その為、日本のトップ選手達がどのように新ルールに対応しているか、それぞれの個性をどのように生かしているかに期待が寄せられる。

個人

1位 山口留奈(イオン)28.500点
フープ 大技に挑戦しているだけにミスが相次ぎ、山口選手の武器である難度も精彩さをかいたが、今まで以上に踊ろうという気持ちが前面に感じる演技であり、今後熟練度を増していくのが楽しみである(14.500点)。
ボール ジャズの曲に挑戦したこの作品では、まだ曲の雰囲気を表現し切れずミスマッチに感じる場面も見受けられたが、転がしの落下ミスだけにとどめこの種目でも首位を守った(14.000点)。

2位 穴久保璃子(イオン)27.600点
フープ ふとした瞬間に手具が手から離れ動揺してしまったのか、続くジャンプ難度でもミスがあり点数を伸ばすことが出来なかった。しかし、以前にも増した自己主張を感じる動きは、曲の力強さを引き出していた(13.400点)。
ボール 転がしの落下ミスが惜しかったが、その後大きく崩れる事なくまとめあげた。しかし、このムーディーな曲を表現するには、少し動きが強すぎるように感じられた。今後、この微妙な力加減をコントロール出来るようになれば、更に様々な表現が出来るようになるであろう(14.200点)。

3位 大貫友梨亜(東京女子体育大学OG)27.000点
フープ 大きなミスはなかったものの、どこか手具が手についていない印象を受けた。その為、作品全体を通して見た時に伝えたい事が表現し切れずに終わってしまったように思う。以前よりも表情が豊かになった大貫選手だけに、このような些細なことも目につくようになったのであろう。(13.750点)。
ボール 転がしの滑らかさはどの選手よりも秀でており、熟練度を増したその手具操作は曲の繊細さをより鮮やかに表現出来ていたように感じられた(13.250点)。

1日目を終え4位につけたのは、昨年までフェアリージャパンで活躍していた田中琴乃選手(日本女子体育大学)。今まで見たことがないような田中選手の清々しい表情は印象的であり、2種目共にミスなく踊り切った姿は経験の深さを物語っていたように感じられた(フープ12.950点 ボール13.650点 計26.600点)。

団体 クラブ10

1日目、1位に躍り出たのは東京女子体育大学(15.400点)
交換での大きな移動、二本投げ交換での落下ミスがあり、作品としての完成度は低かったように感じる。しかし、動き一つ一つの力強さは群を抜いており、代表権を獲得したいという揺るぎない強い思いが集結した演技であった。

前回ユニバーシアード初出場を果たし益々勢いを感じる日本女子体育大学は、15.150点を獲得し、この種目を2位で終えた。
公式練習ではミスが続き心配する場面もあったが、本番では大きなミスもなく会場を沸かせるほどの出来であった。また、権利がかかった試合にも関わらず、観る者の心を躍らせるほど選手達自身も楽しく踊っていた姿は圧巻であり、相当な練習量をこなしてきたことが窺えた。

明日も代表権をかけ、最後まで気の抜けない戦いになるだろう。

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posted by 村田由香里 |20:40 | 新体操大会報告 | コメント(1) | トラックバック(0)
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2013年04月02日

ティエ新体操グランプリ現地レポート2

フランス現地3月31日、ティエグランプリ種目別決勝が行われた。

 団体は新生フェアリージャパンPOLAメンバーが出場。前日の団体総合ではボール&リボンで大きなミスが出てしまったが、この日の種目別決勝では、種目の出来が逆転した。1種目目のクラブでは前半良かったものの、中盤の足投げ交換が少し大きくなり、場外。 4本投げのキャッチで落下し、DERでも落下。ラストの交換でもキャッチが不正確となり、重要な箇所でのミスが響いて13.900(D7.300 E7.200 場外0.600)クラブは6位となった。中盤から集中力を欠き、気力も体力ももっていないなという感じであった。

