2010年03月04日

フランス対スペイン ~絶望と希望~

 フランスのスタメンは、ロリス、エブラ、エスキュデ、シアニ、サニャ、トゥララン、ラサナ、アンリ、リベリ、グルキュフ、アネルカ。さすがに知っている選手がずらりって感じである。2006年からどんどんチーム力は落ちている結果なのだけど、面子は強そうである。つまり、ガチ。実験的要素はほぼ皆無である。

 スペインのスタメンは、カシージャス、アルベロア、ピケ、プジョル、セルヒオ・ラモス、シャビ・アロンソ、ブスケツ、イニエスタ、セスク、シルバ、ビジャ。ほとんどレアルとバルサ連合になっている。代表をクラブチームで固めるってのは非常に理に適っているのだろうけど、目新しさがないし、他のチームのサポは興味を失いそうだね。今日はシャビがいない実験って感じ。後は、結局セナが必要か否かについてって所だろう。

 ■破壊されたフランス

 フランスのシステムは4-2-1-3。いわゆる疑惑の試合の後の試合である。なので、色々な想いを払拭したい試合である。この試合で中途半端な内容だと、ワールドカップに出場する資格ないよねって国民から思われちゃいそうなフランス代表。つまり、自分たちがワールドカップに値する実力を持っていることを世界中に証明したフランス代表である。逆に、ここで証明できないと、やっぱりね、みたいな雰囲気になりそうである。

 スペインのポゼッションに対して、綺麗なゾーンで守りを固めるフランス代表。ボールホルダーを自由にしない&色気を出してボールを奪いにいって抜かれるような真似はしない、非常にバランスの取れた守りで、スペインの攻撃をうまく食い止めていた。アンリもリベリも懸命に守備をこなしていて好印象である。中盤の底にはラサナとトゥラランの職人コンビが控えているので、この守備を極めていけば、なかなか面白くなるのかなと。

 ただし、攻撃が非常に微妙であった。アネルカ、リベリが仕掛けて、ラサナがボールを運ぶといった感じである。しかし、アネルカやリベリが得意な形でボールを受けることができない場面が非常に多かった。スペインがサボらずに守備を行ってきたので、フランスもボール運びに苦労する。それでも、そこまでの圧力がスペインの守備にはない。フランスのテンションに比べると、スペインのテンションはちょっと親善試合な感じ。

 なので、ちょこちょこボールを運べるフランス。しかし、サニャが右サイドでボールを運ぶ仕事ができず、左サイドのアンリは存在感を消していた。なので、ちぐはぐなフランス代表。よって、徐々にロングボールをアネルカに当ててとか、グルキュフとアネルカがポジションを下げてボール運びを手伝う場面がちらほら。そうなると、FWの役割の選手が消えてしまうので、よりちぐはぐ感が漂う展開に。それでも、リベリにボールが入れば、サニャのオーバーラップを利用した攻撃ができていたかなと。つまり、守備に比べると、攻撃がちょっとヤバイ。グルキュフの役割も不透明でアンリの位置には他の選手を連れてきたほうがいいかもしれない。

 で、試合展開に話を戻そうと。スペインはフランスの執拗な守備の前に、なかなかボールを運べない展開が続いていく。なので、セスクが低い位置で数的優位を作って試合を動かそうと試みる。しかし、フランスは崩れない。むしろセスクが下がったことで、ビジャが孤立気味になってしまう。序盤のスペインはイニエスタたちがサイドから動かなかったので、かなり硬直化していた。恐らくそういう指示がでていたのだろう。

 時間がたつにつれて、スペインが変化していく。フランスの守備をはがすために2つの技を実行。イニエスタとシルバを自由に動かすこと、そして、DFラインを下げてフランスのプレスをおびき出すこと。

 前者はよくある話で、相手のゾーンを混乱させる作戦。からっぽになったサイドにはレアルコンビを上がらせることで解決。セスクとイニエスタが近い距離で活動することによって、コンビネーションでフランスの組織を崩す場面も出てくる。後者の技によって、フランスはFWとMFの間にスペースができてしまう。つまり、深追いに連動できない中盤。どっちかというと、深追いしたのが悪いのだけど。こうしてスペインが徐々に試合のペースを掴んでいく。

