2007年09月20日

まだ、エースではなく -成瀬 善久-

「成瀬がいなかったらどうなっていたことか」
近頃、チーム関係者やマリーンズファンから、こんな声をよく聞く。
低めに制球されたスライダーとチェンジアップ。何よりも、リリースの位置が見えづらい独特のフォームと、スピンの利いたキレのある速球とのコンビネーションが相手バッターをキリキリ舞いさせる。
今シーズン、ここまでの成績は、防御率1.81で15勝1敗。その勝率たるや.938というから驚異的である。
数字が示すように、成瀬が素晴らしい投手であることに異論はない。だが、出来過ぎの感ある今シーズン、残っている数字だけをうのみにし、その実力を判断するわけにはいかないのである。

今シーズンの成瀬は裏ローテで回っていたこともあり、楽な日程での登板が続いている。登板間隔は長く、チームから「大切に扱われている」という感じで、まだ「チームを引っ張る」という選手ではない。裏ローテであるため、対戦する投手は比較的力が落ち、エースクラスの投手となると、涌井、朝倉、三浦、西口、デイビー、ダルビッシュと一度ずつ投げ合ったに過ぎない。成瀬が打線から大量援護を受けることが多いのは、彼自身のリズムの良さはもちろん、このような事実に起因しているのだ。序盤で大量に得点が入れば、相手打線もひっくり返そうと打撃が荒くなり、それが拙攻を生む。つまり、今シーズンの成瀬の驚異的な成績は、成瀬一人の努力や実力だけで成されたのではないということだ。
とはいえ、接戦時においても、きちんと投げ勝つことができているという事実も見逃せない。一試合平均で4.3得点をあげるのがマリーンズ打線。平均7.2イニングを消化する成瀬の登板時平均得点が4.1とあれば、相対的に見ると「やや援護に恵まれている」といったところ。
大量得点か接戦か。両極端な状況が続く中、いつも変わらずマイペースで自分の投球を続けることができる。そこに投手・成瀬の精神力の強さを感じるのだ。登板機会があれば、クライマックス・シリーズという大舞台でも、その精神力の強さは発揮されるのではないだろうか。

今後、成瀬が「エース」と呼ばれる存在となるためには、「実績を残して絶対の信頼を得られてこそ」と本人が語るように、実績を築き続けること。そして、相手エースとぶつかり合い、そこで結果を残すことである。そのためにはまず、実績十分の先輩方を超えなくてはならない。
今年、チームの先輩である小林宏之は、シーズン前に「開幕投手を狙う」と言ってのけた。近い将来、成瀬が開幕投手の権利を奪い、同年代の日本ハム・ダルビッシュや西武・涌井らと開幕投手として投げ合う姿は見られるか。

posted by AKIRA |06:12 | プロ野球選手 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2007年09月17日

プロ野球2007年MVPを占う

現在、国内プロ野球ではセ・パ両リーグとも史上まれに見る混戦が続いています。
そこで、最終的な順位が決まってしまう前に、是非とも論じておきたいことが一つ。
それは「MVPに選出されるのは誰か?」ということです。

さて、そのMVPという栄誉ある賞なのですが、NPBはこれを「最優秀選手賞」と定め、最も活躍した選手を表彰することとしています。
ところが、最近ではシーズン優勝チームから選出する傾向にあり、どうにも「Player of the year」を決めようという雰囲気ではありません。
月間MVPを選出する際には誰も所属チームの成績など考慮しないのに、年間MVPを決める場合には「優勝したチームから」が暗黙の了解になっているようです。
そのため「年間を通してベストの選手」と言うには、個人成績が及ばない選手の選出がしばしば。
個人的には「最も貢献した選手」と「最も活躍した選手」で分けたらどうか?と思います。
分けることで権威を損ねると言うのであれば、せめて見解の統一を…。
どちらにせよ今年も勝率首位のチームから選ばれるのでしょう。

今年は、首位を争うチームに素晴らしい結果を残す選手が顔を揃え、MVPの行方も混沌としています。
これを話のネタにしない手はありません!
以下に、候補者の名前と選考理由などを軽く掲載させていただきました。
読んでくださっている野球好きの皆様へ、一つ参考になれば嬉しく思います。


