2008年10月22日
「最後でつまづく獅子を見た」 埼玉西武ライオンズ×東北楽天ゴールデンイーグルス
……って、 オイッ!!!!! とツッコム元気すら、あの場にいたライオンズファンには残されていなかったことでしょう。一目でそれとわかる打球がセンターバックスクリーンを襲い、跳ねるボールを確認するや唖然呆然。それまでの盛り上がりが最高潮だっただけに、周囲は水を打ったような静けさに支配されたのです……。 さる9月23日。リーグ優勝マジックを2としたライオンズは、本拠地・西武ドームでイーグルスを迎え撃つことになっていました。マジック対象チームのバファローズはマリーンズとの対戦が控えており、先発予定の岸田は好投続きで調子は上向き。対するマリーンズ先発の渡辺は、今季バファローズとの相性よくなしのデータも、そこらは一切無視。休日に西武ドームでのデーゲームなんておあつらえむきのこの状況。優勝の可能性ありとくれば、目の前で見たいじゃないですか。というわけで、渡辺の好投に期待しつつドームまで足を運んだのでした。![]()
現地に着くと、ドーム前は広場を埋め尽くす人、人、人……。残りの当日券は1塁側ベンチサイドシートと外野自由席のみ。外野自由席は「おそらく座れる場所がございません」とのこと。ひえ~。 結局ベンチサイドシートを購入するも、入場してみて二度びっくり。ご存知、西武ドームは入り口が外野席側にあり、迂回してから内野寄りの席にたどり着く珍しい構造となっているのですが、途中の外野通路に立ち見客らしき観客がポツポツと。平時は大の字で芝生の上に寝そべることもある外野自由席のファンも、この日は行儀よく体操座りでした。そして、試合開始の14時を迎える頃には、立ち見客の層が二重にも三重にも出来上がっており、売店の店員さんもフル回転。試合中盤には「満員御礼」が発表されました。この日、ドームに詰めかけた観衆は3万3229人だそうです。![]()
さて、肝心の試合なのですが、先発はライオンズ・平野とイーグルス・浅井。これは点が入りそうな気がしました。初回に早速フェルナンデスのタイムリーで先制を許すも、次イニングにおかわり君が球団日本人記録となる44号ソロを放ち同点。ところがどっこい、3回には再びフェルナンデスがライオンズの前に立ちふさがる2ランアーチ。落胆するライオンズファンを横目に、「ほらね」と次元の低い自己満足を得ることに成功。 この日の試合は、終盤まで追いかける展開が続きましたが、楽観的に観戦していました。それはもちろん、今年のヤングライオンズがどれだけ劇的な勝ち方を演出してきたかを知っていたからです。勝ち越されたことを残念に思うライオンズファンは多くても、逆転が無理だと感じた人はほとんどいなかったのではないでしょうか。 試合中、そんな今年のライオンズを象徴するシーンに出くわしました。3回裏にライオンズは満塁のチャンスを作るのですが、好機を逸し無得点。勝ち越しを許した直後のチャンスだっただけに、意気消沈につながりかねません。ところが、ベンチに戻り、それぞれ守備位置に就く選手たちを目で追っていると、二遊間でコンビを組む片岡と中島が笑っているんですね。おそらくあれは、つまらないことを言い合っている時の笑いです(そして、けしかけ役は十中八九片岡)。「優勝・本拠地・休日・満員御礼」と、普通ではない特別な状況で、二人の笑顔にいつものライオンズを見た気がしました。気負いなどまったくなさそうな様子です。![]()
中盤の3~6回はお互いに無得点でしたが、7回の攻撃は一番・片岡から。試合終盤の好打順。何かが起こりそうな雰囲気がありましたし、起こすならここだろうというイニングです。数分後、予感は的中。リーグトップの盗塁数を誇るレオのトップバッターは、右中間を深々と破り三塁に到達……、では終わらず、イーグルスの返球がもたつく間、その快足を飛ばして一挙本塁生還。ベースボールで最もエキサイティングと言われる三塁打に、球場内のボルテージはマックス。観客は総立ちで、立たなければグラウンドが見えない状況でした。