2008年06月10日
ルーマニア対フランス ~リスク対規律~
ルーマニアのスタメンは、ロボンツ、ラツ、ゴイアン、タマシュ、コントラ、ラドイ、キブ、コチシュ、ムトゥ、ニコリツァ、ダニエルニクラエ。名称の誉れ高いピトゥルカの采配に注目。本当に攻撃はムトゥだけのチームなのか、どうなのか。そしてルーマニアも本当に堅守速攻なのかと。 フランスのスタメンは、クペ、アビダル、ギャラス、テュラム、サニョル、マルダ、マケレレ、リベリ、ベンゼマ、アネルカ。アンリとビエラがスタメンから外れた、、事件である。なぜにエブラを使わないのかが不思議。 ■紹介です。 フランスのシステムはフラットの4-4-2。リベリが右で左がマルダ。そのまんまである。ルーマニアが全員自陣に引いてスペースを埋めてくるので、フランスの前線の選手は非常に窮屈そうであった。その代わりに、フランスのDF軍団は余裕綽々でプレーができる。 しかし、CBがドリブルで攻めあがったり、マケレレたちからマークを引き剥がすようなプレーはなかった。SBも25分までは攻撃参加を自重。上がるタイミングアあったても、前線に飛び出すことはなかった。慎重な姿勢。 器用になってきたマケレレがボールをサイドに散らし、トゥラランが楔のボールを入れて試合を組み立てていた。攻撃はなぜか右サイドに偏っていた。リベリが右にいるからに決まってんじゃないか、、と思いがちだが、リベリは窮屈そうであった。 チェルシーでは左サイドに流れるアネルカ。しかし、フランス代表ではなぜか右サイドに流れる。ベンゼマはもともと右に流れる癖があるに違いない。両FWが右サイドに流れて、何度もボールを受けていた。リベリは俺どうしたらいいねん状態で試合が進んでいく。 選手間の距離が近ければ、超絶ダイレクトパスやワンツーの連発で相手を崩す技がある、実は賢いベンゼマにはそういうアイディアがあったが、リベリとアネルカにはそういうアイディアがないようだった。FWがサイドに流れる→中央が開く→誰が入ってくる??マケレレとトゥラランは前線に飛び出しことは基本的にない。該当者はリベリとマルダ。 しかし、チェルシーで不調に陥ったマルダは思い切りが足りない。ただし、中央に行くアイディアはある。25分過ぎからリベリが自由に自分の位置をかえまくることで、ボールを受けられるようになる。リベリが前を向くと、得点の気配がほんの少しだけ感じることができた。つまりは、リベリしか個人の力で何かを起こしてくれそうな選手がいない現実である。 25分過ぎのリベリが右サイドを離れたこと、アビダルとサニョルがちょこちょこ攻撃参加したことで、一瞬の隙が生まれるルーマニア。その隙を利用して前を向くフランスでもゴールは遠い気配である。 ルーマニアのシステムは4-3-3。全員守備。ただし、引きこもるのではなくて、DFラインの高さを維持し、中盤の密度を濃くする形。フランスが攻撃に人数をかけてこないので、積極的なパスカットが目立つルーマニア。人数が同数だったら、あんなに積極的な守備はできないだろう。 ボールを奪ったら、前線の選手が一気に走り出す。ダニエル・ニクラエとムトゥが攻撃の中心。2人とも、ただ縦に走って裏を狙うのでなくて、交差するように走る。斜めに抜けることで、相手のCBをサイドに引きずり出すことに成功していた。この一対一で相手を凌駕できればルーマニアはビックチャンスが連続するだろう。 カウンターにありがちな前線の選手孤立問題はほとんどなかった。まずは2人でシュートまで行く→無理だったら、後ろのサポートを待つ。で、この後ろのサポートが異常に早い。しかも、多人数でサポートに来るので、相手陣地でボールを回すルーマニアが何度も見られた。 攻撃の中心はロングボールで裏狙い。シュートまでいけなかったら後ろからのサポートを利用して、組織で攻撃。フランスの戻りが遅いことや、DFラインをすぐに下げる癖がルーマニアのボール回しに影響した。やはり、フランスのDFはヨーイドンで競争することが嫌いなのかもしれない。守備達人のマケレレたちはそんなDFラインに連動するけど、攻撃大好きなリベリたちは、下がるDFラインについていけない場面が目立った。 ルーマニアが不運だったのは審判との相性。早めのファウルで相手の攻撃の芽をつむルーマニア。特にシャフタールに所属している左SBのラツは、対人で強さを発揮していた。しかし、イエローを連発されるルーマニア。ラツもイエローを出されてしまい、これがプレーに影響が出なければ、後半も面白い。 それにしても、なぜにフランスはコントラを狙わないのか不思議である。ラツはかなり守れる選手のようだった。 ■リスクを犯さないフランス 両チームとも交代はなし。戦い方をマイナーチェンジさせたのは、フランス。アネルカに中央で我慢するように指示が出たのかもしれない。ただし、リベリは後半開始当初こそ、サイドに位置していたものの、徐々に自由さを発揮していった。 点を取りに行かなければやばいフランス。攻撃意識を高めてマルダ、コントラを翻弄。やっぱりラツよりは、コントラを狙ったほうが良い。調子に乗ったマルダはその後果敢に仕掛けて止められていた。 ルーマニアは徐々に集中力を欠いたプレーが増えてくる。例えば、フランスにカウンターをくらった場面。リベリが縦に抜けてクロスをベンゼマ。