2007年09月14日
巨人であるために 【読売ジャイアンツ】
春先こそ好調な滑り出しを見せた今シーズンの巨人ではあったが、その後他球団の追い上げもあり苦戦を強いられている。理由は様々だろうが、目に付いたのは他球団を意識し過ぎた消極的な采配が目立ったことだ。 今シーズンからトップバッターとしてチームを牽引していた高橋由の怪我の影響で、シーズン途中から一番谷、二番木村拓の形を採ることになった。一時的な策かと思いきや、高橋由の復帰後もこの形を崩さなかったのである。二番に小技のうまい木村拓を置き、高い得点圏打率を誇る高橋由を中軸に据えることで、「一点を大切にする野球」を標榜したのだろう。だが、その目論見は見事に外れることとなる。 木村拓は小回りの利く便利な選手だが、タレント揃いの巨人打線で上位を打つとなっては役不足の感は否めない。また、一番を打つ谷は積極的に盗塁を仕掛けるタイプではなく、相乗効果も生まれなかった。二番木村拓は、事実上の穴となってしまったのである。 打順を構成する際にも問題が生まれた。巨人打線には左打者が多い。右打者の谷を一番に固定することで、中軸に左打者がズラリと並ぶ羽目になり、攻撃のリズムが単調になってしまった。相手バッテリーは随分と楽ができたのではないか。 セーフティーリードが奪えず、接戦が増えれば、好投の先発投手に代打を送るケースが増える。そして、後を受けてマウンドに立った中継ぎ陣が試合を壊す悪循環が続いた。巨人が小手先の小細工を弄してみたところで、近道にはならないという証明である。 上原の起用法についても疑問が残る。春先は先発ローテーションがうまく回転していたこともあり、怪我で出遅れの上原をリリーフとしてスタートさせることに何ら疑問はなかった。チーム内に確たる信頼の置けるリリーフ投手がいなかったからだ。実際、チームはそれでうまく機能した。 しかし、「今年は抑え一本で」と固定したのが良くなかった。先発の木佐貫は怪我明けの選手であったし、金刃はあくまで新人選手。いずれ先発としての上原の力が必要になることは容易に想定できたはずである。もちろん、首脳陣もその可能性については危惧していたに違いない。だが、首脳陣は、「上原につなげ」の意識が投手陣全体に生み出す連帯感に賭けたのだ。 それでも、事態はもはや深刻なものとなっていた。先発に疲れが見え始めた後半戦、チームは上原を先発に戻すという決断に踏み切るべきだったのだ。巨人の勝ちには大量得点差のものが多い。それゆえ、抑え上原の登板間隔がまちまちになることがあった。セーブのつく場面であっても、切羽詰った場面は数限られ、本当にチームのナンバーワンピッチャーでなければ抑えられなかった場面はとりたてて多くはなかった。そして、上原には抑え投手としてのメンタリティが欠如しているという事実。抑えに強い気持ちが必要なことは言うまでもないが、それはマウンドの上でのこと。たとえ、失敗に終わっても、そこに気持ちを向けてはならない。失敗とはその日のうちに決別できるのが、一流の抑えである。今年から本格的にこのポジションに取り組む上原には、まだそれだけの割り切りがない。ここにきて、そのあたりの経験不足が顔を出している。 では、上原が先発に回っていたらどうなっていただろうか。確かに、代わりの抑え投手に上原ほどの信頼は置けないだろう。しかし、上原を先発に戻すことは、マイナスの要素を補って余りあるほどの利点に溢れているのである。 まずは、先発ローテーションにゆとりができること。人数的なことはもちろん、どうしても必要な中五日や四日での登板は上原に任せることができる。シーズンの序盤は離脱していただけに、この時期であっても無理は利いたはずだ。そして、エース上原が相手エースと投げ合う機会を増やすことによって、二番手以降の先発投手はマッチアップがだいぶ楽になる。完投能力に長けた上原と、マイペースで投げることのできる二番手以降の先発投手。これらのピッチャーが長いイニングを食いつぶすことにより、むしろ体力面に関してはリリーフの負担を軽減することができるのである。 「普通にやれば巨人が勝つ」とよく言われるように、巨人はリーグで最も多くの才能を抱えている。一点に重きを置く野球はよそ行きであり、そこで勝負をしたところで、本家本元中日ドラゴンズのそつのなさや、JFK擁する阪神タイガースには到底かなわない。守りに入っては、両チームの思う壺である。 巨人が巨人であるためには、ライバルチームの土俵で戦ってはいけなかった。「all or nothing」極端に言えば、このスタイルこそがあるべき巨人の本来の姿なのだ。攻撃は最大の防御なり。積極的な姿勢が、今、巨人に求められている。
posted by AKIRA |11:18 |
プロ野球チーム |
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