【セ・リーグ】

<巨人>

阿部慎之助
シーズン序盤こそ好リードを見せ投手陣をうまく引っ張るも、後半になり荒いリードが目立つ。票数を落とす原因になりそうだ。
また、自慢の打撃では打率の低下が気になるが、打点のタイトルに手が届く位置につけている。
同所属チームの二人との比較は避けられない。MVPには、タイトル獲得が必要条件となるのではないだろうか。

小笠原道大
二年連続のMVPということを考えると、昨年の成績との比較が待っている。打点、打率とともに本塁打数も昨年の数字を上回れそうではあるが、二冠獲得の昨年とは意味合いが違ってくる。出塁率を3分以上落としているのも気がかり。
セ・パ二リーグ分裂後、両リーグでのMVP獲得は江夏豊のみ。史上二人目の選出なるか?

高橋由伸
本塁打のタイトルがあればほぼ確定だろうが、残り試合数とライバルの存在を考えると難しそうである。しかし、リーグでトップの得点圏打率と三位の出塁率を誇り、核弾頭としてチームを牽引。先頭打者本塁打の記録を樹立するなど、とにかく爆発した印象。インパクトには事欠かない。
数試合の欠場も、昨年MVPの福留(16試合欠場)を通して見る限り大した問題ではないだろう。
     
高橋尚成
序盤こそ快調にとばすも後半息切れ。そのため印象が悪く、投票では不利。リーグトップの勝率、防御率は立派も勝ち星は伸びず。MVPのみならず、沢村賞にも届きそうにない。

<中日>

岩瀬仁紀
シーズン序盤こそセーブ失敗が目立ったが、ここまでの自責点は13。残りの登板次第では一点台の防御率も可能で、その他の数字に目を転じても例年と何ら変わりのない好成績であることがうかがえる。
しかし、周りが求めるものが高すぎるため、今年の成績と印象では選出の目はなさそうだ。

タイロンウッズ
監督自ら「高校野球」というチームにあって、不可欠な存在。
本塁打レースバリバリの大本命。昨年ほど突出した数字ではないものの、二年連続打点との二冠を視野に入れる。相棒福留の離脱後、四球の数が驚異的なペースで増えている。01年に金本が記録した年間128四球に届きそうだ(この数字は歴代五位となる記録であるが、上にあるのは全てが王貞治の記録である)。
今シーズンは、チームの柱でもある福留、川上、岩瀬が揃って満足のいく成績を残せず。チーム内の貢献度では一人郡を抜く。中日優勝時、この男以外の選手が選出されることは考えられない。

<阪神>

藤川球児
名実ともに、日本を代表するピッチャーに。評価されにくいポジションではあるが、二年前とは違う。それは、ここ数年で確固たる実績を築いたことと、「セーブ数」という分かりやすい数字が残っていることである。日本記録の樹立も可能なペースで、阪神優勝の際にはほぼ満場一致で一位票を獲得するのではないか。

久保田智之
日本記録となるシーズン81試合登板を達成するなど素晴らしいシーズンを送っているが、藤川との比較にはならないだろう。
「もし藤川がいなければ」という仮定の話で、チームの抑えとして君臨していたならば、同僚ウィリアムスとどちらが多くの票を獲得していただろうか。数字、実績ともに及ばないかもしれないが、セーブ数次第ではわからない。それだけの活躍を見せる充実のシーズンである。

ジェフウィリアムス
意外性という意味では、この男が票を集めるかもしれない。何せ数字が驚異的である。自責点はわずかに1。登板するたび、防御率が限りなくゼロへと近づいていく。
二位票を多く集めると予想する。

金本知憲     
野手に怪我人が続出する中、今日も連続フルイニング出場の記録を更新中。「今日も元気に」と表現できないのがさびしいところではあるが、不振が長引いても最低限の数字は残すのが金本の鉄人たる所以である。
仮に打点王のタイトルを獲得し、ここ数年の実績や存在感、チームに与える影響を加味しても…MVPの線はないだろう。