DFがみんなボールウォッチャー。DFに集中力がなくなれば、前線の選手も微妙になってくる。前半は後ろまで下がっていたけど、ちょっと前目になった後半。 その結果、マケレレとトゥラランにセカンドボールを拾われまくる状態に陥ったルーマニア。前半に比べると、カウンターの場面が減りに減ったルーマニア。事情はこんなところだろう。そんなボーナスステージも後ろからの攻撃参加が少ないので、守りまくるルーマニアに混乱をもたらすことはできなかった。 65分にコチシュ→コドレア。ちっとも攻撃の場面がないルーマニア。マケレレたちを抑えるための攻撃的な選手、、、という意図はなかった。 フランスも攻撃的な選手を投入。アネルカ→ゴミス。誰だゴミス。ベンゼマ→ナスリ。FWが下がってしまいました。確かに絶妙なバランスを保っているマケレレコンビを交代するのはNG。だけど、頭の良いベンゼマを下げてどうする。後半の途中で、リベリに近寄っていってコンビプレーで相手を切り裂いたベンゼマは非常に頭がよい。 単純にエブラを入れて、後ろからがんがん攻撃参加させるか、マルダをゴブに代えて個人技でやらせるか、、、以上の選択肢しかないと思うんだけど。いきなり起用されえもゴミスに何ができるんだって言うお話。 試合はそのまま終了。ルーマニアは大喜びで、フランスは意気消沈。なぜか総攻撃を仕掛けないまま、不気味な雰囲気を身にまとったまま0-0で試合が終了した。 ■独り言 4-4-2の菱形でリベリをトップ下にすれば、すべてが解決しそうなフランス。でも、ドメネクは絶対にやらなそうである。試合が終わった後に拍手している姿が印象的だった。可能性を感じさせる選手がリベリとベンゼマ。後ろの選手が上がってこないので、少ない人数で攻撃を仕掛けるしかない、よって個人に依存する場面がたくさん。だったら、もっとリベリとベンゼマを自由にする戦い方をしても良いのではないかと。この引き分けで変われれば良し。中途半端に結果が出るよりも、良い引き分けかもしれない。 ルーマニア。やっと出てきた堅守速攻。悩みは試合の流れを変えられるスーパーサブがいないところか。丹念にSBの裏を狙い続ける攻撃は、攻撃的なチーム相手に決まる可能性が高い。攻撃参加しないフランス相手に、あれだけ裏を取れていれば、オランダ戦は面白いかもしれない。でも、オランダのSBってあまり攻撃参加しない気がする。守備の集中力は最強だった。フランスがリスクをかけてこなかったこともあり、ロボンツの出番さえ少なかった。 ■気になった選手 ラツ。シャフタール所属の左SB。フランスの攻撃が右に偏ったことで出番がかなり多かった。積極的な守りで相手に前を向かせることなくセオリーどおりの守備を披露。しっかり守れるSBであった。もしも、ラツの出来が悪ければ決定機を量産できたかもしれないフランス。 ピトゥルカ。選手じゃなくて監督じゃん。規律正しいチームはフランスの攻撃を最後まで凌ぎきった。猛攻ではない、ただの攻撃。その真価はオランダ戦で問われるだろう。限られた人材でここまでのチームを仕上げてきたのは本当に立派。ただし、流れを変える采配はうまくないかも。
posted by rijkaard |07:43 |
EURO2008 |
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ルーマニア対フランス ~リスク対規律~
C組はオランダが3-0で勝つし、フランス引き分けで、カオスになってきましたね。
posted by 定期購読者 | 2008-06-10 10:27
ルーマニア対フランス ~リスク対規律~
好調だったアンリがスタメンで出なかったのが意外。
アネルカはシュート精度も悪く不調に見えました。
ベンゼマはクレバーさ、身のこなし、体格など見てるとジダンのように見えます。トップ下ではどうでしょうか?
ゴミスは確かサンティティエンヌで大活躍した期待の若手ですね。
私はキブのロングフィードやフリーキックに注目してたんですが、今の代表では攻撃的MFなんですね。DFかと思ってました。文中に一度も出てこなかったですが。どうですか。
posted by サントス | 2008-06-10 12:02
ルーマニア対フランス ~リスク対規律~
コメントありがとうございます。
>>定期購読者さん
カオスは大歓迎です。他会場の結果は書かないで下さいね。見てショックになる人もいますから、、、多分。
>>サントスさん
ベンゼマとジダンは全く違うと思います。アンリを外したのは英断だと思いました。
キブは良いサイドチェンジしてましたし、リベリへのスライディングは見応えがありました。でも、もともと評価の高い選手なので、別に本文で触れないでいいだろうと判断しました。
posted by rijkaard | 2008-06-12 20:21
ルーマニア対フランス ~リスク対規律~
ルーマニアはいいチームですね。
Cグループで一番完成度が高いチームじゃないでしょうか。
運もあるので何ともいえないですが、
3試合目オランダ戦何とかできるチームだと思います。
何とか2位抜けしてもらって、もっと長く試合を観たいものです。
posted by タカ | 2008-06-15 22:37


