2007年07月21日

すきま風の吹く余地は

現在、国内のプロ野球は多くの問題を抱えている。とりわけ、ドラフトをめぐる制度には、迅速かつ大胆な改革が必要だ。
そこで、完全ウェーバー方式の導入が盛んに叫ばれている。シーズン成績の芳しくなかったチームから希望選手を指名していくという制度だ。また、意図的な敗戦防止策として、ロッタリー採用の声も一部耳にする。プレーオフに進出できなかったチームで抽選を行い、指名順を確定するというものだ。
しかし、それらが本当にプロ野球界にとって最善の方法なのだろうか。

ただでさえ、同じポジションに多くの人材を抱える球団が存在している。レンタル移籍もままならない現状のプロ野球界では、完全ウェーバーの導入は人材飽和に拍車を掛け、需要と供給のバランスを崩すことになりかねない。
たとえば、03年のドラフトを前に鳥谷敬の評価は際立っていた。他のドラフト選手が全体的に小粒であったこともあり、「左打ちのショート」の需要を満たしているチームまでもが鳥谷獲得に奔走した。
コンバート大いに結構。だが、一番必要とされているチームで、一番ナチュラルなポジションに就く。これが選手とファン、双方にとってのベストな選択であるはずである。

「何でもかんでもアメリカに右に倣えではいけない」と言うが、ドラフトを考える場合にもあてはまる格言である。なぜなら、日本とアメリカでは、アマチュア選手の立場が違うからだ。
アメリカでは、アマチュアはあくまでアマチュア。死に物狂いで野球に取り組むのは、生活が懸かってくるプロ入り後となる。つまり、アマチュア選手は「素材」の域を出ない。
日本の場合は事情が違う。大半の選手が、野球人生でもっとも厳しい時期を高校で過ごす。そのため、完成度が高く早熟な選手が多い。今年も田中将大や金刃、岸らが前評判にたがわぬ活躍を見せている。近年では、八木や平野、和田、新垣、木佐貫、永川、松坂、上原など、枚挙にいとまがないほどだ。彼らのほとんどが「即戦力ルーキー」と期待されて入団している。そのような選手が、わずか数シーズンでチームを代表する選手になり、球界を代表する存在にまで登り詰めるケースは珍しくない。
だからこそ、完全ウェーバ-という制度にもろ手を挙げて賛成する気にはならないのだ。ただただ無造作に、下位チームから有望選手を指名する。それでは、物足りなさを感じざるを得ない。ドラフトには「すきま風」という意味もある。そこには各球団、より多くの駆け引きや思惑が飛び交っていてほしいと思う。



(私的ドラフト改革案に続く→)

posted by AKIRA |10:54 | プロ野球ドラフト | コメント(1) | トラックバック(1)
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ドラフトに求めたいもの 【TOTAL-BASEBALL】

来年度からの改革を目指すドラフト制度については、いまだ議論の最中だが、高校生と大学生・社会人ドラフトの一本化は既に決定されている。 そこで、次なる議論の焦点となるのが、ウェーバー制度導入の有無である。下位チームから順に、指名選手との独占交渉権を与えるこの制度は、「戦力均衡」だけを考えるのであれば、他に勝る方法はない。だが、弊害も同時に存在する。以前、「球団のフロント力養成機会減少」や、「人材飽和の可能性増大」といったことなどを理由に、「ウェーバーは、日本のプロ野球においてはベストの方式ではない」と、書かせ

2007-12-16 03:30 | 続きを読む
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Re:すきま風の吹く余地は

はじめまして

まあアメリカとは広さも人材の数も違いますからね。一緒にするには無理がありそうです。アメリカの大学生・高校生はサッカー(モーラ)・バスケット(多すぎ)・アメフト(クロフォード)・アイスホッケー(グラビンなど)など色々なスポーツでドラフトされることが多いので、有望だとはいっても基本がしっかりしていないこともあるみたいですね。野球だけをやってきた日本のアマチュア選手は、もうすでに基本のできた選手が多いわけで、そういう意味では日本の方が完成度は高そうです。

ただ完全ウェバーについては格差是正の手段としての可能性もあるので一概に否定できません。それで格差がなくなるかどうかは分かりませんが、格差是正に取り組む姿勢が今の日本にはなさすぎです。もちろんアメリカでやってるからといった安直な理由で導入されることには納得がいきませんが、もし格差を是正しようとするなら、案の一つとしては考慮すべきだと思います。

posted by 書き人知らず | 2007-07-21 12:36

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