 こうして集中力を高めていったスペイン。守備の集中力も高くなっていくと、中盤でボールを奪い返す場面も出てくる。フランスはどんどん何もできなくなっていって、会場からもブーイング。DFラインがボールを持って、パスコースを探しているとブーイングである。やはり、結果が求められているフランス代表であった。

 しかし、そうはうまくいかないもので。ボールを奪われての速攻からビジャが決めて先制点をスペインがとる。アンリが簡単にボールを取られちゃった場面であった。この場面なんかが象徴なのだけど、フランスは守備の枚数が足りなくなる場面がある。自陣まで戻ってこないリベリたちなので、4-3でスペインの攻撃を止めるのはきついかと。ロスタイムにも中盤でボールを奪ったスペインは、セルヒオ・ラモスが中央に切れ込んで追加点を決める。

 親善試合だから交代がたくさん。ビジャ→トーレス。プジョル→アルビオル。セスク→シャビ。フランスはそのまんま。で、スペインの後半はいい意味でやばかった。前半とは戦い方を変えてきたので。前半がいつものスペインのやり方ならば、後半は自陣に引いて素早い速攻をメインに変えてきたようで。トーレスを走らせる場面が何度も見ることができた。このような戦術の幅がスペインの強さの秘密だろう。

 63分にイニエスタ→ヘスス・ナバス。シャビ・アロンソ→セナ。ヘスス・ナバスを入れることで、よりカウンター色を強くしてくる。どうやら実験は本気のようで。ヘスス・ナバスは溌剌としたプレーで存在感を示した。セビリアでやっているように、もっと中央に進出できるようになれば、さらに機能性が増すのかなと。

 同じ時間にアンリ→ゴブ。73分にリベリ→マルダ。76分にアネルカ→シセ。懐かしいなシセ。このあたりから徐々に試合はオープンな展開になっていく。両チームともコンパクトを保てなくなったのは、コンディションや親善試合などなど色々な理由が考えられるところで。そういう意味で、この時間帯に登場したセナは非常に苦労していた。

 それでも、フランスはチャンスを作ることができない。ポストにシュートを当てることはあったが、カシージャスを慌てさせることはできなかったかなと。スペインはカウンターからトーレスが綺麗なシュートを放つこともあったが、前半に比べると、どうしても得点をって感じでもなかったので、こういう状況でも特に問題はないだろうと。そんなわけで、試合は2-0のまま終了。充実のスペインと、失望のフランス。両者の立ち位置は試合前となんら変わらなかった。

 ■独り言

 親善試合のあり方を考えると、スペインはこういうことをやろうってなゲームプランを緻密に考えていたと思う。選手交代も含めて、予想通りにすべてが進んだのかなと。できすぎだね。

 個々の選手を見てみると、アルベロアの左SBがやっぱりよろしくない。ここはカプテビラがいないと、チーム力が落ちそうである。カプテビラの代役もいるようでいない。さすがにマネーが出てくることはないのかな。また、ブスケツも非常に微妙。レアルに移籍したシャビ・アロンソがようやく噛み合ってきたので、セナとシャビ・アロンソの争いも激しさを増しそうで。

 フランス代表は本気でスペイン代表に戦いと挑んだ。で、完膚なきまでに破壊された。破壊されたのはゲームプランだけでなく、いろいろな目に見えないものまで壊されちゃったかなと。日本と同じでいまさらドメネクが解任されることはないだろうけども、未来が不安になる試合となってしまった。

 個々の選手を見てみても特に感想はない。グルキュフの役割がもっと増えるようでないと苦しそうである。そして、リベリとアネルカにもっと自由を与えられて、CFをつれてくることに成功すれば、楽しくなりそうである。リベリとアネルカをWG的に起用すれば、めちゃくちゃ楽しくなりそうなのだけどもね。

