2008年05月05日

記録と記憶に刻む -ジェイソン・キッド-

今季終盤、キャリア通算100度目となるトリプルダブルを達成したのは、ダラス・マーベリックスのジェイソン・キッドだ。過去5回のタイトルを獲得しているアシストだけではなく、得点、リバウンドと全ての面においてチームに貢献していることの証明である。
100点近いスコアで争われる試合の中、個人が二桁得点をマークするのはそれほど困難なことではないが、リバウンドとアシストで同様のことを成し遂げるのは容易いことではない。だが、キッドは14年の現役生活の中で、平均14.3得点、6.7リバウンド、9.3アシストと、高い水準で成績を残してきた。
今季の成績は、10.8得点こそキャリアで最も低い数字となっているが、7.5リバウンドは昨季に次いで2番目に高い数字であり、10.1アシストは9年前に記録した10.8アシストと遜色ない数字である。35歳になった今シーズンの成績を、シーズントリプルダブルに最も近づいたと言うことも可能だ。

しかし、今季のキッドをベストとする声は少ない。キッド加入後、マブスが成績を落としたからである。シーズン途中での移籍が決まった時、古巣のユニフォームに身を包んだキッドは、まるで何年間も同じチームでプレーしてきたかのようにさえ見えた。だが、キッドの織り成すアップテンポな展開はなかなかチームに浸透せず、キッドからのパスをファンブルしたり、反応さえできないシーンが見られた。マブスのユニフォームはキッドとマッチしたが、戦術はフィットせず。勢いを失ったマブスは、昨年の雪辱どころか、プレイオフ進出すら危ぶまれる事態に陥ってしまう。結局、ウエスタン第7シードでの出場が決定したが、ファーストラウンドでの敗退を喫っしてしまった。

キッドは、たとえ得点できずとも、ゲームを支配することのできる希有な存在である。それを可能にしているのは、視野の広さと経験だ。相手の戻りが遅いと見るや、一気にドリブルで突っかけ、態勢が整わないうちにキラーパスを通す。また、思いもよらないところから腕を伸ばし、リバウンドをもぎ取ったりもする。こうしたプレーは往々にして流れを呼び込むことにつながるが、そこにキッドというプレイヤーの真の価値がある。そして、今回はその持ち味を発揮することができなかったが、キッドのメンタルタフネスは、マブスが強豪ひしめくウエスタンを勝ち抜くための力となってくるはずだ。
シーズン終了が早まれば、それだけ来季への準備を早めることができる。マブスのキューバンオーナーは、キッドのパスに合わせることのできるランニングプレイヤー獲得に奔走するだろう。何より、キッドが来年のこの時期まで、同じチームメイトと過ごすことができる。ケミストリーの熟成には十分な期間だ。マブスとキッドの08-09シーズンはもう始まっている。

posted by AKIRA |04:43 | バスケットボール | コメント(0) | トラックバック(0)
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