 しかし2種目目のボール&リボンは、連係の箇所でボールの落下があったが、前日のようなミスの連続ではなく、ある程度流れを見せることが出来た。まだまだキャッチの移動やボールの両手取りが多く、その分実施は低くなったが、クラブで大きなミスを犯しながら、気持ちを切り替えてボール&リボンに臨めたのは意義深いことである。
D8.000 E7.600 計15.600で5位。

 ロシアは両種目とも17点台に乗せ、両種目とも制覇した。次々と曲が切り替わる伴奏音楽で、軽快なステップを踏んでいたクラブは17.700(D9.000 E8.700)。ボール&リボンでも今日は踏ん張り、17.733(D 9.000 E8.733)。しかし、ロシアもボールの両手取りが多く、まだまだバタバタしている印象であった。とにかく、ピンポイントで投げなければ成立しない技が多く、神経をすり減らすような感じである。でもそこに挑戦しようとしていることには頭が下がる思いである。

 クラブの2位はスペイン。今日は現段階でできる最高の演技を見せた。音楽と動きもぴたりとはまり、空間の使用も絶妙で、非常に素晴らしい。ロシアにはあと一歩及ばなかったが、出来としてはロシアを上回る演技であった。(D8.650 E8.600 計17.250)

 クラブ3位はウクライナ。多少のミスはあったが、大きさを感じさせる演技であった。 (D8.600 E7.867 計16.467)

 クラブ4位は中国。前日と比較して落下ミスなどが出て乱れてはいたが、身体の難度はきっちりとカウントでき、15.567(D8.200 E7.367)となった。

 クラブ5位はフランス。いくつかミスは出たが、昨日からすると雲泥の出来であった。D7.500 E8.000 計15.500。アゼルバイジャンは場外に出る落下ミスが2回あり、7位。D8.000 E6.800 場外1.200 計13.600。

 ボール&リボンの2位は中国。リスクで落下したことと、細かい落下はあったが、全体的には大きく崩れることもなく、種目別でも表彰台に上った。16.650(D8.650 E8.000)

 3位はウクライナ。一箇所連係で乱れたが、大きさと幅のある演技で16.067。(D8.500 E7.567)

 4位はスペイン。交換時のリボンの落下ミスや、交換、連係時のキャッチの移動が大きい箇所が数カ所あり、15.767(D8.400 E7.367)。

 5位が日本で6位がアゼルバイジャン。身体の難度が不明確で、ラストも曲に合わないなどのミスで15.567(8.200 7.667 場外0.300)

 7位は地元フランス。独特な雰囲気の作品で興味深かったが、いくつかのミスが出て15.500(D8.200 E7.300)

 日本はまだ、「悪くない」という状態であるように思う。ここからもう一段階上がっていくためには、強烈な個性が必要かもしれない。作品的には、少し抑揚が足りないのではないかという声も聞かれた。私自身客観的に他の国と比較して、音楽の抑揚もそうだが、空間の使用に関しても単調であり、平面的であるように感じた。今後すぐに作品を構成し直し、立体的な作品にしていきたいと思う。

 とにもかくにも、ひとつ試合をこなし、多くの収穫があった。選手は今後さまざまな経験をしながら、強くなっていくだろうという可能性も見えた大会であった。

<個人総合 ティエグランプリ1日目>
 個人競技は、果敢に難しい手具操作に挑戦する選手たちと、ダンス系に走る選手に二分された感じであった。カナエバやコンダコバ、ディミトリエバ、ガライエバらが引退し、誰が新しい女王になるのかが興味深い中、ロシアはMargarita MAMUN、Daria SVATKOVSKAYA、Alexandra MERKULOVAという3人の若手を出してきた。