【パ・リーグ】

<日本ハム>

ダルビッシュ有
難攻不落。今、日本で最も攻略するのが難しい投手である。
「圧巻」というに相応しい投球を毎試合のように披露し、防御率一点台が現実的なものとなっている。しかし、その価値をより高いものとしているのは、リーグトップとなる12の完投と3つの完封。そして、200にも届きそうな投球回数なのだ。
決して充実しているとは言えない日本ハム先発陣。勝つためには、磐石のリリーフ陣に力を借りなくてはならない。そのリリーフ陣が危なげない投球を続けることができるのは、このタフなエースが長いイニングを消化するためである。リリーフ陣の登板試合数とともに、負担をも大きく軽減。
実力、成績、貢献度。これだけ高いレベルで三つの条件を満たしている選手が他にいるだろうか?若くして、個人としては最高の栄誉となる賞の獲得となるのか。注目である。

稲葉篤紀
自身初のバッティングタイトルとなる首位打者は難しいだろうか。
MVPとなればハードルはそれ以上。
本塁打王争いを繰り広げる楽天山崎、オリックスローズに次ぐリーグ三位の打点を叩き出し、ほとんどの部門で昨年以上の数字を残している。
チームに欠かせない存在ではあるが、主役はやはり投手陣か。

<ソフトバンク>

杉内俊哉
MVPを与えられるに相応しい今シーズンの働きである。キャンプで「斉藤和巳越え」を高らかに宣言した左腕の実力は伊達ではなかった。しかし、一昨年の同賞受賞時の成績に比べると物足りなさは否めない。
二度目の受賞にチームの優勝は必要条件である。

馬原孝浩
抑え受難の今シーズン、昨年に続いて格別の数字を残している。
抑え転向から三年目。最終回のマウンドに登る姿が板についてきた。
パ・リーグのセーブ記録更新も可能だが、ポジション柄、票を集めるのは難しいところか。

<ロッテ>

成瀬善久
ロッテが優勝を決めれば、消去法的な選出があるかもしれない。
(成瀬については、近々別項で取り上げる予定です)


まだまだ予断を許さぬペナントレース。その行く先は、とりもなおさずMVPの行方に直結します。
チームの勝利に優先するものはありませんが、MVPが個人として最も価値ある賞であることも事実。
果たして、その栄誉を手にしているのは誰なのでしょうか。興味は尽きません。

posted by AKIRA |12:26 | プロ野球 | コメント(8) | トラックバック(0)
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2007年09月16日

INVISIBLE

地上波のスポーツ中継に依存した日々が続く。
プロ野球中継は、試合終了まで放映せずに終えることが多い。
それが、実にもどかしい思いをさせるのである。

その気になればラジオという手段がある。
それでも、音声だけでは映像ほどの臨場感を得られないということで敬遠していた。

だが、そうも言っていられない状況に陥る。

試合速報を確認していると、序盤で試合の大勢は決したかに見えた巨人―広島21回戦が、えらいことになっているのだ。
最終回、巨人が猛追を見せ、二点差にまで詰め寄る。
なおも一死一、三塁でクリーンナップへと続く場面。

こうなっては、いてもたってもいられない。
すぐさまラジオのチャンネルを合わせると、このイニング同点に追いつき、延長戦にもつれ込んだ様子が伝わってきた。

ベッドで横になり、ゆっくりと中継に耳を傾ける予定だったが、勝ち越しを待たずして抑えの上原が登板。
ますます落ち着かず、ネットで配球を確認する。

試合途中、もう一つの接戦、阪神―中日20回戦に動きがあったことを知らされる。

しまった。
すっかり忘れていたが、地元ローカル局では、阪神の試合を終了まで放送する。
あわててテレビをつけると、中日が阪神の勝ちパターンを崩すことに成功している。

結局、どちらの試合展開も気になり、ノイズまじりのラジオを聴きながら、テレビとパソコンの画面を交互に眺めることになった。

ラジオからは、打球が前に飛ぶだけで観声が聴こえてくる。
歓声が大歓声に、あるいは落胆のため息へと変わる時、ようやく実況に結果を知らされる。
映像では瞬時に確認できるものが、音声のみではそうもいかない。