点差と後々の攻撃を考えれば、ランナー三塁の方が攻めやすかったかもとは思いましたが、逆転に向けいい景気付けになったでしょう。 結局、7回は1得点にとどまるも、8回は六番から。うまくいけば9回はまた片岡からだな、と逆転に胸膨らませ7回の守備へ。ところが、ここに落とし穴。今日の試合ここまでいいところなしのセギノールに2ランが飛び出し、点差は3点に。イーグルスには、今日の試合の全打点をすべて助っ人外国人に許しています。 それでも今季のライオンズ打線にとっては、3点はまだ現実的な点数。とは言えG.G佐藤の離脱後、層の薄くなった下位打線に多くは望めません。実際、この日の六番から九番は10打数1安打とさっぱりな結果に終わっています。なので、勝負は上位に回る9回の攻撃かなと思っていたら、下位から始まるこの8回にお得意の大攻勢が始まってしまいました。 まずは先頭の石井義が二塁打を放ちチャンスを演出すると、続く佐藤のバントを相手ピッチャーが捕球できずエラー。犠牲フライでまず一点を挙げた細川を挟み、九番のところで代打は江藤。シーズン終盤に何度もチームを救ってきたベテランは、ここでも四球を選ぶ貴重な仕事をこなします。複数点差をひっくり返すのに、相手エラーや四球は欠かせませんからね。 さあ、下位がしっかり作って回したこのチャンス。バッターボックスに向かうは得点圏打率でもリーグトップの片岡。この場面でもそつなくタイムリーを放ち、点差をついに1とします。――と、ここで投手交代が行われるのですが、その最中にバファローズ敗戦の試合速報がビジョンに流れ、マジックも点差同様1となりました。後は目前の試合に勝利するだけです。試合再開直後、待ちくたびれたとばかりに、片岡が初球スチールに成功。今季50個目の盗塁は、前がかりになっているチームを更に加速させるものに見えました。 ところが、打者の栗山は三振に倒れ、この日出塁率10割の中島は敬遠で二死満塁。中島の敬遠後は、怒りよりも不安の色で場内が満たされました。なぜなら、今日一軍に昇格したばかりで、ここまで4タコと元気のない後藤が次打者だったからです。チャンスでの凡退を繰り返した後藤には、周囲から「四番じゃない」「おかわり君四番でいいじゃんかよ~」といった声も聞こえてきました。この打席でも変化球にスイングが合っておらず、追い込まれてからは少し苦しいかなと思っていましたが、ここで後藤が四番の意地。走者一掃となるライトフェンス直撃の二塁打を放ち、ライオンズは一気に逆転。見事に仕事をこなした後藤に対して「よくやった!!」「今日のヒーローは決まりだな」などと、先ほどとは打って変わった祝福の言葉が飛び交いました。 逆転に成功し、2点リードの9回表。ライオンズがマウンドに送り出すのはもちろんグラマン。観客は誰もが「まだか、まだか」と歓喜に浸る気満々。ふとライオンズブルペンに目をやれば、そこには石井、帆足、岸、涌井とマスコットのレオが一直線に並んでいます。今すぐにでもグラウンドに飛び出して行きたくて、胴上げがしたくてうずうずしているのでしょうか。 だがしかし、ここからライオンズはまたもや逆転を食らい、それこそ球史に残る大逆転負けを喫してしまうのでした。逆転時には相手エラーに助けられたライオンズでしたが、今度は味方のエラーをきっかけに、再び逆転を許します。エラーに笑い、エラーに泣く。そして、とどめはフェルナンデスの満塁本塁打ですが、またもや助っ人外国人による長打。1試合を通じて、これを止めることはできませんでした。![]()
しっかり整った舞台で決めきれない。これが渡辺監督の言う「発展途上のチーム」ゆえの脆さなのでしょう。見方を変えればそれも魅力の一つなのですが……。シーズンの集大成にしなければならなかった試合で、ツメの甘さを露呈したヤングライオンズ。これを教訓に、ポストシーズンを盛り上げてほしい。4時間22分にも及ぶ試合を観届け、お通夜みたいになってしまった帰り道で、ただただそう祈るばかりでした……。
posted by AKIRA |03:41 |
観戦記 |
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