 MAMUNは若い頃のカナエバを彷彿とさせる選手で、気品があり優雅な演技をする。手具操作も抜群で、2種目を18点台に乗せ、金メダルを獲得した。

 2位はDaria SVATKOVSKAYA。かつての名選手オクサナ・スカルディーナの娘であり、彼女と同様、チャーミングな演技で観客を魅了した。小技から大技まで実に凝っていて、見ごたえのある演技であった。

 3位はAlexandra MERKULOVA。カナエバではなくカバエバ選手に似たタイプで、アピール性があり、ロシアは表彰台を独占した。

 4位はSyviya MITEVA。ルールが変わり、彼女の流れるような演技は生かされているように思う。リボンだけはダンスステップが多く、手具が離れない印象であったが、それぞれの種目で違う味を出そうという気持ちが強く表れていた。

 5位はNeta RIVKIN。相変わらず繊細で確実な演技を行っていた。

 6位はMelitina STANIOUTA。昨年はケガに泣いたが、一時期より復活してきたように思う。

 7位はCaroline WEBER。難しいことはほとんどやらず、音楽と動きをマッチさせることに徹している感じであった。フープで使用したマイケル・ジャクソンの曲ではムーン・ウォークなどを見せ、観客からは大きな拍手をもらっていた。

 8位はViktoria MAZUR。昨年のロンドンオリンピックでは団体のメンバーに入っていたが、今季は個人に戻り、美しく軽やかな演技を見せた。

 ほかに目立ったのはAlina MAKSIMENKO。いくつか大きなミスが出て12位に沈んだが、ダンス的な動きを多く入れ、観客を魅了した。ただ上位に位置している選手からするとリスキーさに欠け、演技会で踊っている感じにも見える部分があった。

 フランスのKseniya MOUSTAFAEVAは果敢に難易度の高い技に挑戦していた。手具があまり手から離れることなく踊っている選手と、次から次へと手具を動かし難しい技を繰り広げている選手が同じ土俵で戦うのもかわいそうに思えるほどであった。

 ほかにもアゼルバイジャンの Marina DURUNDA、カナダのPatricia BEZZOUBENKO、イタリアのVeronica BERTOLINIなど、若手の今後が楽しみな選手が多数出場していた。

 日本からは参加しなかったが、現在、皆川夏穂、早川さくらの2名がロシアに留学し、ロシア人コーチのもと、練習をしている。作品を変えている段階ではあるが、ルーマニアのブカレストの大会には出場する模様。早い段階から多くの選手たちの中で揉まれ、強さを身につけていってもらいたい。

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posted by 山﨑浩子 |21:47 | 新体操大会報告 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2013年03月31日

ティエ新体操グランプリ現地レポート

 フランス現地3月30日、ティエグランプリ1日目が開催された。参加国はロシア、スペイン、ウクライナ、フランス、アゼルバイジャン、中国、日本の7ヶ国。日本は1月にチームを組んで新チームとなり、今季初の国際大会参加。また新ルールに変更されたばかりなので、新ルールに則った作品となっているか、世界の動向はどうなっているかを判断する大会ともなった。

 試技順2番、ボール3&リボン2に出場した日本は、序盤のスケール時にリボンに結び目ができたが、どうにかしのいで、中盤に連係を行いながらうまくほどいた。しかしパンシェターンで一人が崩れ、中盤の連係時に回転を行う選手がボールを落下。難しい連係の箇所で落下、DER(前ルールではリスク)でも一人が落下して、実施は6.300であった(難度点は7.550=計13.850)。ただ、他選手との関わりでのミスという点では一箇所のみで、あとは個人のミスによるものなので、今後、練習を積んでいくことで解消できると思われる。
 同じく試技順2番で登場したクラブでは、一演技終えた安堵からか、動きの堅さはなく伸び伸びと演技した。投げの安定性がないため、キャッチに移動がいくつか見られたこと、中盤でなんでもないところでクラブをポロリと落下したこと、ラスト近くの連係でクラブの落下があったことで、実施は7.000であったが、難度点が8.000で、計15.000。全体的にはやりたいことが見えた演技であったように思う。総合点28.850で日本は5位となった。