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posted by らいかーると |11:45 | 南アフリカへの予選 | コメント(14) | トラックバック(1)
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国際強化試合 「フランス - スペイン」 【Yellow Submarine Ⅱ ~ リーガエスパニョーラ】

FIFA 国際強化試合 「フランス - スペイン」 0-2 やはりスペイン勝利。 【フランス】 アネルカ アンリ    グルキュフ    リベリ トゥララン  ラス エブラ  エスキュデ  シアニ  サニャ ロリス 【スペイン】

2010-03-04 12:25 | 続きを読む
この記事に対するコメント一覧
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フランスは…

コメント投稿者ID : satto

フランスって最近国際大会の直前まではグズグズですよね。でも本番では地味に上まで行ったり…… 今夏はどうなるでしょうか? 攻守分断症状窮まれり、で本番を迎えなければいいですが…


かくいう私はスペインファンなのですが、やはり左サイド(ある意味右もですが)バックがウィークポイントですよね。カプテビラの控えが……。アルベロアは悪い選手ではないですが、何て言うか、ポルトガルのパウロフェレイラみたく、どの試合でも50点以上70点未満のパフォーマンスですよね。(笑)モンレアルやアスピリクエタは近未来への投資として南アに連れて行ってほしいですが……。

もうデルボスケ監督の中ではメンバー23名は固まっているでしょうね。ジョレンテ、ラウール、ペドロ、フラード、ボルハバレロ、クエジャルあたりは、希望ナシでしょうか。

posted by satto | 2010-03-04 13:04

Re:フランス対スペイン 〜絶望と希望〜

コメント投稿者ID : kenichi

なんか監督の差が出た試合でしたね。

ブスケツ以外は全て納得の選考でした。彼のよさがあまり分かりません。ハビマルティネスとかもみたいですね。

posted by kenichi | 2010-03-04 13:23

Re:フランス対スペイン 〜絶望と希望〜

コメント投稿者ID : realmadridisall

マドリディスタだからというのは置いといてもアルベロアはよくやった気がします。

やっぱマドリーでも明らかに右のほうがかなり良いプレーするので。

カプデビラにしなかったのはリベリ対策でしょうね。
カプデビラじゃ付いて行けなかったでしょうし。

デルボスケにはアロンソとセナを同時にプレーさせることは考えてないのでしょうか?

posted by sall | 2010-03-04 17:03

フランス対スペイン ~絶望と希望~

コメント投稿者ID : IXI00003137

アロンソを使う際、2ボランチでないと、うまくいかない印象があります(マスチェラーノやラス等)。
クワトロなんちゃらでいく場合、セナの方がずっと機能すると思うのですが、デルボスケ的にはアロンソの方がファーストチョイスなんでしょうか。

また、選抜メンバーをみると、守備的MFが少ないと思うのですが、如何でしょうか。

posted by トニー | 2010-03-04 17:25

フランス対スペイン ~絶望と希望~

コメント投稿者ID : OOH00002977

スペインってどの試合も立ち上がりが悪い印象があります。というより、立ち上がりがダメでもダメなところをあっさり修正して前半20分くらいからぐいぐい流れを変えていく強さがある、と言うべきかもしれません。何にせよ、試合の最初に受け身になる癖があるように思うので、スペインと対戦するチームはそこで是が非でも先制点が欲しいですね。当たり前ですが。とにかくスペインの側が点を取ろうと焦る状況を作らないとどうしようもないですね。

引いた相手にも出てきた相手にも柔軟に対応できるので、特にリードしている状況だと無類の強さですね。後半はなんか、ただ攻めるより芸術的なパスを通してやろう、とか美しく抜いてやろう、とかいう余裕すら感じられました。フランスは遊ばれてましたね。

フランスは、アンリもマルダもリベリもほんとは左サイドが好きなんですよね。その中で一番現在調子がいいとは言えないアンリをその左サイドに置くのはあまりよろしくないと思います。リベリかマルダでいいのに。それにしてもブーイングが凄かった。

posted by 端 | 2010-03-04 21:42

フランス対スペイン ~絶望と希望~

コメント投稿者ID : IXI00002894

フランスは左はリベリかマルダ、右はアネルカかゴブにしてほしいですね。中途半端なアンリは外したほうがいいでしょう。
ドメネクは各選手の所属クラブの試合をちゃんと見てるんでしょうか?