『人は、目に映る恐怖に慣れることはできても、見えない恐怖に慣れることはできない』

この日、私は逃げた。

観客の歓声と実況の声。
そこに、恐怖にも似た感情を覚えたからだ。

故にパソコンを起動させ、テレビをつけた。

見えないことからくる高揚感は、いつの間にやら恐怖へと変わる。

このスリル。
今後、できることなら避けたいものである。

posted by AKIRA |17:50 | 観戦記 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2007年09月14日

巨人であるために 【読売ジャイアンツ】

春先こそ好調な滑り出しを見せた今シーズンの巨人ではあったが、その後他球団の追い上げもあり苦戦を強いられている。理由は様々だろうが、目に付いたのは他球団を意識し過ぎた消極的な采配が目立ったことだ。

今シーズンからトップバッターとしてチームを牽引していた高橋由の怪我の影響で、シーズン途中から一番谷、二番木村拓の形を採ることになった。一時的な策かと思いきや、高橋由の復帰後もこの形を崩さなかったのである。二番に小技のうまい木村拓を置き、高い得点圏打率を誇る高橋由を中軸に据えることで、「一点を大切にする野球」を標榜したのだろう。だが、その目論見は見事に外れることとなる。
木村拓は小回りの利く便利な選手だが、タレント揃いの巨人打線で上位を打つとなっては役不足の感は否めない。また、一番を打つ谷は積極的に盗塁を仕掛けるタイプではなく、相乗効果も生まれなかった。二番木村拓は、事実上の穴となってしまったのである。
打順を構成する際にも問題が生まれた。巨人打線には左打者が多い。右打者の谷を一番に固定することで、中軸に左打者がズラリと並ぶ羽目になり、攻撃のリズムが単調になってしまった。相手バッテリーは随分と楽ができたのではないか。
セーフティーリードが奪えず、接戦が増えれば、好投の先発投手に代打を送るケースが増える。そして、後を受けてマウンドに立った中継ぎ陣が試合を壊す悪循環が続いた。巨人が小手先の小細工を弄してみたところで、近道にはならないという証明である。

上原の起用法についても疑問が残る。春先は先発ローテーションがうまく回転していたこともあり、怪我で出遅れの上原をリリーフとしてスタートさせることに何ら疑問はなかった。チーム内に確たる信頼の置けるリリーフ投手がいなかったからだ。実際、チームはそれでうまく機能した。
しかし、「今年は抑え一本で」と固定したのが良くなかった。先発の木佐貫は怪我明けの選手であったし、金刃はあくまで新人選手。いずれ先発としての上原の力が必要になることは容易に想定できたはずである。もちろん、首脳陣もその可能性については危惧していたに違いない。だが、首脳陣は、「上原につなげ」の意識が投手陣全体に生み出す連帯感に賭けたのだ。
それでも、事態はもはや深刻なものとなっていた。先発に疲れが見え始めた後半戦、チームは上原を先発に戻すという決断に踏み切るべきだったのだ。巨人の勝ちには大量得点差のものが多い。それゆえ、抑え上原の登板間隔がまちまちになることがあった。セーブのつく場面であっても、切羽詰った場面は数限られ、本当にチームのナンバーワンピッチャーでなければ抑えられなかった場面はとりたてて多くはなかった。そして、上原には抑え投手としてのメンタリティが欠如しているという事実。抑えに強い気持ちが必要なことは言うまでもないが、それはマウンドの上でのこと。たとえ、失敗に終わっても、そこに気持ちを向けてはならない。失敗とはその日のうちに決別できるのが、一流の抑えである。今年から本格的にこのポジションに取り組む上原には、まだそれだけの割り切りがない。ここにきて、そのあたりの経験不足が顔を出している。
では、上原が先発に回っていたらどうなっていただろうか。確かに、代わりの抑え投手に上原ほどの信頼は置けないだろう。しかし、上原を先発に戻すことは、マイナスの要素を補って余りあるほどの利点に溢れているのである。
まずは、先発ローテーションにゆとりができること。人数的なことはもちろん、どうしても必要な中五日や四日での登板は上原に任せることができる。シーズンの序盤は離脱していただけに、この時期であっても無理は利いたはずだ。そして、エース上原が相手エースと投げ合う機会を増やすことによって、二番手以降の先発投手はマッチアップがだいぶ楽になる。完投能力に長けた上原と、マイペースで投げることのできる二番手以降の先発投手。これらのピッチャーが長いイニングを食いつぶすことにより、むしろ体力面に関してはリリーフの負担を軽減することができるのである。