 1位はロシア。昨年からメンバーがほとんど替わっていないが、1種目目のボール&リボンでは出だしからミスを連発。非常に難しい連係の連続であるために取り戻しも遅くなり、難度の乱れや交換の乱れも招いて結果は14.700(D難度8.200 E実施6.500)。2種目目のクラブでは落ち着きを取り戻し、ジャグリングが見事な演技を披露した。ミスはあってもクラブの操作については圧巻だった(D9.100 E8.033 計17.133)。総合計31.833。

 2位に入ったのは中国。中国も昨年からメンバーがほとんど替わっておらず、オリンピックに参加していないので早めに作品に取り組めたのか、他の国より安定感のある演技を見せた。リフトを多用し、見せ物的な感じがあったのと、演技の小ささは気になったが、両種目ともやりたいことがはっきりと見えたと思う。ボール&リボンはロシアを抑えてトップに立った(D8.450 E7.300=15.750)。クラブでも多少のミスはあったが15.333(D8.400 E6.933)。総合31.083で2位となった。

 3位はスペイン。スペインもボール&リボンでは序盤の交換でリボンが落下。後半のDERでボールを取り損ねて場外。大きなミスが出て、D8.150、E6.867、場外のペナルティが0.6で計14.417だった。クラブはお国柄の出た曲で、音楽とリズムがよくマッチし、後半の盛り上がりも良く15.900。少しミスはあったが、スペインらしい強さがあった(D8.400、E7.500)。

 4位はウクライナ。両種目ともそれほど手の込んだ作品ではないが、盛りだくさんでない分、観客としては見やすいかもしれない。クラブではまとまりを見せたが、ボール&リボンでは場外や交換、連係での落下ミスが出て、メダルを逃した。クラブ(D8.400 E7.000 計15.400)ボール&リボン(D8.150 E6.200 場外0.600 計13.750)総合29.150。

 5位が日本で6位はフランス。相変わらず試合でのがたつきが多く、1種目目のクラブでは何が起こったのかわからないほどミスが出た(D6.500 E5.667 12.167)。
ボール&リボンはどうにかまとめ、D8.000 E6.700 計14.700。総合計は26.867。

 7位はアゼルバイジャン。もともとの身体能力がそれほど高くなく、大きなミスも出たため7位となった。クラブはD8.150 E5.500 場外0.90で12.750。ボール&リボンはD7.600 E6.767 場外0.3で14.067。

 総評して、春先の大会ということで、中国以外はどのチームもミスが多く、まだまだこなれていない感じであった。新ルールではひとつミスが出れば、D難度点では加算されず、E実施点では技術的にも芸術的にもWで減点されるため、大きな減点となる。しかしながら団体では連係をやらないと難度点が上げづらいため、どの程度複雑にして、どの程度ミスの少ない構成にしていくか、その調整具合が、勝利への鍵となっていくだろう。

 どの国も思ったよりメンバーが替わっておらず、その中で日本は、今回の試合はふたりのみがロンドンオリンピックからのメンバーであった(実際は4人残っている)。新メンバーでは、大きな国際舞台を経験しているものは一人(ユースオリンピック経験者1名)のみ。前日のポディウムでの練習では、フロアーを運動会のように走り回るほど乱れており、我をなくしている様子がうかがえたが、ひとつの試合を経験したことで、一段階進んだと言えよう。また2種目目のクラブ演技の直前に足をひねった選手が出たり、緊張の連続からか両足がつってしまった選手が出たりしたが、本番ではそういったことを感じさせない演技が出来、そういう点でもひとつ乗り越えることが出来たと思われる。どんな状況でも最善を尽くしていくということを積み重ねて、強くなっていってもらいたい。

明日31日は種目別決勝が行われ、日本は両種目に出場する。

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posted by 山﨑浩子 |17:29 | 新体操大会報告 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2012年12月16日

