2008年06月07日

NBA07-08シーズンプレーオフ ファイナルプレビュー

 セルティックス×レイカーズ

ついに実現しました。ファイナルの舞台でこのカード。
イエローとグリーンとの邂逅は、両チームのファンのみならず、多くのNBAファンが待ち望んでいたことでしょう。

ファイナル制覇のチームですが、予想はずばりレイカーズ。
その根拠を以下で述べてみたいと思います。


プレーオフを語る上で外せないのがディフェンスの重要性。このカードでも、定説通りディフェンスが勝負の鍵を握りそうです。
そうすると、シーズンからここまで、タフなディフェンスで勝ち上がってきたセルティックスを推す声が集まりそうなものです。しかし、イーストとウエストでは条件が違うため、シーズンでの成績や活躍をそのまま額面通りに受け取ることはできません。
ウエストにはオフェンス自慢のチームがひしめいています。今シーズンのチーム得点ランキング中、トップ5は全てウエストのチームで占められ、トップ10の中にイーストのチームはわずか2チームだけ。チーム平均失点に目を移しても、トップ10中イーストのチームは半分と、特別ディフェンスのよいチームが多いわけではありません。よって、イーストのディフェンス力が同カンファレンスの平均得点に大きく影響しているということもないでしょう。つまり、同じ平均失点数であっても、イーストとウエストではその価値が違うということです。
そして、これはあくまで予想なのですが、大勝の多かった今シーズンのレイカーズは、主力をベンチに戻し、控え選手がメインとなってから取られてもいい失点を重ねたのではないでしょうか。
加えて言うのであれば、イーストのスコアラー不足。数年前とは違い、現在のNBAは、ウエストに優れたスコアラーが集まっています。今シーズンの得点ランキングを見ても、20得点以上を記録した27人のうち、イーストの選手は10人。この数字もまた、イーストよりウエストのチームをディフェンスする方が困難であることの証明であると言えます。
レイカーズは、今シーズン1試合平均で101.32の失点を喫しました。これは、NBA全体で19位の数字です。しかし、レイカーズにはタイトなディフェンスでチームを引き締めるフィッシャー、ディフェンシブチーム常連のブライアント、長い腕と機動力でコートの広範囲をカバーするオドム、地味ながらもプレーオフではブーザーやダンカンを自由にさせなかったガソルと、スターターの守備はセルティックスにも劣ることはないと思います。
これらを根拠に、決して「鉄壁」とまでは表現できないまでも、スタッツよりは数段優れたレイカーズディフェンスであると言うことができるでしょう。

鍵となるディフェンスに、両チームでそう大きな差はありません。
それでは、一体何が両チームの明暗を分けるのか。それは主力選手のオフェンス力でしょう。言うまでもなく、レイカーズのブライアントはアンストッパブルな存在。対ジェームズ同様、セルティックスバックコート陣には、ブライアントのアウトサイドに対して有効な手段がありません。組織力で封じるにも、ブライアントは真のMVP。マーカーを引き連れてのアシストやパスアウトはお手の物。セルティックスディフェンスは、ブライアントの支配力の前に引き裂かれるでしょう。
一方のセルティックスオフェンスはどうか。ここに来て調子が上向き、クラッチ連発のアレンと、スコアラーとして爆発を見せたピアース。この二人と自身を中心にガーネットがゲームを司り、バランスよく得点を重ねるのがセルティックスのオフェンスパターン。アレンにはブライアントのマークが予想されるため、それほど多くの得点を挙げることはなさそうですが、肝心な場面でのスリーには注意が必要です。また、多才なピアースの得点数は、勝敗に大きく影響するでしょう。ただ、フランチャイズ・プレイヤーはピアースですが、どうしても得点の必要な場面、強引さが必要な場面で仕事をするのはガーネットだと思います。マッチアップのガソルは、高さとパワーで引けはとらないものの、スピードでミスマッチ。レイカーズはダブルチームで対処していくのでしょうが、シリーズを通して封じきるのは無理があるので、ある程度ガーネットにやられることを想定してファイナルに臨むでしょう。選手層で上回るセルティックスベンチには、キャセールも控えていますが、そこをケアするのはフィッシャー。アレンとピアースが同時に抑えられれば、セルティックスオフェンスは詰まるでしょう。
片やセルティックスレベルのディフェンスでも及ばない得点力と爆発力を誇るブライアントを擁するレイカーズ。片やクラッチは多く抱えるものの、得点数はそれほど伸びそうにないセルティックス。同じクラッチでも、その質の違いが両チームにとっての分水嶺となるはずです。

