2007年07月15日

プロ選手派遣の抱える問題

「誰が選ばれるのか?」
「なぜ選ばれないのか?」
「全体のバランスは?相性は?」
etc…

考えるだけでワクワクするのが「代表」というものだ。しかし、北京五輪野球代表に関して、いくつか釈然としない点がある。


1、北京五輪開催期間中のプロ野球シーズン続行

 大会期間中のペナントレース中断はシドニー大会以降望まれていたが、今回も実現しない。北京五輪開催期間中はペナントレースも真っ盛り。書き入れ時でもあるので、シーズン中断に踏み切れないのは仕方のない部分もある。しかし、その時期は同時に、チームにとっての正念場でもあるのだ。一ヵ月近く主力抜きでの優勝争いというのは、いささか興の削がれるところではないか。
 
2、選手への影響

 選手に及ぼす影響も心配だ。強行日程の与える肉体的な疲労だけではなく、環境の変化からくる精神的な消耗。微妙に違う使用球やルール、ジャッジへのアジャストメント。これらは、大会後のプレー・パフォーマンスにまで影響する。
過去二大会では帰国後、目に見えてプレーに「疲労」を感じさせる選手がいた。そして、五輪に派遣されれば、当然その間の個人記録に上積みはない。実際、シドニー、アテネに派遣された選手の成績は、そのほとんどが期待値を下回る数字に終わった。野球は「記録のスポーツ」とも言われるように、選手の個人成績に目を移すのも楽しみ方の一つである。代表に招集されるほどの選手にもなると、個人タイトル争いの常連も多い。本命不在はプロ野球の面白さを確実に損ねている。

3、五輪はアマのもの
 
 五輪へのプロ選手派遣は、アマチュア選手の夢を奪うだけにとどまらない。プロ野球界の将来にもかかわってくる問題なのだ。
アトランタ五輪出場の松中信彦、今岡誠、井口資仁、福留孝介、谷佳知。
シドニー五輪出場の渡辺俊介、杉内俊哉、阿部慎之助、赤星憲広。
これらの選手達が、現在のプロ野球界を牽引するまでの存在に成長したのは周知の通りだ。では、プロが派遣されなければ、本来アテネ五輪に参加するはずだったドラフト04、05年組はどうだろうか。良い選手は数多くいるものの、前述したような存在感ある選手はごく少数。まだこれからの選手とはいえ、物足りなさは否めない。「五輪に出場した」ことと「良い選手に育つ」ことは、必ずしもイコールでは結びつかないかもしれない。しかし、そこには何らかの因果関係が存在するはずだ。
先日、サッカーのU-20日本代表がW杯で敗退。涙を流しながらも「この大会を糧に、A代表に入っていけるようにしたい」と語った選手の姿から、「強くなる」と感じさせられた。悔しさや歓喜、大会での経験の一つ一つが肥やしとなり、選手に更なるステップアップを促すのである。
多忙なプロ選手に、後ろを振り返る時間は許されない。毎日の悔しさに折り合いをつけることで精一杯だからだ。五輪に派遣されたプロ選手のいったいどれほどが、あの日の敗戦を胸に日々戦っているというのだろうか。

4、WBCの価値

 「野球界を盛り上げたい」
星野監督をはじめとする代表関係者方の気持ちは察するに余りある。彼らもまた、プロ選手の派遣がもたらす弊害など百も承知のはず。それでも野球に恩返しがしたいのだろう。
ならば、既に競技廃止の決まっている五輪ではなく、長期的なスパンでの代表活動に尽力すべきではないのか。キャンプ中に代表候補を召集し合同練習を行うのもよい。オフ期間には各国との親善試合を是非とも見たい。諸説問題を残しながらも、真の世界一を決める大会が開催された以上、日本のプロ野球が目指すべきは「WBC」で勝ち続けることだ。
松井秀喜や井口資仁が、WBCに所属チームほどの価値を見出せず参加を見送ったのは記憶に新しいところ。目標があやふやなままでは、代表に魅力を感じない選手がいても不思議ではない。「日本のプロは五輪を目指さないが、大物メジャーリーガーも多数参加のWBCは本気で獲りに行く」となれば、代表の価値も上がるというもの。いまひとつ規模の大きさが認知されていなかった第一回の二の舞にはなるまい。

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posted by AKIRA |22:28 | 野球日本代表 | コメント(2) | トラックバック(1)
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で、結局どうする、どうするよ?〜続・"最後"の五輪野球に臨む 【フィールド上の些事争論】

今年の頭に星野仙一五輪代表監督が決定した際に、過去ログでいくつかの懸念材料を挙げたのですが、早くもそのうちの1つが出てきました。 代表監督決定を受けて、確かどの球団のフロントも「五輪に全面協力」という言葉を盛んに使っていたのを覚えている方々も多いですよね。 さらにこの2月、星野監督は各球団のキャンプを行脚しました。その際にはどのチームの監督も「全面的に協力する」というコメントを出していました。 現場とフロント、一致団結して「全面協力」する、と。 ところが、本音と建前はやはり違うようで、4月2日の実行委員会

2007-07-15 22:44 | 続きを読む
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Re:プロ選手派遣の抱える問題

コメント投稿者ID :

投稿の際、ジャンル選択、この場合 野球を忘れてませんか? 忘れると、ブログ全体のジャンル別一覧や、スポーツナビ本体の関連ページに更新が表示されず、勿体無いですよ

posted by ジャンル選択をお奨めします | 2007-07-15 22:53

Re

コメント投稿者ID :

お名前がわからないのですが、トラックバックに貴重な意見をくれたかた。同じ考えを持つ人がいて嬉しく思います。
こればっかりは決まったことなので仕方がありません。しかし、例の球団合併問題を経験し、選手だけではなく、私たちファンがきちんと主張しなければいけないこと。そして、一人一人が団結すれば強くなるんだということを実感しました。
様々な問題を抱える日本プロ野球界。ここまでその問題の多数が見て見ぬフリをされ、見直しの機会を設けても「のどもと過ぎれば」で終わる始末。
今後もこの場をお借りして、一ファンとしての提言をつづけていく予定です。

posted by AKIRA | 2007-07-16 04:44

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