第65回全日本新体操選手権 男子レポート

■個人種目

松田陽樹(青森大学)が豊富な技数を多彩に詰め込んだ構成を高い精度でこなす。
武器である膝の可動域を十二分に活かした動きで4種目を乗り切り個人総合を制覇。
2009年の春日克己 選手以来3年ぶりに全日本の王座奪還を果たす。
名門 青森山田高校出身だが卒業生が個人総合を獲った事は前代未聞の快挙である。


社会人チャンプの木村功(清風RG)が熟年選手だからこそ魅せられる演技と曲を最大限にシンクロさせた演技を披露
スティックではピアノの静かな曲にあわせて 一つ一つの音を動きで紡ぐ
呼吸すら躊躇われるほどの静寂の中、演技最終局面においてスティックを視野外にてキャッチ
その瞬間、張り詰めた空気が解けるように会場から歓声が沸いた。
個人総合では惜しくも2位だったが種目別では3種目制覇と社会人チャンプの力を魅せつけた。

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昨年、斉藤剛大(国士舘大学)は、とにかくミスをしない演技で1年生ながら種目別に駒を進めた。
今年もその演技は健在で2年生にして一気に総合3位まで食い込んできた。
特に彼の持ち味はシェネの回転速度とその精度。
他の全日本レベルの選手と比べても素人目にわかるほど格段に早く そしてこれを落とさない。
種目別でもその実力をいかんなく発揮した。


■団体

2008年 インターハイ完全優勝を達成した宮城県 小林秀峰高校出身の日高祐樹が
チームリーダーとして率いる青森大学が全日本団体4連覇を達成。
振り子時計のようなイントロから始まる演技は選手を演者、そして演技のストーリーを想像させる。
体操の世界には「すごい技を簡単にこなし 簡単な技をすごく魅せる」という言葉があるが
青森大学の演技はまさにこれそのものであり、
第一タンブリングの技はタイミングや力配分を間違えると着地時に大きな音を立てて背中からバウンドしてしまう
「宙返り転」系の技を6人全員が「ただの前転」だったかのような完璧な着地を決める。
徒手においては、その腕の一振りが その跳躍の一歩が どの瞬間を切り取って見ても絵になる。
演技の成功を憂うような心理よりも、何かのショーを見ていたかのように演技が終わる。

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昨年、決勝の演技中に選手の負傷により涙を飲んだ国士舘大学が気迫の演技で準優勝。
本番前の練習ではかなり危なげに見える部分もあり予選では少し出遅れた感があったが
それらをきっちり決勝の本番でこなしきるチーム力が国士舘大学の強さの秘密である。
倒立なども伸びのタイミングを3段にバラすという
成功した時と失敗した時の点数も審判の印象も落差が大きいハイリスクな技を
決勝の大舞台で完璧にこなすとその後も団体同時性の高い演技で予選の得点を遥かに上回る高得点を叩きだした。


井原高校が大学チームを抑えて3位の快挙を達成。
2009年全日本ジュニア優勝チームである「井原ジュニア」の選手がチームに入っている
一挙一動 すべての動きが計算しつくされた演技が特徴の井原高校
6人全員で大きな「渦」を思わせるような動きが随所に見られた。
鋭くそして柔らかい動きはこれに近しい動きの難しさを知る女子側からの歓声が大きく
また、荘厳な曲と演技とのシンクロは何度見ても飽きの来ない気持ちの良い演技である。

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今回の全日本では男子側から二組のエキシビション演技が披露された。

宮城県出身のキューブ新体操クラブ
6人の団体メンバーが「三つ子×2組」という天文学的な確率で構成されたチーム。
同時に彼らは「千年に一度」という 2011年東北大震災の被災者でもある。
生活は一変し、練習場も避難所とに姿を変えてしまった。
そういった震災の混乱の中にあっても全日本ジュニア優勝への目標を彼らは諦めなかった。
そんな彼らのひたむきな姿勢は暗く沈んだ被災地の人たちの心にどれだけ励みになったことであろうか



