2010年02月02日
アーセナル対マンチェスターユナイテッド ~守備の差~
アーセナルのスタメンは、アルムニア、サニャ、ギャラス、フェルメーレン、クリシー、ソング、セスク、デニウソン、ナスリ、アルシャビン、ロシツキー。アストンビラ戦はなんだかいまいちな印象でしたと。ソングが帰ってきて、この強豪との連戦を無事に乗り切れるか注目されている。そして、ロシツキーは今季の終盤までコンスタントに試合に出られるだろうかと。 ユナイテッドのスタメンは、ファンデルサール、ラファエル、ブラウン、エバンス、エブラ、スコールズ、キャリック、フレッチャー、ナニ、パクチソン、ルーニー。あららと。ベルバトフとルーニーの共存はあきらめてしまったのだろうか。シティ戦でも機能した4-3-3の継続である。リオが出場停止。ギグス→パクチソンの変更以外は一緒。動くパクチソンは久しぶりな気がする。 ■守備意識の差 アーセナルのスタメンは、4-3-3。ユナイテッドも4-3-3ということで、いわゆるプレミアの強豪と位置づけられているチームに、プレミアの象徴である4-4-2を採用するチームが減ってきている。ユナイテッドが最後の砦になるのかなと思っていたが、現状は4-3-3のほうが明らかに機能している。よって、よっぽどの何かがない限りは、このシステムを継続していくだろうと予想される。 アーセナルのシステムは4-3-3。両翼にナスリとロシツキーを配置している。ロシツキーが中央に侵入することは仕様としても、左サイドまで流れることが非常に多かった。恐らくユナイテッドのラファエル狙いだったのだろう。だから、右サイドのロシツキーが左サイドまで流れる。 セビリアやレアルがやっているように、同サイドに選手を集めて数的有利を形成する考え方はちょっと流行ってきている。SHとSBだけでなく、そこに3人目を絡ませることで、サイドを攻略しよう作戦。ちなみに、ビエルサの3-4-3はこのやり方を貫いていた記憶がある。で、このやり方が機能したかというとまったく機能しなかった。 まずはナスリが試合から消えた。味方の位置関係を考えて、最適なポジショニングをとって欲しかったのだけど、そこまで求めるのは酷なのかなと。よって、アルシャビンの特攻がメインとなり、ブラウン対アルシャビンの戦いが何度も繰り返されることとなる。 ロシツキーが左サイドや中央で存在感を発揮するのは別に悪いことではない。ただし、代わりに右サイドはからっぽになり、アルシャビンはゴール前で一人ぼっちになってしまうのだからたちが悪い。チームの状況を考えて、デニウソンやナスリがゴール前に飛び出すことができればよかったのだけど、そういう動きはまったく見られなかった。 よって、11人で戦っているように見えないアーセナル。ついでに言えば、ロシツキーとセスクもちょっとかぶっているのかなと。つまり、選手配置や戦い方によって、選手の良さを引き出すどころか相殺している印象である。よって、アーセナルらしい攻撃やボール運びはまったく見られず、アルシャビンが単独で決定機を作るだけの攻撃となってしまった。一刻も早い修正が望まれるが、前半は静観のベンゲル監督であった。 ユナイテッドのシステムは4-3-3。スコールズの役割がシャビ・アロンソに見えて仕方なかったのは秘密だ。シティ戦での戦い方と基本構造は変わらない。WGの選手はサイドに張り出したり、中央に進出したり。スコールズを中心にゲームを作って、キャリックやフレッチャーはゴール前に飛び出していく。つまり、ルーニーを孤立させないようなメカニズムが完成に近づいている印象である。 試合はユナイテッドがボールを持つ展開で進んでいく。ここはアーセナルのホームだけど、そんなことはお構いなしと。攻撃を機能させられなかったアーセナルは守備もグダグダであった。どの位置からプレスをかけて、どの位置で誰からボールを奪うのかが不透明であった。なんとなく前プレを仕掛けるイメージのあるアーセナルだけど、前線の位置をぐちゃぐちゃにしたせいで、それも不可能な気配である。 そんなわけで、ボールを持っているユナイテッドの選手になかなかプレスがかからないアーセナル。中盤に降りてくるルーニーのマークも担っているであろうソングが、スコールズまで寄せる場面がまさにそんな状況を象徴しているようだった。周りの選手が守備をしないから、自分も守備をしない選手よりは好感が持てる。その代わりにバイタルをあけちゃうのは危険だったけれども。こういう状況のときに、セスクが走り回ったら、アーセナルは復活するのかもねと。 連動性のないアーセナルのプレスをユナイテッドはどんどん交わしていく。特にバックパスが非常にうまかった。スコールズを中心にフレッチャーとキャリックのポジショニングも絶妙だったと思う。相手の間でボールを受けたり、パス&ゴーで相手をひきつけたり。そして、エバンスからのロングボールありと、やりたい放題のユナイテッドは徐々にアーセナルのゴールに迫っていく。しかし、ギャラスやフェルメーレン、ソングを中心にアーセナルも反撃のチャンスを伺う。 ここで、ユナイテッドの守備意識に高さが非常に際立っていた。両者を分けた一番のポイントはこの守備に対する意識だろうと。ユナイテッドはWGの選手も献身的に守備に参加していた。特にパクチソンはSBですかってくらいにポジションを下げていた。