2007年10月31日
「浦和燃ゆ!!」 AFCチャンピオンズリーグ2007準決勝第2戦 浦和レッドダイヤモンズ×城南一和
レッズの試合を観るのは、今季三度目となる。観戦したのは、ナビスコ杯準々決勝初戦とJリーグ第23節のアウェーゲーム。そして、今月24日に行われたアジアチャンピオンズリーグ準決勝第2戦だ。 夏に観戦した2試合とは違い、この日の空はキックオフ前から暗闇に包まれていた。 日没の早さから、季節の移ろいを感じさせられた試合前である。![]()
浦和にマスクゾロ現る 季節感同様、レッズにも過去2試合とで違いが見られた。 一番の違いは、前線にワシントンがいたことだろう。先日の試合で鼻骨骨折したワシントンは、フェースガードを着けての出場。自らを「まるでゾロだ」と表現したストライカーは、「ゾロは一番好きなヒーローなんだ」と、まんざらでもなさそうな様子。 ターゲットマンのいるレッズは、序盤から空中戦を仕掛ける。地上が主戦場となっていた前の2試合とは、戦い方が明らかに違っていた。 先制点は、そのワシントンへのフライパスから生まれる。前半21分、逆サイドからのパスを腿で受けたワシントンは、完璧なボールコントロールから相手DFをかわし、右足を一閃させた。ボールはゴールに吸い込まれ、待望の先取点をもぎ取ったワシントンが雄叫びを上げる。サポーターは歓喜し、チームメイトが次々にワシントンの元へ駆け寄っては、祝福していく。1-1の引き分けでも準決勝勝ち抜けが決まるレッズにとって、大きな意味を持つゴールであった。 猛攻!城南一和 だが、失点後、残り時間で2点を取ればよいだけとなった城南一和が牙をむく。 中でも、かつて柏レイソルでプレーしたチェ・ソングのスピードとドリブルは際立っていた。その体格とプレースタイルから「韓国のマラドーナ」とも称される背番号7は、右サイドを支配し、攻撃の起点となる。 そして、城南の背番号10を背負うブラジル人FWのイタマルは、レッズにとっての脅威であり続けた。ワシントン同様、足元のうまさもある選手で、南米選手に特有の柔らかさも備え付けている。 城南の同点ゴールは後半11分、この二人から生まれた。 カウンターからの速い展開。スペースへのスルーパスに追いついたイタマルが、左サイドで坪井をかわし、ゴール前中央に走りこんでいたチェ・ソングに合わせる。レッズ守備陣は振られ、チェ・ソングは足元に来たボールを押し込むだけでよかった。 さらに、城南の2点目にもイタマルが絡む。後半24分、中盤のパスワークから、ボールを持って前を向いたイタマルは、シュートコースを見つけるやミドルシュートを放つ。強烈なシュートはキーパー都築の両腕をはじき、こぼれたボールをキム・ドンヒョンが頭でねじ込む。不利な立場だった韓国王者は一転、自らの力で決勝進出の可能性を引き寄せる。 根拠なき予感 逆転こそ許しはしたが、負ける気はしなかった。確たる根拠はなかったのに、である。 レッズは明らかに走り負けている。自慢のディフェンスも崩されていた。にもかかわらず、負ける気がしなかったというのは、5万を超えるレッズサポーターの大声援が故か。逆転され、より一層ボリュームの増した声援同様、気分は妙に高揚したままだった。![]()
追撃 わずか4分後、根拠のない予感は現実となった。ポンテのフリーキックを、ゴール前で阿部が折り返し、逆サイドから走りこんだ長谷部がゴールに流し込む。 試合後、「何度も心が折れそうになった」と語った男の執念は、チームにも乗り移る。 同点に追いついたレッズは、さらに城南ゴールに襲い掛かった。ワシントンのシュート、鈴木のボレーと、惜しいシュートが続く。綻びを見せる守備とは対照的に、攻撃の形は良い。流れは徐々に、レッズへと傾いているよう感じた。 だが、結局ゴールにまでは至らず、試合は延長戦に突入する。 疲労と故障者続出の延長戦 この時点での2戦合計トータルスコアは4-4。