2007年10月15日
「激闘開幕」 パ・リーグクライマックスシリーズ第1ステージ第1戦 千葉ロッテマリーンズ×福岡ソフトバンクホークス
10月8日、パ・リーグクライマックスシリーズ第1ステージの初戦が、千葉マリンスタジアムで行われた。対戦カードは福岡ソフトバンクホークス-千葉ロッテマリーンズ。プレーオフでの両チームの激突は05年以来である。![]()
スターティング・メンバー 試合前、当日のスターティングラインナップに注目していた。マリーンズの日替わり打線はもちろん、ホークスが短期決戦に向け、どのようなアプローチをしてくるのか興味があったからだ。 まずは、トップバッター川崎の可能性を考えた。しかし、マリーンズ先発渡辺との対戦打率(本多.417 川崎.357)を考慮してか、いつもの本多-川崎ラインに落ち着く。秋山コーチの「思いきり振れるから」との進言から実現した3番松中も引き続き、4番には小久保が座る。ここまではシーズン通りのベーシックな形となった。 違いを見せたのはその後からである。王監督は、5番以降を柴原-大村-多村とつなぐ。柴原は渡辺に対して今季打率は.308であり、本塁打も放っている。逆に、大村(.200)と多村(.214)は渡辺と相性が悪い。 そして、シリーズ前に発売された週刊ベースボール誌上で、興味深い傾向が掲載されていた。短期決戦では、「得点源は分散させる」ことが勝利の法則であるのだという。このタイムリーな情報を、ホークス首脳も参考にしたのではないかと推測する。短期決戦に向け、データを重視したと言えば聞こえはいい。だが、どちらかと言えば、打線全体の低調から戦術に活路を求めたように映る。チームの苦しさがうかがえる、苦肉の策であると感じた。 風を味方に 試合開始前から降り続く雨は、プレーボール宣告後もやむ気配を見せない。マリン特有の強風もあり、渡辺、斉藤両投手ともに投げづらそうな立ち上がりである。そんな中、光っていたのが里崎の好リード。渡辺の制球がバラつき、失点こそ許したものの、見てくる打者に対しては積極的にストライクを取りにいき、打ち気を感じれば速めの変化球でバットの芯を外させる。特に、緩いカーブの使い方が見事だった。これには、右の強打者小久保が、何度も腰砕けのスイングをさせられてしまうことになる。 「マリンの風を味方に」 試合後、そう語った渡辺は、5回以降全てのイニングを完璧に抑える。 序盤の攻防から マリーンズにとってのハイライトは、3点を追う3回裏。渡辺が「風」を味方につけたように、マリーンズ打線は「地」を味方につけた。ベニーの内野安打を口火に、福浦がしぶとい当たりでショートの横を抜けば、今江はピッチャー強襲の内野安打で続く。極め付けは次打者の西岡で、今年から成功率をグッと引き上げたセーフティー・バントを成功させる。ここまでは全てがインフィールドでの出来事だ。相手投手にまともなピッチングをさせず、一気に畳み掛ける。これが、マリーンズ打線の真骨頂なのだ。「つなぎ」ではマリーンズに一日の長が有る。 それにしても長い。マリーンズのチャンスはなおも続く。最初のチャンスを迎えてから20分は経っただろうか。その間、マリーンズサポーターはずっと飛び跳ね、歌い続けている。試合は、無死満塁から早川、オーティズが連続三振。2死となりながらも、4番サブローが同点に追いつく2点タイムリーを放つ。無得点では意気消沈となりかねない場面だっただけに、この日一番の歓声がサブローに贈られた。 この時、球場内の風速表示はホームベースに向かって10メートルであることに気付く(最速は12メートル)。まだまだ試合は荒れそうな予感がした。![]()