そして、アーセナルよりも人に対する意識の強いユナイテッド。DFラインから離れるアルシャビンについていったり、バイタルで活動しようとするロシツキーにゾーンを越えてついていったり。 アーセナルの守備は人に対する意識よりも、自分のスペースを埋めてシステムを保つように感じた。何のための守備だって感じで。それを理解しているソングがちょっとかわいそうだった。カヌーテやゾコラもそうだったが、アフリカ祭りを経ても、あんまりコンディションが落ちていないのはなぜだろうと。 そんなわけで、攻守に機能しないアーセナル。シティを倒して勢いに乗るユナイテッドの流れを食い止めるのは至難の業でしたと。30分過ぎにチェンジサイドからのナニの突破を最後まで止められず、最後はナニのふわりとしたクロスをアルムニアが押し込んでユナイテッドが先制した。ナニに突破されまくったDFもひどいが、GKがゴールに押し込んだから駄目である。彼らのミスを帳消しにするのが仕事なんだから。 37分にはコーナーキックからのカウンターが炸裂。シティ戦でも見た気がする。ルーニーが自陣でキープして相手の前線の選手にボールを繋ぐ。ナニが高速ドリブルでボールを運んで、最後は全速力で中央に侵入してきたルーニーが決めて、あっさりと2点差になってしまった。アーセナルは守備の枚数が足りていたのだけど、ボールしか見ていない選手がたくさんで、ルーニーの侵入に気がついていなかったのが残念でしたねと。フェルメーレンだけが気づいていたのが印象的だった。たぶん、途中であきらめた選手もいたろうけど。 ■両者の実験 後半は両チームともなかなか面白い場面を見せてくれた。アーセナルはシステムの変更でユナイテッドに迫る。4-2-1-3に変更。デニソングに中盤の舵取りを任せ、左からロシツキー、右からはナスリ、中央からはセスクが仕掛けるスタイルは前半よりは間違いなく機能しそうな雰囲気があった。 しかし、そんな雰囲気をぶっ壊したのがデニウソン。そんなトラップミスするかよってことで、相手にカウンターの機会を与えてしまう。そして裏に飛び出したパクチソン。後ろに残っていたアーセナルの選手はパスコースを切ることで、アルムニア対パクチソンの状況にすべてを託した。しかし、アルムニアがその期待にこたえられずに3-0である。 まさかの展開に怒りのフェルメーレンとソング。この2人は気持ちを全面に押し出してプレーをしていた。自分の役割を超えたプレーをしていたが、さらに攻撃参加を始めるなど覚醒したのではないかと疑われるくらいである。ちなみに、デニウソンはウォルコットとすぐに交代してしまった。懲罰的な意味もある交代である。 これで、システムは4-1-2-3に戻る。中央はセスクとナスリが担当である。この変更でナスリがちょこちょこ存在感を出し始めたのが印象的だった。やはり中央の選手なのかもしれない。サイドではあまりに存在感が希薄で。 サニャ→自由人のエブエの投入で右サイドも活性化させることに成功するアーセナル。アーセナルのSBって攻撃をイージーな感じで終わらせる傾向が強い。何をしでかすかわからないエブエのほうが試合を良い方向にも悪い方向にも運んでくるのかなって。 ちなみに、ベントナーは特に何もなく。終盤に獅子奮迅の活躍をしていたフェルメーレンが強烈なボレーを放ち、エバンスの足に当たってゴールに吸い込まれる。意地を見せたフェルメーレン。アーセナルの中で、この試合によって価値の上がった数少ない選手である。 ユナイテッドはスコールズの位置にキャリックを配置。代えのきかなそうなスコールズの代役を試合でテストする余裕を見せた。また、前半はボールを保持していたが、後半は相手にボールを与えていた。4-1-4の守備がどれだけ機能するか、そしてカウンターをどれだけ機能させられるかの練習である。パクチソンが決めた以外にも、ユナイテッドは決定機を作りまくっていた。しかし、ルーニーが何度も外していた。何気に得点王らしいが、外しまくるのもルーニーらしいなと。 アーセナル相手にテストを成功させたファーガソンは嬉しくて仕方なかったに違いない。ただ心配なのが、このシステムだとオーウェンやベルバトフはいったいどうなるのだろうかと。特にオーウェンは心配されるところである。たぶん、出番がなくなるのだろうなって。 ■独り言 強豪との試合が続くアーセナルだけれども、結構やばい雰囲気である。ホームにユナイテッドを迎えた試合で自滅するとは夢にも思わなかった。この悪い流れを断ち切るような決断がベンゲルに迫られている。チェルシー戦はどんなスタメンを組んでくるか楽しみである。 ユナイテッドは復活が近い。昨年ほどの最強感はないが、4-3-3を完成させることで戦術の幅を手に入れそうである。以前に比べれば、高い位置で守備も出来るようになったし、スコールズを中心としたボールポゼッションもなかなかのレベルだし、ルーニーを起点としたカウンターも冴え渡っている。4-3-3を継続させていけば、一気に優勝候補に躍り出そうな雰囲気である。
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posted by らいかーると |20:36 |
プレミアリーグ/0910 |
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