仮に1点を取れたとしても、1点を取られれば、アウェーゴール数の差で敗退が決定してしまう。つまり、これ以上の失点は、事実上のレッズ敗退を意味することになる。 そして、試合序盤から、城南はレッズに対してファールコールすれすれのプレーを繰り返してきた。その影響は随所に見られたが、試合が長引き、より顕著なものとなる。 後半終了前には田中達と闘莉王が、延長前半には山田が試合を退く。交代こそしなかったものの、阿部は時折足を引きずっていた。 延長戦でのレッズ最終ラインが、よりスリリングなものとなることは容易に想像できた。これ以上、リスクを背負えないレッズは、半ばPK戦を覚悟したかのような延長戦の戦いを見せる。 そんなレッズに対して、城南は一気呵成に攻め立てた。少ないパスの数でゴール前まで侵入し、幾度も決定機を作り出す。結果、守るレッズは、スライディングでサイドラインに逃げるなど、ギリギリのプレーが増えた。 負傷者が続出した中でも、闘莉王不在が特に響いていたように思う。元々、調子の良くなさそうな闘莉王ではあったが、ハイボールの処理とイタマルのマークに存在感を示していたからだ。実際、闘莉王を欠くディフェンス陣は、イタマルのパワープレーにしっかり対処しきれない。 後半戦、勝ち越しを許した時点での「逆転は難しいと思った」という平川の考えは正しかった。まさに満身創痍。レッズには延長をまともに戦う体力は残されていなかったのである。 想い それでもレッズは、疲れを感じさせない城南の攻撃を凌ぎきった。観客席にさえ目をやらなければ、城南のペースで試合が進んでいるようにしか映らなかっただろう。しかし、そんな展開であっても、真っ赤に染まる観客席が目に、そして、声援が耳に入ってくる度、「何かが起こる」という気にさせられたのである。 時計の針は、午後9時を過ぎ、寒さから手が震え始めていた。吐いた息は白くさえある。にもかかわらず、上着を着るどころか、羽織りたくさえなかった。身にまとったレッズのユニフォームを隠したくはなかったのだ。 サポーターからの「We are REDS!」の大歓声がこだまする。その歓声の主一人一人と、レッズというチームを通じて気持ちを共有できているのかと思うと、こみ上げてくるものがあった。![]()
死闘決着 さて、全てはPK戦の結果に委ねられた。 サポーターは、レッズのキックが成功する度に沸き返り、城南のキック時にはゴール裏に陣取るサポーターが旗を振りながらブーイングをする。 レッズは5人目まで全員がしっかり決め、キーパー都築が城南の2人目チェ・ソングのキックをセーブする。結果、レッズがPKを5-3のスコアで上回り、見事決勝への駒を進めることになった。 勝利が決まった瞬間は、既に報道されているように、感謝感激雨あられである。![]()
本当、強かった… 称賛は、敗れ去った者にも与えられる。 控え室に引き返そうとする城南イレブンには、レッズサポーターからも惜しみない拍手が送られた。それは、観ていた者の、素直な気持ちであろう。最後まで勇敢に戦った強敵は、うなだれながらも手を叩き、こちらのねぎらいに応えてくれた。 感謝 余談ではあるが、個人的な話を少し。 スタジアム入場後、ありえないことをしでかしてしまった。ゲートをくぐる前、スタジアム内のどこかでチケットを紛失してしまったのだ。いくら探しても見つからない。強風に飛ばされてしまったのだろうか。 結局、チケットは見つからず、わらにもすがる気持ちから係員に事情を説明してみた。すると、席番号を覚えていたこともあり、通してもらえたのだ。 大一番の試合に参加できる嬉しさと同時に、アクシデントに対する手際のよさにはほとほと感心させられた次第である。お世話になったスタジアム関係者の皆様には、この場で再度感謝したい。
posted by AKIRA |04:50 |
観戦記 |
コメント(0) |
トラックバック(1)