熊本県立水俣高等学校OBらを中心とした一千会
日本一を目指し大学で選手生活を送っていたある日、不慮の事故により現役選手から一転して
夢半ばのまま車椅子での生活を送る事を余儀なくされた杉迫一樹さん
彼の「もう一度 フロアで男子新体操をしたい」という想いに賛同した仲間とともに挑んだ今年の社会人大会
参加こそ二部であったが想いのこもった演技は、会場にいた関係者の心に伝わり
彼の夢見た全日本にエキシビションという形ではあるが演技をする事が叶った。

■動画・写真と演技の詳細レポートはこちら



■大会を終えて
・一年の集大成として捉える全日本

・選手の集大成として捉える全日本

・競技の集大成として捉える全日本

立場や見方によって全日本にはいろいろな意義や捉え方ができるが

無論、一年の集大成の大会としてはこれ以上ないハイレベルな大会となった。

選手の集大成として見ると2008年、インターハイで別々のチームとして激闘を繰り広げた
日高選手と松田選手が同じ青森大学のチームメイトとして団体のトロフィーと個人総合のトロフィーを掲げている姿や
2009年のエキシビションとして会場を沸かせた井原ジュニアのメンバーが、その後も新体操を続けて今度はエキシビションではなく高校生チームとして大学生と対等に勝負している姿を見ると感慨深い

競技の集大成として考えると、今回の観客動員数は事前にメディアへの露出があった事も影響し異例の大入りとなった。
マイナー競技として国体休止問題に揺れていた10年以上前から今日にいたるまで、海外展開や新ルールなど様々な紆余曲折を経たが
その歩みは決して悪い方向へは進んでいない。
むしろCM化・ドラマ化などのメディアへの露出を経て いよいよこれから本当に「マイナースポーツ」の枕詞を捨て
競技本来の真価が問われるところまで、いよいよ来たのではないだろうか。

■その他の演技の詳細レポート
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posted by 二見 準 |08:05 | 新体操大会報告 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2012年11月19日

第65回全日本新体操選手権 レポート 女子 種目別

<フープ>
1位 山口留奈(イオン) 24.825点
前腕部での不正確な取りがありやや流れが止まる箇所も見受けられたが、以前よりも後半に向けての力強さが感じられるようになった。
2位 三上真穂(東京女子体育大学) 24.450点
総合を終え、程良く緊張感が抜けた彼女の演技は、一回り大きく、ダイナミックに見えた。
これだけの投げ技を、いとも簡単にやってのける精神力の強さは彼女の武器でもあるが、それが努力の積み重ねであることは、演技を見れば一目瞭然である。
3位 中津裕美(東京女子体育大学) 23.675点
総合ではリボンのミスが足を引っ張り大きく順位を下げる結果となってしまったが、彼女にしか表現出来ない世界観は、いつも観客の心を惹きつけるものがある。今後、動きから徒手難度へスムーズに移行出来るようになれば、演技の深みが更に増すように思う。

<ボール>
1位 穴久保璃子(イオン) 24.925点
大きな落下ミスもなく無難にまとめあげた。もう少し軽やかなジャンプが出来るようになれば、より繊細な表現が出来るようになるだろう。
2位 山口留奈 24.775点
総合の時よりも両手取りが目立ち点数を伸ばすことは出来なかったが、彼女の持ち味である正確なフォームでの難度は健在であった。
3位 大貫友梨亜(東京女子体育大学OG) 24.725点
このボールでは、ジュニアの頃に使用していた思い入れのある曲を編曲し直したということもあり、感情のこもった滑らかな動きは観ている者の心を熱くした。今の彼女にしか出来ない、今の彼女だからこそ出来たこの演技は、他選手とはまた異なった深みのある演技であった。