「普通にやれば巨人が勝つ」とよく言われるように、巨人はリーグで最も多くの才能を抱えている。一点に重きを置く野球はよそ行きであり、そこで勝負をしたところで、本家本元中日ドラゴンズのそつのなさや、JFK擁する阪神タイガースには到底かなわない。守りに入っては、両チームの思う壺である。
巨人が巨人であるためには、ライバルチームの土俵で戦ってはいけなかった。「all or nothing」極端に言えば、このスタイルこそがあるべき巨人の本来の姿なのだ。攻撃は最大の防御なり。積極的な姿勢が、今、巨人に求められている。

posted by AKIRA |11:18 | プロ野球チーム | コメント(15) | トラックバック(0)
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2007年09月11日

混セ展望 ~伝統の一戦から~

東京ドームでの巨人対阪神21回戦。テーブルスコアやニュースで確認するだけであれば、この試合をただ単に「首位攻防にふさわしい試合」と認識するにとどまったに違いない。だが、この一戦は両チームの今後の可能性と不安要素に溢れ、残り少ないペナントレースの行方を占う上で重要な試合だったのである。

試合は序盤から荒れた。登板する投手が一様に浮き足立ち、地に足のつかない投球を続ける。これが大一番のプレッシャーというものなのだろう。独特の緊張感は、普段プレッシャーなどというものとはまるで縁のなさそうな阪神先発下柳をも飲み込んでいるように見えた。ボールになる球がはっきりしており4つの四球を与え、3回3失点での降板である。
一方で、プレッシャーなど感じる余裕すらなさそうだったのが巨人先発の高橋尚だ。中四日の影響だろう。投球フォームは乱れ、力ない球が高めに浮いては痛打される。こちらも先発の責任を果たせず、4回を投げて5失点での降板となった。

この試合、目に見えて疲れを感じさせた投手がもう一人。阪神藤川である。ここまで阪神の9連勝とともに9連続で登板を続け、この日の登板で10試合連続となるのだから無理もない。疲労のせいか、この日の藤川は背筋が曲がっており、ボールにうまく力が伝わっていないようだった。自慢の速球にはキレがなく、打者の手元で伸びるような感じもない。キャッチャーの矢野もそのことに気がついたのだろう。途中からフォーク主体の攻めに転じ、巨人打線をかわしにきたのだ。1点を失い、1点差にまで追い上げられたものの、逃げ切りに成功し、事なきを得た。
10回裏、藤川の苦しさが如実に現れたシーンがあった。バッターボックスの李がタイムを要求。藤川はそれに気づかず、審判の「タイム」の声によって打者との真剣勝負に水を差されたと勘違いをする。そして、審判に対しての抗議の意味を込めてか、藤川はそのままボールを三塁線方向に投げつけたのだ。その行為はチームを鼓舞するという類のものではなく、チームに焦りをもたらすものである。藤川自身、審判への理不尽な思いだけでは、あのような行動には及ばなかったのではないか。人一倍、チームに対しての責任感が強い藤川のこと。思うようなパフォーマンスを披露することができず、自分への強い苛立ちが多分に影響してのことだったのだろう。

藤川の疲労と苛立ちに一抹の不安を覚える。11日からは9連戦がスタート。そのうちの後半6試合には、首位争いを繰り広げる中日、巨人との6連戦が予定されている。激戦が予想される首位攻防において、藤川の登板数増は必至。また、阪神は全日程を終えるまでに二日しか休みがないという事実も不安に拍車を掛ける要因である。
加えて、主砲金本の調子が上がらず、あたっているとはいえ下位打線の実力は見た目に劣る。大量援護はそうそう期待できないのではないか。
そして、正念場では経験がものを言う。進心境著しい阪神の若手選手ではあるが、若さとは勢いであると同時に脆さでもある。最後まで脆さを露呈せず、チームに勢いを与え続けることができるのか。ここまで来たなら内容云々ではなく結果が大事ではあるが、その結果に対して影響を及ぼすプロセスに不安を感じるのだ。

