2008年08月08日
夢をもう一度
「ドリームチーム」 4年前、耳にたこができるほど使いまわされたこのフレーズは、アテネ五輪での野球日本代表と、男子バスケットボールアメリカ代表を称したものである。野球日本代表は、初めてオールプロで五輪に参加したが、招集可能な選手は各球団2人までの制限を設けられ、男子バスケットボールアメリカ代表は、選出の有力視されていた選手が、直前に相次いで辞退した。予選よりスケールダウンした野球日本代表や、男子バスケットボールアメリカ代表は、「ドリーム」どころかせいぜい「オールスター」と表現されるべきメンバー構成だったのだ。 それでも単純に戦力だけを比較してみれば、両代表は金メダルに最も近い位置にいたはずである。勝つには十分と思われたチームだった。しかし、実際には共に表彰台ギリギリの3位に終わり、苦汁をなめることとなる。「金以外は考えられない」と招集されたはずの「オールスター」メンバーが、銅メダルを持ち帰った頃には様々な敗因が挙げられたが、それらを要約すれば、「対応力の欠如」ということになるだろう。選手のやり繰りや、ピークのもって行き方を間違えた野球日本代表。普段とは違う国際ルールに苦しめられた男子バスケットボールアメリカ代表。共に戦力は十分でも、準備が十分ではなかったのである。 基本的に、野球は投手さえよければ勝つ確率がグンと上昇するスポーツである。好投手の調子次第では、格上チームとの戦力差を限りなくゼロに近づけることも可能だ。高校野球がよい例だが、五輪のような短期決戦では、戦力はさほど結果に影響しない。そして、バスケットボールは、90年代に世界を魅了した「ドリームチーム」の影響もあり、ここ十数年で加速的に世界に普及した。ナショナルチームだけの話に限らず、個人に目を向けてみても、欧州勢の躍進は目立つ。よく言われるように、大国と世界との差は以前ほどのものではなくなってしまったのだ。 今回、両代表はプライドを取り戻しに北京までやってきた。そのためには何が必要となるか。それは勝つことだ。各代表の選手たちはそのことを十分に理解しており、口々に「金以外に意味はない」といった旨の発言を繰り返している。だが、彼らは北京で勝者になると同時に、成さなければならない使命を背負っているはずだ。それが、競技の世界的な普及である。野球競技は今回限りでの種目廃止が決定しており、五輪競技としての復活はロンドン大会以降まで待たなければならない。しかし、野球競技の復活が議題に挙げられた時、北京大会での盛り上がりは必須条件となるのではないか。シーズン終了後とはいえ、「参加することに意義がある」はずの大会に、自国のスーパースターをぞろりと揃えた男子バスケットボールアメリカ代表は、本格的に国際路線に乗り出したNBAを世界にアピールする必要があるのではないか。実際のところ、リーグが選手の出場を許可するのは、そういった理由が大きなウエイトを占めているだろう。 結果と内容の両立は難しい。だが、近年では最も「ドリーム」に近づいたと言えるこの両チームには、ただ勝利だけを要求したくはない。均質化が進む今だからこそ、胸のすく活躍を期待したいのだ。贅沢な悩みかもしれないが、勝つだけでは「ああ、やっぱり勝ったか」で終わるような気がしてならない。魅せて勝つことで、威信と世界的な人気を持ち帰ってほしいと思う。
posted by AKIRA |02:25 |
北京五輪 |
コメント(0) |
トラックバック(0)