<クラブ>
1位 山口留奈 25.075点
今年はミスが続いた山口選手であったが、肩の力が抜けたこのクラブの演技は心地よい程に伸びやかで、彼女の魅力を存分に出し切れた出来であった。
2位 穴久保璃子 24.225点
クラブを胸で取るなど不正確な箇所があったものの、最後まで魅せ切った。今後、流れるような手具操作が出来るようになれば、体の動きと共に手具でも表現出来るように感じる。
3位 宮本枝実(飛行船新体操クラブ) 23.725点
確実な徒手難度に加え、流れのある自然な手具操作は引き込まれるものがあった。

<リボン>
1位 山口留奈 24.700点
難度のフォームが不確実な箇所もあったが、技や難度を音に上手く合わせたこの作品は、彼女の表現が一番明確に伝わってくるように感じた。
2位 大貫友梨亜 24.250点
大貫選手の武器であるピポットが光るこの作品は、後半に向け観客も彼女自身も盛り上がって行くのを感じた。種目それぞれに異なるカラ―が見せられるのも、ベテラン選手ならでは、である。
3位 池ヶ谷晴香(アンジュ) 23.575点
池ヶ谷選手の持ち味であるダイナミックな投げ技が決まり、得点に結びついた。
同点3位 三上真穂 23.575点
総合の時よりも一つずつが力強く感じられる演技であった。手具を遠くで操作出来ることも彼女の武器であるが、操作や投げにおいても表現出来るようになれば、作品としての芸術性が深みを増すように思う。


団体
<ボール5>
1位 東京女子体育大学 25.000点
チャンピオンの名にふさわしい勢いのある演技で、この種目でも首位に躍り出た。
力強い曲ではあるが、作品のどこかで滑らかな動きや呼吸が緩む瞬間があれば、観ている者を更に引き付けられる演技になるように思う。
2位 日本女子体育大学 24.850点
総合の時以上に溌剌とした演技は力強さを増し、この作品のコンセプトがより明確に感じられる演技であったが、連係での乱れが実施点に響いた。

<フープ2×リボン5>
1位 日本女子体育大学 24.775点
若干の移動があったものの、曲の迫力に負けない複雑な連係を確実にこなし、念願の優勝を手にした。
2位 東京女子体育大学 24.750点
交換での乱れが点数に響き完全優勝には一歩及ばなかったが、総合、種目別共にノーミスでやり切る揺るがない自信は、練習の賜物であり、チャンピオンとしての輝きを放っていた。

両種目において3位を獲得した武庫川女子大学は、団体の魅力でもある連係を次々とこなしていく作品を披露し、観ている者を飽きさせなかった。今後、手先や足先の美しさがより磨かれれば、今以上の点数が期待出来るであろう。(ボール5 24.475点 フープ2×リボン5)


新体操のルールはオリンピック周期ごとに改編される為、2013年からは新しいルールでの戦いが幕を開けることとなる。
いつも大幅な変更があり、その度にコーチも選手も頭を悩ませるのが実情なのだが、以前ロシアのコーチ、選手に「ルールが変わる度、そのルールに対応していくのは大変ですよね?」と質問したところ、次のような答えが返ってきたのを覚えている。
-「ルールが変わっても大変じゃないよ!どんなルールであったとしても、新体操を通じて私達が表現したい事、伝えたいことは何も変わらないから。」
その通りだと、目が覚める思いがした。勿論それは、高い能力を持っているからこそ言えることなのかもしれない。しかし、新体操が芸術スポーツである以上、曲と一体となり表現すること、美しく演技するとを忘れてはいけない。
その最低条件を満たした上でオリジナリティーを追求し、新しいルールに対応していかなければ世界に追い付くことは出来ないように思う。


種目別1位山口留奈


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種目別2位大貫友梨亜
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posted by 村田 由香里 |13:34 | 新体操大会報告 | トラックバック(0)
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