両チームのカンファレンスファイナル勝ち抜けの様子を見ていて、気になったのが余力の問題です。
まずは、体力的な消耗という意味での余力。カンファレンス勝ち抜けまでに、合計15試合戦ったレイカーズと、20試合戦ったセルティックス。その試合数以上に、比較的順当に勝ち上がったレイカーズに対し、セルティックスは厳しい試合が続いたことが気がかりです。
そして、精神面での余力なのですが、セルティックスにはより多くの安堵を感じました。接戦が多かっただけに、喜びもひとしお。もちろん、ファイナルは切り替えて出場するのでしょうが、セルティックスには実力の均衡したチームを破り、カンファレンスを勝ち抜いたことで、ある種の達成感を得てしまったように思います。逆にレイカーズは、ライバルと目されていたスパーズをあっさりと倒してしまったことで、体力的にも精神的にも余力があるように思います。もちろん、レイカーズには優勝経験豊富な選手が多いということもあるのでしょうが、チャンピオンリングへの飢えがいくらか満たされてしまったように見える古豪より、エースの「1番でなければ意味がない」という信念が浸透している強豪の方にこそ、むしろ飢えを感じるのです。同じカンファレンス制覇達成でも、セルティックスは「カンファレンスを勝ち抜いた」の意識が強く、レイカーズにとっては「ファイナルに駒を進めた」に過ぎないのではないでしょうか。


どちらが勝つにせよ、実力伯仲に間違いなし。
派手なプレーより緊張感を楽しむシリーズになるのではないかと思います。
それでは、NBAを愛する皆様、ファイナルを楽しみましょう。


●参考資料HOOP7月号

posted by AKIRA |05:02 | バスケットボール | コメント(2) | トラックバック(0)
みんトピに投稿 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加

トラックバックURL
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.plus-blog.sportsnavi.com/journalist-akira/tb_ping/38
この記事に対するコメント一覧
NBA07-08シーズンプレーオフ ファイナルプレビュー

 個人的に大好きなジャズが負けてしまったので、ファイナルは楽しんで観戦しようと思います。

 第1戦は、セルティックスが勝利。

 ただ、フィル・ジャクソンがベンチであまりにもおとなしかったのが気になる・・・。 ヘッドコーチがプレイするわけではないが、今頃いろいろな策を練っていると思う。

 NBA創世期からの伝統チームである両チーム、是非すばらしいゲームをして、日本の学生たちにも夢を与えていただきたいと思う今日この頃です。

posted by おじさんプレーヤー | 2008-06-08 12:15

おじさんプレーヤー さん

先月発売されたSportiva誌で、バスケットボールライターの宮地陽子さんがジャクソンのおとなしさについて触れておられました。
何でも、チームが窮地に陥った時でも、できるだけ選手同士で解決してほしいとのことです。

私もジャクソンのおとなしさは感じました。
しかし、あれだけ切羽詰った状況ですら、その姿勢を崩さないのだからさすがです。
数年前と比べ、精神的にもたくましくなったレイカーズの若手選手ですが、その成長の陰にあえて「教えない」ジャクソンの教育があったのかもしれませんね。
コービのリーダーシップも同様です。

posted by AKIRA | 2008-06-08 23:51

コメントする