スペイン代表の選手がマドリー所属とバルサ所属ばかりになるのは何か興ざめですね。
セスク、ビジャ、シルバは移籍しない事を切に願いたいです。
20代前半の選手層が異常に厚い国ですね。
個人的にはへススナバスやパブロエルナンデスが見たいです。

posted by モウリーニョ信者 | 2010-03-04 23:09

Re:フランス対スペイン 〜絶望と希望〜

コメント投稿者ID : pablo

ブスケツは使われてますね。本番までに確固とした代表の戦力にしようと言うつもりなのでしょうか。バルサの選手が多いのも理由かと考えますが。バルデスは呼ばれませんけど。

彼は悪い所は目につき易く、良い所は見えにくいなって思っています。バルサを好きな人でも悪い所を上げられて非難されてたりもしていたりしますが。
個人的にはメンタルな部分が凄いなと思っています。

このまま行くとスペインは本命視なのでしょうね。どういう対応してくる国があるか本番が楽しみです。

posted by pablo | 2010-03-05 20:16

sattoさんへ

コメント投稿者ID : josepgualdiola

フランスに関しては、EUROが駄目駄目だったので、予選がどうとか信じられない状況です。あのグループなら抜けられそうですが、それでも南アフリカに奇跡を演出させるなら、フランスが相手かと思います。

スペインは左SBが泣き所ですね。右ならアルベロアも100点満点を叩きだせるのですが、左ならおっしゃるとおりです。アスピリクエタが左サイドもできるな最高だったのですけど。

その中では、ペドロくらいですかね。可能性がありそうなのは。

posted by らいかーると | 2010-03-07 22:32

kenichiさんへ

コメント投稿者ID : josepgualdiola

ハビマルですか。マルコス・セナの代役には面白いかと思います。ただし、監督のの中にはまったくなさそうですが。

posted by らいかーると | 2010-03-07 22:35

sallさんへ

コメント投稿者ID : josepgualdiola

確かにアルベロアはできることはすべてこなしたとは思います。

おっしゃるとおりで、セナとアロンソの共存は試して欲しいですね。磐石な気がします。そうなると、クワトロなんちゃらから1人脱落&トーレスかビジャが脱落と考えると、やりにくいのかもしれません。

posted by らいかーると | 2010-03-07 22:38

トニーさんへ

コメント投稿者ID : josepgualdiola

なんだかシャビ・アロンソへのこだわりは見えますね。それが足かせにならなければいいなと思います。

メンバーは見ていませんが、クワトロなんちゃらを支える能力のある選手はスペインにあんまりいません。なので、メンバーが少ないのもしょうがないかと。

posted by らいかーると | 2010-03-07 22:45

端さんへ

コメント投稿者ID : josepgualdiola

スペイン代表の立ち上がり問題に関しては、こんど確認してみます。様子を見ているのだとしたら、なかなかえぐいチームになっているようですね。

ドメネクはめちゃくちゃ嫌われているようですね。日本の監督問題も謎ですが、フランスのドメネクが継続しているのが個人的に最大の驚きです。

posted by らいかーると | 2010-03-07 22:49

モウリーニョ信者さんへ

コメント投稿者ID : josepgualdiola

ドメネクは占い師なので謎です。

レアルとバルサ連合軍になったら、なんだかつまらないなって思います。やはり代表ってのは色々なクラブから集まるべきなのかなとか思っています。

posted by らいかーると | 2010-03-07 22:50

pabloさんへ

コメント投稿者ID : josepgualdiola

バルデスが代表に呼ばれないのは、色々事情があるのでしたっけ。

ブスケッツは繋ぐ能力は高いと思います。でも、クワトロなんちゃらに並んでその力を発揮できるかというと、難しいのかなと。屋台骨は守備力も優先されますし。

本番が楽しみですね。

posted by らいかーると | 2010-03-07 22:53

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