2007年09月20日
まだ、エースではなく -成瀬 善久-
「成瀬がいなかったらどうなっていたことか」 近頃、チーム関係者やマリーンズファンから、こんな声をよく聞く。 低めに制球されたスライダーとチェンジアップ。何よりも、リリースの位置が見えづらい独特のフォームと、スピンの利いたキレのある速球とのコンビネーションが相手バッターをキリキリ舞いさせる。 今シーズン、ここまでの成績は、防御率1.81で15勝1敗。その勝率たるや.938というから驚異的である。 数字が示すように、成瀬が素晴らしい投手であることに異論はない。だが、出来過ぎの感ある今シーズン、残っている数字だけをうのみにし、その実力を判断するわけにはいかないのである。 今シーズンの成瀬は裏ローテで回っていたこともあり、楽な日程での登板が続いている。登板間隔は長く、チームから「大切に扱われている」という感じで、まだ「チームを引っ張る」という選手ではない。裏ローテであるため、対戦する投手は比較的力が落ち、エースクラスの投手となると、涌井、朝倉、三浦、西口、デイビー、ダルビッシュと一度ずつ投げ合ったに過ぎない。成瀬が打線から大量援護を受けることが多いのは、彼自身のリズムの良さはもちろん、このような事実に起因しているのだ。序盤で大量に得点が入れば、相手打線もひっくり返そうと打撃が荒くなり、それが拙攻を生む。つまり、今シーズンの成瀬の驚異的な成績は、成瀬一人の努力や実力だけで成されたのではないということだ。 とはいえ、接戦時においても、きちんと投げ勝つことができているという事実も見逃せない。一試合平均で4.3得点をあげるのがマリーンズ打線。平均7.2イニングを消化する成瀬の登板時平均得点が4.1とあれば、相対的に見ると「やや援護に恵まれている」といったところ。 大量得点か接戦か。両極端な状況が続く中、いつも変わらずマイペースで自分の投球を続けることができる。そこに投手・成瀬の精神力の強さを感じるのだ。登板機会があれば、クライマックス・シリーズという大舞台でも、その精神力の強さは発揮されるのではないだろうか。 今後、成瀬が「エース」と呼ばれる存在となるためには、「実績を残して絶対の信頼を得られてこそ」と本人が語るように、実績を築き続けること。そして、相手エースとぶつかり合い、そこで結果を残すことである。そのためにはまず、実績十分の先輩方を超えなくてはならない。 今年、チームの先輩である小林宏之は、シーズン前に「開幕投手を狙う」と言ってのけた。近い将来、成瀬が開幕投手の権利を奪い、同年代の日本ハム・ダルビッシュや西武・涌井らと開幕投手として投げ合う姿は見られるか。
posted by AKIRA |06:12 |
プロ野球選手 |
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