4回表のホークスの攻撃は、即席打線の拙さを露呈することになった。まず、先頭の柴原がセンター前ヒットで出塁。すかさず6番の大村が送り、1死2塁でバッターボックスに多村を迎える。その場面、マリーンズバッテリーの配球は「歩かせてもいい」というものだった。もちろん、8、9番の打力が極端に落ちることを計算に入れての配球である。1死2塁で多村より、1、2塁でも本間、的場と勝負ということなのだろう。渡辺は、ストライクゾーンの両サイドを厳しく攻めた。この打席で多村に対し7球を投じ、許したスイングは一振りだけである。多村を歩かせた渡辺は、9番的場にタイムリーこそ打たれるが、その表情やしぐさには落ち着きがあった。「楽ができた」とまでは言わなくとも、それに近い感覚だったのではないか。このあたりから制球にも修正が効き始める。ホークス下位打線の淡白さが、その遠因となっているように感じた。 ホークスは、得点源の拡散から得点パターンの拡大を狙うのであれば、5番柴原の後に本間を配置するべきだった。そうすることで4、5番の出塁後、6番の本間が7、8番の多村、大村へつなぐ(送る)という形が作れたのである。本間には、1死からであっても送りバントのサインを出す。2死2塁から多村が凡打に倒れても、次の攻撃は大村からとなる。8番大村の足を絡めつつ、9番の的場がしっかり上位におぜん立てできるのであれば、川崎のバットコントロールと高い得点圏打率(.358)をトップバッターとして生かせたのではないだろうか。 無念のエース 試合前、「この肩くれてやる」と並々ならぬ決意を語ったのは、ホークスのエース斉藤和巳である。この日も、その気迫が伝わってくる場面があった。3回裏、1死満塁での3番オーティズとの対戦である。この日、ここまでの速球は最速で143キロ。ところが、斉藤は絶体絶命の場面で146、147、148キロと、球威を取り戻す。それに伴い、自慢の高速フォークも140に近い数字を次々計測する。マウンド上のエースは「これ以上やれない」の気概に溢れていた。甘い球はあったものの、オーティズはファールにするのが精一杯。最後はフォークでねじ伏せる。 しかし、4回裏には球数が80球を超え、速球の球速表示が140キロを割る。福浦、今江に連続四球を与え、続く西岡に真ん中高めの速球をセンター前に運ばれる。同点に追いつかれた斉藤は、続く早川に犠牲フライを打ち上げられ、勝ち越しを許す。見た目にはっきりと限界が見えていた。結局、斉藤は93球を投げ、この回で降板する。またもやプレーオフでの勝利ならず。ただ、無念ばかりが積み重なる。![]()
和田不在 ホークスはなぜ和田をベンチに置いておかなかったのか。先発の斉藤がマウンドを降りた時点では1点のビハインド。追いつくには現実的な点差である。もちろん、柳瀬らを起用したからといって試合をあきらめたわけではないだろう。だが、変わった柳瀬はいきなりオーティズにソロホームランを打たれた。もし、斉藤の後にマウンドに登ったのが和田で、残りの5イニングを馬原と無失点に抑えていればどうなっていただろうか。チームに与える影響が違っていたはずだ。所詮は結果論である。だが、短期決戦は出し惜しみをしていると、あっという間に終わってしまう。斉藤の状態を考えれば、早いイニングでの継投は必至。もちろん、ホークス首脳陣も考慮したはずである。しかし、和田には第2ステージに向けての調整に専念してもらいたいとの意向が勝ったのだろう。 それでも、第1ステージは初戦のリリーフ限定で、中4日空けての第2ステージ先発という手段が取れたのではないか。和田は、9月27日に3回3分の2イニングで76球を投げて以来、公式戦のマウンドには立っていない。第2ステージからの登場では、登板間隔が半月空くことになる。疲労もあったのかもしれないが、ここは目先の勝利に執念を見せてほしかった。 川崎の力み この試合を通して目立ったのが、ホークス川崎の力みである。第二打席での犠打は除くものとして、残る三打席での被投球数はわずかに8球である。積極的に打ってでるのは悪いことではないが、この試合に限っては空回りしていた。マリーンズバッテリーの術中にはまり、考えすぎて「振らされている」ように見えたのである。バッターボックスに入る前の素振りでさえ、悩みを振り払おうとして必死のように映った。 中軸を生かすも殺すも前を打つ打者の出来にかかっている。第2戦以降も、きっとこの男がホークス打線の鍵を握るはずだ。![]()
●参考資料→週刊ベースボール 10.15号「DATAで迫るプロ野球」
posted by AKIRA |01:51 |
観戦記 |
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