今後、流れを作り出せそうなのは、むしろ首位決戦三連敗を喫した巨人ではないだろうか。9日の試合に高橋由を一番に戻したことによって、本来の戦い方を取り戻したように思えるのだ。李の復調もあり、残りの試合をこの日のようなオーダーでまわせるようなら、巨人に有利な状況だと言える。打線が機能し、試合終盤までに点差をつけてしまえば、JFKや岩瀬らの顔を見なくてすむのである。
加えて、日程も巨人に味方をしている。残り17試合のうち、実に14試合までもが東京での試合なのである。今年の巨人は特別東京での試合に勝っているというわけではない。だが、それ以上に、この時期移動に労力を費やす必要がないというのは大きなアドバンテージである。しかも、巨人だけ試合の消化が早いため、今月の27日から翌月1日の間がまるまる休みとなるのだ。クライマックス・シリーズも含めた長丁場を考えるなら、この休養は巨人にとっては大きな恩恵となるはずである。
中日が、勝率六割以上と、今年も得意にしている本拠地名古屋ドームでの試合数をあと7としているのも巨人にとっては追い風だろうか。

posted by AKIRA |07:40 | プロ野球 | コメント(11) | トラックバック(0)
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2007年09月08日

私的ドラフト改革案(検証)

前述のドラフト・ポイントを導入したとして、06年を例に挙げると以下のようになります。

1、日本ハム 30(P)
2、ロッテ 26
3、中日 24
4、ヤクルト 23
5、広島 23
6、阪神 21
7、西武 21
8、オリックス 21
9、楽天 20
10、横浜 18
11、巨人 18
12、ソフトバンク 17

コストパフォーマンスと結果のバランスに優れたチームが上位につけているともそうでないともとれるような微妙な結果に…。
どちらにせよ、フロントのやりくり次第ではどうにかなる範疇ではないでしょうか。

それでは、私の主観で勝手に一巡目をシミュレートさせていただきます。

まずポイントトップの日本ハムは何としても駒大苫小牧の田中将大が欲しいところでしょう。ロッテ以下のチームとの駆け引きが見ものですが、ここは二順目以降のポイント提出を放棄してでも27のポイントをかけてほしいものです。今年の日本ハム快進撃に高卒スーパールーキーが貢献となっていれば、球界もさらなる盛り上がりを見せていたのでは?「ハムでは田中はエースになれない」との考えもあると思いますが、ダル、マー君、八木の三本柱はそれはそれで魅力的なものです。そして、クリムゾンレッドのユニフォームが板についてきたマー君ですが、個人的にはファイターズの「17」が似合うだろうなあと常々思っておりました。
ポイントの分配を見ると、日ハムに次いでロッテ、中日、ヤクルト、広島あたりが上位指名権を狙ってくるのではないでしょうか。
となれば、ロッテは将来性の大嶺か相思相愛であった東京ガス木村のどちらかに絞っていたはず。中日は堂上、ヤクルトは金刃の一本釣りであったと思われます。ヤクルトに金刃が入団していれば、春先のつまづきは軽減できたかも?
広島は現場がとにかく即戦力にこだわったということでしたが、社会人ではなく、大隣や岸に色気をだしていたかもしれませんね。
ポイント中位のチームは順当なら阪神は井川の抜けた即戦力左腕として小嶋を、西武は残っているなら岸、そうでないなら増渕。オリックス、楽天はうまく出し抜けたなら即戦力の大学生投手を指名したでしょう。
横浜は高崎で決まりそうですが、巨人は坂本より大引や前田健太に走った可能性が無きにしも非ず。一応、需要は満たしていましたし…。ホークスは運が良ければ一巡目ラストで大嶺も?

