2007年09月11日

混セ展望 ~伝統の一戦から~

東京ドームでの巨人対阪神21回戦。テーブルスコアやニュースで確認するだけであれば、この試合をただ単に「首位攻防にふさわしい試合」と認識するにとどまったに違いない。だが、この一戦は両チームの今後の可能性と不安要素に溢れ、残り少ないペナントレースの行方を占う上で重要な試合だったのである。

試合は序盤から荒れた。登板する投手が一様に浮き足立ち、地に足のつかない投球を続ける。これが大一番のプレッシャーというものなのだろう。独特の緊張感は、普段プレッシャーなどというものとはまるで縁のなさそうな阪神先発下柳をも飲み込んでいるように見えた。ボールになる球がはっきりしており4つの四球を与え、3回3失点での降板である。
一方で、プレッシャーなど感じる余裕すらなさそうだったのが巨人先発の高橋尚だ。中四日の影響だろう。投球フォームは乱れ、力ない球が高めに浮いては痛打される。こちらも先発の責任を果たせず、4回を投げて5失点での降板となった。

この試合、目に見えて疲れを感じさせた投手がもう一人。阪神藤川である。ここまで阪神の9連勝とともに9連続で登板を続け、この日の登板で10試合連続となるのだから無理もない。疲労のせいか、この日の藤川は背筋が曲がっており、ボールにうまく力が伝わっていないようだった。自慢の速球にはキレがなく、打者の手元で伸びるような感じもない。キャッチャーの矢野もそのことに気がついたのだろう。途中からフォーク主体の攻めに転じ、巨人打線をかわしにきたのだ。1点を失い、1点差にまで追い上げられたものの、逃げ切りに成功し、事なきを得た。
10回裏、藤川の苦しさが如実に現れたシーンがあった。バッターボックスの李がタイムを要求。藤川はそれに気づかず、審判の「タイム」の声によって打者との真剣勝負に水を差されたと勘違いをする。そして、審判に対しての抗議の意味を込めてか、藤川はそのままボールを三塁線方向に投げつけたのだ。その行為はチームを鼓舞するという類のものではなく、チームに焦りをもたらすものである。藤川自身、審判への理不尽な思いだけでは、あのような行動には及ばなかったのではないか。人一倍、チームに対しての責任感が強い藤川のこと。思うようなパフォーマンスを披露することができず、自分への強い苛立ちが多分に影響してのことだったのだろう。

藤川の疲労と苛立ちに一抹の不安を覚える。11日からは9連戦がスタート。そのうちの後半6試合には、首位争いを繰り広げる中日、巨人との6連戦が予定されている。激戦が予想される首位攻防において、藤川の登板数増は必至。また、阪神は全日程を終えるまでに二日しか休みがないという事実も不安に拍車を掛ける要因である。
加えて、主砲金本の調子が上がらず、あたっているとはいえ下位打線の実力は見た目に劣る。大量援護はそうそう期待できないのではないか。
そして、正念場では経験がものを言う。進心境著しい阪神の若手選手ではあるが、若さとは勢いであると同時に脆さでもある。最後まで脆さを露呈せず、チームに勢いを与え続けることができるのか。ここまで来たなら内容云々ではなく結果が大事ではあるが、その結果に対して影響を及ぼすプロセスに不安を感じるのだ。

今後、流れを作り出せそうなのは、むしろ首位決戦三連敗を喫した巨人ではないだろうか。9日の試合に高橋由を一番に戻したことによって、本来の戦い方を取り戻したように思えるのだ。李の復調もあり、残りの試合をこの日のようなオーダーでまわせるようなら、巨人に有利な状況だと言える。打線が機能し、試合終盤までに点差をつけてしまえば、JFKや岩瀬らの顔を見なくてすむのである。
加えて、日程も巨人に味方をしている。残り17試合のうち、実に14試合までもが東京での試合なのである。今年の巨人は特別東京での試合に勝っているというわけではない。だが、それ以上に、この時期移動に労力を費やす必要がないというのは大きなアドバンテージである。しかも、巨人だけ試合の消化が早いため、今月の27日から翌月1日の間がまるまる休みとなるのだ。クライマックス・シリーズも含めた長丁場を考えるなら、この休養は巨人にとっては大きな恩恵となるはずである。
中日が、勝率六割以上と、今年も得意にしている本拠地名古屋ドームでの試合数をあと7としているのも巨人にとっては追い風だろうか。

posted by AKIRA |07:40 | プロ野球 | コメント(11) | トラックバック(0)
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