2010年03月16日

名古屋対川崎 ~リスペクト~

 名古屋のスタメンは、楢崎、阿部、増川、闘莉王、隼磨、吉村、マギヌン、小川、金崎、玉田、ケネディ。大型補強を行った名古屋である。でも、闘莉王と金崎しか出場していないじゃないか。よって、ベンチがめちゃくちゃ豪華である。千代反田、直志、ブルザノビッチ、三都主、ダニルソン、巻弟。まさにビッククラブである。こりゃ、結果を出さないといろいろいわれそうだね。

 川崎のスタメンは、川島、小宮山、伊藤、菊地、森、稲本、谷口、田坂、レナチーニョ、黒津、鄭大世。憲剛とジュニーニョが怪我である。大黒柱がいないけれども、黒津が試合に出られるのは嬉しいところで。他のチームでずっと試合に出場していれば、また違った人生になったろう選手である。控えの楠神に期待。果たして出場するだろうか。しないだろうな。

 ■システムの意味

 川崎のシステムは4-3-3。名古屋のシステムに合わせて、稲本と谷口をDFラインの前に置いている。普段からこのような形なのかもしれないし、相手がトップ下を一枚だけ置いているならば、稲本だけかもしれない。なんにせよ、この相手に合わせて、自分たちのやり方を考えるってのが、この試合の内容に大きく関わったのかなと思うわけで。

 名古屋と試合をするときに、名古屋対策として考えなきゃいけないことがある。それはケネディの高さ対策。ケネディに競り勝てないのはしょうがないとしても、ゴールから遠い位置で競り合いを行うこと&競り合いで発生するセカンドボールを拾うための方策を考える必要がある。単純にDFラインを上げて、CBの高さに強い選手をケネディに常にぶつけて、その周りに中盤の選手を配置するのが定石だろうと。稲本だけじゃ足りないよね、みたいな。

 で、DFラインを高くするのだから、気をつけることはDFラインの背後のスペースを取られないこと。そのためには、ボールホルダーへ激しいプレスをかける必要がある。できれば、相手のCBがハーフライン付近まで上がってきたらプレスをかけたい。それよりも後ろならば、まあ鬼ごっこはしないでもいいかもしれない。そこからのロングボールがピタリと合う確率は一試合に一度あるかないかで、それがゴールに入るかどうかは、また別の確率になるので。

 というわけで、川崎のやるべきサッカーを整理しよう。ケネディ対策として、DFラインを高めに設定する。ケネディの相手は伊藤。近くに稲本と谷口を配置することで、セカンドボール対策もばっちり。ついでに、高い位置に侵入してくるマギヌンたちを抑える役割&どちらかがDFラインに残ることができるので、積極的に相手を潰しにいける役割も担っている。つまり、システムの問題で慢性的な数的不利にならないように対処している。DFラインが高いので、前線の選手はなるべく高い位置からの激しいプレスを行う。多少はパスで交わされてもいいので、アグレッシブにいけって指示は出ていた可能性が高い。

 攻撃はカウンターが中心。相手のボールを高い位置で奪って一気にショートカウンター発動。鄭大世、レナチーニョが相手からフリーになり、ボールを受けると一気にスピードアップ。田坂、谷口が攻撃参加することで、数的優位状態も作れたら幸運だなって感じだろうか。マギヌンたちの攻守の切り替えが遅いのは知っているので、頑張って走りきろう、そうすれば、幸運が待っているのは今後も続きそうである。

 そんなわけで、論理的な名古屋対策を行ってきた川崎。ホームの名古屋は正面衝突であった。つまり、特別な川崎対策はなし。何度もボールを奪われて、レナチーニョにドリブル突破を許す場面もあったが、それなりにボールを運べている場面もあったので、何とも評価しにくい展開となった。個人的なイメージを言えば、名古屋のサッカーはもう少しゆったりしているイメージがあったのだけど、川崎のスピードあるプレスにあわせて、早い攻撃になってしまったのかなと。

 川崎のやりたい事を交わすためには、攻撃を落ち着かせる必要がある。相手にボールを奪えないなと思わせれば、前プレは自然消滅するか、スタミナの無駄使いになる。しかし、名古屋は後ろにボールを下げることなく前へ前への展開が多くなった。それは川崎のプレスによって、考える時間を奪われてしまったこと&玉田のポジショニングと金崎の突破力がそれなりに機能していたから、これを続ければいいじゃんって考えの元に意思が統一されたのかは選手に聞かないとわかりません。

 DFラインを下げて、川崎のプレスを分断することができれば、名古屋はめちゃくちゃ強豪になれそうである。でも、マギヌンや小川がポジションを下げて後ろで数的優位を作ることを全くしなかったので、そういう雰囲気をまるで感じることはできなかった。ここはちょっと残念なところである。この二人は守備の意識やポジショニングも曖昧で、後ろの選手がさらされる場面の隠れた原因となっていることは見逃せない。レナチーニョクラスのドリブラーがいるチームとやりあうと、誰かが退場に追い込まれる可能性も今後ありそうである。