シミュレーションしていて途中で気がついたのですが、検証もなにも、使用するポイントがわからない以上まったく無駄な作業でした。空想する分には楽しかったのですが。

しかし、時間のかかりそうなこのドラフト。何ならもうポイントによる指名権のオークションを行って順番に指名していく形でいいかもしれません。
ただ一つ言えるのが、完全ウェーバーなどカケラもドラマの要素がない安易な制度にはどこまでいっても反対だということです。
メジャーリーグみたく三千人前後も指名するわけでもなしに。たかだか百人ちょっとの指名ぐらいゆっくりやればいいのにと思います。
完全ウェーバーですと、今年のドラフトの目玉である大阪桐蔭高校中田、成田高校唐川、仙台育英佐藤は広島、ヤクルト、オリックス、西武はのけて楽天ぐらいにしかチャンスはないでしょう。これまた個人の勝手な意見ですが、たとえば中田は巨人か阪神に行って日本を代表するこの二チームの顔になるべき男であると考えています。その可能性がはじめからないなんて、私に言わせれば、そんな制度の方がいびつです。完全ウェーバーなど導入していれば、いかにも落合博満の後継者然とした平田や堂上の中日入団もなかったでしょう。
だいたい下位三球団でロッタリーなど採り入れてどうするというのでしょうか?

posted by AKIRA |17:40 | プロ野球ドラフト | コメント(5) | トラックバック(0)
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2007年09月08日

私的ドラフト改革案(考察)

【新制度導入の目的・理由】

勝てないチームから無条件に有力選手を指名する。現状ではベストとされている完全ウェーバー制度の導入は、日本球界にとって最善の方法ではない。黒字を出しているからといって弱さにあぐらをかいでいるようであれば、それは企業努力の怠慢である。現にMLBでは、課徴金税(いわゆるぜいたく税)導入以降、チーム補強のための投資に消極的なチームが増えている。チームが勝たずとも、懐に収入が入るからだ。

NPBが本気でMLBに追いつきたいと考えるなら、現場だけではなくフロントにも一層の精進が求められる。そこで、ポイント同士のトレード(今年のドラフト・ポイント⇔翌年以降のドラフト・ポイント)や譲渡、あるいは支配下登録選手や金銭までを絡めたトレードといったものの存在が重要になってくるのだ。日本ではスポットライトを浴びることの少ないGMにとって、腕のみせどころではないだろうか。球団戦略の細分化は組織力の構築に一役買い、プロ野球ファンには新たな興味を供給することとなる。

また、日本の新人選手のクオリティは高く、特に完成度の高い投手はチームを変えるほどの実践力を備えている。本場アメリカでは、入団一年目の投手がオールスターに出場したり、タイトルを獲得することなど、そうはない。そして、その実力はもとより、彼らの持つ話題性こそが見逃すことのできない重要な要素たりえているのだ。プロに上位で指名されるような選手は、そのほとんどが多かれ少なかれアマチュア時代に何らかの伝説やドラマを築き上げている。言い方は悪いかもしれないが、プロに入らずして既に、彼らには商品としての付加価値が付いているのだ。それを利用しない手はない。球団間の駆け引きにより、「即戦力ルーキー」あるいは「逸材」が、本当に直前までどの球団に指名されるかがわからないのであれば、会議開催の時間帯によっては、一つのコンテンツとして成り立つはずだ。プロ野球の試合中継を上回る視聴率も可能ではないか。だからこそ、ただただ下位のチームから順にルーキーが指名されるという制度では、実にもったいなく思う。

何より、この制度の導入に踏み切ることで、選手獲得に懸けるプロ球団の「覚悟」が見たいのだ。逆指名や自由枠の導入は、リスクの伴わない有望選手の両獲りを可能にした。そのため、球団の選手に対する本気度がイマイチ伝わってこなかったのだ。希望する新人選手獲得のため、プロの球団がなりふり構わずポイントを集める姿。裏金などではなく、こういう姿勢がみたいのである。できレースのような必然に面白みを感じることはできなくとも、そこに獲得する側の苦労や工夫が介在しているのであれば、それは一つのドラマだと思う。ドラフトには、一昔前のような悲喜こもごものドラマだけではなく、必然がもたらす新たなドラマの可能性が秘められている。

posted by AKIRA |10:03 | プロ野球ドラフト | コメント(3) | トラックバック(0)
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2007年09月08日