 そんなわけで、試合前も試合中も目立った川崎対策を行わない名古屋。川崎は試合前から準備しているよってことで、川崎ペースで前半が進んでいく。って言いたいけれども、名古屋からすれば、それなりに崩せているから川崎対策を擦る必要ないしって感じ。つまり、前半だけでは何とも言えない展開である。川崎は動きようがないだろうで、名古屋の監督さんの采配にすべては託されることとなる。

 ちなみに、得点を見てみよう。開始直後にレナチーニョの直接FKが決まり、川崎が先制。その直後にコーナーキックから金崎が押し込んで同点。で、16分。今度は鄭大世のフリーキックが炸裂。壁にあたって方向が変わるゴールであった。名古屋からすると事故である。でも、そういうところでFKを与えちゃうような守備が良くない。ちなみに、次のフリーキックは田坂が蹴っている。なかなかユニークな川崎のセットプレーだった。

 ■試合を動かせ

 後半頭から稲本→横山。稲本は軽症らしい。吉村→ダニルソン。抜群の身体能力が特徴らしい。

 で、後半の序盤は川崎のペース。いきなりレナチーニョにサイドを攻略されて、谷口にポスト直撃のシュートを許した。この場面の面白かったのが鄭大世のポジショニング。レナチーニョを担当する名古屋のDFのところに移動して、マークを混乱させる役割をこなしていた。鄭大世はいろいろできる選手なんだなと。

 また、稲本の代わりに入ってきた横山がかなり機能していた。DFラインと連携して相手を挟み込んで潰したり、DFラインからボールを引き出して、ゲームを作ったりとなかなかいい感じである。なので、川崎がちょこちょこボールを保持して攻撃を仕掛けていく場面が多数。アクシデントによる交代がうまく機能するなんて、川崎は底力が増しているのかもしれない。

 で、名古屋はダニルソンが攻撃を動かせる選手ではないようで。これが今のところか、連携が良くなれば攻撃を動かせるようになるかは不明。ただし、カバーリングでフィジカルで相手を潰す場面はさすがであった。なんにせよ、前半から変化のない名古屋が圧倒的に苦しめられるようになった後半の序盤であった。

 で、とうとう名古屋が動く。隼磨→ブルザノビッチ。この交代で、一気に名古屋が攻勢に出る。右サイドからは小川、玉田が、左サイドからは阿部と金崎が攻撃を仕掛けることで、昨年の名古屋らしいサイド攻撃が出てくるようになる。ちょうど川崎も疲れが見えるころだったのも見逃せない。ブルザノビッチは攻守において、うまくスペースを埋めていた。今季から審判がファウルを取りやすくなったのをわかっているようで、確実にマイボールにする判断で名古屋の攻撃にアクセントを加えていた。

 で、どんどん名古屋が決定機を作っていく。川島のスーパーセーブで名古屋の攻撃を防いで行ったが、78分のセットプレー→クロスボールは枠に入れようの法則を守った結果、クロスは相手のオウンゴールを誘発することになった。実際はマギヌンが触っていたらしい。これで同点である。さらに勢いに乗った名古屋はさらに攻勢を強める。巻弟が登場。でも、空中戦を仕掛けるような様子はない名古屋。しかも、ダニルソンが痛んで10人になってしまう。

 この隙を見逃さないのが川崎。ボールを保持して時間を稼ぐと徐々に攻めこんでいく。そして、試合から姿を消していた男が輝きを放つ。鄭大世。エリア内でボールを受けると振り向きざまに豪快にシュートを放つ。そのシュートがゴールに突き刺さり、まさかの追加点の川崎。名古屋はダニルソンがピッチに戻ってきて、最後にパワープレーを仕掛けるけども、時すでに遅しでした。

 ■独り言

 オシムいわく、壊す人生よりも作る人生のほうが素晴らしいでしたっけ。名古屋は作るほうに傾きすぎている気がする。前半も後半も守備が後ろの選手におまかせ感がちょっと強い。超攻撃的なサッカーを支えるのが楢崎、闘莉王、ダニルソンなら個人でも耐えられるかっていうと、川崎相手じゃ無理でしたってのでは笑えない。どのように攻守のバランスを考えているか気になるところで。

 川崎はみんなでサッカーをしていて好印象。もう少し攻守分断されている先入観があったのだけど、ちょっと印象が変わった。ジュニーニョや憲剛が帰ってきても、この流れは継続してもらいたいところで。ACLで何とか生き残ってもらいたいなと。

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posted by らいかーると |00:04 | | コメント(4) | トラックバック(1)
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