私的ドラフト改革案(提案)

【問題提起】

前項「すきま風の吹く余地は」を参照。


【提案】

プロ野球ドラフト改革に関して私案がある。
ドラフト会議での新人選手選択の際に、ポイント(ドラフト・ポイント)を用いるのだ。

会議の大まかな流れは以下の通りである。

1、全球団、各巡目ごと新人選手選択前に使用するドラフト・ポイントを提出(〇ポイントも可)
         
2、使用ポイントの高い球団から順に、獲得希望選手を指名(よって、ポイントの提出はイコール使用となる)
         
3、使用ポイントの重複球団がでた場合、同年交流試合の成績が優れたチームから順に優先権を与えるものとする

要は、新人選手選択の前に、指名順位のオークションを行うということである。
なお、未使用ポイントに関しては、翌年以降の持ち越しを一部認可。一部とするのは、同年ドラフトへの極端に消極的な姿勢を避けるためである。持ち越し可能なポイントは半分までにするなど、制限は設けるべきだろう。


【ドラフト・ポイント収集法】

1、コミッショナー支給

毎年、各球団一律10ポイント。


2、シーズンチーム成績による振り分け

例、06シーズン

 中日  10P   日本ハム 9P
 阪神  6P   西武   5P
 ヤクルト4P   SB   3P
 巨人  6P   ロッテ  5P
 広島  4P   オリックス3P   
 横浜  2P   楽天   1P

シーズン二、三位チームはプレーオフ制度の恩恵にあずかるために差し引き。
オールスターで勝ち越したリーグにアドバンテージを与える。五分の成績なら、試合計得失点差で判断。


3、日本一チームへの報奨

日本一に輝いたチームに5ポイントを支給。

4、交流試合成績優秀チームへの報奨

セ・パ交流試合において、好成績を収めたチームに以下のポイントを支給。

一位 5P
二位 3P
三位 1P

5、支配下登録選手平均年棒による振り分け

支配下登録選手の平均年棒を低く抑えたチームに多くのポイントを与える。毎年、12球団の平均年棒を基準に、以下のような振り分けを行う。

例、06シーズン(平均年棒3771万円)

  ~  0P
+2000万
  ~  2P→巨人
+1500万
  ~  3P
+1000万
  ~  4P→中日、阪神、SB
+500万
  ~  6P→ロッテ、日本ハム、西武、
        横浜、ヤクルト
-500万
  ~  8P→オリックス
-1000万
  ~  9P→広島、楽天
-1500万
  ~  10P
-2000万
  ~  12P

※12球団平均年棒(3771万円)より1000万~500万少ない金額の広島、楽天には9ポイント、1500万から2000万多い巨人には2ポイントを与える。


【補足】

・球団同士が切磋琢磨し、ドラフト会議をより一層盛り上げるためには、それぞれの球団の所持ポイントをなるべく公平に保たなくてはならない。そのような理由から、あえてシーズン成績の良いチームに多くのポイントがわたるように制定する。
そして、支配下登録選手の平均年棒をポイント支給に反映させることでバランスをとることができる。対象を「年棒総額」にしないのは、登録選手数削減を危惧してのこと。ただでさえ少ないと言われているプロ野球選手の数を減らすなどということはあってはならない。逆に、「年棒平均」を対象とした場合、若い選手やアマでの実績が少ない選手の雇用機会増へとつながる。金額の抑制が目的であっても、結果的にはそれがプロへの間口拡大になるはずだ。

・オールスターの勝敗を反映させることで、試合内容とファン投票により真剣味を持たせることができる。

・下位チームであっても、順位変動の可能性があるなら最後まで必死に戦う必要がでてくる。ドラフト・ポイントの導入に踏み切ることができれば、不備だらけである現行のプレーオフ制度に頼らずとも、消化試合ゼロを目指すことができる。

posted by AKIRA |09:53 | プロ野球ドラフト | コメント(4) | トラックバック(0)
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